ニュース
PCを自作するならパーツも新世代規格対応品を選ぶべし。COMPUTEX 2023で見つけた新マザーボードや電源,ファンを総ざらえ
さて本稿では,COMPUTEX 2023のメイン会場である南港展示館で見かけた,自作PCの次世代トレンドについてまとめてみたい。PCを自作するときは,すべて丸ごと新調するも良し,パーツを少しずつ交換していくのも良しだが,PCパーツの規格も転換期を迎えている。そうした注目すべき新規格に対応するPCパーツをチェックしていく。
次世代CPUにも対応予定のZ790搭載マザーが今秋登場
まずはマザーボードの話題から。
COMPUTEX 2023のタイミングでは,とくに新CPUの発表がなかったので,プラットフォーム自体はIntel系がLGA1700,AMD系はSocket AM5のままだ。しかし,Intelプラットフォームでは,Intel Z790チップセット搭載のマザーボード新製品が,今秋以降に登場するということで,ASRockやGIGA-BYTE TECHNOLOGY(以下,GIGABYTE),MSIが出展していた。
いずれもハイエンド市場向けか,それに準ずる上位モデルであり,今後登場するハイスペックCPUに対応するほか,CPU電源周りの強化,PCI Express(以下 PCIe)5.0 x4対応のM.2 SSDスロット,Wi-Fi 7対応,マルチGigabit LANの搭載などが特徴として挙げられている。
これらのマザーボードは,DDR5メモリに対応する製品がほとんどだ。今年前半までは,DDR4からDDR5への移行は過渡期ともいえたが,今年後半に登場するマザーボードの上位モデルは,ほぼDDR5メモリ一択となるようだ。
なお,SSDの最新事情記事でも紹介したが,各社のハイエンドマザーボードは,PCIe 5.0対応を進めている。それにより,グラフィックスカード用のPCIe x16スロットだけでなく(※今のところ,GeForceやRadeonはPCIe 4.0までしか対応していない),M.2スロットもPCIe 5.0 x4対応にして,より高速なSSDが利用できるようになった。
PCIe 4.0までしか対応しない製品との価格差はあるものの,理論値で10000MB/sを超える転送速度は圧倒的だ。マザーボードが対応しているのであれば,今後はPCIe 5.0 x4対応のSSDを積極的に選びたい。ただ,転送速度が高速になるだけに,熱によるサーマルスロットリング(※高温による性能の制限)も起きやすいので,PCIe 4.0までは十分だったヒートシンクよりも,高性能なものを要求される可能性はある。
ファン同士を連結してケーブルレスで動かす製品が各社から登場
もちろん,これまでの電源ユニットを利用できるように,PCIe補助電源コネクタの8ピンを複数束ねて12VHPWRに変換するケーブルがグラフィックスカードには同梱されているので,もうしばらくの間は利用できるはずだ。とはいえ,この先10年とは言わないまでも何年も使うのであれば,電源ユニットも新規格を選んでおきたいところだ。
ゲーマー向けPCに欠かせない各種ファンも,進化している。
CPUクーラーやグラフィックスカードのファン,PCケースファンのいずれも,冷却という本来の目的に加えて,LEDイルミネーションによる演出が欠かせなくなってきた。しかし,ファンの回転制御とLEDは,そもそも別系統の技術なので,LED付きのケースファンは,ファンヘの給電や回転を制御するケーブルと,LEDの発光を制御するケーブルの2本が伸びているのが当たり前。そのため,設置の手間や取り回しに難がある状況だ。
もちろん機器メーカー側も,ファンコントローラやLEDイルミネーションのハブを用意したり,管理ソフトウェアを開発するなど対応をしてはいるが,配線の複雑さ自体は解決していない。
この点の改善を狙って各社が打ち出してきたのが,ファンのケーブルレス化とジョイント機能である。こうしたファンは,相互に接続するコネクタと機器IDを持っていて,ファン同士を2基,3基と並べる場合,磁力などを使って連結するだけで,配線接続と配置を行えるという。連結したファンからは,最小1本のケーブルをマザーボードと接続するだけで,ファン回転とLEDイルミネーションを制御できるわけだ。
こうした機能を備える新世代のファンは,それ同士の直結だけでなく,対応機器の間を専用ケーブルで連結することで,前面ファンや天面ファン,背面ファンといった一連のファンを,デイジーチェーンで管理することが可能になる。
現状の課題は,メーカー間での互換性がないので,基本的にはメーカー単位での囲い込みになることと,同一メーカーでも従来製品とは互換性がないので,新旧合わせて利用したい場合は,新旧それぞれのハブが必要になることだ。「ファンも含めたPC一式を丸ごと更新したい」というときに,まとめて新仕様のファンを導入するのが適当だろうか。
個性的な冷却機器としては,ZOTACのミニPCに採用された「AirJet」がある。ファンを使わない冷却機構として注目を集めていた。
仕組みは,ユニット内で震動を起こすことによって,空気の流れを生み出すというもの。ファンではないので回転音はしないが,本体に耳を近づけると「ブーン」という振動音が聞こえるものだ。容積あたりの冷却効果が高いとZOTACは述べており,ユニット1個あたり5W,デモ機では2個で10Wの冷却効果が見込めるという。
ZOTACではCore i3以下のミニPCに採用を見込んでいる。CPUやGPUといった数百ワットクラスの冷却には向かないが,羽根をもつファンよりも小さな容積で冷却が可能ということで,それ以外のデバイスへの応用が期待できるかもしれない。
4GamerのCOMPUTEX 2023記事ページ
- 関連タイトル:
Phantom Gaming
- 関連タイトル:
G Series
- 関連タイトル:
AORUS
- この記事のURL:
キーワード
Copyright(C)2009-2017 MSI Computer Japan Co., Ltd. All rights reserved.