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[SIGGRAPH 2015]「今までよりも酔いにくい仮想現実対応HMD」をNVIDIAが開発中。2枚の液晶パネルを使ったサンドイッチ構造がポイント
公式Blogによれば,1枚のディスプレイパネルを左右に分割し,片眼にそれぞれ異なる映像を見せている既存のVR HMDを装着した場合,現実世界を見るときとは異なる目の動きが要求されるとのこと。
たとえば,ある物体が現実世界において前後に動く場合,人間の目は焦点距離を変えることで動きに追従して物体を見続ける。だが,既存のVR HMDでは,映像中で物体が前後に動いていても,目が焦点を合わせているのはあくまでもディスプレイ1枚の上で描画されているグラフィックスであるため,現実との齟齬が生じてしまう。それが違和感となって,いわゆるVR酔いと呼ばれる現象をもたらす要因になるというのが,NVIDIAの主張だ。
ではどうするか。あるシーンを描画するにあたって,GPUはまず,当該シーンを,少しずつオフセットされた――おそらくは「奥行き情報を組んで少しずつずらされた」――一眼につき25枚の「パターン」に分割。それを,2枚の透過型液晶パネルで挟まれた空間上に配置する。そのうえで,人の目の動きに合わせて,左右の目に対して異なるオフセット値のパターンをホログラムのように表示させる。Blogに書かれている内容を読む限りは,このようにすることで,人間の目は現実世界で行うのと同じように焦点合わせを行うため,VR酔いを回避できるということのようである。
また,1シーンを一眼につき25枚のパターンで描画することから,よりシャープな画面が得られ,結果として自然なVR体験ができるとも,Blogではアピールされている。
なお,試作機では,映像をレンダリングするGPUとして「GeForce GTX 970」を組み合わせてあるとのこと。あるシーンを描画するのに都合50枚の「パターン」を描画しなければならないため,実現には相応に高性能のGPUが必要になるようだ。
NVIDIA公式Blogの当該ポスト(英語)
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