プレイレポート
「スプラトゥーン3 前夜祭」で,ブキやトリカラバトルなどの新要素を確かめてみた。多様なスペシャルが飛び交うトリカラバトルの展開は予測不能!
ゲームファンには説明不要といったところだろう,全プレイヤーが3つの陣営に分かれて戦う「フェス」をとおして,待望のシリーズ最新作を初めてプレイできた同イベントは,先日の発表からイベント開催中,そして終了後まで,ゲーム上はもちろんSNSなどで大きな盛り上がりを見せていた。
そんな「前夜祭」に参加し,使用できたさまざまな新しいブキ,新たなバトル形式「トリカラバトル」を確かめたので,そのインプレッションをお届けしよう。
「スプラトゥーン3」公式サイト
新たなメインウェポンとサブウェポンの使い心地は?
まずは「前夜祭」で使用できた新メインウェポン,「トライストリンガー」と「ドライブワイパー」,新サブウェポンの「ラインマーカー」の簡単な使用感についてまとめていこう。
弓矢のような形状の「トライストリンガー」はZRボタンの長押しによるチャージが可能なブキで,高所から撃ち下ろすとスプラチャージャーに匹敵するほどの射程になる。
通常は1回の射撃で3本の矢を放つが,チャージの長さによって弾道が収束し,フルチャージになるとほぼひとまとまりになって放たれる。ジャンプ中に撃つと矢が縦に並び,相手をワンショットで倒しやすくなったり,地面や地形に刺さた矢が一瞬残ったあと爆発したりする点も特徴だ。
「爆発する矢がその場に残る」ことを利用すれば,相手が現れそうな場所に撃ち込んで牽制する,地形と矢で挟み追い込んで倒す,障害物の裏に弓なりに撃ち込んで移動させるなど,直線状に弾が飛ぶブキとは一味違った戦い方ができる。今後,プレイヤーによる研究が進むことで,真価を発揮していくブキと言えそうだ。
ドライブワイパーは,なかなか玄人好みな性能をしたブキだった。こちらもZRボタンの長押しでショットの性能が変化,最大60ダメージを与えるインクの刃を撃つことができる。このとき,ワイパー本体も当てれば相手を一撃で倒すことが可能だ。
ショットのチャージは潜伏によって解除されてしまうため,相手にどうやって近づくか考えることが重要だ。壁や高低差を利用して身を隠したり,乱戦にまぎれて接近しない限り,一撃で倒すのはかなり難しい。
ただ,チャージなしのインクもシューター程度の射程があるため,交戦中の味方をカバーすることは十分可能だと思う。つねに最前列で戦うというより,一歩引いた場所から戦いに加わり,機を見て一気に詰め寄るというのがコンセプトのブキなのだろう。
なお,ドライブワイパーのサブウェポンはトーピード,スペシャルウェポンはウルトラハンコとなっている。
トーピードで相手の位置をあぶり出しつつ,ウルトラハンコで自在に動き回って相手の陣形を乱し,逃げ遅れた相手をタメ斬りで倒すという戦い方ができたので,メインだけではなくサブとスペシャルもうまく入れ込んで戦うといいだろう。
サブウエポンの「ラインマーカー」は,シューターとしては射程の長めなプライムシューターとの組み合わせのみを試すことができた。こちらはメインウェポン同様,使いこなすのに精度の高いエイムが必要となる。相手を直接狙ってマーキングしてもいいが,フィールドをラインで区切り,それを越えて侵入した相手を感知する使い方もできるので,注意を向ける方向をある程度限定できるのも強みだろう。
一新されたスペシャルウェポン
ここからは,前夜祭で使用できたスペシャルウェポンの特徴を紹介しよう。
■ウルトラショット
強力なショットを3発撃てるスペシャルで,使用感は1作目に登場したスーパーショットに近いものがある。違いとしては,スーパーショットは弾が縦長だったため横軸を合わせればヒットしたが,こちらは縦軸も合わせる必要がある。高所から撃ち下ろすとより効果的に使えるだろう。なお「前夜祭」で唯一ウルトラショットを使えた「スプラシューターコラボ」は,メインウェポンがスプラシューター,サブウェポンがキューバンボムというブキ構成で,1作目のスプラシューターコラボとほぼ同じ組み合わせで感慨深いものがあった。もちろん懐かしいだけではなく,チーム編成に合わせてキル役も塗り役もこなすことができ,ここぞというタイミングではウルトラショットで抑えこめるこのセットは非常に強力である。
■グレートバリア
ドーム状のバリアを設置できるスペシャル。主にステージ上で相手に譲りたくない場所に設置して使用するとよさそうだ。ただ,バリアは相手の弾やボムのみを防ぐことができ,侵入を防ぐことはできない。また,上部の弱点に弾やボムを当てられると一気に収縮するという弱点もある。前夜祭では「わかばシューター」以外にも「ホットブラスター」「スプラローラー」といったキル寄りの武器と組み合わせられており,強気に攻め込みつつ,危なくなったらグレートバリアを使って生き延びつつ次の展開を探るといった,相手にしてみればやっかいな動きが可能だった。
■ショクワンダー
このスペシャルを発動すると,短時間だが壁に触腕を伸ばしてくっつき,アクロバティックな動きで敵陣に侵入できるようになる。フデを振り回して広範囲にインクを飛ばす「ホクサイ」や,射程は短いが連発できる「ノヴァブラスター」と組み合わされていたため,高台に陣取る長射程武器に大胆に攻撃をしかけることができた。ナワバリバトルで使うのも楽しいが,一瞬の判断が明暗を分ける,ガチマッチでこそ真価を発揮するスペシャルかもしれない。
■ポップソナー
相手をマーキングでき,かつダメージも与えるウェーブを発生させるこのスペシャルは,「バレルスピナー」や「リッター4K」といった長射程武器とセットになっていた。ソナー本体は攻撃して破壊することも可能だが,うかつに近づくのは長射程武器の思うツボ。たとえマーキングされていなくても,しっかり見られていると思ったほうが無難だ。■キューインキ
相手の撃ったインクやボムを吸引し,強力な弾を撃ち返せるスペシャル。「スプラチャージャー」などの長射程武器や,大きな傘で攻撃を防ぐ「キャンピングシェルター」と組み合わされていた。とくにキャンピングシェルターで相手を引き付けてからキューインキを使用すると,相手を拘束できる時間が伸びておいしい。対応する側はなるべく関わらないか,2人1組で素早く処理したいところ。また死角からの攻撃やボムにも弱い。
■メガホンレーザー5.1ch
ロックオンした相手を追い,地形を無視して攻撃できるレーザー。これだけで相手を倒せることは少ないが,狙われた相手は回避に専念することになるので,長射程武器を高所からどかすなど,均衡状態を崩すきっかけにできる。パブロからトライストリンガーまで,どんな射程のブキを使っていても活用しやすいスペシャルだった。■カニタンク
名前からは堅固な印象を受けるが,実際には防御力はあまり高くなく,射程の長い砲台を作るような感覚で使うといい感じだ。敵陣に切り込む最中に使うのではなく,その前に高台の敵を倒すなど,準備を整えるために使いたい。■サメライド
レールの上を進んで爆発するスペシャル。爆発するタイミングはZRである程度コントロールすることが可能だ。乱戦の中に突っ込むと特に強く,相手の大半を倒せることもある。ただ,進む方向がレールで表示されるため,しっかり見ている相手には対応され,爆発後に狩られやすくなる。高所や物陰など,できれば相手の死角となる位置から発動させたい。■トリプルトルネード
発動させると,ガイド装置を3つ投げることができ,それぞれにインクの渦を呼ぶことができる。強力なボムを3つ連投できるようなイメージで使うと便利だろう。上手く時間差で渦を作りだせば,最初の渦から逃げた相手を2発目,3発目にまきこんだりできるので,ステージの形状をしっかり把握していることが重要となるだろう。■エナジースタンド
能力がアップするエナジードリンクが入ったスタンドを設置し,仲間に配る。このドリンクの効果が,事前情報でイメージしていたものをはるかに超えていた。各種移動速度が大幅にアップするだけでなく,倒されても復活までの時間が短縮され,さらにスペシャルゲージも維持されるのだ。飲んでおけばかなり大胆な攻めが可能になるが,攻撃能力はそのままなので,活かせるかどうかはプレイヤーの腕前にかかっているところもある。味方の配置やスペシャルウェポンのたまり具合もみて,効果的な場所に設置したい。と,本作のスペシャルウェポンはどれも個性的で,全体的な傾向は一概にこうとは言いにくいが,どれも状況によっては強烈に刺さりそうな性能ではある。ここに「スプラトゥーン2」から続投となるアメフラシやマルチミサイルなども加わった全15種類のスペシャルウェポンが飛び交うこととなるわけで,ある程度慣れるまではどこで何が飛び出してくるか予想がつかない,スリリングな戦いが展開するはずだ。
3つ巴の戦い「トリカラバトル」の感触はイカに?
前夜祭では,4対2対2で3勢力が同じステージで戦うという本作の新要素「トリカラバトル」を試すことができた。フェスの中間発表で1位だった勢力4人が防衛側となってステージ中央を守り,2位と3位の勢力はそれぞれ2人ずつで1位の両側から中央に攻め上がるというのが基本の戦い方だ。
攻撃側はマップ中央に出現するスーパーシグナルを確保し,インクの塗りを補ってくれる「マトイ」を呼んで自陣をキープすることが目標となる。スーパーシグナルを取ると一定時間無防備になり,その間に倒されてしまうとマトイの獲得には至らない。相手を全滅させた直後や,スペシャルで安全を確保しておかないと,潜伏していた相手に倒されてしまう危険も大きいため,高い状況把握力が問われる。
防衛側は画面上部の生存状況(イカマーク)やマップをチェックし,2位と3位のチームを交互に全滅させていくのがセオリーとなる。試合終了が近づくまでは3チームの塗り状況がパーセンテージで表示されているので,比較的塗りを広げているチームを重点的に攻めるなど,よく考えて動く必要があった。
攻撃側でプレイする場合はわりとシンプルで,勝つためにはスーパーシグナルを獲得することが不可欠となる。となれば,自陣をキレイに塗ってスペシャルゲージをため,味方とタイミングを合わせて中央に攻め込んで防御側の全滅を狙うという基本に忠実な戦い方が有効だ。もう一方の攻撃側の状況も把握しつつ動けた試合では,かなりの確率でマトイを獲得することができた。
なかなかカオスというか,複雑な試合形式なので慣れるまでは大変かもしれないが,コツを掴んでくれば必勝! ……とまではいかないまでも,その瞬間瞬間で何をすべきか判断できるようになっていった。そうなれば,トリカラバトルならではの勝負の綾が楽しめるようになるだろう。
以上,駆け足でお伝えしてきたつもりだったが,気が付けばそれなりのボリュームになっていた。それだけ多様なプレイングが可能なゲームになっているということだろう。
本稿で触れていない部分だと,新アクションの「イカロール」「イカノボリ」の二つが,リリース後にどのような形でゲームプレイに変化を与えるかが興味深い。
「前夜祭」ではまだ使用しているプレイヤー自体そこまで多くはない印象だったが,プレイヤー皆が新アクションに慣れてきたころにはまた違った風景が見えてくるはずである。筆者自身もこれまでの操作のクセもあり,イカロールをフェイントに使ったくらいだったが,おそらくもっと効果的な使い道があるはずなので,引き続き探してみたいと思った。
気になった点だと,マッチングにかかる時間はこれまでのシリーズに比べて長く感じたこと。これは個人の環境や,今回が前夜祭という特別なものであったことなども影響する点ではあり,正確なところは分からないが,スピードだけでなく精度もより重視するようになっているとも予想できる。
あくまで「前夜祭」は,どんな特徴のブキがあるのか,新要素のバトルはどのような形のものなのかを発売前の環境で確認できる試遊イベントである。リリース時には今回の結果をもとに調整が入るであろうことを考えると,ブキの性能や使用感,フェス全体やトリカラバトルの戦いの流れが大きく変わることもあるだろう。
なので,「前夜祭」をプレイした感触でこれを語るのは早計かもしれないが,全体的な操作感は「スプラトゥーン2」の延長上といったところで,発売後は違和感なくすぐに全力を発揮してプレイできそうだと感じられた。さらに発売までの調整で,どれだけ多くのプレイヤーがより白熱した試合を楽しみやすくなるか。このあたりに期待しつつ,9月9日のリリースを待ちたい。
「いちばん強いのはどれ? グー vs パー vs チョキ」の結果は25対0対10対で「グー」チームの勝利に終わった。
— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) August 28, 2022
「グー」チームのみなさん、おめでとう!
結果発表はゲーム内のバンカラジオで確認できるが、「前夜祭」はしばらくするとプレイできなくなるので、ご覧になりたい方は、どうぞお早めに。 pic.twitter.com/JqtoPvoYrv
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