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[E3 2014]SCE WWS吉田修平プレジデントインタビュー。Project Morpheusから「人喰いの大鷲トリコ」までさまざまな切り口で話を聞いてきた
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印刷2014/06/12 00:00

インタビュー

[E3 2014]SCE WWS吉田修平プレジデントインタビュー。Project Morpheusから「人喰いの大鷲トリコ」までさまざまな切り口で話を聞いてきた

 北米時間2014年6月9日に開催されたSony Computer Entertainment(以下,SCE)のプレス向けイベント「Sony E3 Press Conference」。多くの新情報が明らかになった同イベントから一夜明けたE3 2014初日の2014年6月10日,SCEワールドワイド・スタジオ(以下,SCE WWS)のプレジデントである吉田修平氏にインタビューを行う機会が得られた。

画像集#012のサムネイル/[E3 2014]SCE WWS吉田修平プレジデントインタビュー。Project Morpheusから「人喰いの大鷲トリコ」までさまざまな切り口で話を聞いてきた

 では,何を聞くべきか。今回は,プレス向けイベントでの発表内容を踏まえつつ,以下のトピックについて聞いてみることにした。イベントで深く語られなかったPlayStation Vitaや「Project Morpheus」など,イベントであまり語られなかった部分を補完しようと考えた次第だ。先に掲載したイベントのまとめ記事と合わせて,ぜひ読んでみてほしい。

【トピック一覧】
  1. PlayStation Vitaとインディーズゲーム
  2. クラウドゲームサービス「PlayStation Now」
  3. Project Morpheus
  4. PlayStation Vita TV
  5. PlayStation Plus
  6. 日本向けのPlayStation 4新作
  7. Share機能

 なお以下のインタビュー中,PlayStationはすべて「PS」と略記する。


1.PlayStation Vitaとインディーズゲーム


4Gamer:
 よろしくお願いします。
 昨日のプレスカンファレンスは大変な盛り上がりでしたね。とくに吉田さんが登壇したときのファンからの「シューヘイ,シューヘイ」コールはすごかった。

吉田修平氏(以下,吉田氏):
 驚きましたね。昨年の「PS4でゲームを友達に貸し借りする方法」のビデオに対して予想外の大きな反響をいただきまして,今年も期待してくれたファン(?)の方々が多くいらしたようなんですが,その点はご期待に添えなくてすみませんでした(笑)。

画像集#002のサムネイル/[E3 2014]SCE WWS吉田修平プレジデントインタビュー。Project Morpheusから「人喰いの大鷲トリコ」までさまざまな切り口で話を聞いてきた
貸し借りする吉田氏(の映像からキャプチャ)

4Gamer:
 イベントではPS Vitaの話が少ない印象でしたが,PS Vitaの(日本以外の)世界における状況を教えてください。

吉田氏:
 PS Vitaは日本以外でも,買っていただいた方の満足度が非常に高いハードです。
 最近の傾向で言えば,「インディーズゲーム業界にとって評判の良いプラットフォーム」というイメージが広がりつつあります。遊びたいときにすぐ遊べて,すぐやめられる。そのあたりが,シンプルで遊び甲斐があって奥が深いインディーズゲームととても相性が良いと言われています。その証拠に,今では毎週のように良質なインディーズゲームがPS Storeでリリースされていますよ。

 PS4で先行リリースされる無人島でのサバイバルゲーム「Don't Starve: Reign of Giants」も追ってPS Vitaに登場しますが,同作もPS Vitaと相性の良いタイトルなのでオススメです。
 あとPS Vitaは,PS4の登場後はリモートプレイ用のデバイスとしての人気も高まっていますね。

Don't Starve: Reign of Giants
画像集#003のサムネイル/[E3 2014]SCE WWS吉田修平プレジデントインタビュー。Project Morpheusから「人喰いの大鷲トリコ」までさまざまな切り口で話を聞いてきた

4Gamer:
 インディーズゲーム関連でいえば,Microsoftが,Xbox Oneに向けた独立系デベロッパ支援プログラム「ID@Xbox」を開始しました。SCEとして,何かこうしたサポートプログラムのようなものを始める予定はありますか。

吉田氏:
 大々的に発表しているわけではありませんが,2009年から「PUB FUND」関連URL)という,独立系ゲーム開発スタジオの資金繰りの支援や,技術,貸出機材のサポートを行う支援を行っています。
 PS Vitaだけでなく,PS3やPS4に向けたゲーム開発にも対応していますので,ぜひ相談してほしいと思いますね。


2.クラウドゲームサービスPS Now


4Gamer:
 次はクラウドゲームサービスについてお聞きします。7月から北米でPS NowのPS4向けのオープンβサービスが開始されますが,日本ではどうなんでしょうか。

吉田氏:
 北米(アメリカ,カナダ)から始まるとしか,まだお答えできません。PS Nowは,まずはPS4からスタートして,PS3,PS Vitaへと対応範囲を広げていきます。

画像集#014のサムネイル/[E3 2014]SCE WWS吉田修平プレジデントインタビュー。Project Morpheusから「人喰いの大鷲トリコ」までさまざまな切り口で話を聞いてきた
 北米からスタートさせる理由はさまざまですが,まず,北米地域はNetflix(※米国のオンラインDVDレンタル/映像ストリーミング配信事業者)などといったストリーミングサービスに慣れ親しんだカルチャーがあります。それと,北米は8Mbpsに近い帯域幅を持つネットワークが普及していますから,PS Nowの利用に当たって必要な「5Mbps以上の帯域幅」という要件も満たしているんですよね。

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4Gamer:
 PS Nowは,ソニー製液晶テレビのブラビアシリーズでも利用できるようになるという発表もありましたね。

吉田氏:
 はい。北米モデルになりますが,2014年モデルへの対応が決定しています。対応モデルはXBR-X800B/X950B/X9000Bシリーズと,XBR-W600B/W630B/W800B/W850B/W950Bシリーズです。

4Gamer:
 液晶テレビにクラウドゲームサービスを統合していく流れは他社にも見られますよね。たとえばシャープのAQUOSが「G-cluster」を統合しましたし,東芝のREGZAもUbitusの「GameNow」(旧称:ジークラウド)統合を検討中です。そんな中で,PS Nowにおけるテレビ側の対応要件はどうなっているのでしょうか。たとえば「H.264デコーダの搭載機」のような。

吉田氏:
 その質問には答えられませんが,ブラビア2014年モデルのPS Now対応が,ブラビアの開発チームとSCEとの協業によって実現したものだとはお話できます。基本的には,ブラビアが搭載するSoC(System-on-a-Chip)だけで実現されています。

4Gamer:
 ブラビアでPS Nowを使うためには,PS3用のゲームパッド「DUALSHOCK 3」を接続すればいいということでしたが,PS Vita TVが統合されているわけではないですよね。

吉田氏:
 それは違います。ブラビア側のSoCだけで実現されています。裏を返すと,PS Nowを動かすのに十分な性能を持つSoCが,2014年モデルのブラビアには搭載されているということですね。

4Gamer:
 ブラビアでPS Nowを利用するために,定額制サービスであるPS Plusへの加入は必要なんでしょうか。

吉田氏:
 その必要はありません。ブラビアにおけるPS Nowは,PS Nowサービスに加入していただければ,PSユーザーでなくても楽しめます。


3.Project Morpheusについて


4Gamer:
 GDC 2014で発表された「Project Morpheus」(以下,Morpheus)が,今回のE3で公開されることになりました。プレスカンファレンスでも短い時間でしたがアナウンスもありましたし,PS Cameraの存在意義がやっとユーザーに伝わりそうですね。

Project Morpheus
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吉田氏:
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 PS4の発表時,PS Cameraの対応タイトルは,「The PlayRoom」以外に目立ったものがありませんでしたし,PlayStation Move(以下,PS Move)も“PS4対応”と言っておきながら,対応するものを示すことができませんでした。Share機能を使ってユーザーのプレイを生中継するブロードキャスト用途では,PS Cameraはそれなりに人気が出ましたが……。
 MorpheusはPS Moveに対応しますし,PS Cameraも必要になります。Morpheusの存在を明らかにできる今になって,ようやくこれらのデバイスの楽しさをユーザーに分かりやすく伝えられるようになりました。

 プレスカンファレンスでのMorpheusの紹介は短いものでしたが,PS4をまだお買い上げいただけていない方に,PS4に対しての興味を抱いてもらうトピックとしては最高のものになったと思います。
 今回のE3では,新しいデモが2作品体験できますよ。


4.PS Vita TV


4Gamer:
 北米市場でも,日本でいうPS Vita TVが発売になりますね。ただ,名称は「PlayStation TV」に変わります。これははなぜでしょうか。

新名称,新カラーで登場したPlayStation TV
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吉田氏:
 日本と違って,PS Vitaが北米であまり浸透していないことが理由の1つです。
 また,発売がこのタイミングになったので,「DUALSHOCK 4」対応にPS Now対応,PS4のリモートプレイ対応といった点を最初から訴求できることになりました。それもあって,PS Vitaの「Vita」というイメージよりも,PlayStationファミリーのコンパニオンデバイスであるということを強く訴えた方が分かりやすいだろう,という配慮もあるんですよ。
 ちなみにハードウェア的には,日本のPS Vita TVと同じです。


5.PS Plus


4Gamer:
 プレスカンファレンスでは,PS Plus加入者はアメコミである「Powers」のテレビアニメを全話無料で視聴できるという驚きの発表がありました。日本では,こういう「PS Plusってゲーム以外でもお得そう」的なプログラムはないんでしょうか。

吉田氏:
 PS4ユーザーの半数がPS Plusにご加入いただいていますが,日本ではPS Plusの魅力というものが北米地区ほど伝わっていないかもしれません。この点は私も,日本の担当者に強く言っている部分なんですよ(笑)。
 東京ゲームショウまでには……いえ,東京ゲームショウ前にでも,日本のユーザーにPS Plusの魅力を感じてもらえる新しいサービスなどを紹介できればいいなあと思っています。

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日本向けのPS4新作


4Gamer:
 今回のプレスカンファレンスでは,「The Order: 1886」に始まり「Uncharted 4: A Thief's End」に終わるという形で,こちら(=北米地域)のゲームファンをワクワクさせる魅力的なファーストパーティ製タイトルが多数紹介されました。これらタイトルはもちろん日本でも人気が出そうですが,日本のデベロッパが開発した新作ソフトも気になります。

吉田氏:
 今回は北米地域向けのタイトル紹介が中心になりましたが,もちろん日本向けのタイトルも,ファーストパーティはもちろんのこと,サードパーティも多数開発しています。東京ゲームショウ2014ではそのあたりの最新状況を色々とお見せできるはずです。
 聞かれる前に言いますが,「人喰いの大鷲トリコ」(※)もちゃんと開発が進んでいます

※「ICO」や「ワンダと巨像」を手がけたゲームデザイナー 上田文人氏の最新作

4Gamer:
 「大鷲のトリコ」はPS4向けですか?

吉田氏:
 まだ今は何も言えません(笑)。なので,「ちゃんと作っています」とだけ言っておきます。

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The Order: 1886
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Uncharted 4: A Thief's End


Share機能


4Gamer:
 最後に,Share関係の話題を。
 プレスカンファレンスで,The PlayRoomのDLCが発表されました。The PlayRoomはShareボタンでストリーミングする遊びが一部でとても流行したようですね。

吉田氏:
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 はい。あれは我々開発サイドも想定していなかった楽しみ方でしたが(笑),今度のDLCでは,ちゃんと放送局としてライブストリーミングするためのギミックをたくさん用意しています。ぜひ楽しみに待っていてください。
 見知らぬ人の家のリビングルームの様子が見られるって,なんかとても新鮮ですよね。

プレスカンファレンスでは,The PlayRoomのDLCが発表された
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4Gamer:
 PS4のゲームプレイ映像をシェアするといえば,YouTube対応も大きなトピックでした。

吉田氏:
 もう少し早くお届けしたかったサービスなんですが,大きな会社同士のことなので色々と時間がかかってしまいました。

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4Gamer:
 一方で,「マリオカート8」のYouTubeアップロード機能を活用しただけのユーザーが,YouTubeから,「動画に第三者が所有する音楽が含まれている可能性があります」「第三者のコンテンツと一致しました」と警告を受けているという話も出てきています。こうした問題はPS4でも起こりうるのでしょうか。

吉田氏:
 同じことがPS4のYouTube機能でも起きる可能性はありますね。アップロードされた動画は,我々ではなくYouTube側のポリシーに基づいて管理されますから,著作権者がアップロードされた動画に対して掲載異議を申し立てれば,掲載者に警告がいくことはあるでしょう。

4Gamer:
 「与えられた機能を使ってゲーム動画をアップロードした」だけで,そうした境遇になってしまった場合,ユーザーはどうすればいいのでしょうか。

吉田氏:
 ユーザー側のできる対策は,その警告に対して「ちゃんと許諾を得ているものです」と申し立てることでしょうか。著作権者が納得すればそうした警告は取り下げられるはずです。
 PS4の場合は動画編集機能も付いていますし,もともとのゲームサウンド以外に別の音楽をミックスする機能などもありますから,動画の作り方によっては,そうした警告を受けることはあると思います。

4Gamer:
 ユーザー側でも注意する必要があるということですね。
 本日はありがとうございました。

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