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「トライアングルストラテジー」製品版プレイレポート。硬派なシステムながら,随所に遊びやすい工夫が詰まったタクティクスRPG
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印刷2022/03/04 00:00

プレイレポート

「トライアングルストラテジー」製品版プレイレポート。硬派なシステムながら,随所に遊びやすい工夫が詰まったタクティクスRPG

 スクウェア・エニックスは2022年3月4日,Nintendo Switch用ソフト「トライアングルストラテジー」を発売する。

画像集#001のサムネイル/「トライアングルストラテジー」製品版プレイレポート。硬派なシステムながら,随所に遊びやすい工夫が詰まったタクティクスRPG

 本作は,「オクトパストラベラー」(OCTOPATH TRAVELER)に続く,古き良きドット絵を現代の技術で美しく描き出した表現手法“HD-2D”を用いたシリーズの第2弾タイトルだ。「タクティクスオウガ」や「ファイナルファンタジー タクティクス」といった,往年のタクティクスRPGを思わせる歯ごたえあるバトルを楽しめる。

 今回は,発売に先んじて製品版をプレイする機会を得られたので,そのプレイレポートをお届けしていこう。なお,4Gamerでは,開発陣へのインタビューも掲載しているので,興味を持った人は合わせてチェックしてみよう。

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 スクウェア・エニックスは,タクティクスRPG「トライアングルストラテジー」を本日発売した。戦乱の舞台ノゼリアに位置する3国の争いは,単純な“正義”と“悪”に割り切れるものではなく,己の信念をかける選択をプレイヤーは迫られる。そんな本作についてプロデューサーの浅野智也氏と新井靖明氏に話を聞いた。

[2022/03/04 00:00]

「トライアングルストラテジー」公式サイト



丁寧なストーリー描写で紡がれる群像劇
プレイヤーの選択が主人公の“信念”となる


 改めて,本作の世界観と序盤のストーリーを紹介していこう。物語の舞台となるのは,太い交易路を持つ「グリンブルク王国」,鉄鉱山を擁する「エスフロスト公国」,大陸唯一の塩湖を保有する「聖ハイサンド大教国」の3大国が支配する大地「ノゼリア」だ。

画像集#002のサムネイル/「トライアングルストラテジー」製品版プレイレポート。硬派なシステムながら,随所に遊びやすい工夫が詰まったタクティクスRPG

 互いに発展と生存に必須な土地と資源を握り合っている3大国家は,常に戦いの歴史を歩んできた。資源を奪い合う小競り合いはまたたく間に拡大し,ついには「塩鉄大戦」と呼ばれる大戦争に発展する。

画像集#003のサムネイル/「トライアングルストラテジー」製品版プレイレポート。硬派なシステムながら,随所に遊びやすい工夫が詰まったタクティクスRPG

 本作のストーリーが始まるのは,3大国家が「塩鉄大戦」で消耗した末に和平協定が結ばれてから三十年後。塩と鉄はノゼリア商会と呼ばれる調整機関によって流通管理され,エスフロスト公国が有する鉄鉱山では,新技術を用いた三国共同採掘が始まるなど,限られた資源を平和的に共有する手段が模索されていた。

 各国には戦争を知らない新たな世代が現れはじめ,過去にとらわれない自由な発想も生まれはじめる。グリンブルク王国の“御三家”に数えられる筆頭「ウォルホート家」の次期当主にして,本作の主人公であるセレノア・ウォルホートも,そんな次代を担う若者の1人だ。

 ウォルホート家は友好の証として,エスフロスト公国の総帥・グスタドルフの妹であるフレデリカをセレノアの婿として迎え,戦争で生まれた禍根は少しずつ癒えようとしていた。

ウォルホート家の一人息子「セレノア・ウォルホート」。グリンブルク王家に強い忠誠心を持つと同時に,平民にも別け隔てなく接する性格で,多くの人に好かれている
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 しかし,ある事件によって状況は一転する。新技術による採掘が開始された鉱山でのある出来事をきっかけに,エスフロスト公国は突如として侵略を開始。不意を突かれたグリンブルク王国は,またたく間に城を落とされてしまう。

 状況を確認したセレノアは,生き残った第二王子のロランを助け出して領地に逃げ込むが,エスフロスト公国の追撃は止まない。融和の道を自ら踏み外したように見えるエスフロスト公国の決断の裏には,一体何が隠されているのだろうか……というのが,本作序盤のストーリーだ。

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 「トライアングルストラテジー」というタイトルの通り,本作では,互いに牽制し合う3つの国家と,それらの陰謀に翻弄される人々の姿を描く群像劇が展開される。

 物語の構成もよく練られており,ゲームの序盤では,各国の複雑な関係をじっくりと紹介してくれる。それぞれの国がどんな思惑を持ち,物語の主要な登場人物たちの姿を丁寧に描き出し,各キャラクターに愛着を持ったころに怒涛の展開がスタートするのだ。

 特に主人公が後に当主となるウォルホート家の結束は強く,序盤の数話をプレイすれば,プレイヤーも家族の一員になったような気持ちで物語を読み進められる。それだけに深く感情移入でき,より物語にのめり込める。

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イベントシーンでは,会話の中で登場しているキャラクターの紹介文を呼び出せる。そのキャラクターの現在の状況なども記載されるので,登場人物が多く混乱しそうな時は活用しよう
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イベントが終わるとワールドマップ画面に移り,次に進行するイベントの選択やユニットの管理などを行える
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イベントには,メインイベントとサブイベントがあり,メインイベントだけを拾っていけば進める仕組みだ。ただし,サブイベントには期限が設定されているものも多く,後回しにしていると消えてしまうこともある
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 そうしたシナリオを,より奥深いものにしているのが,セレノアに設定された不可視の数値“信念パラメータ”だ。信念には「Moral」「Benefit」「Freedom」があり,これらはプレイヤーの選択によって変化していく。

どの選択肢がどの信念に影響を与えるか,増減が発生した際にどの信念が変化したのかは明示されない
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 選択の積み重ねで形成されたセレノアの信念は,後に彼らが選ぶ決断を変化させていく。ストーリーの展開はもちろん,加入する仲間の顔ぶれも変わっていくので,ストーリー面でもゲーム面でも違う展開が楽しめるというわけだ。

 ゲームを開始した当初,信念は会話の選択肢だけで増減するものだと思っていたのだが,実際に遊んでみるとさまざまな要因で信念パラメータが変化することが分かった。積極的にステージを探索したり,戦闘シーンで敵を全滅させたりした場面でも変化が確認されたので,最終的な数値はプレイスタイル次第で大きく変わってきそうだ。

ストーリーがどの場面で分岐したのかは,後から確認できる。周回プレイ時には参考になりそうだ
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 そして,信念パラメータがもっとも重要な役割を果たすのが“信念の天秤”を用いた投票だ。セレノアがストーリー上の重要な決断を下す必要のある場面では,この天秤を用いた仲間たちの多数決によって物語の分岐が決定される。

 投票の前には仲間との会話によって投票先を確認し,自分の意見と異なる場合は説得することも可能だ。ただし,最終的な決断は仲間の裁量に任されるため,説得が成功するかは分からない。説得の成否には,セレノアが形作ってきた信念や,事前に収集した情報が大きく関わってくるので,普段の言動には注意せねばならない。

投票に使用する“信念のコイン”を持つのは,セレノアを除く7人の仲間たち。自身は投票に参加できず,決定には必ず従わなければいけない
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 また,ストーリーの合間にはステージを自由に歩き回れる“RPGパート”が挿入される。会話や探索の中でアイテムが手に入るだけでなく,戦闘で活用できるギミックも確認できる。特に序盤は,ここで入手できるアイテムやお金が大事な収入源になるので,念入りに探索してみよう。

会話によってエレノアが新たな“情報”を獲得することもある。適切な情報を持っていれば,隠された選択肢が解禁されることもあるので,情報収集は積極的に行っていきたい
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 ストーリー部分で個人的に面白かったのは,RPGパートの探索や商店などで発見できる“手記”と呼ばれる要素だ。手記にはノゼリア各地の風土や歴史,ゴシップなどが記されており,収集すると世界をより深く知ることができる。

 読み物として面白いのはもちろんのこと,本編では語られない世界のバックボーンを知れるのは嬉しいところ。読んでも読まなくてもストーリー展開は変わらないが,入手した際には,読んでみてほしい。

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ユニークな能力と地形を生かした戦略的なバトル
体験版のフィードバックを得て大幅に快適に


 続いては,バトルについて紹介しよう。バトルの難度はゲーム開始時に「Very Easy」「Easy」「Normal」「Hard」から選択可能で,いつでも切り替えられる。選択した難度によって物語の展開が変化することはないので,自分に合った難度を選択しよう。

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 バトルはターン制の戦略シミュレーション形式で展開され,事前に配置したキャラクターが速度順に行動を行う。行動順は画面下部のATバーに表示されるので,それを参考にして行動を考えるのが大切になってくる。

 味方を敵に隣接させた状態で,味方がいる側とは逆方向から攻撃することで発生する“追撃”を狙うことで大ダメージを与えられるシステムなど,基本的には以前に配信された先行体験版(Debut Demo)の内容と同じだ(関連記事)。

追撃は,弓などの遠隔攻撃でも誘発できる。攻撃力が高い味方ユニットの追撃を何度も誘発すれば,一気に大量のダメージを与えられる
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ユニットが持つ強力な技を発動するためには,ターン経過で累積する“TP”が必要になる。体験版では,戦闘開始時のTPが1で固定だったが,製品版からはTPが3まで溜まった状態で開始される仕様に変更されている
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相手より高い位置から攻撃することで攻撃力が上昇し,バックアタックをすれば攻撃が確実にクリティカルとなる。地形やギミックを生かし,有利な位置取りを考える楽しみがある
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追撃やバックアタックを成功させたり,複数の敵をまとめて攻撃したり,プレイヤーが有利になる行動を成功させたりすると,貴重なアイテムと交換できる“戦巧ポイント”を入手できる
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 味方ユニットの能力は非常にユニークで,それぞれキャラクターの特徴をしっかり表現しているのが面白いポイントだ。

 例えば本作には「火」や「氷」といった攻撃属性を扱う魔法使いユニットが存在するが,本作における属性魔法の使い手は「対応する属性の攻撃ができる」というだけではない。

 火を操るフレデリカは,味方に火属性の自動反撃能力を付与する「炎盾の魔法」を習得し,賢者のナルヴが使う「旋風の魔法」は相手の向きを変更できる。各属性が相性とは別の部分で何らかの特性を持っているため,「耐性のある敵が多いから,まったく役に立たない」といった状況に陥りにくいのだ。

火の魔法は,一部のオブジェクトのHP(耐久力)を無視して破壊でき,さらにそのマスを炎上させられる。こういった特殊な挙動が属性ごとに用意されているので,地形を見て使用する技を考えるのも面白い
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 ストーリーが進んでユニットが増えてくると,装備品やスキルの管理が大変になってくるのがタクティクスRPGの常だが,本作ではその辺りの管理要素がかなり簡略化されている。いわゆるステータスが変動する装備品は,1ユニット2枠のアクセサリのみで,武器は素材とお金を消費して強化していくことになる。

 装備品などの簡略化は,やや好みの分かれる部分だとは思うが,個人的には遊びやすい調整だと感じられた。というのも,装備品への依存度が低く,レベルさえ上げれば誰でも一線級の活躍が可能なため,「ユニークな能力を持つユニットを使い分けて戦う」という本作のコンセプトに合っているのだ。

 ユニットの能力習得もレベルに紐付いているので,いろいろなキャラクターのレベルを上げ,マップごとに戦いやすい編成を考えるのがなかなか楽しい。

武器を鍛えることで,武器アビリティ(追加効果)を付与できる。武器には3段階のランクが設定されており,ランクが上がるごとに取得できる武器アビリティが増えていく。なお,上位の武器アビリティは,下位の武器アビリティを習得済みでなければ取得できない
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ユニットは,特定の条件を満たすと「ランクアップ」し,より強力なアビリティを習得可能となる
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 さらに,戦闘面に関しては体験版からインタフェースなどの細かな機能部分が大幅に改良され,遊びやすくなっていた点にも注目したい。

 調整の中でも,特定のコマンドの効果を事前に確認できる“シミュレーションモード”の追加は特に嬉しい点だ。射程外にいる敵へのダメージも確認可能なので,バトル序盤から後半の展開を見据えて戦略を組み立てられる。

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 そのほかにも,ATバーと各ユニットに共通する行動順の番号が振られていたり,状態異常や追撃などの情報がアイコンで表示されたり,カメラ操作がスムーズになっていたりと,大小さまざまな改善が施されている。

ATバーだけでなくユニットにも行動順の番号が振られているので,常にATバーとユニットを見比べなくとも行動順を確認できる
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 プレイ時間が長くなりがちなジャンルだけあって,細かな操作にストレスがなくなることの影響は非常に大きい。ロードなどの待ち時間も削減されており,つい時間を忘れて遊んでしまうほど快適だ。

戦闘が開始される前後のロード時間も短くなり,かなり快適に戦闘を繰り返せるようになった。ゲームが進むと想定バトル(いわゆるフリーバトル)が楽しめるようになるので,レベル上げも容易に行える
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 いつでも必要な時に参照できる操作ガイドやTips,出撃ユニットのオススメ機能など,手厚い支援システムもきっちり用意されているので,熟練者はもちろん,こういったジャンルの作品に初めて触れる人であっても,スムーズに馴染めるはずだ。「オクトパストラベラーはプレイしたけど,タクティクスRPGは初めてだから不安……」という人もぜひプレイしてみてほしい。

「トライアングルストラテジー」公式サイト

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