イベント
「ドラゴンクエストウォーク」のリアルイベントに参加。万博記念公園がフィールドとなり,カンダタも登場!柴プロデューサーのインタビューも
本稿ではこのイベントの初日に実際に参加して体験したことのレポートとともに,会場を訪れていたスクウェア・エニックスのプロデューサー柴 貴正氏へのインタビューをお届けしていきたい。
2022年9月にサービス開始3周年を迎え,4年目に突入したDQウォーク。「ドラゴンクエスト ウォーキング<WEST>」は本作で初めてのリアルイベントで,その第1回は関西での開催となった。また第2回となる「ドラゴンクエスト ウォーキング<EAST>」が2023年に開催されることもアナウンスされている。
その初日となった12月3日の大阪は天候にも恵まれ,会場では複数のイベントが重なっていたこともあり,筆者が予想した以上にたくさん人が会場を訪れていた。最寄りの万博記念公園駅へと向かう大阪モノレールは,朝9時過ぎの段階で通勤ラッシュなみの混雑で,さらに駅から最も近い万博記念公園の中央口には長蛇の列ができ,入園にかなり時間がかかった人もいたようだ。
ちなみにこの行列は当日の入園券を買うためのものであり,前売の入園券や年間パスを持っている人は並ばずに入園できていて,さらに東西にある入口を目指した人は混雑を回避して入場できたという。
今回のイベントでは会場となる万博記念公園に近づくと,ゲーム画面が切り替わりイベント限定のミッションが発生。マップ上にはコラボを実施中の「Coke ON」(コーク オン/コカ・コーラ)関連商品のバルーンが浮かび,要所にはチェックポイントとなる「スタンプスポット」も見えている。
また会場内のエリアには「Coke ON」のコラボモンスター3種が普段よりも多く登場し,さらに1日2回(戦えるのは1日1回のみ),特定の場所で限定メガモンスター「Coke ONコラボ大王」も出現し,戦うことができた。
リアルイベントというだけに,拠点となるイベント広場にはゲームのナビゲーター役の「スラミチ」をはじめとしたスライム達の立像やバルーンが多数設置。さらにはコカ・コーラが用意したゴーレム,ゴールドマン,ストーンマンを模した自動販売機などもあり,フォトスポットとなっていた。
イベントの目玉となったのが,今年夏に実施された3周年前夜祭イベント「カンダタパーク」をイメージしたスタンプラリーだ。
チェックポイントとなる園内6カ所の「スタンプスポット」にはカンダタが登場し,近づいて画面をタップすることでイベントが始まり,ゲーム内のスタンプシートにスタンプを押してもらえるわけだが,園内のリアルな場所にもなんとカンダタ本人(?)の姿が! しかもゲーム内のカンダタとまったく同じことをリアルにやっているこだわりぶりで,目の当たりにした筆者も見るたびにニヤニヤしてしまった。
カンダタがいるスタンプスポット6か所の設置場所もよく考えられていて,ゲーム画面のマップでは直接向かえそうなところも,リアルでは園内の構造によって回り道をしなければならなかったりする。万博記念公園はその名の通りかつて大阪万博が開かれた公園で,その一部は当時ままの形で,かなり複雑な構造をしている。池を大回りしたり,丘を登ったり,森の中を歩いたりと,その道中は「ドラゴンクエスト」シリーズをはじめとするRPGの冒険を追体験するようでもあった。
とくに会場北側にある日本庭園は,中に入るには中央の入口からしか入るルートがない一方,東側に出口のみが存在するという特殊な構造で,こうした情報がSNSで共有されるなど,ルート開拓の面白さも発生していた。
ちなみにこのルートは,徒歩の速度で迷わず回っても歩数は1万歩以上,2時間程度かかるような設計だったそうだが,筆者は迷ったり取材関係で往来したことにより,2万歩以上歩く結果となった。かなり疲れた……。
マップを チェックして 迷わないように気をつけよう。
— スラミチのへや (@SuramichiRoom) December 4, 2022
AとCは 日本庭園にあるよっ。#スラミチ #DQウォーク #DQウォーキング pic.twitter.com/tHQmvZSKwW
想像以上の人出に,本作の潜在的なファンがこれほどいるのかと驚いた人も多かったはず。とくに普段1人でプレイしている筆者のような中高年のプレイヤーの姿も多く見られ,同年代の家族連れも多数来場していた。
また昼過ぎになると,スポットを回り終えた参加者が特典をもらうためにイベント広場に続々と集まってきていて,専用の画面を出すのにゲームへのアクセスが必要だったこともあり,回線がなかなかつながらずに時間がかかり,さらに人が増えてしまうという悪循環も発生。このあたりは第2回を行うにあたっての課題となりそうだ。
とはいえ,ゲーム内のミッションと現実の会場が連動したイベントの体験はここでしか味わえないもので,とくにポイントごとに出会えるリアルカンダタを見るのは実に楽しく毎回どんなことをやっているのかワクワクさせられた。また晩秋の万博記念公園のシチュエーションも最高で,歩いていて気持ちがよかった。
スタンプをコンプリートした人の参加特典のプレゼントは配布数が決まっていたため,もらえたのが比較的早く園内を回った人に限られてしまったのは残念だったが,ゲーム内アイテムは該当者全員がもらうことができ,筆者も東京から出かけた甲斐があった。なお,後日話をうかがったところ,課題となった件は,翌12月4日の2日目開催時にはほぼ解消されていたとのことで,次回,東日本で行われる予定の第2回にも生かされると思うので,そこにも期待したい。
最後にイベント初日の会場で収録した,本作のプロデューサー柴 貴正氏へのインタビューをお届けして,今回のレポートの締めとしよう。
4Gamer:
今回リリース4年目にして初のリアルイベントを行うこととなった経緯をお聞かせください
柴 貴正氏(以下,柴氏):
DQウォーク自体がゲームとリアルを行ったりきたりするゲームですので,元々やりたくて仕方なかったんですが,ご存知の通り,本作リリース後,半年もたたないうちにこのようなイベント実施が難しい状況となってしまいまして,4年目にしてようやく情勢も落ち着いてきたところで,このたび開催させていただくことになりました。
4Gamer:
最初の会場を大阪の万博記念公園に選んだのはどんな理由があったのでしょうか。
柴氏:
東西である程度の人数のお客さんが集まることを想定して,大きさのキャパシティがあってなおかつ集まりやすいところでいくつかの候補を上げたなかで,万博記念公園さんが比較的早く対応いただけたことが選定の理由ですね。
4Gamer:
ただ歩くだけでなく,現地にたどり着くとゲームが連動してイベントが始まったり,会場内だけに現れるメガモンスターに挑戦できたりと,凝った内容で驚きました。
柴氏:
DQウォークの場合,リアルイベントをやるなら実際に歩いていただくのが一番楽しいですから,ウォーキングと冒険をセットにして作ることを考えました。歩数的にもだいたい1万2000歩ぐらい歩く距離で設定してみましたが,普段から歩いているであろうユーザーさんであれば,丁度よかったのではないでしょうか。
4Gamer:
園内の構造が結構複雑で,ポイントにまっすぐ行けなかったりして苦労するところもありましたが,そこも想定されていたことなんでしょうか。
柴氏:
そこはやっぱり「冒険」ですからね。ユーザーさんには単に指示されたところに行くだけでなく,冒険して遊んでいただきたかったんです。僕たちが想定したルートもあったんですが,様子を見ているとみなさんいろんな歩き方をしていて,とても興味深く面白いところでした。
4Gamer:
初の大規模イベントということで,企画するにあたり注意したことはありましたか。
柴氏:
一番気にしていたのは天気だったんですが,こればかりはどうしようもないですよね。でも今ぐらいの冬期の初旬は比較的天気がよく,気温もちょうどいいですから,時期的なことは意識しました。
それともう一つ気にしたことは,こういうユーザー参加型のイベントって,コンテンツを楽しむことをきっかけに,ユーザーさん同士のローカルコミュニティみたいなものが生まれると思っていて,そのための仕組みを考えようということでした。
1人で遊ぶゲームではあるんですが,いろんな人と遊ぶのも面白いですし,一緒に冒険をして仲良くなれるきっかけが作れる設計は意識したところですね。
4Gamer:
イベントはカンダタが主役でしたが,当然これもDQウォークの内容に合わせた設定ですよね。
柴氏:
いろんなところを回るオリエンテーリング的なイベントですので,来た人にはぜひ写真を撮ってほしいという気持ちがあって,であれば写真映えする何かを置こうと考えたときに,スタッフから「リアルカンダタではどうか」というアイデアが出たんです。
DQウォークは「ドラゴンクエスト」シリーズの中でもかなりカンダタに頑張ってもらっているタイトルなので(笑),今回も主役となってもらいました。
4Gamer:
ただカンダタがいるだけでなく,ゲームの中のシナリオを連動していたのが楽しかったです。
柴氏:
そこはゲームならではの連動ですね。せっかく丸1日かけて来ていただくので,ちょっとでも楽しんでもらって,コミュニケーションのきっかけになるような仕組みとしたんです。
4Gamer:
リアルイベントに参加をしてみると,想像以上に幅の広いファンがいることがわかりました。
柴氏:
そうなんですよね。ファミリーの方も多くて,親子でも娘さんが40代でお母さんが70代というおふたりがいて,お母さんはゲームがあまりわからないけど一緒に歩いて楽しんでいるそうで,そういう家族の組み合わせもあるんだと驚きました。
あとはかつて少年勇者だったであろうおじさん勇者達ですよね。僕らと同じ世代なので,なんとなく心強く感じました(笑)。年齢が高めのかたもたくさん参加してくれているので,落ち着いて楽しんでくれている印象を受けましたね。
4Gamer:
2023年には「<EAST>」と銘打たれた第2回の開催が発表されていますが,構想などはあるんですか?
柴氏:
初めての開催となったこの第1回の結果をしっかりと分析して準備していくことになると思います。
今回,本当にたくさんのお客さんに来場いただいたことには感謝しかないんですが,それによって特定の場所で通信状況が悪化したことや,長い待ち時間など,ストレスを感じさせてしまった部分については非常に申し訳なく思っており,可能な限り改善をして,次回開催の準備をしていきたいと考えています。
4Gamer:
少し前からコカ・コーラとコラボしていますが,このイベントに協賛することも決まっていたのでしょうか。
柴氏:
はい,コカ・コーラさんは「Coke ON」というアプリの存在が大きくて,「歩いて健康になる」という目指すところが同じで,さらに歩くことでドリンクがもらえるというリアルの強さもあって,DQウォークと相性がいいんです。
彼らもDQウォークを面白いと言ってくださって,このイベントも協賛していただきました。ゴーレム,ゴールドマン,ストーンマンのコラボ自販機もコカ・コーラさんが作ってくれたんですが、あのクオリティの自販機が完成したのには,正直驚きましたね。
4Gamer:
ではゲーム本編について,今後のプランを教えていただけますか。
柴氏:
歩くことでゲームを楽しめることはこれまで同様に考えていきますが,その一方で今年実装したカジノのような,またちょっと違う要素も入れていきたい気持ちがあります。ゲームって長く続けていくとどうしてもコア化といいますか,どんどん難しくなってしまって,新しい人が入ってきづらいものになったり,カジュアルに遊ばれている方が行き詰まってしまったりすると思っているので。
そういった意味では,全部を全部楽しんでいただきたいというよりは,「僕はこれが好きだから,これをやる」みたいな感じで遊んでいただきたいというのが本音でして,カジノの麻雀なんかはまさにそれですよね。「麻雀なんか知らない」という人ももちろんいて,面白いので遊んでほしいとも思うのですが,強要しているわけではないですし,逆に麻雀が好きな人はそこから入っていただくきっかけになりますからね。
DQウォークは,もっともっと多くの方々に遊んでもらいたいですし,例えばそれがゲームはそこまで熱心に遊ばないような方だったとしても,何か一つでも面白い!と思うコンテンツを見つけて遊んで頂けるような,そんなゲームというかアプリにしていけたらなと考えています。
4Gamer:
では最後に,イベントに来場した人を含め,本作のファンにメッセージをお願いします。
柴氏:
DQウォークは僕自身もちょっと変わったエンタメになりつつあるなと思ってまして,僕のようなおじさん世代にも多く遊んでいただいているんですが,これからもどんどん歩いて健康になってもらいたいと思います。
また,今回のイベントではお客さんの遊んでいる顔を直接見ることができただけでなく,一部ではありますがお声をかけてくださった方もいらっしゃって,そういった声に耳を傾けられたことも大きかったです。
もちろん,日ごろからSNS等で発信いただいているコメントもみていますし,参考にさせてもらっています。オフラインであろうと,オンラインであろうと,遊んでいただいている皆さんの声が励みになり,より良いものになっていくのは間違いないので,これからも温かく応援していただけたら嬉しいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「ドラゴンクエストウォーク」公式サイト
「ドラゴンクエストウォーク」ダウンロードページ
「ドラゴンクエストウォーク」ダウンロードページ
- 関連タイトル:
ドラゴンクエストウォーク
- 関連タイトル:
ドラゴンクエストウォーク
- この記事のURL:
キーワード
(C)2019 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
(C)2019 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.