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「iPhone XS Max」レビュー。大画面と高性能SoCを備えたハイエンド端末は,iPhone 8から買い換える価値があるか
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印刷2018/10/31 22:38

レビュー

大画面と高性能SoCを備えたハイエンド端末は,1年前のハイエンドから買い換える価値があるか

Apple iPhone XS Max

Text by 林 佑樹


 東京ゲームショウ2018でゲーム業界とゲームファンが盛り上がっていた2018年9月21日,iPhoneシリーズの2018年版ハイエンドモデルとなる「iPhone XS」(アイフォン テンエス)と「iPhone XS Max」(アイフォン テンエス マックス)が国内発売となった(関連記事)。すでに購入して使っているという人もいるだろう。

iPhone XS Max
メーカー:Apple
問い合わせ先:サポート→お問い合わせ
価格:ストレージ容量64GB 13万4784円(税込),ストレージ容量256GB 15万3144円(税込),ストレージ容量512GB 17万7984円(税込)
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 毎年恒例のハイエンド市場向けiPhoneということで,ためらわずに買うという人もいるだろうし,スマートフォン向けゲームがほぼ確実に対応する製品ということもあり,ゲーマーにとって安心感のある端末でもある。ただ,冷静にスペックや特徴を見ていくと,シリーズ初の有機ELパネル採用や画面の一部を切り欠いた「ノッチ」の採用などで話題となった先代「iPhone X」や,iPhone Xと同時期に登場したiPhone 8シリーズに比べると,ハードウェア面ではマイナーチェンジといった印象を受けるのも事実だ。そのうえ価格も高い。

 そんなiPhone XS Maxは,2018年末にゲーマーが選ぶスマートフォンとしてベストな選択なのだろうか。発売直後に購入して,1か月以上使い込んだ筆者によるレビューをお届けしよう。


iPhone XSとiPhone XS Maxの主な違いはサイズ

ゲームに関わるスペック差はない


iPhone XSシリーズを重ねた写真。下がiPhone XS Maxで,上がiPhone XSだ
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 まずは,iPhone XSシリーズのラインナップについて,軽くおさらいしておこう。
 iPhone XSは5.8インチサイズで解像度1125×2436ドットの有機ELパネルを,iPhone XS Maxは6.5インチサイズで解像度1242×2688ドットの有機ELパネルを採用する製品だ。加えて,iPhone XSとiPhone XS Maxのどちらも,内蔵ストレージ容量別に64GBモデル,256GBモデル,そして512GBモデルの3モデルが用意されており,カラーバリエーションもゴールド,スペースグレイ,シルバーの3種類となっている。

 ディスプレイと本体サイズに関わる要素以外は,両製品とも共通しているので,基本的にはサイズの違いでiPhone XSとiPhone XS Maxに分かれると理解していい。どちらにするかを検討しているのであれば,持ちやすさや画面の大きさ,あるいは価格で選べばいいので,迷っている人の参考になるだろう。

iPhone XRの「ブルー」
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 なお,2018年冬のiPhone新製品には,10月26日に発売となった「iPhone XR」という製品もある。こちらはiPhone XSシリーズと同じSoC(System-on-a-Chip)の「A12 Bionic」を採用するものの,ディスプレイパネルが6.1インチサイズで解像度828×1792ドットの液晶パネルであるほか,iPhone XSシリーズがデュアルレンズ式アウトカメラを備えるのに対して,iPhone XRはシングルレンズ式であるなど,スペック面では大きな違いがある。
 また,iPhone XSシリーズはカラーバリエーションが3種類なのに対して,iPhone XRは(PRODUCT)RED,イエロー,ホワイト,コーラル,ブラック,ブルーの5種類という点もポイントだ。


iPhone最大の画面サイズだが,端末の大きさは既存製品とほぼ同じ


 以上を踏まえたうえで,iPhone XS Maxを見ていこう。
 iPhone XS Maxは,公称本体サイズが77.4(W)×157.5(D)×7.7(H)mmで,公称本体重量は約208g。このサイズと重量は,「iPhone 8 Plus」とほぼ同じで,「iPhone 7 Plus」や「iPhone 6s Plus」とも似ている。
 そのため,名前に“Plus”が付いたiPhoneを使用していた人がiPhone XS Maxを手にすると,サイズ感はそのままに画面が大きくなったように感じるだろう。

iPhone XS Maxを正面から見た様子。ほぼ全体が画面で覆われている。ディスプレイパネル四隅も,ボディに合わせて丸くなっている点に注目
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 そんなiPhone XS Maxの外観は,上下とも狭額縁となってディスプレイ上端部に切り欠き(ノッチ)があることを除けば,オーソドックスなiPhoneのデザインそのままで,既存のiPhone Xを大きくしたものという印象だ。
 前面は,iPhone Xで導入されたノッチが強く目を惹く。上端にノッチを備えるスマートフォンはAndroid端末にもたくさんあるので,今や珍しいものではない。しかし,ノッチに対して否定的な反応を示すユーザーが少なくないことを受けて,ノッチ左右の画面を非表示領域とすることで擬似的にノッチを目立たせなくする機能を持ったAndroid端末もいくつか登場している。それに対してAppleでは,最新のiOSである「iOS 12」にも,ノッチを隠す機能はない。

プリインストールの壁紙はノッチが分かりにくいデザインとなっているが(左),アプリ使用時など大半のシーンではノッチが目立つ(右)
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ノッチ部分にあるインカメラは,測距機能を備えたTrueDepthカメラだ
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 ノッチ部分には,顔認証機能を備えた「TrueDepthカメラ」を搭載している。TrueDepthカメラは,2018年に登場したiPhone Xで導入されたもので,Apple独自の顔認証機能「Face ID」を利用できるものだ。Face IDの導入によって,ホームボタン兼用の指紋認証センサーを使った生体認証機能「Touch ID」は廃止されている。
 Face IDとは何かを簡単に説明しておくと,指紋認証の代わりに顔認証を用いて,端末のロック解除やアプリへのログイン,対応する決済機能の利用を行えるというものだ。TrueDepthカメラは被写体の奥行き情報も取得できるので,単なる画像認識よりも高精度の顔認識を行えるのがポイントである。

 iPhone XS MaxのFace IDは,iPhone Xよりも精度は高くなっているようで,大半のシーンでスムーズな顔認証を体験できた。被写体(=筆者)の周囲が明るかったり,暗かったりするシーンでも認証に失敗することはない。指紋認証センサーのように,センサーの表面や指の汚れを気にする必要がないので,使ってみれば便利に感じる人が多いだろう。
 余談だが,たまに顔認証で失敗するのは布団の中でiPhone XS Maxを使っているときなのだが,これは端末との距離が近すぎるためのようだ。適当な距離をキープしていれば認証できる。

 続いては背面に目を向けよう。iPhone XS Maxの背面は,スッキリとしたデザインになっている。背面の左上には,デュアルレンズ式のアウトカメラユニットがあり,そこにLEDフラッシュやサブマイクも集中配置してあるのだ。

iPhone XS Maxの背面。カメラのある部分に,サブマイクなども集中している
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鏡のような背面パネルは,けっこう反射する
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 カメラユニットの出っ張り部分を除くと,背面がすべて強化ガラスで覆われているのも見た目における注目ポイントであるものの,どちらかといえば,電波の受信性能を向上させるという目的のほうが重要であるらしい。端末が落下したときに背面パネルが受けるダメージを考えると,なにかしらの保護対策は必要だろう。

 左右側面は,iPhone 8やiPhone Xと目立った違いはなく,ごくスタンダードなレイアウトとなっている。
 下側面も同様で,マイク孔とLightning端子,スピーカーなど,見慣れたものが並ぶ程度だ。上部の受話口と下側面のスピーカーを利用したステレオスピーカー仕様も相変わらずだが,iPhone 8シリーズと比べた場合,ちゃんと真ん中から音が聞こえるようになったのは評価できる点だろう。

左側面:左から[サウンドオン/オフ]スイッチ,音量調整ボタンという定番の並び
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右側面:SIMカードスロットとサイドボタンが並ぶ
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上側面(左):アンテナ用の分割線があるだけだ。見てのとおり,本体色はゴールドを選んだのだが,失敗した気がする……
下側面(右):こちらも従来機種からの変更はなく,マイク孔,Lightning端子,スピーカーが並んでいる。iPhone XS Maxは,Lightningを搭載する最後のiPhoneになるのだろうか
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 iPhone XS Maxは,ディスプレイパネルとして6.5インチサイズの有機ELパネルを採用している。解像度は1242×2688ドットで,画素密度は458ppiという高精細なものだ。いまのところスマートフォン向けゲームではあまり恩恵がないものの,HDR表示規格の「HDR10」と「Dolby Vision」にも対応している。コントラスト比は100万:1と非常に高く,それに加えて,有機ELパネルらしく黒が浮きにくい締まった映像を実現しており,ゲーム画面の視認性は良好だ。

環境光を検出し,それに合わせて色合いを自動調整する機能「True Toneディスプレイ」を備えているため,ゲーム開発者が意図した色合いで映像を見られる場面が多い。そんなところもゲーマーに適する
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奥行き情報を取れるTrueDepthカメラは,ゲームのAR機能やVTuber向けに役立つ


 iPhone XS Maxのカメラ機能についても触れておこう。
 東京ゲームショウ2018の取材では,ブースで撮影機器としてのスマートフォンを使う頻度が高かった。アウトカメラに用いるイメージセンサーの性能向上や画像処理プロセッサの機能向上,さらにソフトウェアによる画像処理も加わることで,数年前はスマートフォンでの撮影は厳しかったイベントでも,撮影画像は良好なものとなったからだ。
 こうしたカメラ機能の進化は,間接的にゲーマーにも恩恵をもたらす。写真撮影用カメラとして使うだけでなく,ゲームアプリにおいても,AR写真撮影やTrueDepthカメラの活用といった用途が出てきているためだ。

iPhone XS Maxのアウトカメラ
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 そんな事情を踏まえたうえで,iPhone XS Maxのカメラはどうか。大きなポイントは,アウトカメラの標準レンズと望遠レンズの両方に,光学式手ぶれ補正機能が加わったことにある。撮影時のブレを防ぐのに効果的な機能だが,少し気になる点もある。極端に暗い場所で,標準レンズから望遠レンズに切り換えたときに,やや切り換えが遅れることがあるのだ。おそらく,標準レンズ側の手ぶれ補正機構が安定してから,望遠レンズに切り換えているためと思われる。
 逆にいえば,iPhone XS Maxのアウトカメラで気になる点はその程度だ。

iPhone XS Maxで撮影した東京ゲームショウ2018会場のサンプル(上)。幕張メッセのような環境で撮影した写真としては,十分な描写と言えよう。下の写真は,LEDイルミネーションで彩られたゲーマー向けPCを撮影したものだが,ライトアップされた環境での撮影としては,なかなか大したものだ
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ミー文字で作ったサンプル。iOS 12で追加されたアプリで,TrueDepthカメラを使って顔や表情の動きに加えて,舌を出した状態まで取得してアバターに反映できる
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 前面側のTrueDepthカメラを使うアプリとしては,アバターを作成してメッセージやビデオ通話アプリで使えるiOS 12の標準アプリ「ミー文字」があるほか,サードパーティからもいくつかのアプリが登場している。最近では,バーチャルYouTuber(以下,VTuber)向けに映像配信やアバター作成のできるアプリが揃い始めたところだ。
 直近のアプリでは,映像配信サービスのREALITYが開発した「REALITY Avatar」(関連リンク)が,iPhoneひとつでVTuberになれるアプリの中でも大変よくできている。PCにiPhoneの映像を出力して,アバターの映像をゲーム配信に使うことも想定しているようで,「配信に素顔を出したくないが,アバターの表情は動かしたい」という人は,REALITY Avatarをチェックしておくといい。
 今後は,ビデオ配信機能を持つゲームアプリにも,TrueDepthカメラを活用するものが登場するだろう。

REALITY Avatar(※画像はα版のもの)は,瞬きやリップシンクだけでなく,眼球の向きも追跡してアバターに反映できるので,表情付けもやりやすい(左)。右の画像は,VTuberモデル作成アプリ「カスタムキャスト」。描画はiPhone 8でも余裕だが,配信も行うと,iPhone XS Maxのほうがフェイストラッキングの精度が高い
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こちらはVTuber支援サービス「Vカツ」のiOS版(左)。かなり処理負荷の高いアプリだが,iPhone XS Maxなら快適だ。カンタンなARゲームアプリである「Noze Zone」(右)は,TrueDepthカメラによるデータの取得状況をメッシュで表示できる。顔の細かい部分まで取得しているのが分かるだろう
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iOS純正のARアプリ「計測」は,ざっくりと物のサイズを計るのに便利
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 iOS端末のAR機能は,「ARKit」が登場して以来,カメラでとらえた平面の向きや長さを取得して利用するアプリが数多く登場している。指定した範囲の長さをおおまかに示すアプリ「計測」は,そうしたiOS純正ARアプリの代表だ。
 ゲームにおいても,現実世界の風景にゲームキャラクターを重ねて表示できる機能を備えるものが増えつつある。また,「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(以下,デレステ)における「ARスタジオ」のように,iPhone XS Maxで実行すると,「iPhone 8 Plus」よりも平面取得の精度や検出速度が向上するアプリもある。

iPhone XS Maxで薄暗い場所でのARスタジオを試してみたところ,きちんとマーカーが表示された(左)。右写真はiPhone XS MaxによるデレステARの作例だ
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 デュアルレンズ式アウトカメラを備えるスマートフォンで,よくアピールされるのが,背景をぼかして撮影する機能だ。「ポートレートモード」や「アパーチャーモード」といった具合に,端末メーカーによって名称は異なるが,総じて,奥行き情報を取得したり,AI処理によって被写体と背景を識別したりすることで,被写体の前後にある物体や背景をぼかすというものだ。大雑把に言えば,スマートフォンでも一眼レフカメラやミラーレスカメラ風の背景がぼけた写真を撮れる。
 iPhoneの場合,背景がぼけた写真を撮る機能は「ポートレート」として実装されているのだが,iPhone 8シリーズにはない新要素として,iPhone XS Maxではぼけの量を変更できるようになった。といっても仕様は割り切ったもので,フォーカスを合わせたポイントの後ろをぼかすだけ。光学的な前ボケを除けば,被写体より前にあるものは加工できないようだ。

iPhone XS Maxのポートレート機能による作例
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 これはNVIDIAが「GeForce Experience」に実装したスクリーンショットツール「Ansel」でも同様だったのだが,前ボケの処理は非常に複雑で使いどころが難しいところがあり,それゆえにAppleは,「変に写真が破綻するくらいなら不要」と考えて,省略したのではないだろうか。
 いろいろ不満もあるものの,iPhone XS Maxのポートレート機能は,たとえばゲーム環境をパッとSNSに公開したいという場合には,適当な機能だと思う。


ベンチマークテストではiPhone 8を圧倒するも

ゲームのプレイフィールに大きな違いはない


 さて,それではベンチマークテストによって,iPhone XS Maxの性能を検証してみよう。
 今回のテストには,「3DMark」のSling Shot ExtremeプリセットとSling Shot Extreme Unlimitedプリセット,「AnTuTu Benchmark」のアプリ版とHTML5版の「AnTuTu HTML5 Test」を用いている。比較対称には,iOS 12を適用した「iPhone 6」と「iPhone 8」を用意した。

 余談気味だが,iPhone XS MaxとiPhone XS,iPhone XRのスペックを見比べると,3機種とも同じSoCを採用しながら,iPhone XRだけ画面解像度が828×1792ドットと低い。画面解像度はグラフィックスベンチマークテストの結果を大きく左右する要因なので,ことグラフィックス性能においては,iPhone XS MaxよりもiPhone XRのほうが,優れたものになる可能性がある。もし,新型iPhoneの導入を検討しているのであれば,この点も念頭においておくといいだろう。

表 iPhone XS,XS Max,XRの主なスペック
iPhone XS iPhone XS Max iPhone XR
OS iOS 12
ディスプレイパネル 5.8インチ有機EL,解像度1125×2436ドット,458ppi 6.5インチ有機EL,解像度1242×2688ドット,458ppi 6.1インチ液晶,解像度828×1792ドット,326ppi
プロセッサ A12 Bionic(CPUコア×6,GPUコア×4,Neural Engine搭載)
メインメモリ容量 未公開
ストレージ 64,256,512GB 64,128,256GB
アウトカメラ 二眼式,有効画素数約1200万画素,広角 F1.8,望遠 F2.4 一眼式,有効画素数約1200万画素,F1.8
インカメラ TrueDepthカメラ,有効画素数約700万画素,F2.2
対応LTEバンド FDD LTE Band 1/2/3/4/5/7/8/11/12/13/14/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/66
TDD LTE Band 34/38/39/40/41/42/46
FDD LTE Band 1/2/3/4/5/7/8/11/12/13/14/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/66
TDD LTE Band 34/38/39/40/41/42
対応3Gバンド Band 1/2/3/4/5/6/8
バッテリー容量 未公開
待受時間 未公開
連続通話時間 最大20時間 最大25時間
無線LAN対応 IEEE 802.11ac(2x2 MIMO)
Bluetooth対応 5.0
ポート Lightningポート
公称本体サイズ 70.9(W)×143.6(D)×7.7(H)mm 77.4(W)×157.5(D)×7.7(H)mm 75.7(W)×150.9(D)×8.3(H)mm
公称本体重量 約177g 約208g 約194g
本体カラー ゴールド,スペースグレイ,シルバー (PRODUCT)RED,イエロー,ホワイト,コーラル,ブラック,ブルー

 まずは3DMarkからだが,Sling Shot Extremeプリセットのスコアをまとめたものがグラフ1で,Sling Shot Extreme Unlimitedプリセットのスコアをまとめたのがグラフ2となる。
 分かりやすいくらい性能差がはっきりと出ており,グラフ1ではiPhone XS MaxがiPhone 8よりも32〜41%程度,グラフ2では49〜50%程度も高いスコアを記録した。iPhone 6比では,グラフ1で302〜340%程度も高く,グラフ2では比較の意味がないほどである。
 Appleは,iPhone 8世代が採用する「A11 Bionic」と比べて,iPhone XS Maxが採用するA12 BionicのGPU性能は50%高いと主張しているが,順当な性能向上が分かる結果だ。

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 AnTuTu Benchmarkのスコアをまとめたのがグラフ3となる。こちらも順当な性能向上が見て取れ,とくにGPU性能はiPhone 8の倍近いスコアを叩き出した。メモリ性能を示す「MEM」も約36%高い。

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 一方で,AnTuTu HTML5 Testは,全体としてiPhone XS Maxが圧倒しているというのは確かであるものの,細かい項目を見比べると,少し異なる傾向が見られる。たとえばゲームの性能に関わる「Invaders」や「Collision」は,iPhone XS MaxとiPhone 8のスコアはほぼ同じで,ベクトルグラフィックス性能を見る「SVG」では,なぜかiPhone 8のほうが高いスコアを記録したのだ。
 全体としてiPhone 8を圧倒しているのは確かなのだが,一部のスコアで並ばれたり逆転されたりした理由は不明である。ただ,画面解像度の違いが,SVGのスコアに影響した可能性はあるだろう。

 ベンチマークテストでは,2017年モデルのiPhone 8を圧倒したiPhone XS Maxであるが,では,この性能差をゲームで強く体感できるかといえば,正直に言ってできないだろう。
 ゲームのテストとして,デレステと「PUBG MOBILE」,「フォートナイト」で確認してみた。

 まず,どのゲームも起動やデータロードは速く,描画のもたつきもほとんど見られない。PUBG MOBILEやフォートナイトで,ぐりぐりとカメラを動かしてもフレームレートに問題はないし,デレステで負荷が高い楽曲をプレイしてみても,やはり動作は良好だ。曲の開始直後にもたつくこともたまにあるのだが,気になるほど多くはない。

iPhone XS Maxにおけるデレステのタイミング調整。左は内蔵スピーカーでプレイする場合で,右がLightning to 3.5mmミニピンヘッドセット変換アダプターを付けて,ヘッドフォンで音を聞く場合。やはり変換アダプター経由では,遅延が少しだけ増える。ちなみに,Apple純正の変換アダプターと,MFi認証を取得したサードパーティ品でテストしてみたが,結果は同じだった
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iPhone XS MaxでPUBG MOBILEをプレイしている様子。プレイ自体に問題はないのだが,右端の表示が一部欠けてしまうので,ゲーム側の対応を期待
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テストではないが,「Fate/Grand Order」もプレイしている。16:9を大きく超えるアスペクト比への対応がアレなのは別として,クエスト開始までのロード時間は10〜11秒と速い
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 とはいえプレイフィールにおいては,iPhone 8でも同じくらい快適なのが実情で,「iPhone XS Maxで劇的な変化を感じたか」と問われれば,「感じられなかった」という回答になる。iPhone 6やiPhone 7世代のユーザーが乗り換える対象としては文句なしであるが,2017年モデルのiPhone 8から乗り換えるだけの積極的な必要性は感じない。もちろん,有機ELパネルにより,黒浮きのない映像を楽しめるのはうれしいのだが,それならiPhone Xを選ぶという手もあるわけだ。

 また,個体差である可能性が高いと思っているが,筆者のiPhone XS Maxは,充電中にノイズによる誤タップがまれに発生するのを確認している。発生の頻度は低く,ごく稀に,といった程度なので,今のところゲームプレイに悪影響は出ていないが。

赤丸で囲った部分でノイズによる誤タップを確認した。ただし,購入してから本稿執筆時点までの1か月間に発生したのが5回と,頻度は低い
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縦画面の楓さんは,なんだかんだで最高である
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 むしろゲームプレイで気になったのは,端末を横持ちでプレイするタイトルの場合,指の影によってセンサーが遮られ,画面が暗くなりがちなことだ。
 ここで筆者は,iOS 12では自動輝度調整がTrue Toneに統合されているため,それだけをオフにすることができないと思い込んでいたのだが,実際はオフにできる。iOS設定アプリの

一般→アクセシビリティ→ディスプレイ調整

の項目に「明るさの自動調節」という設定があるので,これをオフにすれば自動輝度調整だけを無効化できるのだ。
 「なぜ,そんな分かりにくいところに……」と言いたいのもやまやまだが,ゲームのプレイ中に輝度が変わってしまうことが気になる人は,この設定で自動輝度調整をオフにすることをお勧めしよう。

2018年11月2日15時頃追記:iOS 12の自動輝度調整について,同機能だけをオフにする手段がないと記述していましたが,実際はオフにできました。そのため該当する記述を修正いたしました。


性能面では文句なし。しかし前世代との差はあまりなく,価格面もネックに


iPhone XS Maxの製品ボックス
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 そろそろまとめてみよう。ゲーム用の端末としてiPhone XS Maxを見ると,過去のハイエンドiPhoneと同様に,高性能で無難な環境であることが分かる。有機ELパネルの表示品質も良好で,スマートフォンでのゲームプレイに重点を置いているゲーマーであれば,大サイズかつ美しい画面のiPhone XS Maxは,ターゲットに入るだろう。
 ただ,やっかいなのは,プレイフィールの部分でも触れたとおり,前世代のiPhone 8と比べたときに,iPhone XS Maxでは明確な性能面でのアドバンテージを感じられなかったことだ。

 AppleがiOSのアップデートを通じて,古い端末の動作速度を意図的に低下させていたことが発覚したときには,大きな問題となった。動作速度低下は,バッテリーの劣化にともなう駆動時間の低下をカバーするためという話だったが,むしろ意図的に動作速度を低下させるほうが,端末の製品寿命を短くしていたのではないかと思う。
 しかし,iOS 12でAppleはこの方針を転換し,古い端末で動作速度を低下させることを止めた。実際,iOS 12を適用したiPhone 8の体感速度は,iOS 11の頃と比べても明確に向上しており,仕事柄,最新の端末を所有している必要性を感じなければ,筆者もiPhone XS Maxへ機種変更はしなかっただろう。

 予算面の問題はないという人なら,迷うことなくiPhone XS Maxを選べばいい。しかし,最も安価なストレージ容量64GBモデルでさえ,税込価格が13万円を超えるスマートフォンを買うのはためらうという人も少なくないだろう。とくにiPhone 6あたりからの機種変更を考えている人なら,最新鋭のiPhone XSシリーズではなく,あえて1年前のiPhone 8シリーズを選ぶのもありではないか。

 3Dグラフィックスを多用するタイトル中心で遊んでいる人は,性能面で文句のないiPhone XSシリーズが妥当であるし,TrueDepthカメラを使ったARやアバターアプリを使ってみたいという人も同様だろう。しかし,これらにこだわりのない人であれば,iPhone 8シリーズを検討してみてもいいのではないだろうか。あるいは,価格と性能のバランスが良さそうなiPhone XRも,有力候補になり得る。
 「最新のiPhone最上位モデルを買うのが常に正解」という状況ではなくなった。iPhoneの買い換えや新規導入を検討している人は,予算と用途を冷静に考えて,適切な製品を選んでもらいたい。

AppleのiPhone XSおよびiPhone XS Max製品情報ページ

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    iPhone本体

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