レビュー
[プレイレポ]「ピクミン4」は,過去作のいいところ&新要素の楽しさが詰まった理想的なシリーズ最新作。ファンと初めての人,両方に推したい!
キャラメイクに,新しい旅のお供となる宇宙犬。今までタブー(?)であった危険な夜の世界での探索など,気になる要素が満載の本作を先行プレイする機会を得たので,ゲームの魅力をたっぷりとお届けしよう。
過去作のSwitch版(関連記事1 / 2),「Hey! ピクミン」や「Pikmin Bloom」(iOS / Android)といった派生作品が展開している,任天堂の人気ゲームシリーズの一つである「ピクミン」だが,ナンバリングの完全新作となると,なんと2013年7月に発売されたWii U用ソフト「ピクミン3以来,実に10年振り。そんなシリーズ最新作は,どのような仕上がりになっているのか?
「ピクミン4」公式サイト
未知の惑星にて,遭難者たちを“ダンドリ”よくレスキューせよ!
「救助求む…! こちら,キャプテン・オリマー!」
本作のストーリーは,未知の惑星から救難信号が届くところから始まる。すぐさま救助のためにレスキュー隊が派遣されるが,そんな彼らもあえなく遭難。さらにこの救難信号が近隣の惑星すべてに送られたことで,「未知の惑星だ! 夢だ! ロマンだ!」という衝動に突き動かされた調査団,TVクルー,旅行代理店といったさまざまな人々が集まり,結果的に二重,三重とさらなる遭難者を生む事態へと発展してしまう。
そこで立ち上がったのが,唯一レスキュー隊本部での待機命令が出ていた新人隊員……そう,プレイヤーである“あなた”だ。未知の惑星――PNF-404へ降り立ち,オリマーを含めた遭難者たちをレスキューするのが,本作の目的となる。
救助の要となるのが,レスキュー隊の宇宙船であるシェパード号……なのだが,しかしここでも緊急事態が発生する。
PNF-404に到着する間際,何かしらのアクシデントに見舞われ,乗員であるレスキュー隊を投げ出すように不時着。オペレーターのコリーと隊長のシェパードと合流し,なんとか本機を見つけだした主人公だったが,墜落の影響か燃料がすべてなくなっていた。
これでは遭難者を見つけるためのレーダーも使えない……と,途方に暮れていたところに,とある事実が発覚する。この惑星固有のキラキラした物質――オタカラに付着したキラキラエネルギーが,なんとシェパード号の燃料代わりになるというのだ。
キラキラエネルギーを集めてシェパード号に燃料を注げば,レーダーもどんどん本来の機能へと戻っていくはず! というわけで,シェパード号の周りに拠点となるレスキューキャンプを設営し,散り散りになったレスキュー隊のメンバーや遭難者を捜索しながら,キラキラエネルギーを持つオタカラの回収も同時並行で進めていくことに。
こうして未知の惑星PNF-404を舞台に,オタカラを集めつつレスキュー隊やオリマー氏の捜索,勝手にやってきて勝手に遭難した人たち(?)の救助といったあらゆることをこなすことになる……というのが,「ピクミン4」のあらましとなる。
いろいろあってそれらのミッションを任されることになった主人公。どう考えても新人隊員には荷が重いことばかりではあるが,しかし力になってくれる“とある存在”がそばにいた。それこそ,PNF-404に住む不思議な生きもののピクミンたちである。
彼らはレスキュー隊に対し友好的だ。植物のように地面に生えているところを引っこ抜いたり,ホイッスルでピピーッと呼んだりするとついてきて,指示に従っていろいろな働きを見せてくれる。
人ひとりでは動かせない大きなモノがあれば大勢で協力し合って運び,強大な敵がいれば仲間がやられても立ち向かう。歩くときにはたまに歌い,ヒマをしていると横になって寝る。従順で健気な,かわいい生き物たちである。
本作は,そんなピクミンたちを上手く操作して,“ダンドリ”(段取り)よく物事を進めていくことが魅力のゲームだ。
あっちでピクミンたちがオタカラ運びをしているうちに,こっちで残りのピクミンたちに壁を壊してもらって道づくりを。その間にオニヨンに行って新しく“生えてきた”ピクミンを引っこ抜く…………なんて,いろんな物事を水平に考えつつ,マップとにらめっこしながら歩き回っていく。
さながらリアルタイムストラテジーのように,とにもかくにも手分けして,効率よく物事を進めることが楽しく,そしてそして大きなやりがいにもなるのだ。
探索のフィールドは広大で,とにかく歩き回っているだけでも面白い。さまざまなところにかつてこの惑星で栄えたであろう文明の名残が目に入り,景色を見ているだけでも十分すぎるぐらいに楽しめる。
見覚えのあるような,そしてノスタルジックな気持ちにさせてくれるPNF-404の景色も,これまた今までのシリーズ以上に“なんだか,家の周りや庭を歩きたくなる”ような気持ちにさせてくれるだろう。
フィールドでの探索は,地上だけでなく地下にも及ぶ。各エリアにはさまざまな洞窟があり,それぞれ独立したステージとしてプレイヤーたちを待ち受けるのである。
地下の洞窟は階層ごとに分かれており,一階層あたりの大きさは地上には及ばない。それゆえにコンパクトに物事を考えやすく,地下ならではの濃密なダンドリをパズルゲーム感覚で楽しめるだろう。中にはボスモンスターのような巨大な原生生物も存在しており,効率よく平行に物事を進めるダンドリとはまた違った緊張感のあるゲーム体験を味わえる。
地上と地下,広大なフィールドを動き回りながら遭難者を探し,オタカラを集める。とにかくやることは多いが,ダンドリを考えながら着実に進めていけば問題ない。筆者は久々のピクミンだったため,衰えて来た脳の“ダンドリ筋”みたいのものがガンガン刺激されていくのを感じた。
可愛くて頼れて強くてカワイイ! 相棒の宇宙犬オッチン
さて,ここからは本作の新要素を主に紹介していこう。まずは非常に頼れるバディである,宇宙犬オッチンについてだ。
オッチンのかわいさに関しては,写真を見ていただければじゅうぶんに伝わるだろう。動きやしぐさのグッとくる感じは実際にプレイして感じてもらうとして,本稿では“オッチンの果てしない有能さ”を伝えたい。
まず,単独での行動が可能な点。オッチンを直接操作して,ピクミンを連れていったり,投げたりすることもできる。ピクミンたちを集める笛も持っているので,ピクミンたちを指揮することも可能だ。
さらにオッチンがピクミンを率いているときは,連れているすべてのピクミンがオッチンにしがみついてくれる。これが実にかわいい!
……おっと,ついついかわいいを伝えたくなってしまったが,有能さを紹介せねば。これがかわいいだけではなく,みんなで固まって行動できる結果,隊列内で速度がブレて1匹だけ取り残される……なんてことがなくなるのである。
また,ジャンプにより,小さい段差を乗り越えられるため,単独での探索範囲は主人公より広くなる。水上の移動もお手のもので,水が苦手なピクミンだって簡単に運べるし,もちろん主人公を乗せて移動できるので,一緒に行動すれば行く先々での“できること”も多くなるのだ。
ピクミンのように,モノを運んだり穴を掘ったりすることも可能だ。モノによっては,軽いものはオッチンだけで探索と回収をさせて,プレイヤーはピクミンをつれて別の場所で作業を……なんて役割分担もできる。
ここまででも十分有能なのだが,遭難者を助けることで手に入るヤルキを消費してシェパード隊長によるレスキュー訓練を受けると,オッチンの能力をさらに向上させられる。たとえばモノを運ぶ力。最初はピクミン3匹分の運搬力だが,鍛えることでその運搬力をピクミン100匹分まで上げられる。実に紫ピクミンの10倍である。とんでもない。
さらに,単独で行動しているときの攻撃方法であるカミツキ攻撃の威力をアップすれば,チャッピーのような中型ぐらいの原生生物なら1匹で簡単に倒せるくらいの戦力になる。
また,オッチン固有の技であるトッシンも万能だ。これはXボタンを長押しすると使えるシンプルな体当たりで,割れそうなものを破壊したり,壁や台などを揺らして上に乗っているものを落としたりできる。原生生物に向かってトッシンすれば,ダメージを与えると同時にオッチンに乗っていたピクミンたちを取りつかせて戦わせることもでき,とにかく探索と戦いの両面で役に立つ。
オッチンに特定の行動を自動で行うよう指示するオネガイを使えば,オタカラや探索者,珍しい色のピクミンなど,さまざまなモノを匂いで嗅ぎ当て,その場所へと案内してくれる。さらに成長させると,フィールドに散らばったピクミンを集めて連れてきてくれるので,迷子になったピクミンを失う悲劇も軽減するはず。オッチンはフィジカルがすぐれているだけではなく,頭脳も明晰なのだ。
青ピクミンのように水中へ潜ることができたり,黄色ピクミンのように素早く埋まっているオタカラを掘れるようになったりと……とにかく,オッチンはめちゃくちゃに成長する。歴代のプレイアブルキャラクターたちと見比べても,ダントツで有能であることは間違いない。かわいくて強い,最高の相棒である。
もちろん万能だからと言って「ピクミン,いらなくない?」とはならない。身体が大きいオッチンには行けない場所はあるし,いろいろな特性を持つピクミンたちがいるからこそできることもある。ピクミンとオッチンそれぞれの得意なことを生かして探索を進めるのが,リーダーであるプレイヤーの役目となるのだ。
赤青黄色,紫と白,岩や羽に氷にヒカリ! 9種類もの色とりどりのピクミンたち
新たな仲間オッチンに続き,我らが協力者であるピクミンについてもしっかり紹介したい。
火に強くて攻撃力が高い赤ピクミン,ほかのピクミンが溺れる水中を自由に移動できる青ピクミンなど,色や姿によってその特徴もさまざまなピクミンたち。赤青黄の3種類だった初代「ピクミン」から,白と紫が仲間に加わった「ピクミン2」,岩と羽の新種と出会った「ピクミン3」ときて,なんと本作ではそれら7種に加えて,新たに2種類のピクミンが登場する。
今回発見された2種類は,氷ピクミンとヒカリピクミン。氷ピクミンはその名のとおり氷でできた体を持つピクミンで,氷だから寒さにはへっちゃら! 具体的に言うと,本作で新しく追加された寒さや凍結といった状態に耐性を持つピクミンとなっている。
手前がヒカリピクミンで奥が氷ピクミン。あとで書くが,どちらもわりととんでもない性能をしている |
氷ピクミン。カクカクのボディと身にまとう冷気が特徴 |
氷なので水より軽く,水上をぷかぷか浮いて移動できる。さらに,数がたくさんいると水場などを凍らせることもでき,水を苦手とするほかのピクミンを対岸に渡らせるという重要な役割も担うことも。
特筆すべきはその戦闘能力で,なんと自身が攻撃している原生生物を,一定時間凍らせるのだ。凍らされた相手は身動きが取れなくなるので,こちらは被害を受けず撃退できる。なお,凍っている間に相手を倒した場合,大地のエキスなどを残してその身体はなくなる。
この時点で,「ピクミン2」プレイヤーならばなんとなくピンときたかもしれない。そう,シリーズファンに分かりやすく伝えるとしたら,いうなれば氷ピクミンは生体ゲキニガスプレー※なのである。ゲキニガスプレーほどの即効性はないものの,有効に使えば戦闘の被害をかなり抑えられるはずだ。
※敵に振りかけることで相手を石化させる。だいたいの敵に効く強力なアイテムだった
さらに,氷ピクミンは自分のオニヨンを持っている。登場はちょっとあとにはなるのだが……もし入手できれば,この強いピクミンを仲間にしやすくなるわけだ。探索に便利で戦闘も強い。氷ピクミンは,プレイしていて本当に頼りになる存在だ。
さてもう一つの新種ヒカリピクミンだが,過去作に登場したピクミンや氷ピクミンとは大きく異なる生態を持つ。なんせ,いままでの作品では危険で探索できなかった夜に行動するピクミンなのだから。
夜の探索に関しては,あらためて詳しく説明するが,このヒカリピクミンはオニヨンを持たず,ヒカリヅカと呼ばれる巣のようなものから生まれる。ヒカリペレットという特殊なペレットをヒカリヅカに運ぶことで仲間を増やしていく。
危険な夜の世界を生きるだけに,ヒカリピクミンは特殊も特殊。まず,すべての属性に対して耐性がある。炎も水も電気も氷も毒も,なんでもヒカリピクミンに効くことはない。そもそも生死の概念もかなり特殊なようで,原生生物に食べられても,光の粒子になってヒカリヅカへと還っていくだけ……らしい。
もちろん,ゲームのシステム上は,食べられることで数が減るのでほかのピクミンと一緒ではあるのだが,とてもミステリアスな存在である。
さらにはワープもできる。ヒマになったヒカリピクミンは,呼び戻さなくても勝手に近くまで来て隊列に加わる。とくに距離的な制限もないようで,いつのまにか仕事を終えたヒカリピクミンが背後にやってきているなんてこともよくある。呼び戻す必要がないのは非常に楽だが,ううむ……不思議。どういう生態なのか深く知りたくなる。
Xボタン長押しで発動できるフラッシュバーストというヒカリピクミンの特技を使えば,目の前の原生生物を気絶させて,ヒカリピクミンたちを突撃させられる。一斉に襲い掛かるヒカリピクミンたちの姿は,頼もしいことこのうえない。
とっても便利なヒカリピクミンたちは,あくまでも“夜限定”のピクミンであり,昼間の地上で増やしたり,活動させたりはできない。ただし,例外的に昼間であっても,暗い地下洞窟には連れていける。
夜の探索を終えて日が昇ったとき,何匹かが集まってヒカリのタネへと姿を変える。ヒカリのタネは,使うとヒカリピクミンを生み出す便利アイテムで,夜のほか,太陽光が入らない地下洞窟であればヒカリピクミンを呼び出せるのだ。
本作は過去作以上に,隊列に加えるピクミンのマネジメント要素が強くなっている。
ピクミンは全部で9種類もいるが(実質,日中は8種類+夜は専用の1種類だが),呼び出して隊列に加えられるのは最大3種類で,ゲーム進行で開放されるものの,連れていける全体数にも制限がある。それだけに,探索する場所や状況に合わせたピクミンの選抜が重要となるのだ。
ついに夜のPNF-404へ――凶暴化した原生生物からヒカリヅカを防衛せよ
ここからは,本作の大きな新要素であり,とくにシリーズファンが気になっているであろう“夜の世界”での探索を紹介したい。
この惑星の原生生物は,夜に凶暴化する性質を持つことは,過去の作品でも語られている。日が落ちたあと,日中には見せない恐ろしい目を光らせたその姿で,取り残されたピクミンたちを食らう原生生物……あの絵が脳裏に浮かんで震えを感じる人たちは少なくないはずだ。
そんな,恐ろしい夜の世界にとどまり,いったい何をするのかというと,日の出を迎えるまで,光に反応して襲い掛かる原生生物の猛攻からヒカリヅカを守り抜くのである。ヒカリヅカは,ストーリー進行に必要な“とあるモノ”の材料を手に入れるための重要なものであり,それを手に入れるまでピクミンで“拠点防衛”を行うのだ。
やることはシンプルで,とにかくピクミンを増やし,やってくる原生生物を撃退するだけ。ただし,襲い掛かってくる原生生物の数は尋常ではなく,さらにさまざまな進行ルートでヒカリヅカに迫ってくるため,敵は何体いるのか,どこから来るのかを正確に捉えながら防衛にあたる必要がある。
凶暴化したものだけではなく,夜にしか出てこない恐ろしい原生生物もいて,この惑星の夜がいかに恐ろしいかを思い知らされるが,しかしヒカリピクミンたちは負けていない。全属性耐性を持つヒカリピクミンは,たとえ炎で燃やそうとしてこようが,毒をまき散らしていようが,臆さず立ち向かいやっつけてくれるのだ。
時には大きな原生生物もやってくるが,いざとなれば“必殺”のフラッシュバーストがある。いいぞ! 強いぞ! ヒカリピクミン!!
襲撃からヒカリヅカを守り抜くには,ヒカリピクミンたちへの指示だけではなく,オトリヅカをうまく使うことも重要となる。オトリヅカでは,操作キャラクターで近づくと光を発する“防衛施設”で,これを活用することで,周囲の原生生物をおびき寄せて撃退できる。ヒカリピクミンを増やすための中継地点にもなるので,非常に重要な存在だ。
この“夜の探索”に,ヒカリピクミン以外のピクミンは連れていけない。夜に狂暴化する生物から身を守るため,オニヨンははるか上空へと飛んで行ってしまうからだ。なので,夜はオニヨンからピクミンを引き出すことはできないのである。
押し寄せる大量の敵を倒す――夜の世界での新たな体験は,世界観をさらに深く感じられ,そしてゲームとしても新しい遊びの可能性を見せつけられたような気分だった。
難度はそれなりに高いものではあるのだが,失敗してもすぐに再挑戦できるし,使うのはヒカリピクミンだけなので日中の探索には支障をきたさないため思い切って挑むことできる。そのおかげで思う存分,この“新しいピクミンの遊び”へと没頭することができた。
ダンドリこそ,この惑星の正義。ダンドリバトルとダンドリチャレンジで,葉っぱ人に挑め
本作はダンドリ(段取り)をかなり意識したゲームだと,最初にお伝えしたが,そのダンドリをダイレクトに味わえるのが,ダンドリバトルとダンドリチャレンジだろう。
ストーリーを進めてくると,全身を葉っぱに覆われ,頭部にまるでピクミンのような葉っぱを生やした異星人に絡まれることがある。彼らこそ葉っぱ人。効率よく作業を行うダンドリのことしか考えられなくなった悲しき生きものである。
葉っぱ人は,こちらを見つけると「お前のダンドリを見せてみろ!」と,遭難者の救助をかけて勝負を挑んでくる。凶悪な敵かと思いきや,ダンドリよく仕事をこなして満足させると,遭難者を返してくれるので,なんだかとても不思議な存在だ。
ダンドリチャレンジは,制限時間内により多くのオタカラや原生生物を回収する,いわゆるスコアアタックへのチャレンジだ。文字どおり,ダンドリを考えてものごとを進めなければならない。ピクミンたちにヒマをさせず,絶え間なく仕事を与える……頭の中のダンドリ脳をフル回転させ,ピクミンへビシバシと指示を出すのはなんだか少し快感だった。もしかしたら,筆者の頭に,葉っぱのようなものが生え始めているのかもしれない。
中でも大事なのが,オッチンとの連携である。オッチンはできることが豊富ということもあり,どういった動きをしてもらうのがベストなのかを考えるのが非常に難しい。有能ゆえに扱いきれない。贅沢な悩みである。
特定の“赤い葉っぱ人”が現れると,ダンドリバトルが発生する。お互い同じフィールドでピクミンたちを率いながら,より多くのオタカラや原生生物を運んだ方が勝ち! というルールで,どちらがダンドリ力に優れているかを競い合う。
事前にダンドリを決めるだけではなく,相手の仕掛けや状況に応じて臨機応変に動く“対応力”も試される。ダンドリチャレンジがスコアアタックだとするならば,ダンドリバトルは“PvEのタイマン勝負”といったところだろうか。
相手が運んでいるオタカラを横取りしたり,逆にこちらのピクミンやオッチンが攻撃されたりと,戦局は結構ごちゃごちゃになりがちだ。本当に対応力の試されるバトルである。自分以外にピクミンと,そしてオッチンを操作する者がいる……という感覚もなかなか新鮮で,これまた普段とは違った面白さが味わえた。
ダンドリチャレンジとダンドリバトルは,ともに何度も葉っぱ人から挑まれることになる。葉っぱ人が挑んでくる場所によってステージや,フィールドギミック,最初に使えるピクミンなどの種類が大きく異なる。それによって難度も変わるので,どんどん歯ごたえのあるダンドリ争いが楽しめるだろう。
一度成功したものであれば,あとで拠点のレスキューキャンプから何度もプレイ可能になる。ハイスコアを目指して何度も同じステージをプレイするのも面白いだろう。
過去作のいい部分も取り入れ,最高の形で進化した“新たなピクミン”
「ピクミン4」は間違いなく,今までにないピクミンの楽しさを味わえる,現時点の集大成と言える一作だ。ありとあらゆる新要素をしっかりとまとめあげ,よりダンドリの深さを味わえるゲーム設計にしたこともさることながら,夜の世界における拠点防衛といった今までとはまったく違うゲーム体験を提供してくれる。
そんな目新しさを感じる中にも,しっかりと「過去作の面白かった所を,さらに進化させよう!」という熱い気概を感じられる部分があった。
――たとえば,初代「ピクミン」におけるダンドリのシビアさや,ちょっとした怖さを感じさせる世界観の作り込み。
――たとえば,オタカラや地下洞窟の探索といった,「ピクミン2」における人気を博した要素の復活と“とある”仕掛け。
――たとえば,動かせる人数の増えた「ピクミン3」だからこそ如実に感じられた,複数の操作キャラクターをマネジメントしながらダンドリよく遂行する探索の楽しさ。
過去作にはそれぞれの特徴や楽しいところがあったが,シリーズをとおして育まれてきた“ピクミンというゲームの面白さ”がしっかりと息づいているように感じられた。筆者は子どものころから全シリーズ作品をプレイしてきたが,
「ああ,俺がやりたいシリーズ最新作ってこういうことなんだなあ」
というのが,筆者がプレイ中にずっと抱いていた感想である。
過去の要素を取り入れつつ,さらに進化させ,新たな楽しみ方も提供する――筆者が個人的に,あらゆるタイトルに求めている“シリーズ最新作としての理想の形”を,正に「ピクミン4」は体現してくれたように感じた。願わくば,ピクミンシリーズをプレイしたことがある人に,この面白さが届いてくれればとても嬉しい。
本作で始めてピクミンシリーズに触れるという人も,まったく問題なく楽しめるということは伝えておきたい。
もちろん過去作をプレイしていた人には,ゲームシステムや物語などから「おっ,これは……」という発見の楽しさがあるが,“過去作を知らなければ面白くない”ゲームではなく,“過去作にあった面白さが詰まっている”ゲームとなっているので,「これ一本でピクミンのすべてを楽しめる!」と言っても過言ではないだろう。
「ピクミン4」は,シリーズファンはもちろんこれからピクミンデビューを飾る人にも間違いなくオススメできる仕上がりの「ピクミン」シリーズ最新作なのだ。
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