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[GDC 2015]モネの絵画とゲームの類似性が明らかに? シンガポールの大学に設置された「ゲーム博物館」が生んだ効果とは
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印刷2015/03/04 20:34

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[GDC 2015]モネの絵画とゲームの類似性が明らかに? シンガポールの大学に設置された「ゲーム博物館」が生んだ効果とは

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 北米時間2015年3月3日,Game Developers Conference 2015において,シンガポールのJames Cook Universityで准教授を務めるRoberto Dillon(ロベルト・ディロン)氏が,「Embedding a Videogame Museum in a University Curriculum」(大学教育におけるゲーム博物館の導入)と題するセッションを行った。
 教育機関の施設として,日本では前例のない「ゲーム博物館」がどのようにして生まれ,活用されているかが語られた,その模様をお伝えしよう。


ゲーム博物館には14種類のゲーム機や

約150本のタイトルなどが収蔵


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Roberto Dillon氏(Associate Professor,James Cook University)

 大学でゲームデザインを教えているというディロン氏は,セッションの冒頭で「若い人達は昔のゲームを知っているでしょうか?」と問いかけた。氏は毎学期,学生に対してゲームに関するテストを実施しているが,その結果が悪く,驚かされるのだという。

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「最初の商業用ゲームは?」という問題に対して,約64%が「Pong」と回答したが,正解は「Computer Space」。正答率はわずか5.1%だ

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「最初にイースターエッグが仕組まれたゲームは?」という問題では,見事に回答が分かれたが,正解は「Adventure」

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「Atariの創業者は?」という問題では,さすがに正解である「Nolan Bushnell and Ted Dabney」と回答した人がトップ。しかし,おそらくディロン氏がギャグのつもりで入れたと思われる「Dean Martin and Jerry Lewis」(※筆者注:北米で活動したお笑いコンビ)が僅差で続いている。氏は「シンガポールの大学なので,北米の文化をあまり知らない学生が多いからだと思う」と苦笑い

 「答えられて当然」と言えるほどに易しい問題ではないと思うのだが,ゲームを専攻する学生がこれではまずかろうということで,ディロン氏は過去のゲームに関する資料を集めた「ゲーム博物館」の設立を思い立ち,2013年4月に開館させた。このような施設は,東南アジアで初だという。

 14種類のゲーム機と約150本のタイトル,雑誌やカタログといった収蔵品は,世界中のコレクターから譲り受けたり,オークションサイトで競り落としたりして集めたとのこと。ディロン氏は,予算は少ないながらも十分な品を集められたと振り返った。
 ちなみに,ゲーム博物館の設立にかかった金額は公表されなかったが,収蔵品の収集には毎年1000ドルほどの予算が大学から下りているそうだ。


ゲーム博物館が大学のブランド力向上に一役買う


 続いて,実際の活用事例が紹介された。
 このゲーム博物館があるJames Cook Universityでは,約3000人の学生がゲームを含むITや心理学,ビジネス,教育などの分野で学業に励んでいる。当然ながらゲーム博物館を活用しているのは,主にゲームデザインを学んでいる学生で,ここでプレイしたゲームからヒントを得て,自身の作品に生かすということも珍しくないという。

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 また,ゲーム博物館はビジネスや心理学の学生にも活用されており,ビジネスでは浮き沈みの激しいゲーム会社がケーススタディの対象になっているとのこと。心理学では「Flowery」PlayStation 4 / PlayStation 3 / PlayStation Vita)をプレイしている被験者の感情の動きが,クロード・モネの絵画「サンタドレスの庭園」を鑑賞しているときと似ている,という実験結果が出ているそうだ。

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 さらに,このゲーム博物館は一般にも公開されているという。事前に予約しての利用が可能になっているほか,「オープンデー」にはレトロゲームを使ったゲーム大会が行われており,地域との良好な関係を築くのに一役買っているとのことだ。

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「利用料を設定するなら,いくらが適当か?」という一般利用者へのアンケートでは,4割近くが「無料」と回答。しかし,「5USドル以下」が約32%,「5〜15USドル」が約26%と続いており,お金を払ってもいいと思っている人が5割を超えていることに,ディロン氏は手応えを感じているようだった

 ディロン氏は今後,セミナーやレトロゲームにインスパイアされたゲームの開発競技会などを開催して,学生教育の充実を図ると共に,高校生などを対象に初心者向けのゲーム開発ワークショップも開きたいと意欲を語っていた。
 セッションの終盤でディロン氏は,歴史的なゲームがコレクターに共有財産として考えられており,比較的低予算で入手しやすいことを挙げた。そのような状況に加え,ゲーム博物館がゲーム以外の分野でも活用可能なこと,地域のコミュニティとつながり,大学のブランド力が向上することなどから,その有用性が高いことをアピールしてセッションを締めくくっている。

 今回のセッションで紹介されたゲーム博物館は,規模こそ小さいものの,大学という教育機関が設立しただけあって,しっかりと運営されているという印象を受けた。とくに,モネの絵画とゲームの類似性が発見された実験結果は,大学という場所だからこそ生まれたものではないだろうか。とかく悪者にされがちなゲームのイメージ向上のためにも,同じような施設が日本に生まれることを期待したい。

GDC公式Webサイト

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