インタビュー
「V.E.D.A」は“多くの人がエンディングに到達できるソウルライク”を目指す。開発会社CEO Manson Jeong氏に話を聞いた[G-STAR 2024]
2025年にグローバルリリース予定で,「多くの人がエンディングに到達できるソウルライク」を目指しているという。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。Tripearl Gamesは,Jeongさんが設立した会社ですか。
Manson Jeong氏(以下,Jeong氏):
はい。2021年に4人のメンバーで共同創業しました。皆,ゲーム業界のベテランです。
4Gamer:
会社を立ち上げた理由を教えてください。
Jeong氏:
当時の韓国市場はモバイルゲームが盛んで,自分たちの得意なものが作れなかったからです。私は「Little Devil Inside」の開発メンバーとして,コンシューマゲームの経験を積んでいたので,独立しても制作できると思いました。
4Gamer:
Tripearl Gamesにとって,「V.E.D.A」は何作目の作品ですか。
Jeong氏:
初めての作品です。
4Gamer:
では会社の設立時には,このゲームの構想があったということですね。ソウルライクジャンルを選んだのはどうしてですか。
Jeong氏:
創業メンバーの長所を生かせるからです。私は,企画・プロデューサー職のキャリアが長く,ゲームのローンチやグローバル展開が得意です。そして,グラフィックス分野で26年の経験を持つテクニカルアートディレクター,NCSOFTで「ブレイドアンドソウル」を担当していたアニメーター,ソウルライクが大好きなCTO(最高技術責任者)が集まりました。
その結果,グラフィックスもアクションも,インディーゲームの中では高品質なタイトルに仕上がっていると思います。
4Gamer:
先ほど私も遊ばせてもらいましたが,インディーゲームとは思えないクオリティでした。
Jeong氏:
ありがとうございます。最初は4人で作り始めましたが,今ではメンバーも約10人に増えました。
4Gamer:
あらためて「V.E.D.A」のコンセプトを教えていただけますか。
Jeong氏:
グローバル展開を念頭に置いて,SFストーリーを構築しました。「V.E.D.A」はスーパーAIの名前です。マーベル映画のように,現実なのかフィクションなのか分からなくなるような世界を作り出しています。
4Gamer:
ジャンルはソウルライクとのことですが,具体的にはどの作品から影響を受けましたか。
Jeong氏:
「ELDEN RING」と「DARK SOULS」シリーズです。「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」のような軽いタイプではなく,一撃に重みのある攻撃アクションを採用しました。
4Gamer:
それらとは違う「V.E.D.A」ならではの要素はありますか。
Jeong氏:
「ELDEN RING」は韓国でもブームになりましたが,データによると約2割のプレイヤーしかエンディングに到達していないようです。そこで「V.E.D.A」は,多くの人がエンディングに到達できるソウルライクを目指しています。
4Gamer:
それは難度を下げるということですか。もしくは,ほかの工夫があるのでしょうか。
Jeong氏:
これまでの作品はダークファンタジーの世界観で敵が非常に怖いですが,「V.E.D.A」はSFの世界観でテイストを変えています。また,ローグライクのシステムを取り入れて,ゲームオーバーになった際にも次のプレイに期待感が持てるようにしました。
戦闘自体の難度は「ELDEN RING」よりやや低いくらいですが,シミュレータによる戦闘訓練という形式を採用したことで,プレイヤーが実際に体感する難度はさらに低くなっています。東京ゲームショウをはじめ,さまざまな展示会に出展し,これを検証してきました。
4Gamer:
SF世界でロボットを倒していくのかと思いましたが,試遊版のボスはダークファンタジー風でした。これはどうしてですか。
Jeong氏:
近未来を舞台にしていて,ウイルスの影響を受けた変異型の敵と,ロボット型の敵の2種類が登場します。
4Gamer:
必殺技のオーバークロックについても教えてください。
Jeong氏:
体力の回復速度を上げるものや,攻撃速度を上げるものなど,いろいろな種類があり,自分のスタイルに合わせて選べます。ローグライクゲームとして,選択の楽しさを意識しています。
4Gamer:
使用間隔はどれくらいですか。
Jeong氏:
種類によって違いますが,約2〜3分に1回使用できます。敵を倒すとドロップするオーブで,オーバークロックのゲージを溜められます。
4Gamer:
モバイル版も予定と資料にありますが,ソウルライクのアクション性をモバイルで再現できますか。
Jeong氏:
他社が移植に成功していることもあり,前向きに検討中です。開発当初からモバイル版を念頭に置き,ボタンの数やカメラ操作などを工夫しています。最近では,スマートフォンにゲームパッドを接続できますし,この市場はもっと大きくなると思います。
4Gamer:
ゲームのボリュームはどれくらいですか。
Jeong氏:
今のところ全5章を予定していて,各章では敵を倒して装備を集めたあとボスに挑みます。ソウルライクの初心者に向けて作っているので,プレイ時間は約20時間を想定していますが,このジャンルが得意な人はもっと早くクリアできると思います。
4Gamer:
上級者向けに難度を上げる機能を用意する計画はありますか。
Jeong氏:
難度の調整ができると,ソウルライクではなくなってしまうので,検討していません。ソウルライクの上級者からは簡単すぎると言われることもあるんですが,ソウルライクの入門編として制作していることを伝えると,「それならいいバランスだね」と納得してもらえています。
4Gamer:
私はアクションゲームが苦手で,ソウルライクをクリアできたことがないので,ちょうど良さそうです。
Jeong氏:
実は私も同じです(笑)。(Tripearl Gamesのスタッフを指さして)彼はめちゃくちゃ上手いんですが。
ソウルライクの魅力は,強力なボスを倒した際の達成感ですが,実際にそれを味わえている人は少ないです。「V.E.D.A」では,より多くのプレイヤーに達成感を届けたいと思います。「ELDEN RING」を買ったけど,エンディングを見られていないという人は,ぜひプレイしてください。
4Gamer:
最後に,日本の読者にメッセージをお願いします。
Jeong氏:
日本はソウルライクの本場なので,東京ゲームショウに出展した際はとても緊張しましたが,多くの方に楽しんでいただけて嬉しかったです。
皆様からのフィードバックを参考にして,頑張って開発を進めているので,ぜひウィッシュリストに登録して,リリースをお待ちください!