プレイレポート
[プレイレポ]「仁王3」は高難度だけじゃない。和のオープンフィールドに広がる“遊びの重箱”,サムライとニンジャを切り替える高密度バトル
本作の主人公は徳川家康の孫であり,のちに第三代将軍・家光となる竹千代だ。竹千代が将軍に就任するその日,江戸は妖怪の軍勢に襲撃されてしまった。追い詰められた竹千代は謎の力により,時代を越える。
そこは祖父・家康がまだ若かった時代,武田信玄と合戦している最中だった。なぜか信玄の軍勢は妖怪と協力しており,家康は追い詰められている。竹千代は元の時代に戻るべく,戦いを始めるのだった……。
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さまざまな遊びが散りばめられ,成長につながる和のオープンフィールド
史実に妖怪を絡めて和のダークファンタジーを生み出す「仁王」節は健在だ。今回は竹千代(家光)と兄・国松(のちの忠長)が将軍位を巡って争ったことが題材となっている。
史実の国松は,竹千代に将軍の座を奪われてからひどく荒れた。しかし,本作では竹千代を祝っており,正反対の展開となっているのが興味深いところだ。
このまま兄弟仲良く日本を治めるかと思いきや,国松は妖怪襲来の際になぜか竹千代を殺そうとする。さっきまで笑っていた国松が豹変していく,陰の雰囲気が日本的で恐ろしい。彼の身に何が起きたのか――。
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本作の新機軸は,広大なオープンフィールドだ。従来の「仁王」は独立したダンジョンを巡るミッション制だったが,最新作はオープンフィールドとミッション制が融合している。
ミッションは独立したものとして扱われるため,オープンフィールドを探索している最中にメニューからミッションに飛び,ミッションクリア後に探索を再開することも可能だ。
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今回は,当時の家康が本拠としていた浜松城を含む地域を自由に探索できた。あちこちに武士や妖怪といった敵がたむろしているのに加え,「拠点」「地獄」「小地獄」といったアクティビティがあり,その中にもちょっとした謎解きや探索が用意されている。
遊びのバリエーションが多彩なうえ,うまくいけば竹千代の成長につながるため,探索とバトルが結びついているのが特徴だ。
拠点には敵が集中しているが,全滅させれば解放できる。正面から挑むと多数の敵に襲われるため,裏口を探して忍び込んだり,遠距離から弓や銃で狙撃したり,背後から忍び寄って「暗殺」したりして,勢力を削っていく過程が楽しい。
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地獄は拠点より難度が高いダンジョンだ。こちらのルールは一風変わっており,ダメージを受けると体力の上限値が削られる「体力侵蝕」が発生する。文字にすると恐ろしいが,通常の回復アイテム「仙薬」の使用に加え,敵に攻撃を当てることで解消されていく。簡単に治療できるが,ミクロな流れの中では軽視できないデバフというわけだ。
複数の敵に襲われ,体力侵蝕に追い詰められる展開もあり,バトルがスリリングになっている。そして,地獄のドロップはオープンフィールドより良い傾向なので,ハイリスク/ハイリターンなプレイを楽しめる。
一方,小地獄はオープンフィールドのあちこちで挑める連続バトルだ。制覇した数に応じて,竹千代の「守護霊」がパワーアップして高い能力を与えてくれる。
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こうしたアクティビティの中に,さらなる遊びが用意されているのが「仁王3」の面白いところだ。
見つけると恩恵を得られるマスコット「木霊」,追いかけっこや飛んでいるところを狙い撃つとご褒美をもらえる「すねこすり」「千々古」,相手が気に入るジェスチャーで対応する「ぬりかべ」「むじな」といった和魂(友好的な妖怪)たちは,バトルや探索のアクセントになってくれる。
また,特殊な妖怪「地獄憑き」を倒せば,その妖怪を召喚する技が手に入り,あちこちでドロップする「地獄武器」を使い込むと,武器に宿った特殊な技を手に入れられる。
オープンフィールドの探索や地獄攻略といった大きな遊びの中に,拠点や小地獄といった遊びがあり,さらに和魂との交流や地獄憑き探し,地獄武器の使い込みという小さな遊びが重箱のように詰まっている。このような“遊びの重箱”は「仁王」「仁王2」ではミッション中の木霊探しという形になっていたが,「仁王3」はスケールアップを実現している。
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そして,さまざまな手段で得られる報酬が,竹千代の強化に直結しているのも重要なポイントだ。
竹千代に特殊な能力を与えてくれる「スキル」,2種類のバトルスタイルを強化するためのポイント,それぞれの武器で使える特殊技に属性や追加効果を与える「改変武技」などが手に入り,探索するほどに強くなっていく。
あちらに行っても,こちらに行ってもアクティビティがある密度の高さ。そこに,強化と直結した報酬が合わさると,オープンフィールドを隅々まで探索したくなる。探索を進めるとマップにアクティビティや和魂の位置が表示され,次に探索すべき場所がより分かりやすくなるため,深みへとはまり込んでいくのだ。
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サムライとニンジャを使い分け,バリエーション豊かなバトルを楽しむ
「仁王3」はバトルも魅力を増している。基本ルールは,攻撃や防御に必要な「気力」を管理しながら戦う,高難度アクションRPGではお馴染みのものだが,最新作のキーワードは「プレイヤーの選択とバリエーションの豊富さ」だ。
特徴がまったく異なる「サムライスタイル」「ニンジャスタイル」(以下,サムライ/ニンジャ)をいつでも切り替えられるため,高密度なバトルが繰り広げられる。
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サムライは重厚な専用防具を装備できる,防御力重視のスタイルだ。上段・中段・下段の「構え」を使い分け,攻撃後に構え直す「残心」により気力の一部を回復するシステムは従来と同様である。
新要素として,ギリギリのところで攻撃をガードすると気力を回復できる「捌き」,武技を強化する「技研ぎ」,残心からの追加攻撃「冬月」が登場し,バトルの駆け引きが濃密になった。
捌きは,いわゆるジャストガードや直前ガードと呼ばれるフィーチャーだ。前作でもカウンター武技の発動条件となっていたが,人間の敵にしか効かない技もあった。
一方,捌きは人間と妖怪を問わずに使えるうえ,気力が回復し,成功時に少しだけ移動できるため,カウンター武技とは明確に差別化されている。
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捌きと密接につながっているのが,技研ぎだ。攻撃を当てる,捌きを決めるといった行動により「技研ぎゲージ」が蓄積されると,最大時には気力消費なしで武技や「強い攻撃(強攻撃)」を使えるようになる。
なかでも,技研ぎ中は武技から武技へとつなげられるため,通常は不可能な連続攻撃も可能だ。例えば大太刀の場合,力を溜めて突く「破突」から,居合斬りのような「抜即斬」へと技がつながっていく。
特殊モード中にタイミングよく技を入力すると,通常はつながらない技もつながるという点では,「ストリートファイターZERO3」などの「オリジナルコンボ」「タンデムアタック」に近いだろうか。自分で連続攻撃を編み出し,道場(練習モード)で手になじませ,実戦で決まれば爽快だ。
そして,捌きでゲージを溜めることを意識すると,回転率が上がり,攻撃力が増していく。強い攻撃を出すだけで気力消費をなくす恩恵は得られるため,練習をしなかったとしても強くなれる懐の広さがある。
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残心に合わせて追加入力をすると,気力消費なしの追加攻撃である冬月が発動する。残心で気力を回復しつつ攻撃できるばかりか,構えに応じて特性が異なるため,後方に下がる動きを利用したり,スーパーアーマー状態で突っ込んだりといった活用ができる。流れるような動きが美しく,実用性もあるというわけだ。
「仁王3」のサムライはポテンシャルが高まり,プレイヤーの腕次第で高度な連続攻撃も可能になった。単にガードするか,ギリギリで捌きを狙うか。技研ぎゲージが溜まったら,連続攻撃を狙えるチャンスを待つか,それともひとまず攻撃を出して回転率を意識するか。さらに冬月で追加攻撃を狙うか。
バトル中のやりとりは非常にディープになり,じっくりと練習したくなるはずだ。
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新登場のニンジャは軽量の専用防具を装備でき,素早い動きで敵を翻弄するスタイルだ。ギリギリで回避すると「見切り」となって気力を消費せず,攻撃後に回避すると分身を残す&気力消費なしでステップする「霞」が発動する。回避アクションの充実が特徴になっている。
空中の通常攻撃は手数が多く,地上から空中に飛びながら攻撃する武技もあるため,地上と空中を行き来して怒涛の連続攻撃が可能だ。
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「忍術」は仕様が大きく変わり,気軽に使えるようになっている。手裏剣を投げたり,マキビシを撒いたり,火を吹いたり,痺れ薬入りの地雷を埋めたりと,さまざまな攻撃を繰り出せる。
忍術自体はこれまでも存在し,ステージのチェックポイントで使用回数を回復していたが,今回は攻撃や見切りによって回復していくため,存分に使いやすくなっている。
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特筆すべきは,サムライとニンジャの連動だろう。サムライ状態でも忍術が回復し,ニンジャを使っていても技研ぎゲージを増やせる。そのため,どちらのスタイルでも,なにがしかの特殊技が使えるといっても過言ではない。
そして,スタイルの切り替えには制限がないうえ,サムライは非常に硬く,ニンジャはとても素早い。高難度アクションRPGでは,重装備のキャラクターや軽装備のキャラクターを作って楽しむ人も多いが,本作はスタイルを切り替えるだけで“味変”できる。
また,ニンジャ状態で敵の攻撃を避けられなければ,サムライになって耐えるといった本作ならではの戦い方もある。サムライとニンジャは「どちらかを使わなければならない」ではなく,「どちらを使ってもいい」という調整であり,双方に明確な強さがある。
もちろん,切り替えるとバラエティに富んだバトルが楽しめるため,両方のスタイルの上達を目指したくなる。
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ゲーム内の導線が洗練されている点,気軽に試行錯誤しやすい状況にも注目したい。
従来のシリーズ作品は「システムを理解すると面白いが,情報やシステムが一気に出てくるため,慣れないうちは消化するに時間がかかる」ところがあった。しかし,本作はある程度の段階を踏んで武器やシステムが開放されるようになり,だいぶ親切になった印象だ。
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パラメータや武技のポイント振り直しが気軽にできるようになったこと,妖怪からドロップする「魂代」で「陰陽術」を使用できるようになったことも,導線を整理して試行錯誤しやすい状況にするための取り組みだと感じる。
高難度アクションRPGでは,初心者こそポイントを振って強くなるべきだ。しかし,筆者の周囲には「自分の選択が正しいか分からないから,ポイントを振らない」「この後,何が出てくるか分からないからポイントを振らない」と渋るプレイヤーが存在する。
ポイントを振らないから,強くなれない。強くなれないから,やられる。やられるから,ポイントを振らない。そんな負のループに陥りがちだ。
「仁王」「仁王2」の振り直し用アイテムは比較的安価だったが,根本的な解決には至っていなかった(これは時代的な背景もあり,当時は振り直せること自体が親切だった)。
また,忍術や陰陽術についても「どれが使えるか分からない」から取得をためらい,いざ手に入れても「忍術や陰陽術を回復できるチェックポイントまでの距離が分からないので使わない」ケースを見ている。
いずれもペース配分ができる熟練者には想像しにくいかもしれないが,初心者には切実な悩みである。
その点,本作ではパラメータや武技は何度でも振り直せるし,忍術はプレイ中に回復する。陰陽術はドロップで手に入るため,振り直す必要すらない。気軽にさまざまな武技や忍術,陰陽術を試せるようになり,早い段階からバリエーション豊かな戦法を楽しめるだろう。
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そして,ボス戦は従来にも増してヒリヒリしていて面白い。初戦は「絶対,勝てるわけない!」と叫びたくなるが,何度もトライしているうちにスキやチャンスが分かり,徐々に生存時間が長くなり,あるときに峠を越えて圧倒できるようになる。
さらに,装備品にランダムで性能が付与されるハックアンドスラッシュ的な面白さも注目したい。
本作の装備品には,早い段階から面白い効果が付与される。例えば,ボスに苦戦したときには,「捌き成功時に体力が自動回復する」装備をいくつかかき集めて,回復力により突破できたこともあった。装備品が与える影響は大きいわけだ。
ボスの手前にはファストトラベルのポイントがあるため,別の場所にアイテムを掘りに行ったりもでき,負けが込んだときのプレッシャーは格段に少なくなっている。
今回は旧作のボスにも遭遇しているが,地形や地名にオマージュの要素があり,シリーズファンであればニヤリとするはずだ。
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本稿の執筆時点では約30時間プレイしたところだが,「仁王3」はバリエーションのゲームであると感じた。オープンフィールドに豊富なアクティビティが用意されているだけでなく,その中にも遊びがあり,さまざまな楽しさを味わえる。
バトルでは,防御のサムライと機動力のニンジャを切り替えて,手軽に異なるプレイフィールを得られるうえ,両者を組み合わせると戦い方が多彩になっていく。
物語としてはまだ序盤らしいのに,サムライの捌きや冬月,ニンジャの空中攻撃といった上達要素が用意されており,本作の底はまるで見えない。
約6年間,待ち続けた最新作であるだけに少々甘くなっているかもしれないが,シリーズの魅力である「レスポンスのいいアクションでギリギリのバトルを楽しむ」という点はしっかり受け継がれている。アクションゲームやRPGのファン,そして上達の楽しみを味わいたいプレイヤーにおすすめしたい。
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(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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