連載
修羅場の厨房をタイピングでさばく「The Chef's Shift」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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逃げ込んだ先はマフィアが裏で糸を引くレストラン。彼は生き延びるため,包丁の代わりにキーボードを構える。
次々と押し寄せる注文と,背後に忍び寄る組織の影。厨房という名の戦場で,今日もまたドタバタ劇の幕が上がる。
本日は,Panitia GameDevが手掛ける「The Chef's Shift」を紹介しよう。本作はマフィアと料理を題材にしたタイピングゲームだ。プレイヤーは逃亡犯のシェフ,ロレンツォとなり,世界各地のレストランを渡り歩きながら借金の返済と自由を目指していく。
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このゲームの特徴は,移動から調理,配膳,会計に至るまで,あらゆる操作をキーボード入力のみで行う点にある。
画面上のオブジェクトにはそれぞれ対応するワードが表示され,それを正確に打ち込むことでアクションが実行される仕組みだ。
たとえば客の注文に合わせて料理を作るには,具材や工程を示す単語を次々と入力する。完成した料理はテーブルごとの単語を打って運び,食事が終わればレジのキーを叩いて代金を回収する。
これら一連の流れをマウスに触れることなく,流れるような打鍵のみで完結させるのだ。
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だが,ただ注文をさばけばいいわけではない。厨房にはネズミが出没し,時には招かれざる客も顔を出す。プレイヤーは常に画面全体に目を光らせ,複数のタスクを並行して処理しなければならない。
ステージが進むごとに提供する料理の工程は複雑化し,来店客のペースも容赦なく加速していく。瞬時の判断と正確な指さばきが求められる,極めてストイックなゲームデザインとなっている。
工程と連動する打鍵の心地よさ
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本作のタイピングは,単なる文字入力作業ではない。例えばピザなら生地,ソース,具材といった工程ごとに決まった単語を入力するのに対し,その他の料理では一つの工程を完了するごとに,対象の単語が新たなものへと切り替わっていく。
この段階的なワードの変化が,実際に料理を作っているような独特の手応えを生み出している。単調になりがちな入力作業に調理のプロセスを重ねることで,キーを叩くたびに料理が完成していく喜びを感じられるのだ。
厨房を襲うトラブルという名のスパイス
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調理の合間を縫って現れるネズミや不審者は,プレイヤーの集中力を乱す厄介な存在だ。
しかし,これらを専用のワード入力で撃退した瞬間の「してやったり」という感覚は格別。忙殺される中で差し込まれる突発的なトラブルは,単調なリズムに変化を与える良質なスパイスとして機能している。
全てを処理し終えたとき,カオスな状況を制したという確かな手応えが残る。
ストレスフリーな日本語入力の柔軟性
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特筆すべきは,日本語入力における驚くべき柔軟性だ。「じゃ」を打つ際に「JA」でも「ZYA」でも反応するように,ローマ字入力の揺らぎを完璧に許容してくれる。さらに「ふ」に対する「HU」「FU」の違いなど,細かな入力の癖まで拾ってくれるため,誤判定によるストレスが皆無だ。思考と入力の間にラグを生ませないこの配慮こそが,快適なプレイを支えている。
「The Chef's Shift」は,コミカルなB級映画のようなストーリーと,極限のマルチタスクが同居する稀有な作品だ。思考の速度で指を動かし,カオスな状況を制圧する快感は,他のゲームでは味わえない。
タイピングの腕に覚えがある者はもちろん,指先一つで修羅場をくぐり抜けたい全ての人に,この厨房への入店を強くおすすめする。
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