プレイレポート
「Project TRIANGLE STRATEGY」先行体験版プレイレポート。戦闘は“オウガ”寄り,緩やかに変動するシナリオと洗練されたインタフェースに注目
本作は,「OCTOPATH TRAVELER」に続く「HD-2D」(同社はドット絵の進化系と位置付けている)シリーズ作品の第2弾にあたる完全新作タイトルだ。さっそく体験版のプレイレポートをお届けしていこう。
スクエニの完全新作タクティクスRPG「Project TRIANGLE STRATEGY」が2022年発売。本日先行体験版の配信がスタート
本日放送されたプレゼンテーション番組「Nintendo Direct 2021.2.18」にて,スクウェア・エニックスの完全新作タクティクスRPG「Project TRIANGLE STRATEGY」が2022年に発売することが発表された。なお,Nintendo Direct終了後には本作の先行体験版も配信予定だ。※プレスリリースとトレイラーを追加しました。
「Project TRIANGLE STRATEGY」公式サイト
大国による資源闘争の中で展開される群像劇
まずは,体験版で遊べる内容を軽く紹介しておこう。今回は物語の中盤,具体的にはゲーム本編の6話から7話までの物語と戦闘シーンを楽しめる。確認できた限り戦闘シーンは全2回で,難度はやや高めの調整になっているようだ。
ストーリーは途中から始まるので完全に内容を理解するのは難しいが,そこに至るまでのあらすじや設定部分は確認できた。
本作の舞台となるのは「ノゼリア」と呼ばれる世界(大陸?)で,輸送船が行き交う大河での交易で栄える「グリンブルク王国」,鉄を産出する鉱山を擁する北方の雪国「エスフロスト公国」,世界で唯一の塩田を持つ砂漠の国「聖ハイサンド大教国」の3大国家によって支配されている。
各国は限りある資源を巡って常に争いが絶えず,過去には多くの犠牲を生んだ大戦争「塩鉄戦争」が巻き起こった歴史もある。戦争で疲弊した各国は停戦に合意し,グリンブルク王国とエスフロスト公国は共同採掘の実施による融和の道を進んでいた。
しかし,エスフロスト公国の新総帥・グスタドルフが突如としてグリンブルク王国への侵攻を開始。不意の攻撃にグリンブルク王国側の対応が遅れ,またたく間に王都の奥深くまで攻め込まれてしまう……というのが,体験版の冒頭で語られる物語だ。
主人公にあたるのは,グリンブルク王国に仕える“御三家”の筆頭貴族「ウォルホート家」の若き当主・セレノア。プレイヤーは彼の視点からストーリーを追っていくことになる。
体験版で展開されたストーリーは短いながらも濃密で,国家間の思惑を主軸に据えつつ,その構成員同士による人間関係を描き出す群像劇のような雰囲気を感じ取れた。「ファイナルファンタジータクティクス」や「タクティクス・オウガ」などの作品を楽しんできたファンは,同じ方向性で楽しめるだろう。
本作の大きな特徴となるのが,プレイヤーの選択で変動する内部数値「信念パラメーター」だ。この数値によってプレイヤーの価値観が「Benefit(援助)」「Moral(道徳)」「Freedom(自由)」のいずれかに分類され,明確な分岐点を見せない形でシナリオが分岐していくという。
また,ストーリーの合間にはマップを自由に歩き回ってキャラクターと会話することができるRPGパートが挿入される。戦闘が発生するマップであれば,活用できるギミックを事前に確認できるほか,周辺を調べてアイテムを入手することもできるので見逃さないようによう。
体験版の後半では,物語の展開を登場キャラクターの投票によって決定する場面が訪れる。投票にはプレイヤーも参加することになるが,ほかの各キャラクターも自身が持つ“信念”によって投票を行うため,結果がどちらに傾くかは分からない。
静観していても目標の結果に到達できそうにない場合は,投票前にほかのキャラクターと会話して,意見を変えるように説得を行うことも可能だ。ただし,説得に必要な情報がなければ応じてもらえないので,RPGパートでいろいろなキャラクターと会話して説得材料を集めておく必要がある。
信念や投票といった要素を使い,スイッチのオン/オフを切り替えるような機械的な分岐を廃した仕組みは,過去の因縁や国家間の思惑に翻弄される群像劇的な物語と噛み合っている。もちろん,選択の積み重ねが前提の仕組みである以上,短く切り抜いた体験版では本質的な喜びを感じられたとは言い難い部分もあるが,現時点でもかなりの没入感を楽しめた。
行動順と位置取りの調整が攻略のカギ
戦闘システムは「ファイナルファンタジータクティクス」のアクティブターンや,「タクティクス・オウガ」におけるウェイトターンに近い仕組みが採用されており,本作では配置したキャラクターがステータス(速度)の順に行動することで進行する。
行動順は画面下の「ATバー」に表示されており,相手の背面や高所から攻撃することで威力が上昇する仕組みなど,SRPGではお馴染みの要素も多数組み込まれているので,同ジャンルに慣れている人であればすぐに馴染めるだろう。
キャラクターが一度に移動できる距離やマップは比較的広めに作られており,出現する敵キャラクターはけっこう硬いので,きちんと戦力を集中させなければ倒すことができない。マップ全体のどの位置で敵と相対するかを考えつつ行動する,という点では「タクティクス・オウガ」寄りのゲームと言えそうだ。
硬い敵を倒すためにダメージを底上げしたい場合は,敵を挟んで向かい側に攻撃可能な味方がいる時に自動で発動する「追加攻撃」を活用しよう。背後からの攻撃でダメージを与えたら,その後は別キャラクターで前面から攻撃すればダメージを狙える。
ただし,この追加攻撃は敵も使ってくる。位置取りを調整して壁を背にしたり,マップに用意されたギミックを活用したり,といった対策を事前に用意しておかねばならない。
また,今回の体験版はある程度ゲームが進んだ状態ということで,最初からそれなりに強力なアビリティを習得している。この中には敵を移動させたり,障害物を作成して道を塞いだり,といった強力なものも含まれているので,これらも戦略に組み込んでいこう。
ただし,強力なコマンドを実行するためには「TP」の消費が必要。戦闘開始時点のTPはゼロで,ターンが回ってくるごとに1ずつ増えていく。先述の通りマップがそれなりに広いので,移動中にTPを溜められるよう計算して動くのが理想だ。
アビリティを駆使してもダメージから逃れられない場面が訪れたら,1度の戦闘で1種類につき1回だけ使用できる必殺技「切り札」を使って切り抜けよう。ユニットのターンを消費せず,即座に効果を発揮してくれるので,不意に出現した増援への対応などに役立ってくれる。
以上が体験版のプレイレポートとなる。ゲームバランス自体はかなり硬派な難度でありながら,インタフェースは非常に洗練されており,遊びやすい印象を受けた。
例えば,味方キャラクターのターンが回ってくると,コマンドを入力する前から移動範囲が表示され,そのままカーソルを動かせば移動できる。移動先を指定すると即座に行動一覧が表示されるので,移動から行動指定までのボタン操作はわずか2回で済む。
そのほかにも,移動範囲が敵の攻撃範囲に含まれている場合は赤く示され,特定のアビリティが弱点になる敵はアイコンで示されるなど,意思決定に必要な情報を先回りして提示してくれる。戦略シムはとにかく操作量が多いジャンルなので,そういった配慮は非常に有り難い。
ボタンひとつで実行できる操作は常に画面右下の枠に表示されているので,迷った時にすぐ答えが出るのも嬉しいところだ。SRPG初心者はその難度で行き詰まってしまうかもしれないが,細やかな配慮があるお陰で「何に悩めばよいのか分からない」といった事態は発生しないだろう。
長期的な選択の積み重ねがモノを言うであろう“信念パラメーター”の真価や,装備品を含む細かなカスタマイズの要素には触れることができなかったので,そのあたりの掘り下げは製品版に期待したいところだ。とはいえ,戦闘システムや世界観に触れるための体験版としては十分なボリュームなので,興味を持った人はダウンロードして実際に遊んでみよう。
今回の体験版は配信後にはフィードバックを募る予定とのことで,プレイ後に意見を送るとなお良いだろう。
「Project TRIANGLE STRATEGY」公式サイト
- 関連タイトル:
トライアングルストラテジー
- この記事のURL:
(C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.