インタビュー
[G-STAR 2023]「BREAKERS」は誰でも分かりやすい大衆的なゲームを目指す。同社ブースで新バージョンや制作について開発者に聞いた
[G-STAR 2023]「BREAKERS」の新バージョンをプレイ。2人の新キャラクターでダンジョンに挑戦した
韓国で開催中のG-STAR 2023にて,VIC GAME STUDIOSの新作RPG「BREAKERS:UNLOCK THE WORLD」がプレイアブル出展中だ。TGS 2023でも出展されたばかりの本作だが,今回は新しいバージョンがプレイできるということで,さっそく遊ばせてもらった。
今回,東京ゲームショウでも話を聞いたVIC GAME STUDIOS JAPANのCEOであるイ・ドンギョ氏に加え,アニメーション監督・演出ディレクターを務めるイ・ドンジュン氏,そして,アートディレクターのハン・ソクジュン氏にインタビューする機会を得た。新バージョンの特徴など,気になる話を聞けたので,その模様をお届けしよう。
回避の調整などTGSバージョンから細かな部分も改善
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。東京ゲームショウ2023(以下,TGS)に続く,大きなイベントへの出展になりますが,G-Star初日(※11月16日収録)の反応はいかがでしょうか。
初日の目標数は内部で決めていましたが,それは達成できました。今は皆さんの表情だったり,プレイする姿を見て嬉しく思っています。
4Gamer:
G-Starバージョンは,TGSバージョンからいくつかの追加などがあるようですが,見どころを教えてください。
イ・ドンジュン氏:
TGSのビルドに比べて,前後のストーリーやプレイできるキャラクターが増えています。それに加えて操作感なども改善したので,プレイしやすくなっていると思います。打撃音なども,比べてみれば違いが分かりますよ。
4Gamer:
先ほどプレイした感じですと,回避も変わっていますね。
そうです。TGSバージョンでは,回避ボタンを押すと前方に移動していましたが,今は移動方向へ回避できるようになりました。
4Gamer:
そうした細かなところも,どんどん調整されているわけですね。ところで,プラウスとの戦闘後に「ストーリー解放」と表示されましたが,あれはどういうものなのでしょうか。
ハン・ソクジュン氏:
今回のビルドではメインストーリーを体験できますが,プラウスのようにメインストーリーと関係がない,もしくは関係はあるけれど(現段階で)メインではないキャラクターのストーリーが解放されてプレイできるといった形になる予定です。
4Gamer:
なるほど,サブクエストのような感じになるわけですね。例えば,プラウスがプレイアブルになるという感じでしょうか。
イ・ドンギョ氏:
キャラによって異なります。プラウスの物語を主人公たちの視点で見ていく場合もあれば,実際にプラウスが(サブクエストで)プレイアブルになり,その視点で物語を知ることもあります。
4Gamer:
今回のバージョンでは,泳ぐ,壁を登るといったアクションも確認できましたが,例えば登る場所はどこでもというわけではなく,決まった場所になるんですね。
ハン・ソクジュン氏:
はい。基本的には,決まった場所でしかできないアクションになります。
イ・ドンギョ氏:
これらのアクションは,新しい道を探したり,宝箱を探したりなど,マップを探索するためのギミックとして考えています。
4Gamer:
なるほど。船着き場のNPCも,どこかに宝箱があるかも,みたいな話をしていました。そうした隠し要素もあるわけですか。
ハン・ソクジュン氏:
そうです。NPCに噂を聞いて,それを見つけるといったものも考えています。
4Gamer:
ストーリー部分を終えると,新キャラを加えた3人でダンジョンに挑戦できます。内容としては,3回のウェーブを戦うバトルコンテンツでしたが,いわゆる探索できるようなダンジョンも存在するのですか。
ハン・ソクジュン氏:
もちろん,ダンジョンを探索してクリアするようなコンテンツも開発しています。
4Gamer:
プレイして気になったのはボイスで,一部にボイスが入っていないパートがありました。パートボイスのような形なのでしょうか。
イ・ドンギョ氏:
いえ。ゲームショウ向けのビルドなので,まだ録れていない部分があります。基本的にはフルボイスを目指しています。
4Gamer:
分かりました。
ところで,TGSでのインタビューでは李さんが日本のアニメについて言及されていました。おふたりも何か日本のアニメを見ていた,もしくは見ているのでしょうか。
最近だと「葬送のフリーレン」ですね。刺激的な物語が多い中,癒される話が好きです。あとは「異世界おじさん」です。同じ世代なので刺さるんです(笑)。
ハン・ソクジュン氏:
「SPY×FAMILY」です。私も娘を持つ父親なので,思いが強くなりますね。
4Gamer:
そうしたアニメからインスピレーションを受けるといったこともあるのでしょうか。
イ・ドンジュン氏:
いろいろな作品からインスピレーションを得ているので,これ,というのはないのですが,ファンタジーな世界観については,フリーレンや「盾の勇者の成り上がり」といったファンタジー系アニメから,戦闘については少年漫画のアニメから得ていますね。開発初期にインスパイアされたのは「ロードス島戦記」でした。
4Gamer:
具体的にはどのような部分に影響を受けましたか。
イ・ドンジュン氏:
仲間との関係性や,みんなで目的地に向かうという流れですね。
4Gamer:
あの物語では,仲間との出会いや別れがありますが,BREAKERSでもそういった展開はあるのでしょうか。
ハン・ソクジュン氏:
物語の中で仲間になったり,別れたりすることはありますが,ゲーム的には,プレイヤーが使いたいキャラは使えるというものにしたいと思います。
4Gamer:
別れたからといってプレイアブルの一覧から消えないわけですね。
アニメらしい表現のため,
戦隊ものの大げさなしぐさを参考に
4Gamer:
本作は「日韓共創」ということですが,担当する部門のクリエイターは,明確に日本側と韓国側で分かれているのですか。それとも,そうした境界はなく,各部門でそれぞれの地域のクリエイターが制作を進めているのでしょうか。
ハン・ソクジュン氏:
一緒に作業をやっています。例えば,メインストーリーの軸を最初に韓国で考えたとしたら,それに対する意見を日本からもらって混ぜるといったように,ほとんどが共同作業です。
4Gamer:
連携して制作するうえで,日本と韓国とでニュアンスやプレイヤーの反応が異なる表現は少なくないと思うのですが,そのあたりは,どのようにすり合わせているのでしょうか。
ハン・ソクジュン氏:
基本的にはジャパニーズアニメーション的な表現がメインなので,韓国や日本のどちらかに寄せるというより,強いて言えば日本のアニメに適した表現にしています。最近では日本のアニメが韓国でメジャーになっているので,韓国のプレイヤーも日本のアニメ表現やニュアンスに親しみを持っていると思います。
4Gamer:
なるほど。日本のアニメを楽しめる世代がプレイヤーの中心になりつつあるわけですね。
ところで,トゥーンレンダリングでキャラクターに影をつけるとき,以前は影を強調するせいか,キャラの見た目が怖くなるみたいなことが多ったように思うんです。しかし最近では,VIC GAME STUDIOSのタイトルに限らず,自然な絵作りになっているように感じていました。技術やツール性能の向上もあると思うのですが,VIC GAME STUDIOSではどのような工夫をされているのでしょうか。
ハン・ソクジュン氏:
実写のようなライティングではなく,アニメに適切なライティングの調整をずっと研究してきたので,処理はなめらかになっています。
イ・ドンジュン氏:
実写風のゲームでは高い技術力が必要という認識を持っている人も多いと思いますが,我々のゲームでは,実写に負けないくらいの技術が使われています。加えて,2Dアニメーションのようなゲームを3Dで作っているので,キャラのしぐさなどの表現を豊かにするための作業をいろいろとしています。その中で参考にしているのが,日本の戦隊ものや仮面ライダーとかだったりするんですよ。
4Gamer:
戦隊ものですか。どのようなことを参考に。
イ・ドンジュン氏:
彼らは,基本的にマスクで顔が見えないにもかかわらず,しぐさなどで感情が分かりやすいんです。ですので,感情表現のためのアニメの参考にしています。また,日本の演劇や舞台も参考にしています。これも,遠くから見ている観客にも演技の内容が分かりやすいですよね。大げさに見せるという表現が優れているんです。
他社では,俳優などがモーションキャプチャのモデルを務めると思うのですが,弊社では,モデリングを担当する人が芝居を勉強して,自分たちで表現しようとしています。
4Gamer:
分かりました。2024年の初頭にクローズドβテストを予定しているとのことですが,今後の展開など,現段階で話せることはありますか。
ハン・ソクジュン氏:
来年は,G-Starのような表の舞台に出るよりは開発に集中して,作品の完成度を上げていく予定です。2024年上半期からは,ずっとテストを続けていくことになると思います。
4Gamer:
CBTですが,まず韓国で実施されるといった感じですか。
イ・ドンギョ氏:
いえ,日本と韓国で同時にやることを想定しています。日本のプレイヤーの反応が気になりますし,そこにタッチできることを目指しています。
4Gamer:
期待しています。では,マネタイズを含めて具体的なサービス概要は決まっていますか。
イ・ドンギョ氏:
マネタイズについては,キャラクターを集めるようなガチャになるでしょうが,物語を進めていく中でクリアに必要なキャラクターは手に入り,好きなキャラが欲しかった場合はガチャを,という形になると思います。それに加えて,プレイの報酬をブーストするといったものを考えています。
4Gamer:
武器などはどうどうなりますか。
イ・ドンギョ氏:
装備系も検討していて,装備を育成していくなど,いろいろな形があるとは思いますが,そこはまだ調整中です。
4Gamer:
分かりました。では最後に読者へコメントをお願いします。
ハン・ソクジュン氏:
ファンに刺さるようなゲームにして,たくさんの人に愛されるよう,がんばって開発しますので,よろしくお願いします。
イ・ドンジュン氏:
最近は暗い話だったり,分かりづらい物語だったりが多いと思いますが,BREAKERSは誰でも分かりやすく,プレイしやすい大衆的なゲームを目指しています。いろいろな人にプレイしてもらい,好きになっていただければと思います。
イ・ドンギョ氏:
BREAKERSに興味を持っている人も,まだ知らない人もいると思いますが,プレイして後悔しない,いい物語で,楽しいゲームを作っていきます。日本のユーザーにプレイしてもらえるよう,がんばりたいと思います。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「G-STAR 2023」公式サイト
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