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[TGS 2014]家族や上司の視線を気にせず“ぼっち”になれる,究極の一人空間「ぼっちてんと」を物販ブースで取材してきた
写真を見たところ,折りたたみ式の小さなパーテーションのようなもので,これを部屋のデスクなどにすっぽりとかぶせることで,130cm四方の小さな部屋が作れるというのである。構造自体は,さほど珍しいものではなさそうだが,そのネーミングセンスが個人的にとても気に入ったので,実物が展示販売されているという同社ブースへと足を運んでみた。
「ぼっちてんと」製品ページ
ブースには,ぼっちてんとの中でPCゲームができる環境が用意されていた。実際に来場者が中に入って試している様子も見られ,なかなかの注目を浴びていたようだ。
サイズは幅と奥行きが130cm,高さが160cmで,立方体の底にあたる部分はなく,そのままPCデスクなどの上からかぶせられるという仕様になっている。使わないときは直径63cm×厚さ5cmの座布団状に折り畳むことができ,これを部屋に持ち込んで「ポンッ」と簡単に広げられるというわけだ。その詳しい手順は公式動画を参照していただきたい。
実のところ,そのネーミングにある“ぼっち”な人は自分の部屋を持っていたり,そもそも1人暮らしだったりするのではないだろうか。ならば,一体どんな人が使う製品なのか,ビーズの商品企画部 川瀬隼利氏に尋ねてみたところ,一緒に住んでいる家族に見られたくない時間を作りたいときや,職場などで周りの視線を気にせずに仕事をしたいときなどを想定して開発したそうだ。
人に見られたくない時間というのは,何も後ろめたいことをするときに限らず,何かに集中したいときにもあてはまる。実際,漫画家やデザイナーといった1人で黙々と作業をする職業の人も購入しているとのこと。筆者のようなフリーライターにも向いているかもしれない。
中に入るとこのようになる。大きなデスクでなければ,イスを軽くリクライニングしても余裕のあるサイズだ。完全な遮光性はないが,入り口を閉め切ればかなり暗くなる |
また興味深い使い方の例としては,災害時の避難所のようにプライバシーの確保が難しい場所で,周りの目を気にせずに済む空間を作り出せるという提案を聞いて「なるほど!」と感心してしまった。そのほかにも撮影用の暗室や簡易更衣室など,アイデア次第で使いどころは意外にありそうである。
実際にブースに設置された席に座らせてもらった。入り口のファスナーを締めると,確かにこれは落ち着く。子供の頃,ふとん用のマットで“自分の部屋”を作った記憶があるが,なんとなくあの感じを思い出す。PCデスクにかぶせなくとも,何もない空間で座ったり横になったりするだけでも落ち着けそうだ。
ただし,あまり大きなスペースではないので,寝るときは対角線上に横になる必要があるだろう。また,身長の高い人は体を多少折り畳むことにもなる。
入り口から見て,左右の壁にはメッシュの窓が開いている。カーテン状の膜を下ろせば,中が見えないようになる |
窓の膜や入り口,天井は備え付けの紐で縛っておけば,開けっ放しにしておくことも |
ちなみに,アウトドアで使うのはどうかと尋ねてみたところ,「それは勧めない」(川瀬氏)とのこと。あくまでインドアの中に,さらなるインドアを作り出す製品というのがコンセプトであり,防水や防風といった機能もないため,決してアウトドア向きの設計ではないそうだ。
天井や壁にはベンチレーションのための空気穴が設けられていて,夏場の暑いときなどはそこからエアコンの冷気を採り入れられる。逆に冬場は,PC本体の熱もあってかなり暖かくなるという。PCなどの配線を通すためのケーブルホールが本体隅に設置してあったり,ファスナーをダイヤル錠でロックできたりと要所に小技が利いている点も,商品としてちゃんと設計されていると感じた。
入り口を完全に閉じた状態。外から中を覗くことはできない。ファスナーをロックするダイヤル錠も付属する |
折り畳むと直径約63cmの円盤状になり,付属のケースに収納可能。素材は,本体がポリエステル,骨組みのワイヤーはスチールとなっている。重量は2.2kg |
究極のインドア空間を生み出す,ぼっちてんと。ぼっちの人もそうでない人も,一つ手元に持っていれば,集中してゲームをしたいときはもちろんのこと,さまざまな状況で役立つかもしれない。
テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」で紹介されたことがあり,子供向けの小部屋としても評判のようだ |
「ぼっちてんと」製品ページ
4Gamer「東京ゲームショウ2014」特設サイト
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