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PCを自作するならパーツも新世代規格対応品を選ぶべし。COMPUTEX 2023で見つけた新マザーボードや電源,ファンを総ざらえ
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印刷2023/06/14 18:36

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PCを自作するならパーツも新世代規格対応品を選ぶべし。COMPUTEX 2023で見つけた新マザーボードや電源,ファンを総ざらえ

COMPUTEX 2023メイン会場の様子
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 2019年以来,実質的に4年振りの開催となったCOMPUTEX 2023は,コロナ禍前とは異なり,例年なら土曜日に行われた一般公開こそ見送られたが,4日間の会期中は,以前に近い活気が戻ったようだった。
 さて本稿では,COMPUTEX 2023のメイン会場である南港展示館で見かけた,自作PCの次世代トレンドについてまとめてみたい。PCを自作するときは,すべて丸ごと新調するも良し,パーツを少しずつ交換していくのも良しだが,PCパーツの規格も転換期を迎えている。そうした注目すべき新規格に対応するPCパーツをチェックしていく。


次世代CPUにも対応予定のZ790搭載マザーが今秋登場


 まずはマザーボードの話題から。
 COMPUTEX 2023のタイミングでは,とくに新CPUの発表がなかったので,プラットフォーム自体はIntel系がLGA1700,AMD系はSocket AM5のままだ。しかし,Intelプラットフォームでは,Intel Z790チップセット搭載のマザーボード新製品が,今秋以降に登場するということで,ASRockやGIGA-BYTE TECHNOLOGY(以下,GIGABYTE),MSIが出展していた。

 いずれもハイエンド市場向けか,それに準ずる上位モデルであり,今後登場するハイスペックCPUに対応するほか,CPU電源周りの強化,PCI Express(以下 PCIe)5.0 x4対応のM.2 SSDスロット,Wi-Fi 7対応,マルチGigabit LANの搭載などが特徴として挙げられている。

ASRockの「Phantom Gaming Z790 NOVA Wi-Fi 7」。VRMは20+1+1フェーズ。5Gb 有線LAN,Wi-Fi 7を備える
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ASRockの「Phantom Gaming Z790 RIPTIDE Wi-Fi 7」。5Gb 有線LANやWi-Fi 7搭載はNOVAと同じで,VRMは16+1+1フェーズとやや控えめ
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GIGABYTEの「Z790 AORUS XTREM X」。CPUやVRMの状態を示す小型ディスプレイや,基板の半分近くを覆う大きなカバー――ヒートシンクを兼ねているようだ――が目を惹く
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GIGABYTEの「Z790 AORUS MASTER X」。カバーは同じだが,小型ディスプレイは備えていない
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MSIの「MEG Z790 ACE MAX」(左)。MSIの場合,MAXが付いているのが新モデルだ。右はMSIの「MAG Z790 TOMAHAWK MAX Wi-Fi」。やや安価な製品で,たとえばM.2 SSD用スロットはPCIe 4.0 x4までとなっている
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MSIの「MPG Z790 CARBON MAX Wi-Fi」(左)と「MPG Z790 EDGE MAX Wi-Fi」(右)。こちらもEDGEのほうがやや安価で,M.2 SSDスロットはPCIe 4.0 x4までだ
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 これらのマザーボードは,DDR5メモリに対応する製品がほとんどだ。今年前半までは,DDR4からDDR5への移行は過渡期ともいえたが,今年後半に登場するマザーボードの上位モデルは,ほぼDDR5メモリ一択となるようだ。

 なお,SSDの最新事情記事でも紹介したが,各社のハイエンドマザーボードは,PCIe 5.0対応を進めている。それにより,グラフィックスカード用のPCIe x16スロットだけでなく(※今のところ,GeForceやRadeonはPCIe 4.0までしか対応していない),M.2スロットもPCIe 5.0 x4対応にして,より高速なSSDが利用できるようになった。
 PCIe 4.0までしか対応しない製品との価格差はあるものの,理論値で10000MB/sを超える転送速度は圧倒的だ。マザーボードが対応しているのであれば,今後はPCIe 5.0 x4対応のSSDを積極的に選びたい。ただ,転送速度が高速になるだけに,熱によるサーマルスロットリング(※高温による性能の制限)も起きやすいので,PCIe 4.0までは十分だったヒートシンクよりも,高性能なものを要求される可能性はある。


ファン同士を連結してケーブルレスで動かす製品が各社から登場


電源ユニット大手のFSPによる展示
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 「10年使えるパーツ」として挙げられることもあるのが電源ユニットだ(※壊れやすいパーツでもあるが)。こちらも新しい電源ユニット規格である「ATX3.0」や,PCIe 5.0対応への過渡期となっている。電源ユニットを新調するなら,GPUへの給電に必要となる「12VHPWR」への対応は必須と考えよう。
 もちろん,これまでの電源ユニットを利用できるように,PCIe補助電源コネクタの8ピンを複数束ねて12VHPWRに変換するケーブルがグラフィックスカードには同梱されているので,もうしばらくの間は利用できるはずだ。とはいえ,この先10年とは言わないまでも何年も使うのであれば,電源ユニットも新規格を選んでおきたいところだ。

ThermaltakeによるATX3.0,PCIe 5.0対応電源ユニットの展示
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 ゲーマー向けPCに欠かせない各種ファンも,進化している。
 CPUクーラーやグラフィックスカードのファン,PCケースファンのいずれも,冷却という本来の目的に加えて,LEDイルミネーションによる演出が欠かせなくなってきた。しかし,ファンの回転制御とLEDは,そもそも別系統の技術なので,LED付きのケースファンは,ファンヘの給電や回転を制御するケーブルと,LEDの発光を制御するケーブルの2本が伸びているのが当たり前。そのため,設置の手間や取り回しに難がある状況だ。
 もちろん機器メーカー側も,ファンコントローラやLEDイルミネーションのハブを用意したり,管理ソフトウェアを開発するなど対応をしてはいるが,配線の複雑さ自体は解決していない。

 この点の改善を狙って各社が打ち出してきたのが,ファンのケーブルレス化とジョイント機能である。こうしたファンは,相互に接続するコネクタと機器IDを持っていて,ファン同士を2基,3基と並べる場合,磁力などを使って連結するだけで,配線接続と配置を行えるという。連結したファンからは,最小1本のケーブルをマザーボードと接続するだけで,ファン回転とLEDイルミネーションを制御できるわけだ。

Corsairが展示していた,新しい簡易液冷クーラーとケースファンの管理システム「iCUE LINK」。ファンにはケーブルがなく,連結したファンの終端とハブを1本のケーブルで接続している
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個々のファンは,簡単に着脱可能なジョイントで結合する。これにより,ケーブル不要でファンの回転とLEDイルミネーションを制御する
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 こうした機能を備える新世代のファンは,それ同士の直結だけでなく,対応機器の間を専用ケーブルで連結することで,前面ファンや天面ファン,背面ファンといった一連のファンを,デイジーチェーンで管理することが可能になる。

 現状の課題は,メーカー間での互換性がないので,基本的にはメーカー単位での囲い込みになることと,同一メーカーでも従来製品とは互換性がないので,新旧合わせて利用したい場合は,新旧それぞれのハブが必要になることだ。「ファンも含めたPC一式を丸ごと更新したい」というときに,まとめて新仕様のファンを導入するのが適当だろうか。

Thermaltakeの新仕様ファンシステム。磁力を使ったジョイントで接続をシンプルにするのが特徴だ。またファンブレードを反転して取り付けることも可能で,吸気と排気を逆にできる仕組みもある
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LIAN LIのコンセプト展示。ファンはデイジーチェーンされており,左端から延びるケーブル1本で制御できる。ファンの中央部分に組み込まれた小型ディスプレイに表示する映像も連動しているのに注目
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 個性的な冷却機器としては,ZOTACのミニPCに採用された「AirJet」がある。ファンを使わない冷却機構として注目を集めていた。

見た目にはリチウムイオン電池のようなAirJetの冷却ユニット
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 仕組みは,ユニット内で震動を起こすことによって,空気の流れを生み出すというもの。ファンではないので回転音はしないが,本体に耳を近づけると「ブーン」という振動音が聞こえるものだ。容積あたりの冷却効果が高いとZOTACは述べており,ユニット1個あたり5W,デモ機では2個で10Wの冷却効果が見込めるという。

 ZOTACではCore i3以下のミニPCに採用を見込んでいる。CPUやGPUといった数百ワットクラスの冷却には向かないが,羽根をもつファンよりも小さな容積で冷却が可能ということで,それ以外のデバイスへの応用が期待できるかもしれない。

ZOTACによるAirJet内蔵ミニPCのデモ。搭載しているのはCore i3-N300プロセッサとのこと
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