イベント
「IDOLY PRIDE」の安定運用を支える多機能管理ツールとは。毎月の施策をツールが支え,限りあるマンパワーをクリエイティブな作業に活かす
「CyberAgent Game Conference 2024」公式サイト
CyberAgent Game Conference 2024 アーカイブ動画一覧
毎月100前後の施策をツールが支え,限りあるマンパワーをクリエイティブな作業に活かす
「IDOLY PRIDE」では,新ガチャや新アイドル,新衣装,各種イベントなど,毎月100前後の施策が行われる。スマートフォンゲームの運営では,きめ細かな施策が不可欠だが,そのためには,新たなコンテンツを開発する作業が必要であり,不具合が発生する可能性もつきまとう。時間もマンパワーも有限である中,作業量を抑え,不具合を少なくすることで,より多くのコンテンツを提供できるようになるのは間違いない。
まず例に挙げられたのはガチャで,「IDOLY PRIDE」では毎月5〜10程度のガチャが追加される。そのためには,仕様を策定し,データやデザインを作成し,デバッグを経たあとリリースとなるが,作業には多くの人員が関わるため,あらゆる段階にバグが発生する可能性がある。データ作成段階でのミスがデバッグの工数を増加させ,リリースする際に操作ミスによる不具合が発生するかもしれないと,QualiArtsのプランナーを務める福島萌史氏は語る。したがって作業量と不具合を抑えることは,円滑な運営のために必須なのだ。
「IDOLY PRIDE」では,QualiArtsが自社開発の多機能管理ツールが使用されている。
Web上で動作し,プランナーやエンジニア,QA,CSなど,さまざまな職種の作業をサポートしており,多くの作業がツールで完結するため,不要な人為的要素を減らせるのだという。
ツールが持つ機能の中で紹介されたのは,「アイドルスキルシミュレーター機能」と「マスタデータのエクスポート/インポート機能」「お知らせ作成機能」「マスタデータの検証機能」「マスタタグ機能」「ユーザーの行動ログ閲覧機能」の6つだ。順に見ていこう。
●アイドルスキルシミュレーター機能
「IDOLY PRIDE」のアイドルたちに実装される新たなスキルがプレイにどんな影響を及ぼすか,事前にチェックしてスキル設計を補助してくれる機能だ。デッキ編成やアクセサリーなど,さまざまな組み合わせのライブを100万〜500万通り実行し,結果をスプレッドシートに出力する。これを確認することで「安定してスコアが取れるか」「ほかのカードが強くなりすぎないか」といった評価が可能になり,次のガチャで出すカードの効果を決定する際に役立つ。
●マスタデータのエクスポート/インポート機能
ガチャなど,さまざまな用途で参照される静的なマスタデータを作成する際,スプレッドシートとして入出力する機能だ。これにより,誰でも簡単に正しいマスタデータの作成ができる。
●お知らせ作成機能
ゲーム内で流れる「新ガチャのお知らせ」を表示するためのHTML作成を支援する機能だ。
入力プレビュー画面では,ゲーム内で実際に表示される画面を見ながら作業できるため,意図したとおりであるのかを確認しやすい。とくに便利なのが,カードイラストの画像ファイルや,スキルの説明テキストに専用のカスタムタグと属性が用意されている点だろう。カードイラストについては,画像のファイル名を入力するだけで(格納位置の)URLに変換し,ピックアップスキルやセット衣装の説明については,「s-card」タグで,サーバーにあるHTMLテンプレートが自動的に適用されるという。
講演では詳細な説明がなかったのだが,ピックアップスキルの効果やセット衣装の名称,効果,画像ファイルなどの情報をサーバーから引っ張って自動で作ってくれるようにも見える。もしそうなら,スマートフォンゲームでたまにある「告知されたスキル効果と,実際のスキル効果が異なっている」というミスを防ぐ仕組みとしても機能するはずだ。
●マスタデータの検証機能
上記の機能で作られたマスタデータも,正しくなければ意味がない。そのようなミスを防ぐのが検証機能で,ゲームの仕様に沿わないマスタデータを自動的に検出して画面に表示する。テストの工数を抑え効果があり,また,エンジニアがプログラムを書けば,テーブルごとに独自ルールを設定することも可能だ。
●マスタタグ機能
マスタデータをバイナリファイルにまとめ,タグを付けてAPIサーバーに反映させる機能で,エンジニアでなくても簡単にデータをリリースできる。このような管理により,例えばリリースしたものに不具合があった場合,前日のタグに戻すといったロールバックが容易に行えるという。
●ユーザーの行動ログ閲覧機能
プレイヤーの行動ログは,多くのスマートフォンタイトルが記録する重要なデータだ。行動ログが欲しい場合,通常はエンジニアに頼むことになるが,多機能管理ツールではSQLの知識がなくても簡単にチェックできる。
閲覧機能では,ログ名,時間,ユーザーID+任意要素といったカスタムクエリを作ることもでき,「ギフト経由でアイテムを受け取ったかどうか」といった状況もチェックできる。カスタムクエリについては,エンジニアが事前にテンプレートとして用意する形とし,意図しないスキャンが行われることがないようにしている。
大規模なスマートフォンゲームのサービスを続ける上では,新たなコンテンツを開発する部分がピックアップされがちだ。しかし,今回の講演では,“有限のマンパワーをいかにクリエイティブな作業に割り振るか”という視点の大切さを再認識させられた。
「IDOLY PRIDE」公式サイト
「IDOLY PRIDE」ダウンロードページ
「IDOLY PRIDE」ダウンロードページ
4Gamer「CyberAgent Game Conference 2024」掲載記事一覧
- 関連タイトル:
IDOLY PRIDE
- 関連タイトル:
IDOLY PRIDE
- この記事のURL:
キーワード
(C)2019 Project IDOLY PRIDE
(C)2019 Project IDOLY PRIDE