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ARグラスの「Nreal」が「XREAL」に社名変更。新幹線の車内で行われた「Nreal Air」体験会をレポート
改名に先立つ5月16日には,東海道新幹線の車両のうち2両を貸し切りで,ブランド変更に関する説明会と,XREAL Airの体験会が行われた。本稿では,説明会および体験会の様子を簡単にレポートしたい。
サングラス感覚で着用できるARグラス
VR HMDやサブディスプレイ的に使うことも
ゲーマー向け特化の製品ではないということもあり,4Gamerではこれまできちんと取り上げたことがなかったので,改めてXREAL Airとは何かについて,簡単に説明しておこう。
これまでNreal Airと呼ばれてきたXREAL Airは,眼鏡型HMDだ。XREALは本製品を「ARグラス」と呼んでいる。
大きめのサングラスのような形をしたボディの左右両眼に当たる部分に
透過型の有機ELディスプレイがあり,眼鏡のつる部分にはスピーカーを,フレーム部分にはマイクなどを備えており,接続したPCやゲーム機,スマートフォンなどの映像を表示して視聴するのが基本的な使い方となる。加速度センサーやジャイロセンサーといったセンサー類も内蔵しており,3軸のヘッドトラッキングも行える。
XREAL Airで重要なのは,眼鏡型HMD部分は基本的にディスプレイであり,「Meta Quest 2」や「VIVE Focus 3」のように,PCやスマートフォンに相当する機能は備えていないという点だ。必ず映像を出力する機器と組み合わせる必要がある。
PCやゲーム機との接続は,DisplayPort Alternate Mode(以下,DP)対応のUSB Type-C経由がメインとなる。それ以外にも,別売りの変換アダプタである「XREAL Adapter」(旧称:Nreal Adapter NR-7100AGL)と組み合わせれば,HDMI出力の機器とXREAL Airをアダプタ経由で接続して使用できる(※ワイヤレス接続には対応していない)。また,XREAL Air本体にはバッテリーが内蔵されていないので,ケーブルでPCやXREAL Adapter(※バッテリー内蔵で最大3時間駆動)とつないで,映像と電力を送ってもらう必要がある。
DP対応USB Type-CポートやUSB4ポート,Thunderbolt 3/4ポートがあるノートPCなら,そのままXREAL Airに接続して表示できる。PlayStation 5やNintendo Switchならば,XREAL Adapterを経由して接続することになるわけだ。
ディスプレイ部分の解像度は,片眼あたり1920×1080ドット(以下,フルHD),両眼合わせて3840×1080ドットである。ようは,両目で見る映像の解像度はフルHD相当というわけだ。
HMDでは,ディスプレイのようにインチサイズで表示領域の広さを示すことはできないが,XREALでは,「4mの距離で130インチ相当」,あるいは「6mで201インチ相当」(※アプリケーションによる)という目安を示している。ただ,実際に使ってみると,そこまで大画面感があるわけではない。50cmくらいの距離に20インチくらいの映像が浮かんで見える,という印象だ。
以前にXREAL Airを試用したことがあるのだが,フルHD解像度のPC映像を表示してみると,Windows側の「拡大/縮小」(スケーリング)が100%の場合,ExplorerやWebブラウザの小さい文字を読むのはちょっとキツい。一方,ゲームをフルHD解像度で表示した場合は,とくに視認性で問題を感じることはなかった。もちろん,「FPSで1ドットだけ見えた敵の頭にヘッドショットを決める」のは,XREAL Airでは難しいだろう。そこまで精密さを要求されないゲーム,たとえばオープンワールドタイプのアクションゲームや大抵のRPGなどは,XREAL Airでも問題なくプレイできるのではないだろうか。
なお,XREAL Airには,ユーザーの視力に合わせて視度を調整する機能はない。近眼で眼鏡を使わないと映像が見にくいという人は,XREAL Airにサードパーティー品の視度矯正レンズを組み合わせる必要がある。この点は,眼鏡がなくても使える最新のVR HMDには及ばないところだ。
XREAL Airでもうひとつ重要な点は,前面がシースルーなので,着用した状態でも周囲が普通に見えるということだ。映像が空中に浮かんでいるように見えるわけで,アプリケーション次第ではあるが,現実の情景に映像を重ね合わせたARアプリケーションの利用にも適しているのだ。PCにXREAL Airを組み合わせると,メインの据え置きディスプレイに加えて,空中に表示できるサブディスプレイのようにも使える。
あまりないとは思うが,メイン画面の外にUI部分を表示できるようなPCゲーム(あるいはアドオン)であれば,メイン画面を据え置きのディスプレイに表示しつつ,XREAL AirにUIを表示することで,首を左右に動かさなくても両方の画面を見るといった使い方ができるだろう。
ただ,周囲が見えるということは,周囲が明るいと映像は見えにくくなってしまうということでもある。そのため,明るい場所で映像に集中したいときは付属の「ライトシールド」を前面に取り付けると,眼前が暗くなるので鮮明な映像を見られる。暗い部屋であれば,ライトシールドなしでも問題なく映像は見えるだろう。
ライトシールドを付けた状態でプレイていたので,車内の明るさが気になることもなく,テレビにSwitchをつなげているのと変わらない感覚でプレイできた。表示遅延の有無も気になったのだが,このゲームに関しては,とくに遅延が気になることもなかった。表示遅延に関しては,格闘ゲームやリズムゲームで検証してみたいところだ。
そのほかに,Windows用ソフトウェア「Nebula for Windows」を使ったデモも少しだけ見たが,XREAL Airならではのものだった。
Nebula for Windowsは,XREAL Air用の仮想デスクトップソフトというべきもので,これを使うとXREAL Airの画面上に,フルHD解像度を超えた横長ウルトラワイドのデスクトップを表示したり,空中に3枚の仮想デスクトップを並べて,3画面ディスプレイのように使うといったことが可能となる。首を横に向ければ,向いた方向の仮想デスクトップが表示されるので,3台のディスプレイを使っているのと似た感覚で扱えるのも面白い。
XREALが公開したビデオを見ると,XREAL Airでどのようなことができるのか,イメージできるのではないだろうか。
次世代製品は,現実に映像を投影する「スマートミラーリング」なものを
Yeo氏によると,XREAL Airはリリース後にも対応するプラットフォームを拡大していくことで,今ではiPhoneやiPad,Android端末,PC,ゲーム機でも使えるようになったという。2022年には世界市場で10万台以上を販売しており,調査会社のIDCによると,2022年のAR HMD市場ではNrealがトップになったそうだ。
好調なNrealがXREALに社名やブランド名を変更する理由については,日本Nrealのマーケティングマネージャーである下高原 沙也佳氏が説明した。Nrealという名前には,現実(Real)と非現実(Unreal)の中間という意味が込められていたそうだ。
しかし今後は,AR HMDによってユーザーのリアルな生活に寄り添うことを目標に,ARとリアルをクロスするという意味を込めて,XREALに変更することとなったとのことである。
XREALでは,消費者の生活に踏み込むコンテンツ作りに注力していくことで,ARをライフスタイルに取り込んでいくことを促進していくという。今後予定している製品では,現実に映像を投影する「スマートミラーリング」を実現するものを披露する予定であるそうだ。
次の製品がどのようなものになるのかは分からないが,現状のXREAL Airでも,PCのサブディスプレイ的使い方や,寝転がるようなリラックスした状態で,周囲に気をつかうことなく映像を楽しむデバイスとして面白い製品だ。「これは!」と思った人はチェックしてみよう。たとえば,NTTドコモのレンタルサービス「kikito」では,XREAL Airの有料レンタルサービスを行っているので,まずは借りて試してみるといいだろう。
XREAL Air製品情報ページ
Nreal 公式Webサイト
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