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[COMPUTEX]低価格化で身近になりつつある4K液晶ディスプレイ最新事情をCOMPUTEX会場からレポート
そんなトレンドの中で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2014では,どんな4K液晶ディスプレイが展示されていたのだろうか。メイン会場であるTWTC Nangangで見つけたものを紹介してみたいと思う。
32インチ4K液晶ディスプレイはプロユース狙いが中心
PC向けの4K液晶ディスプレイでは,IGZO液晶パネルを採用したシャープの32インチディスプレイ「PN-K321」が元祖的存在になったためか,30インチや34インチではなく,32インチの製品をしばしば目にする。
Acerの「B326HK」とASUSTeK Computer(以下,ASUS)の「PA328Q」は,まさにそんな32インチモデルの代表例だ。両製品はいずれも,ドットピッチが138ppiで32インチサイズの台湾AU Optronics(友達光電,以下 AUO)製IPS液晶パネルを採用している。
まずはAcerのB326HKを見てみよう。本製品は,sRGBカバー率100%を誇る製品だ。
一方,ASUSのPA328Qは,デザイン用途などプロユースのディスプレイを狙ったものだ。sRGBカバー率100%という色再現性能はB326HKと同じだが,本製品は世界最大の印刷機器メーカーとして知られる独Heidelberger Druckmaschinen(ハイデルベルグ)の品質管理装置「ΔE管理」(色補正の誤差)において,「ΔE2.0未満」であることを保証しているとのこと。それがどれだけすごいことなのか,門外漢には今ひとつピンとこないのだが,要は,プロ業務に耐えうる色再現性がウリというわけだ。
PCディスプレイとしては輝度が350cd/m2と高めな点も特徴とされている。
入力インタフェースはDisplayPort×1,mini DisplayPort×1,HDMI(HDMI 2.0およびMHL 3.0対応,Type A)×1,HDMI(HDMI 1.4対応)×2と,プロユース向けだけあって充実している。HDMI 2.0対応のHDMI入力端子を使えば,HDMIケーブル 1本での4K解像度・60Hz表示が可能だ。
発売は2014年第4四半期の予定で,こちらも価格は未定。用途が用途だけに,それなりに高い値段となるのではないだろうか。
I/Oインタフェース部。サウンド出力用にヘッドフォン端子もあるが,スピーカーは内蔵しない |
ディスプレイの縦回転にも対応。プロユース向け製品なら,今やあって当然の機能といえよう |
価格競争が激しい28インチ4K液晶ディスプレイ
28インチクラスは,最近の4K液晶ディスプレイ市場では最もホットなクラスだ。このクラスにおける価格競争が,4K液晶ディスプレイをいっそう身近なものにしてくれるだろう。
28インチクラスで価格競争が始まった理由は,28インチサイズで4K解像度のTN型液晶パネルが登場したからだ。Acerの「B280HK」は,まさに,そんなTN型パネルを採用する製品の1つである。
入力インタフェースはDi
32インチのPA328Qと合わせて,ASUSは28インチクラスの4K液晶ディスプレイ「PB279Q」も披露していた。AUO製でドットピッチ163ppiのIPS液晶パネルを採用。中間調(Grey-to-Grey)の応答速度は5msを謳っているほか,sRGBカバー率100%,輝度性能は300cd/m2といったスペックを備えた製品だ。
入力インタフェースは,Di
もはやあって当たり前という感じだが,縦画面表示にも対応する |
HDMI入力がずらりと並ぶI/Oインタフェース部。ただし,HDMI 2.0には対応しない |
ちなみにPB279Qは,1画面に各入力系統からの映像を同時表示する「ピクチャーインピクチャー」機能が充実しており,2画面や3画面,さらに4画面の同時表示まで可能であるという点を,他社にはない特徴とアピールしていた。
発売は2014年第3四半期で,北米市場におけるメーカー想定売価は800ドル前後である。
AcerとASUSで対応が分かれるG-SYNC対応の4K液晶ディスプレイ
NVIDIAが開発したディスプレイ同期技術「G-SYNC」。その仕組みは発表時の記事で詳しく解説しているが,簡単にいえば,GPUの主導でディスプレイ側のリフレッシュレートを制御するという技術だ。
4Gamerでは,ASUSの液晶ディスプレイ「VG248QE」に組み込む自作キットを紹介したことがあるが,いよいよG-SYNC搭載ディスプレイも発売が迫ってきており,当然その中には4K液晶ディスプレイもラインナップされている。
Acerが5月23日に発表した「XB280HK」は,世界で初めて製品化されたG-SYNC対応の4K液晶ディスプレイである。
採用する液晶パネルはInnolux製で,ドットピッチ157ppiのTN型液晶パネルであるとのこと。名称と仕様からも分かるように,前述したB280HKのG-SYNC対応モデルという位置付けの製品だ。
ところで,G-SYNC液晶ディスプレイは,120Hz以上の高リフレッシュレート対応というイメージを持っている人もいるかもしれないが,Acerの担当者によると,XB280HKの最大リフレッシュレートは60Hzだという。つまり,XB280HKではG-SYNC有効時の映像を60fps未満でしか表示できないわけだ。
現実問題として,ウルトラハイエンドGPUのSLI構成でもない限り,シェーダベースのゲームグラフィックスを4K解像度の60fpsで表示するのは難しい。最大リフレッシュレートが60Hzであっても,実際にそれが問題となるユーザーは少ないと割り切って考えれば,XB280HKの仕様もアリといえるのではないか。
なお,発売は2014年6月中の予定で,価格は未定。G-SYNC対応となる分,
ちなみにASUSも,28インチサイズで60Hz仕様のG-SYNC対応型4K液晶ディスプレイ試作機を展示していた。しかし,これを近々に製品化する予定はないのだという。
理由はXB280HKの仕様と同じく,「リフレッシュレートの上限が60Hzとなってしまうため」(ASUSの担当者)とのこと。ASUSは,「G-SYNCの価値は,60Hzを超えたフレームレートでもスムーズに表示できる点にある」と考えているらしく,60Hz未満をスムーズに表示できるだけだと商品価値は低い,と判断したようだ。
なお,展示機を確認してみたところ,入力インタフェースはDisplayPortだけでなく,HDMI(2.0非対応,MHL対応,Type A)も備えていた。発売予定がないという割に完成度は高いように思えたが,おそらくこれも既存の28インチ4K液晶ディスプレイを流用しているからなのだろう。
そんなASUSがG-SYNC対応製品の本命と位置付けているのは,R.O.G.ブランドの発表会で披露した「Swift PG278Q」(以下,PG278Q)である。
PG278Qは4K解像度ではなく,解像度2560×1440ドットのTN型液晶パネルを採用する製品だ。しかし,最大リフレッシュレートは144Hzであるため,G-SYNC動作時のゲームでも144fpsに達するまでスムーズに表示できるというわけだ。
入力インタフェースはDisplayPortのみで,HDMIはないのだが,面白いことに,
そのほかの変わりダネ4K関連製品
そのほかに,COMPUTEX会場で見かけた,変わりダネの4K関連製品を紹介しておこう。
まずASUSは,4K液晶パネルを使う裸眼立体視対応の試作機を展示していた。ディスプレイ自体は,28インチサイズでTN型液晶パネルを採用するものだった。現時点では技術デモという位置づけで,これ自体の製品化は予定していないという。
裸眼立体視時は,1920×1080ドット相当の3D映像を表示でき,立体視モードを無効化した状態(平面視モード)では,液晶パネル本来の解像度である4Kの表示が可能だという。フルHDの裸眼D立体視と4Kの平面視モードを切り替えられる製品としては,東芝のレグザ「55X3」というものがある。ASUSが出展していた試作機も,原理的にはほぼ同じものを利用していたようだ。
担当者によれば,Blu-ray 3Dで提供される「左右それぞれの目で見る2つの映像」から3Dの奥行き情報を再構成し,これを最大28視点からの多視点立体像に変換して表示を行っているのだという。展示機では映画「スタートレック イントゥ・ダークネス」を上映していたが,画面の前を横に歩きながら見ても,ポッピング(※映像の不自然な変化)が少ない立体像を見られた。
ただし,視距離として約1m以上が推奨されているため,PC用ディスプレイとして使うのは厳しいだろう。
なお,この2視差3D映像から多視点裸眼3D映像への変換には,Dolby Laboratoriesの技術「Dolby 3D」が使われているとのことだった。
最後にディスプレイではないが,YUAN High-Tech Development(以下,YUAN)のブースで展示されていた,PCI Express x4接続の4Kビデオキャプチャカードを紹介して締めくくるとしよう。
「SC510N2-L4K」というこのキャプチャカードは,4K映像をPCで非圧縮キャプチャできるのだという。カード上にハードウェアエンコーダは搭載されておらず,基本的には,入力された生フレームをそのままPCへ送ってストレージに保存するための製品だ。入力は4K解像度の60Hzに対応するが,キャプチャレートは30Hzになるとのことだった。
YUAN製4KビデオキャプチャカードSC510N2-L4K。HDMI入力は2系統あり,4K/30Hzキャプチャのほか,2画面分のフルHD映像を同時キャプチャすることが可能という |
同製品のキャプチャソフトは,IntelのMedia SDKもしくはNVIDIAのCUDAに対応しているとのことで,キャプチャした映像をH.264などにより圧縮して保存することも可能なようだ。
Acer 日本語公式 Webサイト
ASUSのCOMPUTEX TAIPEI 2014 特設ページ(英語)
YUAN High-Tech Development 公式Webサイト(英語)
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