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[インタビュー]ゲームフリーク新作「Beast of Reincarnation」が描こうとしている世界とは――ひとりの感覚から生まれた“一人と一匹”の物語
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印刷2026/02/13 08:00

インタビュー

[インタビュー]ゲームフリーク新作「Beast of Reincarnation」が描こうとしている世界とは――ひとりの感覚から生まれた“一人と一匹”の物語

 2026年8月4日に発売予定の「Beast of Reincarnation」(ビースト・オブ・リンカネーション。PC / PS5 / Xbox Series X|S)は,「ポケットモンスター」シリーズで知られるゲームフリークが開発を進めるアクションRPGだ。
 穢れによって文明の終末を迎えた日本を舞台に,植物を操る力を持つ少女エマと,その相棒である犬のクゥの旅が描かれる。

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 本作は2023年5月,同社の完全新規プロジェクト「Project Bloom」として発表され,そして本日(2026年2月13日)7:00公開されたPlayStationの情報番組「State of Play」にて,ついに発売日が明かされた。

 エマクゥという“一人と一匹”の関係と物語と,科学文明の痕跡をわずかに残しつつ広大な自然に覆われた“美しくも過酷”な世界はどのように生まれたのか。
 その制作の背景や世界観の構築,そしてビジュアルや音,さらには“感覚”を起点としたゲーム作りについて,本作のディレクターを務める古島康太氏に話を聞いた。

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 本日(2026年2月13日)配信されたPlayStationの情報番組「State of Play」で,ゲームフリークの最新作「Beast of Reincarnation」2026年8月4日に発売されることが明らかになった。

[2026/02/13 07:34]


4Gamer:
 本作は2023年5月に「Project Bloom」として発表されましたが,いつどのような形でスタートしたプロジェクトなのでしょう。

古島康太氏:
 以前から新しいゲームを作りたいという気持ちがありました。
 弊社にはギアプロジェクトという制度がありまして,その年は特別に田尻(代表取締役の田尻 智氏)が企画を選考するというコンテストが開かれたのがきっかけです。

※ゲームフリーク社内でおこなわれている,ボトムアップ型の新規タイトル開発制度

4Gamer:
 それはどれぐらいの時期ですか?

古島康太氏:
 ギアプロジェクトの話が2020年ぐらいで,そこで企画が通って試作に取りかかったのが2021年ごろですね。
 といっても一番最初は一人で試作や世界観設定やシナリオプロットを練っている時期でした。開発人員が増え始めたのは2022年ごろからです。

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4Gamer:
 「自身の感覚を大事にして制作した」というお話がありましたが,その“感覚”とは具体的にどういうものだったのでしょうか?

古島康太氏:
 まず最初にイメージしたのは,映画を観たり小説を読んだりといった創作に触れたときの“心が動いた感覚”で,それが一番最初にありました。
 ですので本当に最初はどんなゲームか何も決めずに、それが表現できるものを作ることから考え始めました。

4Gamer:
 つまりジャンル,例えばRPGとかアクションとかアドベンチャーとか,そういうものは定めずに?

古島康太氏:
 そうですね。それでいうと世界観やキャラクターみたいなところも同様で,具体的なことを決めるとそれがノイズになりそうだったので,そこは考えず,まず一番最初は「自分の心が動くか」だけを突き詰めていきました。

4Gamer:
 感覚の話だから難しいと思いますが,特にどんなところを大事にしたのでしょう。

古島康太氏:
 具体的なところですと,“寂しさ”みたいな感覚はほしいなと考えました。
 では寂しさをどう表現するかというときに,「広い世界に一人」という寂しさもあるけど,「二人がいて,それが一人になる寂しさ」もあるだろうと。

 そういった,寂しさそのものに向き合っていました。そういうふうに自分の感覚が明確になってから,キャラクターデザインや世界観を作ってきました。

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4Gamer:
 感覚のほかに,ゲームとしてはどのようなところを考えたのでしょう。本作のコンセプトはどのようなところにありますか?

古島康太氏:
 一番最初に,このゲームのプレイヤーがどんな環境でゲームに向き合うのだろう,ということを考えました。

 家族とリビングで遊ぶのか,友だちと一緒にプレイするのか,それとも一人で部屋で静かに向き合うのか。どんな環境でゲームをするのかというのは,本作で大事にした“感覚”という面ですごく影響があると思うんです。

4Gamer:
 なるほど。そしてこれまでのお話を聞いたかぎり,一人でもくもくと向き合うゲームなのかなと感じました。

古島康太氏:
 そうですね。そこで,プレイヤーは一人だけど,ゲームでは寄り添ってくれる存在があるといいなと考えて,そこから「一人と一匹」という考えが生まれました。
 それは企画をまとめたときの1枚目にも書いてあることで,そのままコンセプトになりました。

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4Gamer:
 自然と生命,そしてテクノロジーが混ざり合う世界観がとても興味を引かれました。このテーマに至った経緯を教えてください。

古島康太氏:
 「一人と一匹」がどういうふうに絆を深めながら成長していくのかって考えたときに,やはり過酷な状況に対峙したり,乗り越える困難がある世界を想像すると,文明が崩壊した世界が思い浮かびました。

4Gamer:
 実際にゲームのビジュアルを拝見したときにも,まさにそうした印象を受けました。かつて栄えた文明が自然に飲み込まれて,わずかながらに残された人たちの暮らしがあるような。

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古島康太氏:
 かつて栄えた文明があったけれど,長い時間の中で廃墟すら自然に飲み込まれている。つまり自然のほうが優位になっている状態ですね。
 そうした世界の中で,その概念が受肉したような存在が“脅威”として現れる。それが,動物と植物が混ざり合った生命体である腐蝕体のイメージです。

4Gamer:
 一方で文明側,テクノロジーの側にもゴーレムという存在がありますね。

古島康太氏:
 人間の魂を機械に移植したゴーレムは,元は人間ともいえる存在で,生き残った人類より上位にあります。
 しかし長く存在し続ける中で自我を失って暴走し,敵として襲い掛かってくるものもいる。
 そうした形で,生の象徴の腐蝕体と,死の象徴のゴーレムの両方の対比を世界の中で描いています。


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4Gamer:
 グラフィックス表現はリアル寄りで,これまでのゲームフリーク作品のイメージと異なる過酷な表現も見られました。
 ああいったビジュアルになったのも世界の過酷さを表現するためなのでしょうか。

古島康太氏:
 二人の絆を深めるための表現として過酷さを取り入れています。
 やはりデフォルメよりもある程度リアル寄りのほうが過酷さを出しやすいので,そのあたりは意図的に選んでいます。

4Gamer:
 初期構想から現在の「Beast of Reincarnation」の形に至るまで,大きく変化したところはありますか?

古島康太氏:
 “感覚”の部分だけは絶対ぶれないように突き詰めてきたので,伝えたい感覚を実現するためにどう最適化するか,という試行錯誤がありました。
 “実現するべきもの”が変わったというより,“どう解決するか”の試行錯誤でした。

4Gamer:
 アクションとコマンドバトルを融合させた戦闘システムは本作の大きな特徴ですが,この形式に至った理由を教えてください。

古島康太氏:
 これまでお伝えしたとおり,ジャンルを決めて作り始めたわけではないので,“結果”としてこういう形になったというところがあります。

 これは「一人と一匹」にも関わるのですが,世界の過酷さを描くうえでは激しい戦いが必要になると考えました。その状況で戦うという意味では,リアルタイムのほうが直感的でした。

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4Gamer:
 クゥへの指示はコマンドになりますよね。そこでスピードがスローになり,思考の時間が入るような印象をトレイラーで受けました。緊張と緩和のような。
 エマとクゥの関係性は,ゲームプレイにどのように落とし込まれているのでしょうか?

古島康太氏:
 互いの行動が相互に支え合うような構造を意識しています。
  バトルだと,エマが“受け流し”を行ったあとにポイントが溜まり,そのポイントを使ってクゥに指示を出して“開花技”と言う技を発動させる。
 例えばクゥの開花技の中には植物の槍を発射して,敵に突き刺すものがあり,その植物の槍に向かってエマが跳躍出来たりもします。
このような形でエマのアクションがあることで,クゥが行動できるようになっていて,クゥが行動したら今度またエマがそれに続く動きを見せる。このように連携によって相乗効果が生まれる仕組みになっています。

4Gamer:
 それらの要素を組み合わせるうえで苦労した部分,逆に手応えを感じた部分はどこでしたか?

古島康太氏:
 先に手応えのほうですが,事前にプレイテストを行った際,リアルタイムアクションとクゥのコマンドをすごく使ってもらえていたことですね。
 しかも人によって使い方が違っていて,それぞれのプレイスタイルが出ていたのが分かりやすく,そこは手応えを感じました。

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4Gamer:
 プレイヤーそれぞれのプレイスタイルがあったと。

古島康太氏:
 そうですね。一方で大変だったところとしては,クゥを「一匹」として自律している存在をどう動かすか。クゥをどう“生きもの”として描けるかという部分は積み重ねでした。
 バトルだけでなく探索中にもアイテムやキャラクターを見つけてくれるなど,自律的に動いている感覚を出す調整を続けました。

4Gamer:
 プレイヤー体験として,戦闘,探索,物語のどこに重きを置いて設計しましたか。

古島康太氏:
 どれに重きを置くかは特に考えていませんでした。
 どれか一つを突出させるというより、それぞれがコンセプトを成立させるために必要な要素として積み上げていった結果,今の形になりましたね。
 戦闘,探索,物語が個別に存在するというより,すべてが感覚をベースとしたコンセプトを実現する柱として機能している。結果として統合された状態になりました。

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4Gamer:
 動植物の存在感が強い作品ですが,それらを扱ううえで特に意識した点はどこにありますか?

古島康太氏:
 “魂が宿っているかどうか,実在しているか”,というところですね。
 この世界はこの世界の生物がちゃんと存在していて,魂があって,生きていると感じられる。その感覚はすごく意識しています。

 荒廃した世界の中で世界が再構成されていくような状況を想像したときに,動物と植物の要素が混ざり合った腐蝕体という存在も自然に出てきました。
 魂が宿っている,実在しているという感覚は自然や動植物に限った話ではなく,この世界に存在するものすべてに対して意識していたことですね。


4Gamer:
 それは魂が宿った機械であるゴーレムも含めてですか?

古島康太氏:
 ええ。魂のある生きものや自然という“生きている存在”に対して,死を象徴する存在として描いているのが機械側です。
 ゴーレムは動いてはいますが,人間の魂を機械に移植された存在で,長い時間の中で人間としての部分が薄れてしまっている。つまり生きているようでいて“死んだ状態”の象徴でもあるんです。

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4Gamer:
 自然や世界を作るうえでの「音」についても聞かせてください。
 これまでサウンドマネジメントを担当されてきたこともあり,BGMというより環境音や音の設計にどのような考えをもって取り組んだかが気になりました。

古島康太氏:
 本作では音の役割はかなり重要な要素として考えています。
 エマは生まれながらに“穢れ”に蝕まれており,記憶や感情を持ち合わせていない存在です。口数も少なく,感情の振れ幅も大きくない。つまり,世界を言葉で語るタイプのキャラクターではないんですね。
 そうした部分を補完する要素の一つとして音を重視しています。あとは声も,ですね。

4Gamer:
 声ですか。

古島康太氏:
 エマとクゥの関係,敵との関係も含めて,共通して声という素材を使っていますが,プレイヤー側ではエマとクゥの感覚に寄り添う要素として,敵側では象徴性を示す役割として機能させています。

 声そのものを音楽的要素として扱っていて,敵側には日本の呪術的な発声を取り入れています。

4Gamer:
 作品世界の中で鳴っている音や歌という位置づけでしょうか。

古島康太氏:
 そうですね。旋律としての音楽というより,声の質感や存在感が感覚的な情報を伝える手段として機能する位置づけです。
 音は主観性の強いメディアでもあるので,プレイヤーの受け取り方に寄り添いながら,エマとクゥの距離感や状況を感じてもらう役割として設計しています。

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4Gamer:
 開発としてはどれくらいの規模だったのでしょうか?

古島康太氏:
 具体的な人数をお伝えするのは難しいですが,最初期は私一人で黙々と作ってきた期間が長かったです。
 開発が進むにつれて社内のメンバーや,数十の専門分野毎の外部パートナーにも参加いただき,組織化しながらマネジメントしていった形です。

4Gamer:
 チャレンジングなプロジェクトだったと思います。制作現場でこれまでと異なる点はありましたか?

古島康太氏:
 個人の企画としてスタートしたものなので,最初は一人で多くを進めていたことですね。本作が初のディレクションでもあり,シナリオ執筆も初めて担当しました。
 世界観を構築し,それをどう実現していくか。指示や監修,ディレクションとしてコンセプトを隅々まで行き渡らせることに注力しました。

4Gamer:
 抽象的な“感覚”を共有するのは大変だったのではないでしょうか。

古島康太氏:
 テキストで伝わる人もいれば,絵や音楽のほうが伝わる人もいる。人に合わせて伝え方を変えながら進めていきました。
 大変だったというより,感覚という抽象的なものを形にしていく過程自体が面白かったですね。

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4Gamer:
 本作における,これまでのゲームフリークにない新しい取り組みはどのようなところにあると思いますか。
 逆にゲームフリークらしさとして大事にした部分はどこにあるのでしょう。

古島康太氏:
 感覚から突き詰めてゲームを作るというプロセス自体は普段から行っていることですし,それを大事にする姿勢はゲームフリークらしさとして意識していました。今回あらためて再認識した部分でもあります。
 ただ本作はこの感覚にかなり振り切って取り組んだものではあるので,コンセプトとして持っていた“感覚”を設計の起点に据えたという意味では新しい取り組みだったと思っています。

4Gamer:
 最後に読者へメッセージをお願いします。

古島康太氏:
 発表から実際に形になったものをお見せするまでが長かったですが,期待して待ってくださっている方々がいらっしゃったので開発メンバーがここまでがんばってこられました。大変感謝しています。
 発売日をお伝えできる段階まで来たこともうれしく思っています。この世界でしか得られない感覚をご用意したゲームになっていると思いますので,ぜひ楽しみにお待ちいただけたらうれしいです。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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