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本田 翼さんが製作総指揮を務める新作ゲーム「にょろっこ」がお披露目。発表会の模様と本田さんへの独占ミニインタビューをまとめてお届け
今回のイベントでは,本田 翼さんがプロデュースし,日本マイクロソフトとフォワードワークスによる開発サポートのもとで制作が進められたスマートフォン向けゲーム「にょろっこ」(iOS / Android)の概要やPVなどが初公開された。
本稿では,製作総指揮の本田 翼さんをはじめ,2人のキーマンが発表会にて語った本作の魅力や,開発中の裏話などをまとめてお届けする。さらに記事の最後には4Gamer単独による本田 翼さんへのミニインタビューの内容も掲載しているので,ぜひチェックしてほしい。
「にょろっこ」公式サイト
ノスタルジックな雰囲気の中で
白熱した“鬼ごっこ”が楽しめる
発表会の前半では,さっそく「にょろっこ」のプロデュースおよび製作総指揮を務めた本田 翼さんが登壇。初公開のPVとともに,本作の概要が語られていった。
本田さんいわく,タイトルの由来は“〜〜(にょろにょろ)対戦ごっこ”とのこと。プレイヤーたちにはあえて遊び方や役割を押し付けず,好きなように楽しんでほしい。さまざまな“ごっこ遊び”を見つけてほしいとの思いが込められているそうだ。
そんな本作は,合計8名でのマルチプレイが可能な非対称型対戦サバイバルアクションゲーム。プレイヤーは2名の天使(ビジター)チームと6名の人間(キーパーズ)チームに分かれ,“鬼ごっこ(逃げっこ)”を繰り広げることになる。
天使チームは空から銃撃しながら人間たちを追いかけ回し,すべての人間を倒して魂を吸収するか,制限時間内にステージ内にある7か所の「鐘」が鳴らされるのを阻止すれば勝利。対する人間チームは,時間内に7か所の「鐘」を鳴らすことができれば勝利というルールだ。
人間側においては,草むらや茂みなどに隠れて天使たちをやり過ごすほか,各所にある自動販売機からゲットできる便利アイテムを活用することも重要だ。例えば「車」を使って高速移動したり,「花火」を打ち上げて天使の目をくらませたりすることも可能なようだ。
このように,子どものころに遊んだような“鬼ごっこ”をオンライン上で楽しめる「にょろっこ」。本田さんは,普段あまりゲームを遊ばない人でも気軽に楽しめるようなゲーム性を目指して製作したことを明かしたうえで,「ぜひご家族,友達,パートナー。そしてまだ出会ったことのない誰かと一緒に,このゲームを楽しんでいただきたいです」とのメッセージを語ってくれた。
なお,本作は2021年初夏のリリースを予定しており,6か月間の期間限定サービスとなることも発表された。「エンターテインメントとは,ゴールがあるから夢中になる」という考え方のもと,サービス期間中にはフィナーレに向けたイベントが展開されていくことになる。
毎月開催される季節感あふれるイベントの中には,大型アップデートや新キャラクターの実装,各種キャンペーンなども盛り込まれているので,まさにお祭り騒ぎとなることが予想される。
本田さん自ら予算管理やパートナー交渉に奔走!
決して平坦な道のりではなかった開発の裏側
続いてステージには,日本マイクロソフトのゲーム&エンターテインメント営業本部にて本部長を務める米倉規通氏が招かれ,本田さんを交えて本作の開発秘話などが語られた。
本プロジェクト立ち上げの経緯について,米倉氏はさかのぼること2019年,とあるイベントにて本田さんが将来の夢として「いつかゲームを作ってみたい」と語ったのを耳にしたことがきっかけだったと説明した。
日本マイクロソフトは企業ミッションとして「地球上のすべての個人,すべての組織がより多くのことを達成できるようにする」ことを掲げており,本田さんの夢を支援することが結果としてゲーム業界に大きなインパクトを与えることにつながるのであれば,ぜひ力になりたいという想いから話を持ちかけたという。
しかしながら,本田さんによれば開発現場は最初から順風満帆とはいかず,とくに始動してからの半年間は頓挫寸前になるほどの険しい道のりであったそう。当然ながら本田さんもその道のプロではないだけに,なかなかゲームの方向性が定まらず苦労した場面も多かったようだ。
そんな五里霧中の状況にブレイクスルーをもたらしたのは,本田さんが打ち合わせ中に企画書の裏に描いたラフスケッチだったという。それを目にした米倉氏は,「(イラスト上で)これほど方向性がハッキリしているならば,これをそのまま形にするべきだ」と思い至ったそうだ。
かくして開発は転換期を経て,コロナ禍の影響を受けつつもリモート会議を繰り返しながら形にされていった本作。さらに本田さんは,プロジェクト全体の予算管理を務めながらも,ゲームの運営を担うパブリッシング業務を引き受けてくれる企業との交渉などにも奔走することとなる。
そしてこのタイミングで,本作のパブリッシャを担当することになったフォワードワークスより,エグゼクティブディレクターの川口智基氏が登壇。
本田さんは本作のパブリッシャを探す中で,米倉氏の紹介により川口氏と巡り合うことになった。そこでのプレゼンも本田さん自ら担当したそうで,当時の様子について川口氏は「いまでも鮮明に覚えています」とコメントした。
その後,発表会では代表質問形式による質疑応答コーナーが設けられた。「そもそもなぜゲームを作りたいと思ったのか?」という問いに本田さんは,好奇心から始まったことではあったものの,いざ作ろうと決意した発端について,以前ある取材で趣味について聞かれた際のエピソードを披露した。
いまでこそゲーム・マンガ好きを公言している本田さんだが,当時はなんとなく周囲に対して言い出しづらい風潮を感じていたこと。そしてそれは現在もわずかながら残っていると感じることを挙げ,「そんな状況を変えたい。もっと万人にゲームの魅力を知ってもらいたい」という想いが原動力になったと語った。
発表会の最後には,お三方からのユーザーに向けたメッセージも語られた。米倉氏は「私どもは人の夢を叶えるお手伝いをしていくという理念を掲げる中で,本プロジェクトに参画することができ,非常に嬉しく思っています。1サポーターとして,同じ1ファンとして本作が多くのお客様に遊んでいただける日がくることを楽しみにしております」とコメント。
続いて川口氏は「パブリッシャーとして,多くの方々にできるだけ早く本作をお届けできるよう,まずはしっかりと準備を進めていきます。皆さまとともに本作を盛り上げていきますので,配信開始までどうぞ楽しみにお待ちください」と意気込みを語る。
そして本田さんの「まずはこの場に立って,こうした発表をするという貴重な経験をさせていただいたことに,感謝したいと思います。本作はいわゆるオンラインゲームで,最近はコロナ禍でゲームをする機会が増えた方も多いと思いますが,それでもまだ踏み出せないという方でも気軽に遊べるスマホゲームになっています。ぜひ本作で,ゲームの魅力や,オンラインで協力する楽しさを知っていただけたら嬉しいです」との言葉で,発表会が締めくくられた。
発表会直後に本田 翼さんを直撃!
4Gamer単独ミニインタビュー
4Gamer:
本日はお疲れさまでした。まずは率直なご感想をお聞かせください。
本田さん:
とにかく緊張しました! ありがたいことに私もいろいろな経験をさせていただいていますけど,自分の作ったものを皆さんの前でプレゼンするという機会はいままで一度もなかったので,本当にお腹が痛くなりそうでした。
4Gamer:
開発工程の中で,とくに楽しいと感じた部分について教えてください。
本田さん:
自分の思い描いたデザインやキャラクターたちが,どんどん3Dになって動くようになるまでの過程は,見ていてすごく感動しましたし,嬉しかったですね。
4Gamer:
ギャップあふれる「天使」や,絶妙な塩梅でゲームキャラクターとして落とし込まれた「蚊」など,魅力的なキャラが多数登場する本作ですが,デザイン面で意識したことはありますか?
本田さん:
尖ったデザインにするつもりもなかったんですが,「柔らかくしすぎることもないかも」ということを頭に置いていました。ちゃんとユーザーさんの目を引くおもしろいものにしたかったし,自分のこだわりをできる限り残したかったんです。自分の中で「団地」や「昭和」というのがテーマにあったのでそこは意識しました。
4Gamer:
キャラクターデザインを考えるにあたって,どういったものが本田さんのアイデアの源泉になったのでしょうか。
本田さん:
キャラクターで言うと,とくに「ケンタ(男の子)」や「天使ちゃん」は数秒でサラサラッと描いたものなので,あえて言うなら“直感”です(笑)。このゲームを開発チームの皆さんに説明するために描いた絵が,ゲーム内でもそのまま生かされることになったような形です。
4Gamer:
そうしたご自身のアイデアを開発チーム内に共有していく中で,苦労されたことや意識されたことはありますか。
本田さん:
やはりリモートの打ち合わせが多くなる中で,アイデアやデザインを言葉で説明するというのがすごく難しかったので,私はとにかく絵にすることを心がけました。ひと目でわかるように自分でイラストを描いたり,画像で伝えたりもしましたね。
4Gamer:
プロのゲーム制作スタッフを相手に,自分のこだわりを伝えていくというのはなかなか難しいことだったと想像しますが,気おくれしてしまうようなことはありましたか。
本田さん:
確かに,最初は遠慮してしまって……。それで半年間は思うように進まなかった部分もあったのですが,米倉さんが「ゲーム開発は長い時間がかかるものだから,本田さんがちゃんと納得できる形で進めたほうが絶対にいいよ」と言ってくださって,それからはしっかり自分の思いを伝えられるようになりました。
4Gamer:
そういった経緯があったのですね。ほかにも,ご自身のアイデアを形にしていく作業の中で大切だと思ったことなどがあれば教えてください。
本田さん:
チームで作るものである以上,共通認識を必ず持っておかないといけないなと思いました。例えば世界観が昭和のイメージだなと思ったら,それをちゃんと言葉でお伝えする。あとは,このゲームをどんな方々に遊んでほしいかなどの重要な部分も,一番最初にお伝えしておく。そんなことを意識しましたね。
「普段あまりゲームを遊ばない人にも届いてほしいんです。だから,ルールを分かりやすく,画面も見やすくしたいんです」といったことなどを,まず最初にお話しして統一していきました。それをやらないと,いざ作るとなったときに大変になってしまうので。
4Gamer:
今回ゲーム制作を経験されたことで,ご自身がゲームをプレイする際に何か新たな視点が生まれたり,発見があったりということはありましたか。
本田さん:
うーん,どのゲームを見ても,「開発費どのくらいだろう」という目で見てしまうようになりましたね。また,「目に付きづらい場所なのに,こんなに作り込まれているの!?」という感じで,ゲームの細かい部分にも目がいくようになりました。
4Gamer:
まさに,ゲーム製作者ならではの視点を得ることができたわけですね。本日はお忙しい中,ありがとうございました。
「にょろっこ」公式サイト
(C)Honda Co., Ltd. Published by ForwardWorks
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