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空の王者イヌワシさんの「The Rise of the Golden Idol」レビュー。えーあい!Steam広場
今週のライター:イヌワシ
筆者近影
オレは空の王者イヌワシだ。英語ではゴールデンイーグルなんて呼ばれてるぜ。日本最大の猛禽類で,翼を広げれば2メートル以上。お前たち人間を遙かに凌駕する視力と鋭い爪を持っている。垂直に飛ぶのが得意で,400メートルの高さから時速200キロ以上で急降下することもできるんだぜ。つまり,オレ様に狙われたら逃げることなんてできないってことだ。
※この記事は,編集者のゲーム体験メモをベースにClaude(3.5)が執筆したものです。AIが執筆するゲームレビューという趣旨に基づき,編集は最低限にとどめています。
「The Case of the Golden Idol」から200年。1970年代を舞台に,黄金の偶像が再び人々の運命を狂わせていく。
「The Rise of the Golden Idol」でオレたちは再び,時が止まった瞬間の目撃者となる。精神病棟で患者に首を絞められている男。ドライブインシアターで突如発生した火災の最中,慌てふためく観客たち。高電圧の配電盤に押し込まれ,電撃の中で痙攣する犠牲者――。これら全ての凍り付いた瞬間に潜む真実を,明らかにしていくことになる。一度この世界に足を踏み入れたら最後,羽を休ませる時間すら惜しく感じるだろう。
というわけで,今回はThe Rise of the Golden Idolを紹介しよう。ネタバレを避けるため,本稿に掲載するスクリーンショットはすべてストアページに掲載されているものを使う。
さて,本作の基本的なゲームプレイは前作を踏襲している。プレイヤーは事件現場を自由に調べ,そこで見つけた「手がかりの言葉」を集める。人物の名前,場所,行動,アイテムなど,様々な要素が言葉として収集され,それらを組み合わせることで事件の真相に迫っていく。
具体的には,以下のような形で推理が進められる。例えば「()の今日の()は()。出かける時には必ず()を持っていこう。()が()なっているので気をつけよう」という文章の空欄に,集めた「傘」「靴」「雨」「空」「東京」「地下鉄」「地面」「滑りやすく」「転びやすく」「カバン」「天気」といった言葉を適切に当てはめていく。このように,文脈に沿って正しい言葉を選び,事件の状況を再構築していくわけだ。
本作の特筆すべき点として,「必要な情報は全てそこにある」という点が挙げられる。多くの推理ゲームでは,「重要な手がかりを見落としているのではないか」「まだ発見できていない情報があるのではないか」という不安に悩まされがちだ。
しかし本作では,シーンに存在する全ての情報を収集してから推理を開始する流れになっている。そのため,プレイヤーは「情報が足りない」という不安を感じることなく,純粋に論理的思考に集中することができる。
ただし,ゲームはプレイヤーの手を取って導いてはくれない。時には試行錯誤も必要になるが,基本的には論理的な推理によってのみ,正しい答えにたどり着くことができる。爪を隠している余裕なんてこれっぽちもない。
前作からの改善点として,インターフェースの合理化が挙げられる。言葉の収集が自動化され,シーンの観察と推理を同時に行えるようになった。画面上に移動可能なウィンドウとして推理フォームが表示され,より直感的に事件を解き明かせるようになっている。
舞台が1970年代に移ったことで,扱われる事件の性質も大きく変化した。指紋照合や写真の分析など,より現代的な捜査手法が取り入れられ,また登場人物も貴族や秘密結社から,企業経営者や歴史学者へと様変わりした。その上で,人間の傲慢さという普遍的なテーマが,現代にも通じる形で描き出される。
本作の特筆すべき点は,一見単純な「空欄埋め」というメカニクスから,驚くほど多彩な謎解きと物語を紡ぎ出していることだ。各シーンには複数の人物が登場し,それぞれが不明確な動機を持っている。関係のない手がかりが混ぜられ,プレイヤーの目をくらます。暗号解読や映像分析など,事件ごとに異なるアプローチが要求され,決して単調にはならない。
また,一見バラバラに見える事件も,章の終わりに用意された「まとめの推理」によってつながっていく。複雑に絡み合う事件の糸を,プレイヤーは丹念にほぐしていくことになる。これは前作では見られなかった要素で,物語の理解をより深めることに成功している。
細部への注意も重要だ。事件現場には,必ずしも「手がかり」としてマークされていない重要な情報が散りばめられている。誰かの指にある絆創膏,モデルの口紅の色,少しだけずれた敷物――。これらすべてが,パズルのピースとなる。
全20件の事件の中には,殺人事件ではない,比較的軽めの事件も含まれる。これらは物語を前に進める上で必要な情報を含んではいるものの,ボールの転がり方を追跡するような退屈な事件では,やはり物足りなさを感じさせる。
とはいえ,そうした事例は少数派だ。本作は基本的に,前作の長所を継承しながら,より複雑で創造的な推理パズルを提供することに成功している。インタフェースの改善,より緊密になった物語の構成,そして時代設定を活かした新しい推理手法の導入――。これら全てが,前作を超える続編として本作を成立させている。
The Rise of the Golden Idolは,プレイヤーの注意深い観察と論理的思考を要求する。だがそれは決して不親切ではない。むしろ,プレイヤーの推理力を信頼し,それを引き出そうとする姿勢が随所に感じられる。ヒントシステムも,答えを教えるのではなく,プレイヤーを正しい方向へ導くよう設計されている。
このゲームが特別である理由は,プレイヤーに完全な自由を与えながらも,決して道筋を見失わせない絶妙なバランス感覚にある。それは,プレイヤーが「完全に詰まった」と感じた瞬間にも,実は必要な情報は全て目の前にあったという気づきをもたらす。まさに,最高の推理ゲームが持つべき資質である。
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