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スマホ向けアプリの市場を攻略するにはヘビーユーザーの確保がキモ。App ApeとSMARTGAMEの関係者による業界向けセミナーレポート
セミナーのテーマは“ヘビーユーザー”で,この方面のデータベースを有するフラーとSmarpriseの2社による分析が,マーケティング担当者へのアドバイスとともに語られた。業界向けのセミナーということで,メディアとして記事にできない発表も含まれていたが,本稿では可能な範囲で紹介しよう。
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スマホゲーム市場の攻略はヘビーユーザーの確保がキモ
「KOF98UM」と「FGO」における成功事例が紹介
App Apeの分析によると,近年はスマホ向けゲームのクオリティが上昇するだけでなく,ゲーム以外のアプリも躍進しており,“スマホ向けアプリ”内での競争が激しさを増しているという。
そういったなか,スマホ向けゲームの市場を攻略するには,ヘビーユーザーを大切にすることが要になるとフラーの岡田氏は語る。というのも,ヘビーユーザーを“月間の利用日数が20日を超えるプレイヤー”と定義したうえでApp Apeのデータを分析したところ,ランキングで上位を占めるゲームの約8割で,ヘビーユーザー率が20%を超えているという。
続いて,実際にヘビーユーザーの確保に成功しているタイトルとして,「THE KING OF FIGHTERS '98UM OL」(iOS / Android 以下,KOF98UM)と「Fate/Grand Order」(iOS / Android 以下,FGO)の2タイトルが紹介された。App Apeにおけるデータに,各タイトルが行った施策を照らし合わせて,ヘビーユーザーを確保するための秘訣を読み解こうというわけだ。
「THE KING OF FIGHTERS '98UM OL」に関する分析
すると,KOFシリーズの人気キャラ“オメガ・ルガール”が獲得できるガチャや,人気キャラを入手するための“欠片”の購入キャンペーンなどが開催されており,それぞれのタイミングでDAU(Daily Active Users:日間のアクティブユーザー数)が上昇していることが判明したという。また,随時開催されている各キャラの“誕生日イベント”も,DAUの上昇に貢献しているそうだ。
KOFシリーズは長年人気を博するIPで,KOF98UMのプレイヤーも,シリーズの熱心なファンの割合が高い。彼らが満足できるコアなイベントを継続的に実施することで,KOF98UMはヘビーユーザーの確保に成功していると岡田氏は分析した。
「Fate/Grand Order」に関する分析
App Apeの分析によると,FGOはMAUが突出しているほか,ヘビーユーザー率も高い数値を示しているという。2017年1月以降,FGOのヘビーユーザー率は少し下がってはいるのだが,そういったなかで岡田氏は,2017年8月にいったん上昇している部分に着目した。
このタイミングにゲーム内で何が起こったのかを調べたところ,人気キャラのイシュタルが登場する「デッドヒート・サマーレース!」(2017年8月9日開始)と,同じくイシュタル関連のイベント「デスジェイル・サマーエスケイプ」(8月16日開始)が立て続けに開催されていた。これらが盛況だったため,イベント開催によって上昇したDAUが,終了後に大きく減少しなかったそうだ。
魅力的なキャラを実装すれば一時的にDAUは上昇するだろうが,それだけではイベントの終了後,元に戻ってしまう可能性がある。今回取り上げたFGOのように,期待値の高いキャラの実装後にしっかりとした大型のイベントを開催することで,DAUの上昇が一過性ではなく,ゲームに定着させられるのではと岡田氏は分析した。
今回はKOF98UMとFGOの事例が紹介されたが,App Apeではこのようなデータを日常的に分析しているという。これらのデータを的確に分析することで,自社のタイトルにも反映し,ヘビーユーザーの確保に結びつけられると参加者に呼びかけ,今回の発表が締めくくられた。
高額課金を行う人ってどんな人?
SMARTGAMEは,iOS向けゲームのアプリ内課金に特化したプラットフォームである。プレイヤーがSMARTGAME経由でアプリ内課金を行うと,その1%分の金額に相当する“ゴールド”が還元され,これをiTunesギフトコードなどに換金できるという仕組みだ。
同社はiTunes Affiliateを活用しており,プレイヤーのアプリ内課金を斡旋することでAppleからポイントバックを獲得し,その一部をプレイヤーに間接的に還元されるというビジネスモデルを取っている。
登壇したSmarpriseの向山知宏氏は,同サービスを利用するユーザーの属性や,アプリ内課金を行う具体的なタイトルなどを紹介。それらの詳細は本稿では伏せるが,同サービスを利用してアプリ内課金を行っているユーザーの平均課金額(月額)は,直近の調べだと約3万8千円となっており,高額課金を行うユーザーのデータベースを所持しているとのこと。
Smarpriseが発表したなかで本稿に掲載できる情報としては,たとえば半年以上アプリ内課金を行わないような休眠ユーザーは,その半数以上が他のゲームへ“浮気”しているという。そして同社が各ユーザー単位で追跡調査を行ったところ,浮気相手は新作のアプリではなく,以前からリリースされているタイトルが選ばれることが多いそうだ。SMARTGAMEを利用する(≒高額課金を行う)ユーザー層は,関心はあれども新作のタイトルに触れる機会が少なく,知らないことが多いのかもしれないと向山氏は推測していた。
また,一度離脱したユーザーが復帰したくなるタイミングについてアンケートを実施したところ,「人気IPとのコラボ」「周年記念イベントの実施」「復帰キャンペーン」が上位を占めていたそうだ。
そのほかには,高額課金を行う人が実際にどういった人で,どういった視点や考え方を持っているのかを調べるべく同社は座談会を実施しており,そのまとめがスライドで紹介された。座談会のテーマは「“これは神運営!”と思うとき」「ゲームメーカーに対して言いたいこと」「ほかのアプリに浮気したくなるとき」などだ。
ゲームに限ったことではないが,世の中にはさまざまな人がいるわけで,ひとつの趣味に高額をつぎ込む人がいてもおかしくはないだろう。また,たとえば,PvPをエンドコンテンツに据えているタイトルを熱心に遊ぶようなプレイヤーなら,高額課金を行うプレイヤーの存在を実感しているかもしれない。
今回の座談会はSmarpriseのユーザー5名によって行われており,このデータをもって高額課金者の属性とひとくくりに解釈するにはやや無理があるが,いろいろなプレイヤーがいるという意味で,ひとつの参考にはなるのかもしれない。
※今回発表された情報は,フラー及びSmarpriseが独自に調査したデータをもとに作られています。メーカーの公式発表ではありませんので,その点はご注意ください
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- 関連タイトル:
THE KING OF FIGHTERS ’98 ULTIMATE MATCH Online
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