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Apple,次期OS X「OS X Mavericks」の開発者向けプレビューをリリース。正式版は今秋に配信の予定
一般ユーザー向けの正式版は,2013年秋にMac App Storeにてダウンロード配信される予定である。現時点で価格は公表されていない。
Mac OS Xといえば,バージョン表記の代わりにネコ科の肉食動物(LionやLeopardなど)の名前を冠するのが通例だったが,いよいよネタが尽きたのか,今回はネコ絡みではなく,カリフォルニア州の地名にちなんだ名称となった。
OS X Mavericksでは200以上の新機能が導入されているとのことだが,その中でも大きな特徴として挙げられていたのが,以下の機能である。
マップとiBooksの搭載
iOS 6で導入されたApple独自の地図データを使う地図アプリ「マップ」と,電子書籍アプリ「iBook」がOS X Mavericksにも導入される。リリース直後はデータ不備が多すぎたため,世界的な不評を買ったマップだが,改善が進んだ現在では,とくに米国の地図は使いやすくなりつつある。建物や地形を立体的に表現する「3Dビュー」といった機能も備えている。
改善が進んだ「マップ」がOS Xにも導入(左)。街並みを立体的に見られる3Dビュー機能(右)は,ちょっとしたフライトシミュレータ気分を楽しめる |
Webブラウザ「Safari」の性能向上
第4世代Coreプロセッサに合わせたバッテリー関連の改良
OS X Mavericksでは,11日に発売された第4世代Coreプロセッサを搭載するMacBook Airに合わせて,同CPUが搭載する「より深い省電力ステート」に対応し,深い省電力ステートを維持してバッテリー消費を減らす「Timer Coalescing」「App Nap」を搭載した。これらの機能が有効に働くことで,OSやアプリケーションが活発に動いていない間の消費電力を削減できるため,バッテリー駆動時間の延長が期待できる。
なお,第4世代Coreプロセッサの特徴については,こちらの解説記事を参照のこと。
スマートフォン風の通知機能
とくにゲームや3Dグラフィックスに関わる改良には触れられていないが,マルチディスプレイ環境での使い勝手を改善される機能も導入されており,iOSで人気の仕様を取り込みながら,OS自体の改良も図った,順当なアップデートと言えるのではないだろうか。
2013年6月11日,Appleは本日,世界で最も先進的なオペレーティングシステムの10番目のメジャーリリースとなるOS X Mavericks(オーエステンマーベリックス)のデベロッパプレビューをリリースしました。200以上の新機能を搭載したOS X Mavericksは,Mac版のマップとiBooksを搭載するほか,Finderにタグとタブを導入,またパワーユーザ向けにマルチディスプレイのサポートを強化し,画期的なパワー効率とパフォーマンスを実現するための新しい技術を提供し,さらに全く新しくなったSafariを搭載しています。OS X Mavericksのプレビューリリースは本日よりMac Developer Programのメンバーに提供されます。Macユーザはこの秋よりMac App StoreからMavericksをダウンロードすることができるようになります。
「Macは常にPC業界の先を行き,OS Xは世界で最も革新的かつ使いやすいオペレーティングシステムであり続けています。OS X Mavericksは我々がこれまでに出した中で最高のバージョンであり,新しいマップおよびiBooksアプリケーション,Finderのタグおよびタブ,より強化されたマルチディスプレイのサポートとパフォーマンスおよび省エネルギー機能,そして全く新しくなったSafariを搭載しています」と,Appleのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデント,クレイグ・フェデリギは述べています。
マップは,iOSで使われている鮮明なベクターベースのグラフィックス,驚くほど美しい3Dビュー,そしてインタラクティブなFlyoverなど,先進のマッピングテクノロジーをMacでも実現します。マップを使い,Macで旅行の計画を立て,それをiPhoneに送信して移動しながら音声案内で利用するといったことができます。マップはMavericksの隅々にまで統合されているので,ユーザはメールや,連絡先,カレンダーから地図を便利に利用することができ,デベロッパは,Map Kit APIを使って,マップの中で使われているのと同じ強力なマッピング機能をそれぞれのアプリケーションに組み込むことができます。iBooksでは,すでにお持ちのiBooksライブラリへのアクセスはもちろん,iBooks Storeで提供されているテキストブックや古典そして最新のベストセラーまで,180万以上のタイトルにも即時にアクセスすることができます*。iBooksはまた,お持ちのすべてのデバイスでシームレスに動作するので,Macで本を読みながらノートを取ったりハイライトしたりした後,iPadで同じ場所から読書を続けることができます。
OS X Mavericksは新たにパワフルな機能を追加し,究極のMacの体験を提供します。タグは,ファイルがMacやiCloudのどこにあっても関係なく,整理し検索することを強化した新しい方法です。どのファイルでも新しいドキュメントを保存する際にFinderやiCloudの中で,簡単にタグを付けることができます。タグはFinderのサイドバーの中に現れ,プロジェクト別またはカテゴリー別にファイルを表示させることができます。Finderのタブは複数のFinderウィンドウを複数のタブの付いた一つのウィンドウにまとめることによってデスクトップをよりすっきりとさせます。それぞれのタブごとに見え方をカスタマイズしたり,タブからタブへファイルを移動したり,フルスクリーンで複数のタブを開いたままFinderを使うこともできます。Mavericksでは複数のディスプレイを使うことがこれまで以上に簡単になり,強化されました。メニューバーとDockはどのディスプレイ上でも表示され,ユーザはウィンドウで動作するアプリケーションまたはフルスクリーンアプリケーションをどちらのディスプレイでも,改めて設定をすることなく,使うことができます。Mavericksでは,Apple TVとAirPlayを使うことにより,ハイビジョンテレビを第二のディスプレイとして利用することができます。
OS X Mavericksの新しいコアテクノロジーは,お使いのMacのエネルギー効率とレスポンスを改善します。Timer Coalescingがローレベルのオペレーションを巧妙にグループ化するため,CPUは低電力使用状態を長く維持することができ,パフォーマンスやレスポンスに影響することなくエネルギーを節約します。App Napは使用していないアプリケーションの消費電力を減らします。Compressed MemoryテクノロジーはMacのスピードとレスポンスを高い状態に維持します。システムのメモリ使用量が上昇し始めると,Compressed Memoryは使われていないデータを自動的に圧縮し,それらのデータが必要になると即時に圧縮状態から元に戻します。
新しいバージョンのSafariは目を見張るパフォーマンス,革新的な機能そして画期的なテクノロジーを提供します。Safariは,エネルギー効率,メモリ効率そしてJavaScriptのパフォーマンスにおいて他のブラウザより優れています。Safariの新しいプロセス・パー・タブ・アーキテクチャは,ブラウザのレスポンス,安定性そして安全性を高めます。Safariはまた,TwitterやLinkedInからの興味深い新しいコンテンツを一カ所で簡単に検索し,読み,共有することができるShared Linksといった新機能を搭載しています。
OS X Mavericksにはこの他にも以下のような新機能が含まれています。
- iCloud Keychain:ウェブサイトへのログイン情報,クレジットカード番号,そしてWi-Fiパスワードを安全に保管し,お使いのすべての端末にプッシュするため,それらを憶えておく必要がありません。こららの情報はMacに保管されている時も,端末にプッシュされる時も,常にAES-256によって暗号化され保護されています。
- アップデートされたカレンダー:マップとの統合,週や月をまたいで瞬時に移動することができる連続スクロール,そしてイベントの作成と編集が簡単にできる新しいインスペクタが加わりました。
- インタラクティブな通知:メッセージへの返答,FaceTime通話への応答,受信したメールの削除が,使用中のアプリケーションを離れることなくできます。最新のニュースやスコアなどのウェブサイトの新しい情報も,通知を使って伝えることができるようになりました。While You Were Away Notifications(お休み中の通知)は,Macがスリープ状態にあった間の出来事も確実に伝えてくれます。
- Xcode 5:アプリケーションのパフォーマンス,エネルギー使用さらにアプリケーションテストのすべての側面を測定することができ,デベロッパ向けの強力かつ直感的な新しいツールを搭載しています。
*文中にあるコンテンツの情報は米国における状況です。
OS X Mavericksのプレビューページ(英語)
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