連載
天高く町を積み上げていく「STARIO: Haven Tower」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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かつて青かったという空は,分厚い塵の層に阻まれ,ここにはもう届かない。けれど,古びた文献は語る。雲を突き抜けた遥か高みには,静寂と光に満ちた楽園があるのだと。
我々は決断した。この閉塞した大地に別れを告げ,天へと伸びる塔を築くことを。たとえそれが,果てしない旅路になろうとも。
本日は,Stargate Gamesが手掛ける「STARIO: Haven Tower」を紹介しよう。本作は砂嵐が吹き荒れる大地を舞台にしたタワー型シティビルダーだ。プレイヤーは塔の指導者となり,過酷な地上から天空の楽園を目指していく。
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本作の特徴は,都市開発のベクトルが「垂直」に特化している点にある。一般的な街づくりゲームが平野を開拓して地図を塗りつぶしていくのに対し,このゲームでは限られた土台の上にフロアを重ね,ひたすらに高さを求めていく。
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狭い足場に居住区を設け,農場を作り,工場を稼働させる。塔が高くなればなるほど,利用できる資源や環境も変化するため,その場その場での柔軟な対応が求められるのだ。
建設を進める上で避けて通れないのが,物資の運搬である。地上に近い階層で汲み上げた水や,中間層で加工した建材を,さらに上の階層へ届ける必要がある。
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だが,この世界には重力という絶対的なルールが存在する。水は低い方へ流れるのは容易いが,上へ送るには動力が必要だ。プレイヤーはパイプラインを張り巡らせ,時には気球を用いたリフトを設置して,塔全体に血液を循環させるように物流網を整えていく。この手間こそが,塔で暮らす人々の生活の実感をプレイヤーに与えてくれる。
不便さが生む塔のリアリティ
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水や資材を階層間で運ぶのは一苦労だ。パイプを繋いで下へ流し,気球で引き上げ,時には力任せに上の階へ放り投げる。一見すると面倒なこの工程が,不思議と愛おしい。ボタン一つで物資が瞬間移動するのではなく,汗水垂らして運び上げるような手触りがあるからだ。「上の階に水を届けるのは大変なんだ」という不便さが,単なるデータ上の数字ではない,そこで人々が暮らしているという確かな息遣いを感じさせてくれる。
幻想的な空の旅と亀の交易
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塔が高くなるにつれ,窓の外の景色は劇的に変化する。分厚い砂塵の層を抜けると,霧や雨のエリアを経て,徐々に視界が開けてくる。そこには空飛ぶマンタのような生物が優雅に舞い,さらなる高みへ進めば,やがて物資を背負った巨大なカメが交易のために寄港するようになる。殺伐とした荒廃世界ではなく,絵本のような柔らかな色彩で描かれる空の世界は,ただ眺めているだけで心が洗われる。過酷なサバイバルの中にある,ふとした安らぎの瞬間だ。
象徴となる「奇跡の塔」
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各階層(ゾーン)の発展を極めた先には,「Miracle Tower(奇跡の塔)」と呼ばれる巨大な建造物を建てることも可能だ。これは先へ進むための必須条件ではないが,建設すれば他の施設とは比べ物にならないほど強力な恩恵をもたらしてくれる。その効果は絶大で,完成すれば災害対策や塔の運営において大きな助けとなるだろう。
「STARIO: Haven Tower」は,垂直方向への想像力を刺激する良作だ。厳しい環境下でのサバイバルという側面を持ちながらも,そのプレイ感は驚くほど穏やかで,癒やしに満ちている。効率を突き詰めるのも良いが,たまには手を止めて,空を泳ぐクジラや懸命に働く住民たちを眺めてほしい。まったりと,しかし確実に何かを積み上げたい人に,この塔への移住を強くおすすめする。
- 関連タイトル:
STARIO:バベルの塔 - この記事のURL:



























