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ロボ格ゲー「アイアンサーガVS」に触れる。マジンガーZにゲッターロボにダンクーガ,アイサガ機体がサシでブンドド![TGS2024]
作品の方向性は,「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス」や「電脳戦機バーチャロン」などのアクションシューティング系ではない。本作は「サイバーボッツ」「超鋼戦記キカイオー」「機動戦士ガンダム EX REVUE」など,男の子が大好きなリアルでスーパーなロボで,純粋にガチの格ゲーをするやつだ。
まずは原作となる同社の「機動戦隊アイアンサーガ」(iOS / Android)だが,こちらは2018年6月配信のスマホ向けアクションRPGだ。
ゲーム内では,ピクセルデザインのロボを操って熱き魂を高め,それに搭乗する美少女たちを見て,たぎりを冷やしていく。プレイヤー数も世界累計3000万人を突破した市場の定番タイトルである。
そしてアイサガVSでは,原作より「カグヤ」「青龍」「メフィストフェレス」「スサノオ」がプレイアブル機体として参戦する。
さらに,日本を代表するロボットアニメより「マジンガーZ」「グレートマジンガー」「ボスボロット」「ゲッターロボ」「超獣機神ダンクーガ」がローンチ参戦することで注目を集めている。
原作アイサガにしろ,ロボ好きが高じて上記作品のほか,「破邪大星ダンガイオー」「冥王計画ゼオライマー」「天元突破グレンラガン」「楽園追放」や,ロボ判定はギリだが「SSSS.GRIDMAN」「カウボーイビバップ」とコラボするなど,実にクロスファイトなフォーラブをしてきた。
それでは実際にゲームに触れていこう。
機体のビジュアルは2Dデザインだ。昨今の格ゲーも3Dモデルがデフォルトとまではいかないが,2D系のビジュアルも一昔前よりは高品質化が図られている。その点,本作の見た目はノスタルジーな懐かしさを感じるものの,決して古くさくはない。それこそ「スパロボの格ゲーがあったら,こんな感じだよね〜」と長年のイメージが合致することだろう。
機体選択で特徴的なのは「武器セット」の存在だ。プレイヤーが機体を選んだあと,“2つ用意された特殊武装のうち,どちらを使うか”が提示される。例えばマジンガーZなら光子力ビームorブレストファイヤー,ダンクーガなら断空光牙剣 or 断空砲フォーメーションとなる。
上記武装は“通常武装攻撃と武装必殺技”が変化する。武装が違えばまるで別キャラとまでは言えないが,基礎行動にまで影響があることで,攻防の立ち回りにはだいぶ変化をもたらしてくれる。
個人的におもしろいと感じるのは,機体性能をグラフ化して教えてくれることもそうだが,「HP」を数値で明確化してくれているところだ。
多くの格ゲーでは,キャラクターごとの体力はマスクデータとして扱われ,熱心なやり込み勢がトレモを通じて算出するのが常だが,本作ではおっぴろげに公開されている。ここは潔さの表れというより,ロボットが値で測れる存在であるという演出的な意識を感じさせてくれる。
なお,Steamストアページでは武器セットのほか「多様な資源システムで,プレイヤーは資源を配分してスキルを組み合わせ,さまざまなスタイルで戦える」との一文がある。上記文章の詳細は不明だが,もしかしたらパラメータも“改造”できる要素があるとか?
操作体系は「A(弱攻撃)」「B(中攻撃)」「C(高攻撃)」に加え,「D(武装攻撃)」がある。こちらは先に選んだ武装ごとのアクション,あるいはギミックに対応するものだ。このほかA+Bで投げ,C+Dで特殊アクションなども豊富だが,基本は4ボタンと見ていい。
移動システムは8方向レバー操作のほか,ダッシュやバックステップ,ジャンプ中に↑入力で短時間の滞空が可能だ。ゲッターロボ1などの一部機体は空中ダッシュを備えているが,基本はなしである。それでも低空ダッシュはできず,空からの鋭い攻めは抑え気味であった。
さらに特殊操作として,短距離ダッシュの「ストロングアサルト」,攻撃動作をキャンセルしてダッシュする「リミットバースト」,ガードキャンセル攻撃に相当する「防御反撃」,相手の攻撃に合わせて発動し,成功すれば短時間のよろけ有利を取れる「エネルギーシールド」がある。いずれの動作も“スト6のあれら”が一番近しいと思ってほしい。
操作感としては,基本動作は軽快で鈍重には感じないが,1つ1つのアクションに駆け引きがこもっている。ただ,短距離ダッシュのストロングアサルトで急襲し,弱を刻んで小足2〜3連打からどうのこうのする,といった攻めは可能である。空中機動に制限をかけたぶん,地上での横押しにエッセンスを加えたといったところだろう。
※ストロングアサルトには「入力後,ジャンプ操作で空中機動に変化」という特性もあるが,こちらはチェックしきれていなかった。中段攻めに使えるようなものなのかは,現地で確かめてほしい
必殺技は定番の波動・昇竜・竜巻コマンド,超必殺技はいわゆる真空波動コマンド,レバー入れ特殊技もチラホラと備わっている。地上中段攻撃もそれなりにあるようで,選択肢のある攻めができそうだ。
格ゲーの武器たるコンボについては,“基本的にはシンプル”だ。一例としては,弱→中→必殺技,弱→強→必殺技→超必殺技などとなる。弱→中→強 or 武装攻撃などの通常技三段コンボはわりと対応していない。ただ,本作は被撃時のやられフレームがけっこう長く,ほかの格ゲーではつながらなさそうな連係もつながったりはする。
ここはロボの重厚感とでも言うべき,いい表現だと思える。
そのうえで,本作では「ボタンを押したままレバーを入れると自動でコンボしてくれる」システムがある。ボタン連打ではない。弱攻撃を1発当てて入力をホールドし,そのまま“レバーを相手側に倒す”と2発目,3発目,必殺技と出してくれるものだ。さらにレバー操作が早ければ早いほどに強いコンボに変わる。こちらはコンボ威力も高く,対戦ではこれに頼りっきりでも問題ないように思えた。
なにより,レバガチャを推奨するシステムなのがおもしろい。
ただし,慣れないと非常に操作しづらい。あまり前例のない操作方法だからだ。確かにボタン連打で発動できると,初心者向けサポート機能としてはお手軽に高威力すぎて,手動操作が悪い意味で必要なくなってしまう。ゆえに操作に多少のハードルを設けたのだろうが,正直なところ「初心者には出しづらく,上級者は慣れでできる」ものになると感じた。
リスクとしても,攻撃の初手を外したのにボタン押しっぱを続けながらレバガチャ,という大惨事を生み出しかねない。
だからボタン連打にしろ,とは言えないのは上記理由からくるジレンマであるが。もう少しなんらかの磨き方はできそうな気も?
一点,特殊なコンボに該当しそうなのが,リミットバーストを用いた連係だ。これはそれこそドライブラッシュ,あるいはロマンキャンセルなどと書けば伝わるだろうが,弱→中→必殺技→リミットバースト→弱……とつなげていくものである。シンプルに“通常コンボを2回やる”でもよさそうだが,使用時に超必殺技ゲージが一定時間使用不能になる制約を負うため,ノーリソースではあるが,乱用すれば痛い目を見る。
一応,本作は被撃側に空中やられ判定もあるため,「拾うコンボ」は可能そうだ。ゲッターロボの弱→中→ゲッターチェンジ→(ゲッターロボ2で)弱……といった連続コンボも多少は匂いを感じる,まあ,これらが実践的かは見極められなかったので,これ以上の説明はご勘弁を。
本作にはシングルプレイ用の「シナリオモード」が搭載されており,テキストアドベンチャー形式で物語を追っていく。
クロスオーバーものらしく,各作品の交わりの違和感を消せる世界観にはしているようだ。選択機体に応じて視点も異なるため,プレイアブルキャラクターの数だけストーリーを楽しめる。
さらに,シングルプレイのウリとして「AI擬人化システム」なるものが採用されている。本作では“独自の戦術とスタイルを持ったAIたち”が搭載されており,CPUはガン攻めAI,リバサAI,シューティング系AIなど,機体ごとの特徴を動きで表現するようである。
オンラインプレイに関しては,ランクマッチのほか,ロビーありのルーム作成型プレイヤーマッチを搭載するという。ロールバック・ネットコード対応で,対戦時の通信ラグへの耐性も高めるとのことだ。
人気の原作タイトルを格ゲーにする。昔はこれもコンテンツ展開の常套手段の1つで,徐々に廃れていったものの,最近になってまた聞くことが増えてきた。しかもアイサガVSはそれだけにとどまらず,日本の人気アニメのロボットたちをガッツリ組み込んだことで,ロボ好きゲーマーならひと目見て「おっ?」と思うビジュアル性を獲得している。
ゲーム自体の出来はオーソドックスな優等生タイプに仕上げてきたという印象。土台がしっかりとしているので,潮流にさえ乗れば競技タイトルとしての価値も見いだされるようになるかもしれない。
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