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[TGS2023]爽快なアクションに加えて,人生の世知辛さを味わえるビル清掃ゲーム「SKY THE SCRAPER」
通りすがりにプレイ画面を見たときは,「ビルの壁面を縦横無尽に駆け回る,爽快なアクション」といった印象を受けたのだが,実際に触ってみると,予想もしなかった一面が見えてきたので,本稿でレポートしよう。
なお,記事中のボタン表記はXbox系コントローラを使った場合のものだ。
本作の主人公は,不確かな夢を追いながら日々を過ごす青年の「スカイ」。彼は父親に告げず家を出たようで,プレイアブルデモはスマホに父親からの「後悔する前にさっさと帰ってこい」というメッセージが入るところから始まる。
そして追い打ちをかけるように,住んでいる部屋の大家から,7日後に頭金100ドルを払えという催促。ビルの壁面清掃でこの100ドルを稼ぐのが,最初の目的となる。
というわけで,さっそく仕事へ。スカイはワイヤーに吊られた状態となっており,左スティックで振り子のように移動し,[A]ボタンで壁に張りつく。張りついた状態で汚れの部分を移動すれば,自動的にワイパーで汚れを除去できる。
右に左に大きく動きながら汚れを拭き取っていくのはなかなか爽快で,ここは第一印象通りだった。
ただし,張りつき時はスカイの上に表示されている黄色のゲージを消費する(壁から離れれば自動的に回復)。また,ワイパーも使っているうちに能力が落ちてくる(同じくスカイの上に表示されている白ゲージが減る)ので,[X]ボタンで洗浄しなくてはならない。このゲージの減り方が結構速いので,こまめに休憩や洗浄を行う必要がある。最初から最後までずっと掃除しまくるというわけには行かないのだ。
黄色のゲージが0になると,スカイは落下してしまう。落ちていく途中で復帰できることもあるのだが,そうでない場合は地面に叩きつけられて負傷ということになる。
筆者の場合,初回のプレイで攻めすぎて落下し,いきなり全治2日の怪我を負った。その日の給与明細を見ると,経費や税金に加えて治療費まで引かれており,50ドルくらいの収入があっても,手取りは10ドルちょっとしかない。このままでは頭金が……。
なんとか巻き返したいところだが,全治2日なので,そこに入っていた仕事には行くことができない。全快してさぁ働くぞと思ったら,計ったようなタイミングで仕事が入っていない。心身の調子を整えたり,装備を揃えて仕事の能力を上げたりする「アクティビティ」にもお金が必要なので,散歩か寝ることぐらいしかやることがなく,7日間はあっという間に過ぎて,ゲームオーバーとなってしまった。
気を取り直して再挑戦。安全第一のプレイを心がけたのだが,仕事はどんどん難しくなってくる。強風が吹くと移動が狂いがちになるし,鳥にぶつかればスカイは落下してしまう。連日仕事をしていると疲れが溜まって,張りつきのゲージが減りやすくなったりもするようだ。
そんな中で再び落下事故を起こしてしまい,またしても7日目までに100ドルを用意することはできなかった。
前述したように,筆者の第一印象である「爽快なアクション」の要素は確かにあり,間違いではなかったのだが,実際にプレイしてみると,パッと見では分からなかった「世知辛さ」のようなものが強く感じられた。
毎日快適なコンディションで働けるわけではないし,金を稼ぐために危険な作業をすると,かえって損する場合もある。そして,収入の割に手取りが少なく,支出項目は多い。1つの怪我が人生の岐路に大きな影響を与えるかもしれない。
どれも現実では当たり前のように起こっていることではあるが,ゲームでそれを再現されると,改めて厳しさを痛感する。
製品版でのスカイの目的は「2か月後までに人生の進路を見つけること」。今回プレイした範囲では,進路をどうやって見つけるのかは分からなかったが,これだけ生きづらい世界で奮闘するスカイの今後が気になってしまった。彼にシンパシーを感じた人は,ぜひ本作をプレイしてほしい。リリースは2024年の予定だ。
- 関連タイトル:
SKY THE SCRAPER
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