プレイレポート
かわいいカピバラ! めずらしいちょうちょ! 「フラッターアウェイ」で,アマゾン熱帯雨林での癒しの旅を満喫
自然が足りない。
大阪の片田舎から上京して早2年。
ただひたすらにコンクリートジャングルを生き延びてきたが,しかし。
苦しい。限界だ――
というわけで,私は自然を求めて旅に出ます。探さないでください。
……
「あっ! めずらしいちょうちょ!」
ニュージーランドのゲーム会社であるRunaway Playの新作「フラッターアウェイ」(Flutter Away)は,アマゾンの熱帯雨林を歩き回って珍しい動植物を観察する,カジュアルな自然探索ゲーム。2023年8月3日のリリースが予定されている。
そんな本作のデモ版をプレイできたのだが,温かみのあるビジュアルとリアルな自然や生き物の表現が生み出すゲームの雰囲気に,自然を求める筆者の心を満たされ,すっかり癒されてしまったのである。
「Flutter Away」公式サイト
(ゲーム内時間で)1日があっという間に過ぎていく,自然と動物による癒されゲーム
本作の舞台はアマゾンの熱帯雨林。プレイヤーは蝶の研究者となって,5日間のキャンプ生活を送りながら日々の観察記録をつけていく。蝶の研究者とは言ったがその対象はさまざまで,蝶に限らずアマゾンで出会う動植物を観察し,新たな発見を記録していくことになるようだ。
まず最初はキャンプ地の設営から。テントを組み立てて,椅子とテーブルを用意して……あっ!
「ちょうちょだ!」
きれいなちょうちょだ。あおいねえ。リュックにとまったよ。かわいいねえ。
この青い蝶はモルフォチョウ(ブルーモルフォ)。身体に比べてとても大きく,そしてキラキラと青色に輝く光沢が美しい翅(ハネ)を持つ蝶だ。どうぶつたちと森や島での共同生活を楽しむ某ゲームで「高値で売れる」ことで,モルフォチョウをご存じだというゲーマーも多いのではないだろうか。
と,さっそく自然とのふれあいを感じられるできごとから始まったわけだが,こうして観察した生き物は,写真を撮影することで手元の日誌「ネイチャージャーナル」に記録されていく。生き物のちょっとした動物の豆知識が記載されるので,読んでいて面白いし勉強にもなる。独特なタッチで描かれるスケッチも味わい深い。
さっそく目標である蝶を見つけられたし,あらためてテントを作り終えて……と。それでは本格的に探検を始めようかしら。奥に滝が見えるからその辺りでも写真で……あっ!
「カピバラさんだ!」
ほうら,よおくみてごらん。とおくに,カピバラさんがいるよ。
ずんぐりむっくりしたフォルムとおとなしい性格で,日本の動物園でも人気のカピバラは,世界最大のネズミとされるげっ歯目の生き物だ。とてもどうでもいい情報だと思うが,自分の中の「なぜか『さん』付けしたくなる動物」ランキングで,ゾウ,キリンに次ぐ第3位でもある。
そんなカピバラが,滝の横でくつろいでいるではないか。眠そうな顔もまた大変キュートである。
おっと,見とれている場合ではない。写真を撮って記録しなければ。
写真に収め,さらにしばらく眺めていると……エッ? カーソルを合わせてみると,なにやらハートマークが出たではないか。こ,これはもしや……撫でられるのでは!?
意を決してクリックしてみると…… |
あっ,あっ,あーっ。行かないで…… |
ううむ,残念。びっくりさせてしまったのか,奥へと逃げていってしまった。
プレイ後にSteamストアページのムービーを見ると,どうやら仲良くなると,キャンプ近くまで来てくれたり,撫でたりできるようだ。嗚呼,触れあってみたい。しかしそれをするには,良好な信頼関係を築かねばならないということだろうか。
遠くへ逃げてしまったカピバラさん。高台に鎮座し,こちらを窺っている。そんな姿もかわいいねえ |
ノートにスケッチカピバラさん。おめめがおおきめなタッチで,これもまたかわいいねえ |
そのあとも,熱帯雨林の美しい自然を満喫しながら,あちこち歩きまわって写真を撮影して過ごすことに。水の流れる音や,風による木々のざわめきなど,環境音が心地いい。
蝶やカピバラ以外にも,いろいろな動物や植物を見つけては記録していく。それら動植物は,開発時のリサーチでより現実に近い形で再現しているそうで,温かみのある雰囲気でほどよくディフォルメされながらも,しっかりリアルさを感じられる独特のデザインになっている。
ビビッドな足の色がオシャレだねえ……なんて近づいたら危ない! 触っちゃダメ! えげつない毒性を持つことでおなじみなヤドクガエルでした |
こちらはアサギドクチョウ。日本では見られない,緑色でシャープなハネがすてきだね |
ひらひら舞い飛ぶちょちょを追いかけていたら,トケイソウが咲いているのを見つけました |
そうこうしているあいだに,だいぶ時間が立っていたみたいだ。日がだんだんと落ちてきて,あたりが暗くなってきた。キャンプに戻り,火を焚かねば。
なお,動物に傷つけられたり,傷つけたりといったことはないので,夜の熱帯雨林でのサバイバル体験が始まるといったことはない。熱帯雨林に生息する生き物や植物,時間や天候の変化といった自然の表現はリアルだが,そのあたりはのんびりと安全に,自然の中でのキャンプの雰囲気を味わえるようになっている。
日が落ちたところで探索はおしまい。明日のために休むことに。さあて,焚き火もつけたことだし,あとはテントでゆっくりとしようかな。
などと言いながら,外に置かれたテーブルを見ると……あっ!
「みたことないちょうちょだ!」
おなまえは,ダズリング ナイトファイターっていうんだねえ。せんとうきみたいで,かっこいいねえ。
どうやら夜行性の生き物も登場するようだ。昼間もいろいろな生き物を見つけたが,夜は夜でまた違った出会いが待っているのだろうか。そんなことを考えながら,テントに入り就寝。1日目のサイクルが終了したところで,試遊したデモ版のプレイ範囲は終了となった。
プレイ時間はここまででだいたい30分程度。短い時間の小旅行ではあったが,十分に自然を堪能できたし,そしてたっぷりと癒された。とくにプレイ中に流れている環境音が心地よい。都会の喧騒で荒んだ心が洗われていくようだ。
まだ全体の5日あるうちの初日を終えただけで,体験できていない要素も多い。天候の変化によって自然環境や観察できる生き物がどう変わるのか気になるし,カピバラさんと仲良くなったらどんな触れ合いが楽しめるのかも知りたい。もしかしたらテントで一緒に雨宿り……なんてこともあったりするのだろうか。
ここでちゃんと真面目な話をしておくと,実際の野生動物は,自然環境と(自分自身の)人体の両方に影響があるため,むやみに触れてはならないものである。つまり本作で体験できる動植物とのふれあいは,ゲームならではの特別な体験ということになるわけで,自然や生き物が好きな人にはそのへんもグッとくるはずだ。
カジュアルに自然の雰囲気を楽しめるゲームとして本作の魅力を伝えてきたが,実はそれだけではない。何やら訳ありな雰囲気のあるストーリーも,けっこう興味を引かれるものが用意されているのだ。主人公は,都会からはるばる熱帯雨林にやってきた研究者なのだが,初日の日記を読むと,どうやら目的の研究以外にも,何かしらの気持ちを抱えているようだ。
そんなストーリーも気になる「フラッターアウェイ」は,PC向けに,しっかり日本語に対応した形で2023年8月3日に発売される。さらに海外向けには,Switch版のリリースも行われる予定だ。気軽に遊べるゲーム性でSwitchとの相性もよさそうなので,ぜひ日本向けにもSwitch版を展開してほしい。
自然や生き物が好きな人はもちろん,筆者のように「コンクリートジャングルの生活からちょっと離れて,自然のジャングルもしくは熱帯雨林に旅立ちたい」と思った人も,本作でカジュアルにアマゾン熱帯雨林の探索へと乗り出してみてはいかがだろうか。
「Flutter Away」公式サイト
- 関連タイトル:
Flutter Away
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Flutter is a trademark of Runaway Play Ltd