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Intelの薄型ノートPC向けGPU「Xe MAX」は,統合GPUとの協調動作で処理性能を高める
Intelは,2020年9月に開発コード名「Tiger Lake」ことノートPC向け「第11世代Coreプロセッサ」(以下,開発コード名)を発表した。Tiger Lakeでは,Core i5およびCore i7グレードの製品に,統合型グラフィックス機能(以下,統合GPU)として「Iris Xe Graphics」(以下,Iris Xe)を採用している。
Iris Xeは,最大96基の実行ユニット(Execution Unit,EU)を備えるのに加えて,可変レートシェーディング(VRS)や,最新のビデオコーデックである「AV1」のデコードに対応するのが特徴だ。Intelによると,ノートPC向け第10世代Coreプロセッサである「Ice Lake」(開発コードネーム)の統合GPUと比較して2倍の性能を実現したという。
GeForce MX350並の性能を備える
Intel Xe MAX Graphics
Iris Xeは統合GPUであるが,Intelはこのアーキテクチャを拡張して,さまざまな製品セグメントに向けた単体GPUを開発している。その成果として2020年10月に発表したのが,同社としては22年ぶりとなる単体GPU製品「Intel Xe MAX Graphics」(以下,Xe MAX)だ。Xe MAXは,Iris Xeと比べて,高い周波数で動作する。
Intelには,Xe MAXが,ゲームにおいてNVIDIAの薄型ノートPC向け単体GPUである「GeForce MX350」と同程度の性能を発揮すると主張している。
Deep Link Technologyで性能が向上
Xe MAXにおける注目すべき機能として,Intelが強くアピールするのが「Deep Link Technology」だ。これはIris Xeと,Xe MAXを協調動作させる機能となる。
通常,CPUと単体GPUはそれぞれ決められたTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)の範囲で動作する。一方でDeep Link Technologyでは,システム全体の電力をCPUとGPUの間で共有することが可能だ。たとえばCPUで動画のエンコードを行う場合,CPU側により大きな電力を割り当てることで性能を引き出せるという。
なお,CPU側と単体GPU側のメディアエンコーダを合わせて使うことで動画エンコードの速度を向上させることも可能だとのことだ。
現状,Deep Link Technologyに対応している,あるいはこれから対応予定のアプリケーションは,動画編集ソフトや配信用ソフトがほとんどだ。ただ,今後ゲームでもDeep Link Technologyが利用可能になれば,ゲーマーにとっても恩恵が得られそうではある。
ゲーム検証プログラムに新規タイトルが追加
今回の説明会でIntelは,Tiger Lakeを搭載した薄型ノートPCを対象としたゲーム検証プログラム「インテル Iris Xe グラフィックス検証サポートプログラム」のタイトル追加を発表した。本プログラムは,ゲームメーカーに対して,Intelが第11世代Coreプロセッサへの最適化を支援するのに加えて,PCメーカーに対して性能検証のサポートを行うものだ。
今回は,新たにカプコンが参加企業に加わったことが発表となった。また,検証済みのタイトルとして「ストリートファイターV チャンピオンエディション」と「ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜」が追加されたこともトピックだ。Intelは今後も参加メーカーとタイトルを拡充する方針だという。
Intel日本語公式Webサイト
- 関連タイトル:
Intel Arc(Intel Xe)
- 関連タイトル:
第11世代Core(Rocket Lake,Tiger Lake)
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