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FFXIIのモブハントをモーグリ視点で体験。新作ボードゲーム「ファイナルファンタジー モーグリ6兄弟のモブハント」プレイレポート
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印刷2024/05/21 11:06

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FFXIIのモブハントをモーグリ視点で体験。新作ボードゲーム「ファイナルファンタジー モーグリ6兄弟のモブハント」プレイレポート

 2024年4月27日と28日に開催された,国内最大級のアナログゲームイベント「ゲームマーケット2024春」から,スクウェア・エニックスブースに出展されていた新作ボードゲーム「ファイナルファンタジー モーグリ6兄弟のモブハント」(以下,モーグリ6兄弟のモブハント)のプレイレポートをお届けする。

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 「ファイナルファンタジーXIV」の世界を舞台にしたテーブルトークRPG「FINAL FANTASY XIV TTRPG」など,このところ自社IPを活用したアナログゲームを積極的に展開しているスクウェア・エニックス。ゲームマーケットへの出展も,ここ数回は続けてブースを構えており,参加者にとってもお馴染みの光景となってきたフシがある。

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 本稿で取り上げる「モーグリ6兄弟のモブハント」は,前回のゲームマーケット2023秋で予告されていたタイトルだ。それが今回は,試遊可能な状態で出展されていたので,実際に遊んでみた。
 なお,今回の出展バージョンはモックアップ(試作)版であり,イラストなどは仮のものとのこと。製品版ではカード効果や内容物に変更が生じる可能性があるので,その点は留意いただきたい。

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 スクウェア・エニックスは本日,2024年4月27日と28日に東京ビッグサイトで開催される「ゲームマーケット2024春」の出展情報を公開した。ブースでは,カナイセイジ氏がゲームデザインを担当する,新作ボードゲーム「ファイナルファンタジー モーグリ6兄弟のモブハント(仮称)」先行体験会が実施される。

[2024/04/19 13:45]


“お隣さん”の具合をうかがいながら冒険者を派遣する変則エリアマジョリティ


 「モーグリ6兄弟のモブハント」は,「ファイナルファンタジーXII」(以下,FFXII)の世界観をベースにした対戦型ボードゲームだ。プレイヤー人数は2〜4名で,ゲームデザインは「ラブレター」などで知られるカナイセイジ氏が手がけている。イラストは,FFXIIのアートデザインを担当した伊藤龍馬氏による描きおろしとのことである。

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 本作のテーマは,タイトルどおりFFXIIでは馴染みのモンスター討伐クエスト「モブハント」だ。プレイヤーはモーグリ6兄弟の1人となってモンスターの撃退を目指し,戦いに最も貢献したプレイヤーが勝者となる。
 ただし,モーグリ達に戦う力はない。実際にモンスターと対面するのは「クランセントリオ」に所属するメンバーで,モーグリは彼らを派遣する立場だ。つまり,FFXIIにおけるモブハントを,管理者(クラン)側の立場から体験できるのが本作というわけだ。

実際にモンスターと戦う仲間達はカードとして表現されており,手札から彼らを場のモンスターに割り振る形でゲームが進行する
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 そう聞くと難しそうに感じられるが,実際の処理はかなりシンプルだ。手番が来たプレイヤーは手札のカードを1枚選び,派遣先のモンスターを決定するだけ。各カードには“パワー”が設定されており,モンスターごとに最大のパワー(合計値)を派遣したプレイヤーから順に,より多くの勝利点を得られる仕組みだ。

 特徴的なのは,モンスターによって派遣できるプレイヤーが異なる点だ。共有の場には,全員がカードを派遣できるボスモンスターと,プレイヤー同士の“間”に配置される通常モンスターが存在している。そして,通常モンスターへは隣接するプレイヤーしかカードを派遣できない。
 つまり,各プレイヤーがアクセスできるモンスターは計3か所(ボス1体,通常2体)で,通常モンスターを巡っては,隣接するプレイヤー同士でパワーを競い合うことになる。両隣のプレイヤーが,どちらのモンスターに注力しているかを見極め,少ない投資でそれを上回れるようにカードを派遣するのだ。

小型モンスターには各プレイヤーが2枚までのカードを派遣できる。特定の効果を“メタる”能力を持つモンスターもいるので侮れない
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ボスは全員がアクセス可能な代わりに,勝利時のリターンが大きい。今回のプレイでは,いきなりヤズマットがボスとして登場した。原作ではHP5000万を超える最強の敵だったが,本作で戦うのはプレイヤーではないので5%で即死する連撃を耐える必要はない。戦いは優秀な仲間達が全部やってくれる
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 また,各モーグリには固有の特殊能力があり,それぞれが持つデッキの内容も異なる。加えて,FFXIIの主人公パーティーメンバーを示す「ヒーローカード」が各デッキに1枚ずつランダムに投入されるため,有効な連携もゲームごとに変化する。処理的には手札を3か所のうち1つに置くだけなのだが,それぞれの効果が絡むと,一気に読み合いが楽しくなってくる。
 例えば,筆者が担当したモーグリ6兄弟の長兄「モンブラン」は,モンスターに投入したパワーが同点の場合は勝利として扱える。ちょっとした効果にも思えるが,できるだけ僅差で勝つほどほかのモンスターにリソースを回せる仕組みだけあって,相手からすればかなり厄介な効果に感じるはずだ。

アーシェはパワー1と非力だが,無条件で同じモンスターの討伐に参加しているカードを「疲労」状態にできる。疲労状態になったカードはパワーを計上できない
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 基本システムは変則的なエリアマジョリティ(陣取り)系のゲームと言えるが,こういったゲームでは先に情報を出す先攻側が不利となることが多い。本作では,それをルール面でうまくカバーしているのが印象的だった。

 “先攻不利”の対策として強く機能しているのは,カードを裏向きで派遣できるルールだ。裏向きのカードは得点計算の直前に公開され,表向きのカードと同様にパワーが計上される。それまではカードの内容が秘匿されるので,後出しジャンケンによる不利を被りにくくなるのだ。

 一方で,強力な効果持ちカードの多くには「表・即」と表記されており,それらのカードは表向きに出さなければ効果が発揮されない。そのため,裏向きのカードは「効果を持たない高パワーカード」と「弱めの効果と中程度のパワーを持つカード」の二択となり,どちらを使うかでブラフを仕掛けられる構造になっている。
 手番による有利不利を薄めつつ,ゲームに読み合いの要素を取り入れる“裏出し”の仕組みは,非常に効果的な解決策だと感じられた。

各プレイヤーのデッキは共通カードセット(6枚)と,モーグリの固有カード(4枚),ヒーローカード(1枚)で構成される
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 隣接するプレイヤーとの競い合いをベースにしたボードゲームには「ふたつの街の物語」「スプリト」といった先行作品が存在するが,それらは半協力的なシステム上でバランスを探るのが重要だったのに対し,本作ではカード効果を駆使した直接的なバトルが楽しめる。そのぶん基礎システムを軽量化し,遊びやすく調整している印象だった。

 固有のテキストはそれなりにあるものの,プレイヤーがアクセスできる場所が3つに制限されているため,それほど処理が煩雑でないのも嬉しいところ。手軽にワイワイと盛り上がりながら遊べる対戦ゲームを求める向きには,ピッタリな作品になりそうだ。

 なお,先述のとおり今回のテストプレイはモックアップ版だったため,使用できたのはモーグリ6兄弟のうち4人のみ,ボスモンスターはヤズマットのみの構成になっていた。現地のスタッフに話を聞いたところ,製品版ではモーグリ6兄弟が全員が使用可能で,ボスや小型モンスターも追加されるとのことである。

 モックアップ版でも十分に奥深い読み合いを楽しめたので,使用できるモーグリ(デッキ),出現する各種モンスター,そしてヒーローカードの組み合わせがより多様になれば,何度も遊べるゲームになりそうな本作。FFXIIのファンアイテムとしてはもちろん,純粋なアナログゲームファンもぜひ遊んでみてほしいタイトルだ。

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    ファイナルファンタジー モーグリ6兄弟のモブハント(仮称)

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