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日本語版「ポート ロイヤル4」プレイレポート。交易から海戦,街の発展まで,大航海時代のロマンてんこ盛りなシミュレーション
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印刷2021/09/02 00:00

プレイレポート

日本語版「ポート ロイヤル4」プレイレポート。交易から海戦,街の発展まで,大航海時代のロマンてんこ盛りなシミュレーション

 「ポート ロイヤル4」日本語版が,Kalypso Media Japanから本日(2021年9月2日)発売される。本作は,交易や海戦,街の発展まで楽しめる,大航海時代のロマンをてんこ盛りにしたシミュレーションゲームだ。日本語版はPS5/PS4およびNintendo Switch向けがリリースされるほか,すでにSteamなどで配信されているPC版も,このタイミングで日本語に対応する。本稿では,どこでも気軽に楽しめるSwitch版を中心に,本作の魅力を紹介しよう。

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 まず気になる日本語ローカライズだが,今回プレイした範囲では,キャラクターボイスや,テキストメッセージの語り口は好感触だった。ゲーム内ではベテラン船乗りのサムがプレイヤーの案内役となり,ヒントメッセージやチュートリアルなどを取り仕切ってくれる。
 例えば,ビールの話題が出たときは「ビールは大事だぞ。ラムのように悪酔いもしねえし,腐った水のように病気にもならねえ」と,粗野な口調で語ってくれるなど,大航海時代の雰囲気が出ている。こうした何気ないやり取りもスッと頭に入ってくるのが,日本語で遊べるありがたさだ。

チュートリアル中,ビールの豆知識を語るサム。こうしたメッセージを苦労なく楽しめるのは日本語版ならでは
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 「ポート ロイヤル4」の舞台は,大航海時代のカリブ海だ。スペイン,イングランド,フランス,オランダといった列強がしのぎを削るこの海で,プレイヤーは「冒険家」「商人」「バッカニア」「海賊」のいずれかを選んで活動していく。
 冒険家は成長しやすいが攻撃面が弱く,商人は敵国とも貿易できるが戦艦を動かすのに2倍の名声ポイントが必要になる。バッカニアは,私掠許可状(名声を失うことなく敵国の船と戦える)を安く買えるが海賊行為で2倍の名声を失い,海賊は乗組員の雇用費が安いが,街施設の建築費用が増える……と,いずれも一長一短だ。

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 交易で利を得ることが本作の基本だ。カリブ海の沿岸や島には食料や工芸品など,さまざまな品を生み出す街が点在しているが,自分たちのニーズをすべて満たせる自給自足の街は存在しない。産地でダブついて安くなった品も,隣街では不足していて高額で求められるなど,需要と供給の差が価格に反映される。要するに商売のチャンスがそこら中に転がっており,プレイヤーが持つ船の出番というわけだ。産地で安く買い付け,不足している街で高く売りさばく。その差額が利益となり,さらに品を買ったり,船を増やしたりできる。こうして事業を拡張していくのが本作の大まかな流れだ。

 とはいえ,品物をひたすら右から左へ流していくだけで永遠に儲け続けられるほど,カリブ海は甘くない。街の商人たちもしたたかで,需要を上回る分は一気に買い叩かれてしまう。こうした値段の急変が,1回の取引の中で起こるわけだ。
 例えば,ある街で「穀物」を10樽ほど売るとしよう。街の在庫は枯渇していて,買い取り値も高く,大もうけ間違いなしだ。意気揚々と10樽をすべて売り払おうとしたら,なぜか計算が合わない。よくよく見ると,4個目辺りから買い値が急激に下がり,8個目からは買い付けた値段よりも安く買い叩かれている。これではとても割に合わない……といったことが頻繁に起こる。

ベラクルスの街に,不足している綿花を142樽も運んできた。在庫ゲージは真っ赤(空の状態)。中央ウインドー下の「平均」(平均価格)は65だが,左下の価格(売値)は131。1樽ごとに56の儲けが出て,売値の合計は18602になるはずだ
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しかし,船に積んできた142樽をすべて売ったところ,売値の合計はわずか8902。よく見ると131だった価格は48に下落している。平均価格の65も下回っており,これでは赤字になってしまう。在庫ゲージはすべて緑になっている=過剰供給であるため,買い叩かれたのだ
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 状況によっては,買い取りの値段が平均価格の半額以下になることもあるから恐ろしい。こうなると「損を覚悟して1つの街に売り払う」か「在庫を抱えた状態で,日々の航海にも費用がかかる中,高く売れる街を求めて海をさまよう」かの2択となってしまう。
 とはいえ,少々ヘマをしたからといって,いきなり破産するようなゲームバランスでもないので,そこはご安心を。失敗しながらカリブ海の商売を学んでいけばいい。まずは,ある街と隣街の在庫を見比べ,不足している品を仕入れて運んでいくという,ご近所交易からスタートし,少しずつ範囲を広げていこう。自然と船倉にはさまざまな品が積み込まれ,あちこちの街を巡って,高値の品を売りさばく,商人っぽい立ち回りが身に付くはずだ。

 高額の品をうまく売りきれば気分も爽快だが、コツコツと商売しているだけでも楽しい。なんなら,これを自動化することもできる。もちろん,街での値段は手動で売るときと同様に変わるため,「気付いたら赤字が出ていた」なんてことのないように注意しよう。

街は日々物資を消費する。需要と在庫から導き出されるものが「充足度」で,小さな街だと5品目を満たすだけで住民の「幸福度」が上がるが,大きな街だと8品目が必要だ
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 こうした商売は,小銭を稼ぐ以上の影響を街に及ぼす。品の供給が安定すると街の「充足度」やプレイヤーの「名声」が上がり,労働者が増え,やがては行政の許可を得て街を独立させられる。また,街にさまざまな施設を建築することも可能となる。
 短中期的に重要なのが後者だ。街はヘックス(六角形マス)の集まりで構成されており,人口を増やす「居住区画」,求職者を増やす「宿屋」,疫病の可能性を下げる「病院」などの施設を建てられる。つまり,人口を増やして職場も作れば街はどんどん発展し,産物を貿易することでさらなる利益を得られるわけだ。

 例えば,ある街に「耕作地」を作って「穀物」を生産させ,同じ街に「醸造所」も建てて「ビール」を作る……といった合わせ技も可能だ。自分の懐だけを気にする商人から,地域を発展させる名士へのステップアップというわけで,この辺りもリアルといえるだろう。
 施設同士の相性を考えることも有効だ。「綿花農園」で作った「綿花」を「織布工場」で「布」にし,「仕立て屋」で「服」にするというように,原材料の生産と加工する場を近くに建てたり,同じ農産物を作る施設をひとまとめにするなどすれば単に効率がいいだけでなくボーナスも得られ,街の発展に有利な影響を及ぼす。
 一方で,耕作地や「製材所」「畜産場」といった生産系施設を居住区画の近くに建てると,そこの住人たちの満足度が下がってしまうなど,負の影響もあるので気を付けたい。この辺りは街作り系シミュレーションの基本とも言える部分であり,好きな人にはたまらないだろう。

物流を安定させると「名声」が上がり,建築許可書を買えるようになる。建築許可があれば,さまざまな施設を建てられる。既存施設との相性や,自分が持つ今後の貿易構想との兼ね合いを考えつつ街を発展させていこう
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名声は,総督の任務を達成することでも上げられる
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 大航海時代といえば,忘れてはならないのが海戦だ。戦うべき相手は,敵国や海賊の船で,勝てば品物や船が手に入る。自国が戦争状態にある場合「私掠許可状」を手に入れれば,名声を失うことなく敵国の船と戦える。
 そこまでの手間を掛けずとも,海賊旗を掲げるだけでどんな船も襲えるが,勝っても名声がダウンしてしまう。海賊に限った話ではないが,戦闘するためには自分の船団に軍艦が必要だし,軍艦はたくさんの船員が必要なうえに積載量も低いため交易には向いていない。海賊稼業には自由のイメージがあるが,掠奪だけで生きていくのは難しいのである。

 これまでの作品ではリアルタイムに展開していたバトルも,本作ではヘックスマップ上の船を動かすターン制となった。ここでポイントになるのが,「機動性に制限がある中,いかにして舷側にある大砲を敵に向けるか」だ。戦艦の両サイドにはそれぞれ大砲が積まれており,1隻の戦艦は1ターンで2回攻撃が可能である。攻撃するには「まだ大砲を撃っていないサイド」を敵に向けないといけないが,船の機動力は限られている。それぞれの戦艦には「操縦ポイント」という移動と旋回に費やす値があり,この範囲内でしか動かせない。
 そして,1マスで旋回できるのは最大で120度までである。要するに「右サイドの大砲を撃ったから,次はその場で180度旋回して,左サイドでもう一撃!」なんてことはできないので,敵の位置や自分の船種などを考慮し,頭を使ってうまく立ち回る必要があるのだ。

戦艦での戦いでは,両の舷側に備えられた大砲で攻撃する。弾を散弾にし,乗組員へのダメージを重視することも可能
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 小型の敵艦はクルクル旋回して2回攻撃を決めてきたりもするので,なかなかに小憎らしい。自分も敵も「戦術」と呼ばれる特殊技を使うことができ,戦艦の耐久力を回復させたり,追加で攻撃したりできる。もちろん,この時代の海戦の華である,敵艦に乗り込んでの「移乗攻撃」も可能だ。優秀な船長や乗組員を揃え,散弾の大砲で敵船員を減らしたら突撃だ。

敵艦に乗り込む「移乗攻撃」。攻撃中は互いの船が動けなくなる。敵もこれを仕掛けてくることがある
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戦争が起こっていなくても,海賊旗を掲げればその場で海賊になれる。どんな船でも襲えるが,名声を失ってしまう。また,街を包囲することもでき,根負けさせられれば掠奪が可能だ
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条件を満たせば,船長が志願してくることも。「船長免許」があれば雇い入れることができ,戦闘時に船が強化される
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 このように,交易と街の発展,そして戦闘と大航海時代のロマン盛りだくさんなのが「ポート ロイヤル4」だ。Switch版はコントローラを使うが,マウス&キーボードのPC版と比較してみても,操作性は良好だった。その昔,洋ゲーを家庭用に移植した作品でよく見られた「マウスをアナログスティックで動かす,基本的にPCと同じだけの操作系」ではなく,Joy-Conのボタンがちゃんと使われているという印象だ。

 例えば,PC版だと総督への謁見や日誌を見たりといった行動は,画面上部にある5つのアイコンにマウスカーソルを合わせて行うが,Switch版にはこのアイコンがなく,[ZR]で呼び出す舵輪型のインターフェース「行動メニュー」で操作する。この「舵輪」は右スティックで6方向に移動でき,PC版だと画面右上のアイコンで呼び出していた「建築」や「交易ルートの設定」といった,比較的よく使う機能と統合されている。

左はPC版で右がSwitch版。PC版は画面上部にある銀色のアイコンで総督への謁見や日誌を見たりする。一方のSwitch版は,PC版で画面上部のアイコンをクリックしていた行動が,[ZR]で呼び出す舵輪型のインターフェース「行動メニュー」にまとめられている
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 また,PC版では,交易品の売買数を決めるとき,マウスボタンを押しながら左右にドラッグしていたが,Switchでは十字ボタンの左右を押せばいい。また,「選択している船団の切り替え」や各種選択に[ZL][ZR]や[L][R]が活用されており,プレイに不便は感じられなかった。ただ,項目の選択に左スティックと十字ボタンを使うところが混在していたため,個人的にはほかのゲームと同じく十字ボタンに統一してほしいと感じられた。

 また,交易モードで品物の小アイコンが表示される一覧では,PC版だとカーソルを合わせれば「穀物」とか「タバコ」といった品名が確認できたが,Switch版では表示されない。慣れれば気にならないとはいえ,こちらも表示するオプションがほしいところ。なお,PC版でもコントローラをつなげば,Switch版と同様の操作が可能だ。

交易モードの画面。品物一覧の小アイコンにカーソルを合わせるとPC版だと品名が表示される(左)。Switch版は表示されない(右)
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 PC版でもコントローラが使えるなら差はないだろうと思われるかもしれないが,Switch版はいつでもどこでも遊べるのが特徴だ。仕事の合間やベッドで寝転んだ状態,トイレの中や食後の休憩など,すきま時間に遊べるのは大きなメリットだ。
 もちろん,グラフィックスの解像度はPC版に及ばないものの,コントローラを活かした操作性,そして携帯機&据置機のハイブリッドゆえの利便性という部分を見れば,Switch版を選択する価値も十分にあるだろう。いずれにせよ,日本語で遊べる海洋交易シムはなかなかに貴重なので,興味のある人はぜひ遊んでみてほしい。

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