クトゥルフ神話モチーフの新作DLゲーム「Sea Salt」を先行プレイ。魔物やカルト信者を率いて人類を駆逐するアクションストラテジー

　スウェーデンの独立系デベロッパであるYCJY Games ABが制作した「Sea Salt」（PC / Nintendo Switch）は，小説家のH.P.ラヴクラフトの作品が持つ世界観をもとにした“クトゥルフ神話”と呼ばれる作品群をモチーフに作られた，2Dドットアクションストラテジーゲームだ。
　2019年10月10日にDMM GAMESから日本語版がリリース予定の本作を配信前にプレイできたので，そのインプレッションをお届けしよう。

先行プレイはPC日本語版を使用している。テスト環境なので，製品版の内容やゲーム画面と異なる点があるので注意してほしい

「Sea Salt」公式サイト

なかなか手強い人類との戦いは

敵の行動パターンの見極めが重要に

　本作でプレイヤーは“古の神”ダゴンとなり，魚人やカルト信者といった「魔物」を使役して人類の駆逐を目指す。逃げ惑う人間を魔物で囲って殺害するという血生臭い表現があるため人を選ぶ作品ではあるが，ドット調の2Dグラフィックスはどこかユーモラスで，そこまで不快感はなかった。


　ゲームの流れはステージクリア型だ。各ステージはいくつかのエリアに分かれていて，エリア内の敵を一掃すると次のエリアに進むことができ，最後のエリアでボスを倒せば次のステージが出現する。ステージを進めるにつれてストーリーが進展し，展開によってはステージが分岐することもある。

ステージクリアの前後にストーリーが進展する

　人間も逃げ惑うだけではない。恐怖に打ち勝った「ハンター」たちは，人類存亡を懸けて果敢に立ち向かってくる。彼らによる銃や剣を使った攻撃は熾烈で，魔物たちがひと薙ぎで消されてしまうこともあるほどだ。全体的に難度がかなり高く，敵に合わせて最適なアクションを行っていかないと全ステージ攻略は難しいだろう。
　新しい使徒と魔物は特定の条件でアンロックされていくので，序盤は手持ちのカードを増やしていくことから始めるといい。ニューゲームを選んでもアンロックの実績は引き継がれるので，どうしても先に進めないという場合はいちからやり直して別のルートから攻略するといいだろう。

使徒は特定の魔物で敵を倒すなど条件を満たすことでアンロックされていく

魔物は基本的にステージを進めることで種類が増える。ステージの分岐によって手に入る魔物が異なることも

「ダゴンの書」というデータベースも完備

　プレイヤーが行う操作は，魔法陣で表示される使徒の移動と魔物たちへの指示のみというシンプルなものとなっている。魔物への指示は，近くの敵への「攻撃」と魔法陣の近くに「魔物を集める」の2種類。魔法陣がカーソル替わりとなり，魔物たちはそれに追従するので，敵に近づいて攻撃を指示するだけでいい。多くの人間は近づいただけで恐怖で逃げ惑うので，数が少なければ反撃を受けず簡単に倒せる。
　ただ，逃げ足がかなり速いため，逃げた相手を追いかけるうち別の敵に遭遇して乱戦になるということもある。できるだけ逃がさないよう慎重に魔物で囲んでから，攻撃を指示するといいだろう。

遠距離攻撃をしてくる敵も少なくない。一気に近づいてから攻撃指示を出そう

　魔法陣を近づけても逃げ出さない人間たちはハンターである可能性が高いため，注意が必要だ。何も考えずにスウォームたちをまとわりつかせても，一度の反撃で殲滅されてしまうことも珍しくない。斧やバリスタ，火炎などを使う敵は“初見殺し”ともいうべき強力な攻撃を放つので，敵の行動パターンや攻撃範囲を見極めて慎重に指示を出そう。

斧を持った敵に接近戦は危険だ。カルト信者の遠距離攻撃で仕留めるか，敵の攻撃パターンの隙を突こう。倒したあとに舞い上がる斧にも当たり判定があるので要注意

　なお，魔物がすべて倒されてしまうとそのエリアの最初からリスタートとなる。難度の高いゲームだけに，最初は全滅覚悟で敵の配置を確認しつつ進めて，2度目のチャレンジで最小限の被害になるよう上手く立ち回って次のエリアに進むぐらいの慎重さが攻略のカギとなるだろう。
　エリア内の各地に設置された祭壇を使うか，敵が落とすゴールドを一定数ためることで魔物の召喚が行えるが，祭壇の使用は1か所につき1回ずつとなっており，敵の数も決まっているので手に入るゴールドも限られている。強力なボスと戦うためにも，限りある資源を有効活用してできるだけ多くの魔物を召喚し，なるべく数を減らさないよう慎重に最奥部を目指そう。

祭壇を見つけたら忘れず魔物の召喚を行おう

ボスはかなり強敵揃いで，攻撃パターンを覚えて回避を徹底しないと，あっという間にミリオンを削られてしまう

倒したボスは生贄として捧げられる

　キャンペーンのステージをある程度クリアすると，「アリーナ」というウェーブ単位で出現する敵をひたすら倒していくモードが開放される。本作の独特なアクションを存分に楽しめるモードとなっているので，キャンペーンが行き詰ったときの息抜きや，やり込み目的でプレイするのも良いだろう。


　親しみやすい2Dグラフィックスから，気軽に“人間を駆逐できる”ゲームという印象もある本作は，実際にプレイすると，状況判断と繊細な操作が重要となるアクションよりのストラテジーとなっていた。レベルを上げてゴリ押しするといったこともできないため，エリアごとに試行錯誤を繰り返しつつ戦い方を見極める必要がある。思った以上に難度が高いが，敵と魔物の相性を考えながら進めていく面白さや達成感は本作ならのものが感じられるだろう。
　“何度も失敗しながら正解にたどり着く”というゲームバランスを理解すれば，例えクリアまでの道のりが険しくても，それを楽しく感じられるはず。キャンペーンをひと通りクリアすると，さらに手強い「ハード」モードが遊べるようになるので，より過酷な戦いに挑みたいという人はチャレンジしてみよう。

「Sea Salt」公式サイト