プレイレポート
[プレイレポ]来たれ,死にゲーを待つ者。「Enotria: The Last Song」は丁寧に作り込まれたソウルライク進化形の誕生を予感させる
本作の体験版は5月22日より配信が予定されているが,一足早くプレイする機会を得たのでレポートしよう。
なお,本作は日本語対応を予定しているが,本稿執筆時のバージョンは英語版だったため,用語や各要素の解釈などがリリース時の内容と異なる可能性がある。その点はご容赦いただきたい。
「Enotria: The Last Song」公式サイト
「仮面」を使い分けるスタイルチェンジ
ソウルライクらしい安心感と新鮮さが同居する
本作の舞台は,「カノヴァッチオ」と呼ばれる邪悪な演劇に囚われた世界だ。プレイヤーは,与えられた役割のない唯一の存在である「変化の仮面」となり,カノヴァッチオの劇作家たちを倒していく。
なお,上記はSteamのストアページからの受け売りであり,ゲームを起動後のオープニングではほとんど何も語られなかった。
基本のゲームシステムは,模範的なソウルライクと言える。ボスではない通常の敵が相手でも油断すればアッという間に倒されしまい,攻撃や回避といった行動によってスタミナを消費するため,スタミナ管理が重要になる。「ソウル」シリーズ経験者であれば,とくに説明がなかったとしてもすぐに馴染めるはずだ。
敵の体力ゲージの下には青いゲージがあり,攻撃やパリィに成功すると上昇していく。ゲージがMAXまで溜まると敵の体勢が崩れ,しばらく動きが止まって無防備になる。このときにさらに攻撃を叩き込むと,大ダメージを与えられる。弱めの敵であれば,そのまま一気に体力を削り切れることも。
なにぶん,ゲーム内の解説もすべて英語なので,筆者の理解力では間違っている可能性も否定できないのだが,敵の体勢が崩れた状態を「UNRAVELING」と呼び,この状態の敵にフィニッシュを叩き込むと,プレイヤーは「AWAKENED STATE」(覚醒状態)になるようだ。覚醒状態に移行すると,「仮面」の効果が発動する。
「仮面」のシステムは本作の特徴の1つで,プレイヤーはさまざまな種類の仮面を装備し,状況に応じて付け替えることで異なる効果を得られる。仮面は宝箱やボス討伐時に入手できるが,通常の敵も仮面の破片を持っていることがあり,一定数の破片を集めると仮面として手に入る。
仮面には複数の空きスロットがあり,習得した「Perk」をセットできる。これにより,プレイヤーによって異なる無数のビルドが可能だ。
また,フィールドの各地には謎の紋様があり,これに触れると「CORDA RISONANTE」と表示される。「ソウル」シリーズでいうところの「篝火」の役割を果たし,ここでしか仮面のセッティングは行えない。
便宜上,本稿では謎の紋様を「休憩ポイント」と表記する。
休憩ポイントで選べるメニューは「Loadouts」「Path of Innovators」「Level Up」「Fast Travel」の4つ。Loadoutsは武器や仮面など,装備のセッティング。Path of Innovatorsは新たなPerkを獲得するものだ。
Level Upでは,敵を倒したり,特定のアイテムを使用したりする増える「Memoria」を消費してレベルアップが可能だ。Fast Travelはその名の通り,到達済みの休憩ポイントにファストトラベルで飛べるようになっている。
「仮面」と同じく特徴的な要素と言えるのが,「Ardore Burst」だ。特定の場所で[LT]+[RB](Xbox コントローラの場合)を入力すると,片足を上げて地面にドンッと踏みしめるモーションが発生し,隠れていた道が出現したり,何もなかった場所に道ができたりする。
このような道は一定時間で消滅するらしく,道の先にできるだけ素早く到達する必要があるため,アクションゲームの新しい切り口になっている。
このほか,「Mask Lines」と呼ばれる要素もある。特殊スキルのようなもので,敵を倒すとMask Linesのゲージが溜まり,満タンになると特殊技が発生可能になる。ただし,休憩ポイントに触れるとゲージがリセットされてしまうのが難点だ。
「ソウル」シリーズ経験者として気付いた点としては,盾が見当たらないこと。盾を構えている間は敵の攻撃をガードし続けられる……という要素自体がなさそうな雰囲気だ。
パリィは敵の攻撃に合わせてボタンを押すと発動するものだが,タイミングはそこそこシビア。体験版なので確実なことはまだ言えないが,製品版でも同様のバランスであれば,戦闘に関してはソウルライクのなかでも高い難度の部類に入るだろう。
仮面に関してもすべての種類を確認したわけではないが,とくに序盤は仮面よりも武器の変更による変化のほうが大きかった。最初の町に到達した段階でも,武器にはかなりの種類が存在する。
ソウルライクのなかでは高クオリティな新作
難度は高めだが,乗り越え甲斐のある壁が立っている
ソウルライク作品はこれまでに多数存在するが,そのなかでも本作のクオリティはかなり高いと感じる。
立体的な地形を探索する楽しさ,少しずつショートカットを開通していく楽しさ,うっかりすると見落としてしまいそうな細い道の奥に配置されたアイテムを見つける楽しさ。ソウルライクはとにかく「ボスが鬼のように強い」「通常の敵も容赦ない」「とにかく何度も死ぬ」といった部分に注目しがちだが,「ソウル」シリーズの“道中の楽しさ”をここまでキッチリと作り込んでいる作品に出会ったのは,個人的に初めてだった。
ただ,前述したとおり,盾(ガード)の存在を確認できなかったため,パリィと回避で戦い抜く必要があるのだろう。「ソウル」シリーズでは盾愛好家だった筆者は,本作のボス戦にかなり苦労した。むやみにパリィを混ぜると事故りやすかったので,レベルアップで火力を上げて,ボスの攻撃には回避で対応。とりあえず序盤のボスには,ノーパリィでも互角以上に戦えるようだ。
なお,本作の回避はローリングではなく,高速クイックステップになっている。連続して回避すると,「そっちは残像だ……」みたいな感じで「シュビンッ! シュビンッ!」と移動できるのがカッコいい。
ボス戦の難度が高いからか,道中は比較的親切な印象だ。もちろん,通常の敵も容赦なく攻撃をしてくるし,物陰で待ち伏せしているしで,頻繁にモルテしてしまうのだが,休憩ポイントの位置が絶妙なので,道中で倒れてもリトライがさほど苦にならない。
なお,PC版をプレイする人は,最初に設定を調整することをオススメする。デフォルトだとほぼすべての項目が「Ultra」になっていたり,「FPS Limit」が「Unlimited」になっていたりするからだ。PCのスペックに合わせて,必要であれば少し下げておくといいだろう。
「ELDEN RING」のDLC配信が間近に迫り,ソウルスキーな4Gamer読者はソワソワしている頃だろうが,「旦那,旦那。要注目な作品が現れましたぜ」と耳打ちしておきたい。
ソウルライクに求められる下地をキッチリと用意したうえで,新たな要素をトッピング。確かな個性を持った世界を楽しく探索できる「Enotria: The Last Song」は,丁寧に作り込まれたソウルライク進化形の爆誕を予感させる。
「Enotria: The Last Song」公式サイト
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“Enotria” is a trademark of Jyamma Games S.r.l. All rights reserved. “Jyamma Games” is a registered trademark of Jyamma Games S.r.l. All rights reserved.(C)2023 Jyamma Games (C)Enotria: The Last Song.Additional copyright and trademark rights reserved by their respective owners.
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