プレイレポート
「BLUE PROTOCOL」ではアニメの世界に入り込んだようなグラフィックスで冒険を楽しめる。大盛況だったネットワークテストのプレイレポート
劇場版アニメに入り込んだようなグラフィックスに注目
概要を説明すると,ブルプロはバンダイナムコオンラインとバンダイナムコスタジオによるプロジェクト,「PROJECT SKY BLUE」の中核をなすコンテンツとして開発中のオンラインアクションRPGである。今回のネットワークテストはPC向けに行われたが,将来的にはPlayStation 5版やXbox Series X|S版の展開も予定されている。PC版は2023年早春の正式サービス開始を予定しており,今回のネットワークテストでは,最大10万人の規模による通信環境の検証などが主に行われた。
プレイヤーキャラを作成してゲームをスタートすると,最初にブルプロのメインストーリーが始まる。ネタバレにならないように軽く紹介すると,プレイヤーが操作する主人公は“謎の声”によって洞窟で目覚め,そこで亜人の少女フェステと出会う。しかし2人は,ここでゴブリンに襲われてしまうのだ。そしてゴブリンを撃退するも,主人公は意識を失ってしまい,交易都市アステルリーズの宿屋へと運び込まれる。ここから本格的な冒険がスタートするのだ。
オープニングから意味深なストーリー展開が続くが,それ以上に驚かされたのはグラフィックスである。ブルプロのグラフィックスが劇場版アニメーションに匹敵するクオリティであることは,これまで再三にわたって強調されていたが,実際にメインストーリーのカットインムービーを見て,確かにその通りだと思えた。
アステルリーズは近隣で最大の交易都市で,さまざまな施設や店が所狭しと立ち並んでいる。ケルト風のBGMも含め活気が感じられ,明るい雰囲気の冒険アニメーションに出てくる街そのもののといった感じだ。建物や景観をよく見ると,多くのJRPGで見かけるようなファンタジーの世界観とは少し違っているようにも思え,このあたりにも興味津々である。
アステルリーズは最大200人のプレイヤーキャラが同時接続でき,これを超えると新たなチャンネルが自動生成される仕組み。MMORPGにも似た活気あふれる雰囲気を満喫できるだろう。
そして,屋外のフィールドエリアにおける制限人数は30人となっている。この数は多すぎず少なすぎずといった印象で,他プレイヤーの存在を感じつつも,ブルプロがウリとするアクションを快適に楽しめた。人が集まり過ぎて大きなラグを感じるようなこともなかった。
“オンラインアクションRPG”に偽りは無し
ゆるい雰囲気での協力プレイも楽しめる
操作システムを見ていくと,キーボード&マウスの場合は[W/A/S/D]キーで移動,マウスの左クリックで通常攻撃,右クリックでクラス固有のアクションを行う。[Q/E/R/C]キーがクラス専用のタクティカルスキル,Tabキーがアルティメットスキルだ。それに加えて特徴的な要素として,召喚獣ライクな味方キャラを瞬間的に呼び出して戦わせるバトルイマジン(後述)が,数字の[1/2]キーに割り当てられている。
通常攻撃以外の各スキルには,使用後に10〜20秒前後の比較的長いクールダウンタイムが設けられている。そのため実際のバトルでは通常攻撃が主軸となり,タクティカルスキルなどを随所で挟む戦闘スタイルとなる。タクティカルスキルやバトルイマジンの数は豊富で,ビルド構築の要素もたっぷり楽しめるだろう。
筆者はこれまで,さまざまなアクションRPGを遊んできたが,ブルプロは「HP管理」がシビアなゲームだと感じている。雑魚モンスターだと思って真正面からゴリ押しを続けていると,結構簡単にやられてしまうバランスとなっているのだ。また,非戦闘時にHPが自然回復されないほか,回復用のポーションは大変貴重なので,頻繁に使うわけにもいかない。
したがって戦闘中は,敵の攻撃を見極めて操作で避けながら,的確に攻撃を与えていく必要がある。ブルプロをMMORPGとして認識しているケースをしばしば見かけるが,正しくはオンラインアクションRPGなので,ここは正しく理解しておきたい。敵の攻撃モーションを注視して,可能なときはバックステップなどによる回避を試みるなど,敵からの攻撃を極力食らわないように立ち回るのが有効だ。
こう書くとアクションゲーム初心者の方はビビってしまうかもしれないが,安心してほしい。ブルプロは多くの局面で協力プレイが有効なのだ。
それを象徴していると感じたのは,戦闘中に他のプレイヤーキャラから“横殴り”をされても,獲得経験値が減少しないという部分である。むしろ,他のプレイヤーと共闘することで戦闘が楽になるし,いいことずくめなのだ。
さらに倒されてしまった時は,たとえパーティ外のキャラでも,デメリット無しで復活させられる。アステルリーズの街から一歩出た瞬間から,周りのプレイヤーは“仲間”なのである。
ブルプロの協力プレイ要素を特に感じられる場が,ネームドモンスターの討伐であろう。
フィールドエリアでは定期的にネームドモンスターが現れる。この敵はめちゃめちゃに堅いので,数人程度で戦ってもなかなか倒せない。ネームドモンスターの報酬はウマいので,出現がマップ上のアイコンなどで示されると,フィールド中の冒険者が集まってきて一緒に倒すことになる。このときにパーティを組む必要はなく,気軽に挑戦できるのだ。
参加者の人数が増えれば,1人あたりの被ダメージは抑えられる。しかも本作では,範囲系の回復スキルの効果を誰でも受けられるのだ。「せっかくだから他の人も一緒に回復してあげたほうがいいかも!」と,スキルの発動タイミングなどを考えやすい。
そうやって周りのプレイヤーと共闘していくことで,敵の攻撃の回避タイミングだったり,釣り方だったりと段々と立ち回り方が見えてくる。初級者のプレイヤーでも,とりあえず一緒にボコボコ殴っていれば貢献できるし,“数の暴力”による安定感だけでなく,バトルの面白さにも気付きやすいと思えた。
バトルスコアを上げて各種コンテンツに挑戦
ブルプロの成長システムにおいて一番の特徴といえるのは,装備する武器種別によってクラスが定まるという部分である。つまり,武器を持ち替えることでクラスチェンジを行えるほか,将来的には1人のキャラクターで全クラスを体験し,極めてることもできる。
とりあえずゲーム序盤は,クエストやモンスターの狩りを通じて,好きなクラス(1種類)のレベルを上げていくのが大きな目標となるだろう。
成長システムで大事な要素のひとつが,複数のクエストがツリー構造で連なるアドベンチャーボードをこなすことで,さまざまな報酬を得られる部分である。クエスト報酬の経験値のほか,武器やバトルイマジン/エンハンスイマジンのクラフト時に必要な素材アイテムなども得られるのだ。
そうして武器やバトルイマジン/エンハンスイマジンをアップグレードすることで,冒険者の強さの指標となるバトルスコアが少しずつ上昇する。多くのバトルコンテンツにおいて,一定値のバトルスコアが入場条件として設定されているので,積極的にアドベンチャーボードに取りかかることになるわけだ。
アドベンチャーボードのなかでも特に大事なのが,冒険者ランクを上げられるタイプである。というのも,この冒険者ランクを上げることで,クラスレベルのキャップも引き上げられるのだ。冒険者ランクを上げないことには,やがてクラスレベルが頭打ちになってしまうわけだが,やや珍しいシステムということもあり,ネットワークテストでは混乱する人もいたようだ。
クリア済のダンジョンは自由探索や追加調査が可能に
ダンジョンに関してだが,まず最初に,メインクエストを通じてNPCと一緒に攻略をすることになる。そうしてクリアしたダンジョンは,自由探索として出入りできるようになるほか,追加調査と呼ばれるミッションが開放される。
自由探索では一般のフィールドエリアのように,ダンジョン内を制限時間やボス攻略などを気にせず,(文字通りに)自由に探索できる。パーティを組んでいない他のプレイヤーと頻繁に出会うが,上述したとおり横殴りされても経験値のロスが無いため,ネットワークテストでは経験値稼ぎの場として賑わっていた。
追加調査は,他のプレイヤーと6人パーティを組んで,最奥にいるボスを攻略するというコンテンツだ。
パーティ編成時は専用のマッチングシステムが用意されているが,ブルプロではパーティプレイ時のコミュニケーションの必要が少なく,また,すでにメインクエストを通じて経験済みであるためか,なんとなく流れがわかっている。初見の追加調査でも攻略しやすく,ネットワークテストでは周回系のコンテンツとして人気を博していた。
30人規模での総力戦を楽しめる“レイド”
ダンジョンとは別に,最大30人による協力プレイでボスモンスターに挑む,レイドも用意されている。今回のネットワークテストでは,巨大なデミドラゴンを討伐するレイド「虚空の浮島」を体験できた。
このレイドでは,ボスモンスターの強力な攻撃によって,大勢のプレイヤーキャラがまとめて倒されてしまいやすい。やられた味方の「たすけて!」といったチャットが飛び交い,ドラゴンの炎が降り注ぐなか,決死の救出に奔走することも多かった。蘇生中にやられる二次被害も頻発したが,個人的には大規模バトルならではの,わちゃわちゃとした雰囲気を楽しめた。
ヘヴィスマッシャーとブラストアーチャーの感触
筆者はネットワークテストにおいて,ヘヴィスマッシャーとブラストアーチャーの2クラスを中心にプレイしたので,それぞれの使用感などを,プレイムービーと合わせて紹介しよう。
【ヘヴィスマッシャー】
ヘヴィスマッシャーは,先端に射出可能な「球体」が付いたハンマーで戦うクラスだ。球体を射出するスキルの使用時は,銃におけるマガジンのような扱いの「カートリッジ」が必要となり,これはスキルによって消費量が異なる。カートリッジが少なくなったら,右クリックの長押しによるリロードで補充可能だ。
ネットワークテストでは,カートリッジの概念と,それぞれのスキルのインターバルを管理するのが難しかった。「技を出せないなあ」と思ったら弾切れだった,なんてことも。現在のカートリッジ数を把握することと,適切なタイミングでリロードを行うことがゲームプレイのコツだと思えた。
このように慣れが必要なものの,ヘヴィスマッシャーの武器を振るモーションからは重さが感じられ,爽快感もたっぷりとある。通常攻撃を命中させると“のけ反り”効果が生じ,敵によっては,これだけで完封勝利できることもあった。
近〜中距離攻撃だけでなく,敵を引っ張ってまとめたり,いざという時に敵を気絶させて足止めをしたりと,サブタンク的な立ち回りも楽しめる。回復系のスキルも使用可能で,幅広いプレイスタイルが可能だ。
【ブラストアーチャー】
ブラストアーチャーは,ネットワークテストでの人気が高かったクラスである。
遠距離攻撃が行えるため,敵から攻撃を受けるリスクが比較的少なく,高い生存力を発揮できる。また多彩なスキルが使用可能で,範囲攻撃やHP回復,パーティプレイでは敵の釣り役もこなすこともできた。体力が低いため,敵の攻撃を避けながら立ち回る必要がある点を差し引いても非常に使い勝手が良かった。
ブラストアーチャーの強みを発揮できるダンジョンの自由探索などでは,ほとんどブラストアーチャーだけでモンスターが狩り尽くされるくらいの勢いがあった。以前に配信された公式番組では,ブラストアーチャーに対し弱体化を行ったということが述べられていたが,ネットワークテストの参加者にとってはまだまだ強力に感じられたのではなかろうか。
今回,これら2クラスをキーボード&マウスで試した限りでは,近接系のクラスの方が難度が高い印象を受けた。
ブルプロはアクションRPGであるため,敵の攻撃タイミングを常に意識しつつ戦わねばならない。遠距離タイプのクラスは,距離を保ちつつ“移動撃ち”を行えば割となんとかなりやすいが,近接タイプは,そう簡単にはいかないようだ。この部分は多くのプレイヤーが感じていたと思われ,今後どのようにバランス調整が行われるのか気になるところだ。
充実のコミュニケーション関連機能
今回ネットワークテストでは,コミュニケーション関連の機能で珍しいものを多く見かけたので,いくつか紹介しよう。
冒険者カードと呼ばれる名刺のようなものを作成して,他のプレイヤーと交換ができる。これには一言コメントやステータス,称号,お気に入りのスクリーンショットも掲載可能だ。この冒険者カードを任意のプレイヤーと交換することで,フレンドの間柄となるシステムとなっている。
他のプレイヤーキャラと“手と繋ぐ”ジェスチャーは斬新だったので,動画で紹介しよう。手をつないだまま並んで歩くことができ,多少ずれてもカバーしてくれる。めちゃめちゃ見つめ合うので照れくさかった……。
久々の純国産&新規IPによる大型オンラインゲーム
今回のネットワークテストを振り返り,ブルプロで特に印象に残ったのは,世界観およびストーリーである。たとえば第1章のサブタイトルであるDawn Chorusは,ストレートに解釈するならば「暁の合唱」となる。しかし,それとは別に,宇宙で発生するコーラス電磁波によって観測される小さな音を指すこともあるそうだ。
ブルプロの主人公は謎の声によって目覚めさせられるが,それは失われた記憶なのか,それとも遠いところからのシグナルか,あるいは「プロトコル」なのか……?
さらに言うと,ゲームスタート直後に登場する基本操作のチュートリアル」の時点から,その世界観について言及が始まっていたことに気付かされた。オンラインRPGでは,ストーリーはフレーバー程度という物も多いなか,ブルプロはひとつひとつのシーンに時間をかけた,非常に丁寧な作り込みを感じられる。そういったストーリーを,劇場版アニメーションに入り込んだような高画質なグラフィックスとともに楽しめるのは新鮮な驚きだった。
また,ネットワークテストの主目的であるネットワーク周りの検証面においても,不安定な部分は見られなかった。あとはクラス間のバランスや,アドベンチャーボードなどの新規システムを調整すれば,正式サービスの開始がぐっと近づくだろう。ブルプロは“ジャパニメーション”そのもののグラフィックを楽しめるだけでなく,純国産かつ新規IPによる大型オンラインゲームとして,幅広いプレイヤーからの注目を集めている。筆者はネットワークテストでブルプロに触れてみて,そのポテンシャルを十分に感じることができた。
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