プレイレポート
[TGS2023]ポーランド産ローグライクRPG「BEAST」のハードコアな世界観やゲームプレイを堪能しよう
本作は,モンゴル軍の侵攻や黒死病の蔓延を体験し,さらにはオスマン帝国からの執拗な侵略にも耐えていた東欧世界を,リアルに描き上げた世界観となっている。南欧ではキリスト教主導の社会の立て直しも行われているが,まだまだ暗黒時代から抜け切れていない東欧地域では,土着的な信仰や風習も残されている。そんななか,10年にもおよぶオスマン帝国での奴隷身分の生活から抜け出し,故郷への逃亡を図る主人公の元兵士「キャプテン」が,仲間と出会ったり,傭兵を雇ったりしながら馬車で旅を続けていくというストーリーが描かれている。
今回展示されたデモは,プレイヤーの一団がどこかの村に差し掛かった時に襲われるというシチュエーションの,チュートリアルが終わったばかりの序盤のストーリーが体験できた。荷馬車の御者が1人おり,その周囲を主人公を含む3人ほどの異なる武器を持った兵士たちが取り囲んでいる。馬車を村の反対側にある,赤い円状に表示された地点まで運び入れることができればミッション達成となるため,プレイヤーはひとりひとりにコマンドを与え,アクションポイントに合わせて移動させたり敵に攻撃したりするというターン制バトルが展開した。
ヘルスの回復が1キャラクターにつき1回に限定されていたうえに,確認できる敵をすべて倒したかと思うと新しい敵が家屋のなかから飛び出してくるといったように,どれだけリソースをセーブしながらゲームを進めていくべきか,まだ判断しにくい状態だが,倒された仲間は帰ってこないという「XCOM」風のローグライクなシステムをフィーチャーしているのが特徴だ。せっかく育てた仲間を失うという心苦しい展開に関して,「新しく雇い直すのはコストも必要になるので,リロードしてそのミッションをやり直すというオプションは残しておく」とデモを解説してくれた開発メンバーは話していた。
もちろん,今回プレイできるデモはプレアルファ版なので,完成からは程遠い状態であり,バランスも調整されていないので難度は高めらしく,今回のイベントでは最後の円状の地点まで馬車を搬入できたプレイヤーは,ほとんどいないとのこと。筆者も一歩手前で失敗したが,重要なのはマスケット銃を装備している御者を上手く使うこと,そして家屋の反対に回って迂回行動したり,家屋の裏手にある小高い場所に射手を配置したりすることで,直線的に突進していくよりも,ゆっくりとプレイしていくスタイルがサバイバルの確率を高めるとのことだった。
実際の歴史をモチーフにしているため,どこか「The Witcher」シリーズの村人たちを思わせるような,薄汚れて髪もべたついた身なりの,洗練されていないキャラクターのデザインになっている。武器も鎌などの農耕用具を手にしているのだ。
魔法などもほとんど登場しないと思われるが,タイトルどおり,ゲームでは冒頭で何らかのイベントが発生して,キャプテンは吸血鬼か狼男とでも表現すべきようなデーモン,「ビースト」に変貌する。
アドレナリンを溜めてビーストになることができれば,そのパワーとともにアクションポイントも増え,移動力も上がり,複数の敵を圧倒することもできる。この,己の内にあるスラブ伝説的なデーモンを,いかにコントロールしながらゲームを進めていくのかがカギとなる。荒廃した故郷の救世主となるか,悪のヒーローとして新たな秩序を築いていくのかを,プレイヤーは物語をとおして決定づけていく。
そんな本作は,ストーリーやテーマだけでなく,グラフィックス表現もかなり尖った大人向けの作品であるのは間違いなく,敵キャラクターへのフィニッシュムーブのアニメーションが豊富に用意されているようだ。今回のデモでは機能がオフにされていた状態だったが,公開されているトレイラーからも分かるように,相手の首や肉体をぶった切るようなゴア表現もあり,過酷な暗黒時代の雰囲気を演出しているという。
おそらくはアーリーアクセス版という形で,2024年内にはリリースされる予定の本作だが,新たに公開されたトレイラーは日本語版も用意されているなど,そのローカライズには期待できそうだ。今後は,ゲームイベントやソーシャルネットワークをとおした露出も増えていくはずなので,公開されたばかりのSteamストアページでウィッシュリストに追加しておくと良いだろう。
「BEAST」公式サイト
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