インタビュー
[TGS 2019]SIE WWS 吉田修平氏インタビュー。5GやクラウドゲーミングをSIEはどう考えているのか
今回は短い時間ながらも,クラウドゲーミングサービスや,発売を控えているタイトルの話を聞いたので,その内容をお届けしよう。
4Gamer:
PlayStation 4の実売台数が,もうすぐ1億台突破となりますが,発売されてからの6年間を振り返ってみていかがですか。
吉田氏:
びっくりするくらい愛されるハードになったと思います。パブリッシャー様の作品も含めて,良いゲームをたくさん出せました。PS4世代の人達は,ゲーム業界もユーザーさんも含めてすごくハッピーな時代を過ごせたのではないでしょうか。
モバイルゲームの市場が大きくなり,家庭用ゲーム機の市場がなくなるんじゃないかと言われていた時期もありましたが,家庭用ゲームも独自に進化をして,楽しんでもらえたと思うので,とても良い6年間だったなと感じます。
4Gamer:
ここまで普及すると考えていましたか。
吉田氏:
PS4で言えば,我々がやろうと思ってきたことが支持された結果が,普及台数に結び付いたのだと考えています。YouTuberをはじめとするストリーマーの人気が出始めたタイミングで,コントローラにシェアボタンを付けて,誰でもストリーミングできる状態で出すという施策も,うまくハマってくれました。
PlayStation VRについても,家庭用ゲーム機ベースとしては唯一我々が本格的に手掛けた商品が多くの人に支持されて,VRゲーム業界全体の盛り上がりに貢献できたかなと思います。
4Gamer:
PlayStation Nowは現状どれくらいのユーザーに利用されているのでしょうか。
吉田氏:
ユーザー数はずっと増え続けていて,2019年3月末時点で約70万人になります。PlayStation 4のゲームで言えば,日本だと400タイトル以上が遊べる中で,ちょっと気になるから遊んでみようという作品はストリーミングでお手軽に始めて,すごく面白いとなったらダウンロードしてがっつりプレイできるので,そういったオプションが用意されているところが支持されていますね。
4Gamer:
そもそもPlayStation Nowは,いま盛り上がりを見せているクラウドゲーミングサービスの走りでもありますよね。
吉田氏:
実はあまり宣伝はしていなかったんですよね(笑)。クラウドゲーミングという形で打ち出すよりは,Nowという言葉が示すとおり,すぐに遊べますよっていう良さを伝えたいという気持ちでやってきました。
そうしたら逆に他社さんのほうが,「これからはクラウドゲーミングだ」みたいな形で風呂敷を大きく広げられて,アナリストとかは「ソニーはそれに対してどうするんですか!」みたいな(笑)。
4Gamer:
もうやってますけど,としか言えませんね……(笑)。
吉田氏:
それはさておき,クラウドゲーミングはインフラが大事だと考えています。そのあたりは,時間と共に少しずつ良くなっていくものですので,将来的に良さというのは,より伝わっていくと思います。
4Gamer:
5Gについてはいかがでしょう。
吉田氏:
5Gのほうがさらに混迷していると思います。技術はあるけど,何に使って良いのかよく分かっていない状態なのかなと。たしかに遅延は少ないかもしれませんが,それでゲームを高品質な状態でストーリーミングするとなると,何十Mbpsという通信を常にするわけで,データプランによってキャップがあったりすれば,すぐいっぱいになってしまいますよね。そういうところをキャリア側が解決していかないと,実際にユーザーさんが使われるサービスにはならないと思います。
ハイエンド向けのVRゲームを,低遅延の5Gを介して,スタンドアローンのVRでプレイするといったことができれば面白いんですけど,スタンドアローンのVRはSoCがモバイル用途のものなので,熱問題といった別の課題が出てきますね。
4Gamer:
PS VRの次世代機は,スタンドアローンの方向に進んでいくのでしょうか。
もともとPS VRはPS4を母体とし,その性能を最大限に活用できるものとして作ったものです。そこをスタンドアローンにするとなると,新たな1つのプラットフォームのように作らなければなりませんので,考え方を変える必要が出てきます。ただ,VR全体で見れば,スタンドアローンが今後重要になっていくのは間違いないとは思っています。
4Gamer:
今年はPlayStationに関連したカンファレンスがほとんどありませんでした。残す3か月で何か予定はありますか。
吉田氏:
タイトルという意味では,11月に「DEATH STRANDING」が出ます。「The Last of Us Part II」の情報もそろそろ出てきそうな雰囲気になっているので,それはとても楽しみにしています。あと,「プレデター」(Predator: Hunting Grounds(仮))も面白いですよ! 「Dead by Daylight」とか「第五人格」とか好きな人にはたまらないと思います。
4Gamer:
「Ghost of Tsushima」の続報も気になりますね。
吉田氏:
あのゲームは本当に綺麗なんですよ。遊んでいると,じっくりと見たい風景が出てきて,何度も止めちゃうんです。いい意味で日本を120%美化したような感じで,海外の人が見る理想の日本が見事に描かれています。アクションの部分ももちろん面白いのですが,あの美しさは本当にすごいです。
4Gamer:
PlayStationブースに出展されていた「MONKEY KING ヒーロー・イズ・バック」もクオリティが高いですよね。「ChinaHeroProject」の底力を見た気がします。
吉田氏:
中国は,モバイルとPCを中心に大きな市場で,たくさん成功している会社もあって,そういう人達って若さもあって何も怖くないというか,目線がすごく高いんですよ。
とくに私が気に入ったのはmiHoYoさんの「原神」です。「崩壊3rd」からいきなり3Dのオープンワールドアクションで,人をたくさんつぎ込んで次は世界で勝負だって感じなので,正直あてられましたね。20年前を思い出しました。我々が30代前半くらいのとき,ゲームが盛り上がっていて夢いっぱいみたいな。それを中国のデベロッパから感じて,すごくびっくりしました。だから今後も期待できますね。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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