スマホ版「殺人探偵ジャック・ザ・リッパー」のプレイで辿った本編シナリオ第3章までの結末を紹介。ネタバレにつき注意されたし

　1888年，イギリスのロンドンで発生した連続猟奇殺人。
　この未解決事件の犯人は通称，切り裂きジャック（ジャック・ザ・リッパー）と呼ばれ，その残忍な犯行から世界的に名が知られるようになった。
　さまざまな説がささやかれていたものの，犯人の正体はいまだ不明。謎が多く得体の知れない人物像は作家の創作意欲をかき立てたようで，これまでにも多くのフィクション作品（映画，アニメ，ゲーム）などで取り扱われている。


　本稿で紹介するスマホ版「殺人探偵ジャック・ザ・リッパー」（iOS / Android）も， そんな切り裂きジャックを題材としたフィクション作品の1つだ。プレイヤーは私立探偵となり，ロンドンの街を騒がすさまざまな事件を，切り裂きジャックを自称する幻影（？）とともに解決していく。


　本作の魅力は何より， 私立探偵アーサー・ヒューイットの行動を選択することで，彼が事件をどのように解決していくかが決まる本編シナリオにある。これが大変面白い要素で，その選択で犯人を法の裁きにかける「探偵ルート」と，犯人を自らの手で裁く「殺人鬼ルート」に分かれていくのだ。

　自分の信じる正義のために「善」をとるか，「悪」をとるか――プレイヤーは事件の真相を追うなかで何度もその選択を迫られることになる。


　ちなみに本作に登場する切り裂きジャックは，やたらと推理力が高い。優れた身体能力もあり，事件を追うなかで主人公に憑依し，いろいろと手助けしてくれるが，その反面，彼の言葉に耳を傾けすぎると……


　話を戻すが今回，本編シナリオ第3章までなら結末までネタバレOK！　とお許しがあったので，筆者の迎えた結末がどんなものだったのかを紹介しよう。重大なところは隠してはいるものの，ネタバレしてほしくない人は注意しながらあらすじくらいは見ていってほしい。

●「殺人探偵ジャック・ザ・リッパー」とは
　「殺人探偵ジャック・ザ・リッパー」は2019年4月にPlayStation 4とNintendo Switch用ソフトとして日本一ソフトウェアから発売されたタイトルだ。今作のスマホ版は追加要素を加え，同社が運営する買い切り型アプリブランド「ゲームバラエティー」の新タイトルとして2020年10月1日にリリースされた。価格は1960円（税込）。

　ちなみに，PS4版＆Switch版の発売当時の価格はどちらも7538円（税込）。大事なことなのでもう一度言うが，アプリ版は買い切り1960円（税込）で遊べる。すべてのストーリーが1960円ポッキリで読めるのは嬉しい。


　新規プレイヤーにとってはお得だし，既存プレイヤーは1960円で新規録り下ろしのボイスドラマ，サウンドルームといった追加要素が楽しめる。1960円を出すに値すると感じるかは個人差があるのだが……。

「殺人探偵ジャック・ザ・リッパー」ダウンロードページ

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はじまりのはじまり
序章「惨劇の孵化インキュベーション」

　主人公のアーサー・ヒューイットが私立探偵になる数年前，彼は連続殺人鬼「切り裂きジャック」の公開処刑を見物に訪れていた。そこで激昂した市民による暴動に巻き込まれ，心臓を貫かれる大けがを負ってしまう。


　最先端医療である心臓移植手術を受け，なんとか一命を取り留めたアーサー。その後，静養の末にロンドン市内で「ヒューイット探偵事務所」を開業し，モノ探しや人探しなど細かな依頼をこなしながら市民の助けになっていた。

　そんなとき，連続強盗殺人事件の調査依頼が舞い込む――。
　依頼人は，ロンドンの裏社会を牛耳るマフィア「ゴッドスピード・ユニオン・ファミリー」の副首領ローリィ・ゴッドスピードだ。彼女はアーサーと事務所創設以来の付き合いのようで，細かな仕事を持ってくるなど世話を焼いてくれている。


　「殺人犯の行動予測に関する調査」というローリィからの依頼を受け，調査を始めるアーサーは，新たに発生した強盗殺人事件の現場を発見してしまう。


　死体を見たことをきっかけに，アーサーは謎の幻聴と，何者かの気配に悩まされる。自分ではない何かに身体がのっとられているかのように，知らぬ間に動かされている感覚があった。


　主治医のウォルターに相談すると，強い心的外傷を受けた過剰な防衛反応として，フラッシュバックを引き起こしている可能性が高いと説明される。ウォルターの助言で，その日の調査を打ち切って休むことに。その夜，眠っていたはずのアーサーは気づくと見知らぬマントの人物と格闘していた。そのそばには倒れている男性の姿が――。


　マントの人物を殺そうとしている自分を，必死に抑えるアーサー。そこへ通報によって駆けつけた警察官が到着し，犯人らしき人物は逃走。しかし，現場にいたことで連続強盗殺人事件の犯人と疑われ，アーサーはその場で拘束されてしまう。

訳ありな兄妹
第1章「鏡像の殺人鬼ペルソナ」

　逮捕されてしまったアーサーは無実を訴えるが，取り調べを担当するシャーロット・ピースレイとハリー・ブラウンはまったく聞く耳を持たない。


　とはいえ証拠不十分となり釈放されたアーサー。探偵事務所に戻り，自分の身に何が起こっているのか考えていると，突然目の前に見知らぬ男が姿を現す。幻聴だけでなく幻覚まで見えるようになったことに動揺し，再びウォルター医師の診察を受けるも，幻覚の言うことに耳を貸さないという助言のみで，様子を見ることになった。


　切り裂きジャックと名乗る幻覚と，アーサーを犯人と疑うシャーロットからの監視に悩まされ，言うまでもなく強盗殺人事件の調査は難航する。警察が同行するだけで相手に警戒され，聞き込みに支障が出てしまうのだ。ただ，幻覚の言う推理は的を得ていて……。

　そんななか，新たな1件の調査依頼が持ち込まれる。依頼人は，先日酔っ払いにからまれたところを助けたメリル・ローズという少女で，依頼内容はメリルの兄，ダリル・ローズの素行調査だ。夜な夜な街を出歩き，どこからか大金を稼いでいるダリルの行動を探ってほしいという。


　まったく関係ないと思われた2つの依頼が重なるとき，連続殺人事件の真相が徐々に明らかになっていく。

何が幸せかはその人次第
第2章「天使の救済アズラエル」

　ローリィはある日，幼少の頃に師事した女家庭教師（カヴァネス），ミシェル・マージョリー・ウィリアムズと再会する。喜びもつかの間，ローリィはミシェルが生活に困窮していること，ファミリーの金貸しから借金していることを知ってしまう。ファミリーの関係者からの金の横取りは掟でご法度。副首領の立場からは助けられないと考えたローリィは，アーサーに個人的な依頼としてミシェルの素行調査を依頼する。


　調査の結果，ミシェルがファミリーから多額の借金をしていることと，ある教会に通っていることを突き止める。その教会「サルーフ福音教団」では，お金を渡すことで怪我や病を治す“癒しの奇跡”の恩恵に授かれるというのだ。


　調査を進めるうち，とんでもない事実を知ってしまったアーサー。サルーフ福音教団の奇跡を信じているミシェルら信者を助けるため，彼のとった行動は――。

仇を守るか見捨てるか
第3章「憎悪の対象デッドリー・エナミー」

　切り裂きジャックとの共同生活にも慣れてきた頃，ヒューイット探偵事務所へ，ロンドン市警の警部であるアーサーの父，エドガー・ヒューイットが訪れる。エドガーはとある事情から，かつてアーサーの母親を殺した強盗殺人犯，ジェームズ・ラスボーンの素行調査を依頼する。というのも，ジェームズが刑期を満了して刑務所から出所したのだ。けして心中穏やかではなかったが，仕事と割り切り調査を受ける。


　素行調査をはじめて数日後，真面目に仕事をしていたジェームズのもとに，ガラの悪い男たちが現れる。犯罪組織の仲間のようだが，ジェームズは「今までの罪を償うんだ！」と訴えていた。そんな彼を見てアーサーは……。



　アーサーらは4章以降，さらに大きな事件に巻き込まれることになる。またつらい決断をしなければならないかもしれない。切り裂きジャックの言葉を受け入れるか否かで，この先の物語もまた大きく変わってくるだろう。もし，これからの決断で気が滅入りそうな展開になっても，目を背けず最後まで走り抜けてもらいたい。切り裂きジャックは幻影なのか幽霊なのか，なぜ現れたのかも気になるところだ。

ちょくちょく流れるこのラジオ。事件に関係する内容が流れることも……

本編に登場する主なキャラクターを紹介

　あらためて，アーサーにかかわりのある主なキャラクターを掲載しよう。このほかにも，ロンドンの市民や事件ごとの関係者が登場する。

アーサー・ヒューイット（CV：ヒロオカユースケ） ロンドン市街の一角に「ヒューイット探偵事務所」を構える青年

アーサー殺人鬼Ver.（CV：ヒロオカユースケ）

“自称”切り裂きジャック（CV：山口キヨヒロ）
アーサーだけが知覚できる謎の存在。自らを切り裂きジャックと名乗る

ウォルター・ライヒェル（CV：御子神孝次） ロンドンに診療所を構えるアーサーの主治医

ソフィー・ライヒェル（CV：川上ゆき） ウォルターの一人娘

ロンドン市警シンボル

エドガー・ヒューイット（CV：上田こうすけ） ロンドン市警の警部で，アーサーの父

シャーロット・ピースレイ（CV：山咲あいこ） ロンドン市警の警察官。真面目でまっすぐな性格

ハリー・ブラウン（CV：藤野裕規） ロンドン市警の警察官。不真面目でシャーロットと相性はあまりよくない

ゴッドスピード・ユニオン・ファミリーシンボル

ローリィ・ゴッドスピード（CV：夏川みつき） ロンドン市街に拠点を置くマフィアの副首領

ゲームシステムやスマホ版の追加要素を紹介

　ここでは本作のゲームシステムやコンテンツを紹介しよう。

●分岐システム

　本作では，プレイヤーの選択によって「探偵ルート」と「殺人鬼ルート」というまったく異なる物語が展開される。主人公は残虐な事件にかかわるなかで，「善」か「悪」かの選択を迫られ，その回答によってどちらの道を辿るのかが変わっていく。


　「探偵ルート」は，隠された犯人の罪を暴き，法の裁きにかけることで事件を解決する。一方，「殺人鬼ルート」は悪党を自らの手で裁く。展開は違っても，ある意味では事件を解決してしまうのだ。どちらのルートも気になるが，1週目のプレイでは自分自身が正義だと思う道を進んでもらいたい。

●シナリオツリー

　好きなシーンからシナリオを読み直せるシナリオツリー。自分がどのルートを辿ったのか確認できるほか，ジャンプ機能で閲覧済みのシーンからプレイを再開できる。これは全ルートやイベントをコンプリートしたいと思ったときに便利だ。

●サブストーリー

　本編シナリオを進めていくと開放されるサブストーリーは，通常進行で開放されるもの，BADEND後に開放されるものとさまざまだ。本編では語られないキャラクターの素性や想い，日常の姿を垣間見ることができる。

●ボーナスシアター

　もう1つの「殺人探偵ジャック・ザ・リッパー」と謳われる「ボーナスシアター」は，選択肢を間違えてBADENDを迎えてしまった際，プレイヤーを待ち受けるミニコーナーだ。デフォルメキャラクターとなって登場するアーサーやシャーロットらの寸劇が楽しめるだけでなく，攻略のヒントをもらえる。見終わったら，選択肢からやりなおせる仕様だ。

●データベース

　本編シナリオを進めると，登場するキャラクターや組織のデータベースが更新されていく。各キャラクターの信条や生い立ち，過去の出来事について手に入った情報をまとめて見られる。なかには特定のキャラクターと仲を深めることで開放されるデータベースもあるらしい。

●スマホ版追加その1「新規録り下ろしボイスドラマ」

　スマホ版の追加要素として，アーサーたちの日常を描いた新規録り下ろしのボイスドラマが収録されている。本編ではシリアスになりがちなキャラクターたちの意外な一面が見られるそうだ。スタート画面の「Special」から選択可能だ。

アーサーにメイド服を着せて潜入捜査をさせようとしているハリーとシャーロット。ちなみに執事になりきったハリーの紳士的なボイスも楽しめる。なお，ネタバレになっている内容もあるので，これは本編クリア後に楽しんでほしい

●スマホ版追加その2「サウンドルーム」

　サウンドルームでは，ゲーム内で流れるすべてのBGMが視聴できる。贅沢なひととき。こちらもスタート画面の「Special」から選択可能だ。

個人的には「最後に砂糖をひとつまみ」がお気に入りだ。タイトルとメロディのギャップがいい

関連グッズも発売中

　オフィシャル倶楽部MAGにて販売中の公式グッズを一部紹介！　このほかにも，ゲーム内のイラストを使用したアクリルブックや，クリアポスター，スマホリングなどがラインナップされている。気になる人はチェックしよう。

【描き下ろしアクリルキーホルダー】770円（税込）

【手帳型スマートフォンケース】3850円（税込）

【マグカップ】1650円（税込）

【アクリルフィギュア】1430円（税込）

オフィシャル倶楽部MAG　商品ページ

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