ニュース
ローランドのゲーマー向けオーディオミキサー「BRIDGE CAST」実機がCES 2023で世界初公開。その見どころをチェックしてきた
日本国内では,1月28日の発売を予定しており,メーカー想定売価は3万円前後とのこと。
1台で4基分のサウンドデバイスを提供
発表時の記事にもあるとおり,BRIDGE CASTは,PCやゲーム機とUSB Type-Cで接続して使うサウンドデバイスだ。PCやゲーム機以外からの音声入力として,XLRアナログ入力と3極3.5mmミニピンAUX入力端子,ヘッドセット用4極3.5mmミニピン端子の3種類を備える。
XLRアナログ入力は,ファンタム電源の利用も可能で,ダイナミックマイクとコンデンサマイクに対応するという。ただし,ファンタム電源の切り替えは独立した物理スイッチではなく,操作パネルのボタンを同時押しするか,専用ソフトウェアから切り替える必要があるので,複数のマイクを交換する機会が多い場合は,少し面倒かもしれない。
BRIDGE CASTをPCと接続すると,Windowsからは「GAME」(ゲームサウンド),「CHAT」(ボイスチャット音声),「SYSTEM」(ビープなどのWindowsシステムサウンド),「MUSIC」(音楽)という4基のUSBオーディオデバイスとして認識され,ユーザーはこれらをそれぞれ個別の用途に割り当てて使う。「GAME」や「CHAT」とあるものの,これらは便宜上のネーミングであって,名前とは異なる用途に割り当てても問題ない。ちなみに,4つとも最大24bit 96kHzの2chステレオ出力が可能だ。
なお,BRIDGE CASTをPCと接続するには,BRIDGE CAST本体の背面にある「CONSOLE/MOBILE←→PC」というモード切り替えスイッチを「PC」側にする必要がある。PlayStation 5やXbox Series X|S,Nintendo Switchといったゲーム機と接続して,ゲーム内音声を聞きながら,スマートフォンとも接続してDiscordなどのチャットアプリでボイスチャットしたいという場合は,モード切り替えスイッチを「CONSOLE/MOBILE」にしよう。
2系統の音声ミックス機能を搭載
ボイスチェンジャー機能も利用できる
BRIDGE CAST前面の操作パネルにある4つの大きなつまみは,パネルの表示にあるように,マイク入力やAUX端子と接続した外部デバイスなどの音量を調整するものだ。
BRIDGE CASTは,配信用と自分が聞いている音声(モニタリング)用で,それぞれ音声をミックスする機能を備えているのがポイントとなる。ゲーマー向けオーディオミキサーの中には,自分がヘッドセットでモニタリングしているゲーム内音声を調整するときに,配信に出力している音声も一緒に変わってしまうものがある。その点,BRIDGE CASTでは,実況者のモニタリング用出力では,ゲーム内音声だけを配信用出力よりも下げておくといった使い方が可能だ。
また,BRIDGE CASTには,ボイスチェンジャー機能を搭載しており,操作パネルの上部にあるピッチとフォルマントを調整して声色を変えられる。この機能は,ローランドの定番ボイスエフェクタである「VT」シリーズに由来するものだそうだ。また,専用ソフトウェアからもリバーブなどのエフェクトをかけられるとのこと。
このほかにも専用ソフトウェアでは,小さい音と大きい音の音量差を減らすコンプレッサや,サ行などの歯擦音(しさつおん)や,パ行といった破裂音を聞きやすくするディエッサといった調整機能を備える。
加えて,イコライザ機能も利用可能で,ユーザー自身で調整するだけでなく,あらかじめ登録してある5つのプリセットからも選べる。
カスタマイズ自在の専用ソフトウェア
著作権フリーのランダムBGM演奏機能が面白い
ローランドの担当者によれば,BRIDGE CASTの専用ソフトウェアには,基本的な音声調整機能以外にも見どころがあるという。中でも面白いのは,本体パネルにある[MUTE]ボタンのカスタマイズだ。この[MUTE]ボタンには,専用ソフトウェアから機能割当が可能で,カスタマイズすればゲーム実況で定番の拍手や歓声,ファンファーレといった効果音を鳴らせるそうだ。
また,専用ソフトウェアは,ローランドのクラウドサービスである「Roland Cloud」との連携機能も利用できる予定だ。たとえば,Roland Cloudにある数千曲もの著作権フリーのBGMライブラリにある「HAPPY」「COOL」「EXCITING」「DARK」「EPIC」「RELAX」といったキーワードとジャンルから曲調を選択して,楽曲をランダムに再生できるのだ。流れている曲を気に入ったら,「お気に入り」ボタンを押せば,その曲の選曲率が上がる仕組みも実装している。
なお,特定の曲をお気に入りに登録する機能も検討中とのことだ。これは,競合するゲーム実況向けミキサーにはないローランドらしい独自機能だと言えよう。
BRIDGE CASTを使いこなすには,専用ソフトウェアの習熟も必要だが,基本的な機能は分かりやすく,標準設定のままでも初心者にとって十分に使い出のある製品だろう。登場を楽しみに待ちたい。
ローランド初のゲーム実況向けオーディオミキサー「BRIDGE CAST」が1月28日に発売。独自サービスの楽曲や効果音を配信で利用できる
2023年1月3日,ローランドは,同社初のゲーム配信者向けオーディオミキサー「BRIDGE CAST」を1月28日に発売すると発表した。PCやゲーム機,XLR端子対応マイクなどを接続して,ゲームサウンドとマイク音声をミックスした動画を配信するのに役立つ。メーカー想定売価は3万円前後だ。
ローランドのBRIDGE CAST製品情報ページ
ローランド公式Webサイト
4GamerのCES 2023記事まとめページ
- この記事のURL: