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「The Last Brave」「CHAIN somnia」が発表されたディライトワークス 新作ボードゲーム発表会&メディア向け先行体験会をレポート
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印刷2018/11/14 15:29

イベント

「The Last Brave」「CHAIN somnia」が発表されたディライトワークス 新作ボードゲーム発表会&メディア向け先行体験会をレポート

 ディライトワークスは2018年11月12日,オリジナルボードゲームの発表イベント,およびメディア向け先行体験会を実施した。

 このイベントでは,同社の新作ボードゲーム「The Last Brave」「CHAIN somnia」が発表され,その詳細が明かされた。どちらも,カードゲーム「ラブレター」のゲームデザイナーとして知られる「カナイ製作所」のカナイセイジ氏が制作に協力しており,ボードゲーマーの界隈では注目度の高い作品といえるだろう。

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 ,11月24日と25日に開催される「ゲームマーケット2018秋」での先行販売の実施が予定されているなど,国内のオリジナルボードゲームとしては異例と言えるほどに力の入ったタイトルである事は間違いない。本稿においては,イベントの中で公開された両タイトルの詳細を,発表会の様子と交えてお届けよう。

「ディライトワークス 新作ボードゲーム」公式サイト


 発表会では,ディライトワークスのクリエイティブオフィサーを務める塩川洋介氏が登壇。来場者に挨拶を述べるとともに,発表の前段階として同社がボードゲームを制作する理由と,その意義について語った。

ディライトワークス,クリエイティブオフィサーの塩川洋介氏
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 同社がボードゲームの携わる事となった理由について塩川氏は,ディライトワークスには“ただ純粋に面白いゲームを作る”という理念があるからだと語った。同氏は,「私達が求めているのは,面白いゲームを生み出す方法です。ゲームの面白さの本質が,ボードゲームの中にはあるのではないか,と我々は推察しました」と,その意図を話している。

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 また,国内におけるボードゲームの盛り上がりについても紹介された。国内最大規模となるボードゲームのイベント「ゲームマーケット」は,年々参加者が増加しており,それに伴う形でボードゲームの市場も成長している。この調子ならば,今後もさらなる発展も見込めるのではとアピールした。ちなみに,先月開催された世界最大のボードゲーム見本市SPIEL’18の参加人数は19万人を越えている。

ディライトワークスの社内にはボードゲームカフェが設置されており,社内外の人々を招いてのイベント「ボードゲームパーティー」を定期的に開催するなど,ボードゲームのノウハウ取り入れに積極的な姿勢を見せている
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 塩川氏の挨拶が終了すると,ついに本題の新作タイトル「The Last Brave」が公開。本作の制作に携わったゲームデザイナーのカナイセイジ氏が登場し,本作を解説した。

カナイ製作所の代表にして,日本人としては初めてドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた経験を持つゲームデザイナーであるカナイセイジ氏
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 本作は「職種」「属性」「武器」で構成される3枚の手札と,プレイヤーごとに異なる「キャラクター」の組み合わせを駆使して戦う3〜7人用の対戦カードゲームだ。プレイヤーは順番に対戦相手を指定して攻撃を行い,最後に生き残ったプレイヤーが勝者となる。

 手札のカードはそのまま体力としての側面を持ち,ダメージを受けるとダメージ数値に等しい枚数の手札を自分で選んで公開しなければならない。ただ,公開されたカードは効果が発動できるので,ダメージを受けた時にどの手札から公開していくか,という読み合いがゲームの核となっているようだ。

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 カナイ氏は本作のコンセプトを,「プレイヤー自身が勇士のバトルを想像/創造する」ものだと語る。その意図について同氏は,「ディライトワークスさんのユーザーが期待しているものを作ろう,と考えました」とコメントした。キャラクターの背景などを考えながら遊んでみると,よりゲームを楽しめるかもしれない。

塩川氏とカナイ氏がカードを持って対戦を実演。発表している当人達が終始楽しそうにゲームを解説していたのが印象的だった
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 カナイ氏が降壇すると,ここで2作目の新作ボードゲーム「CHAIN somnia 〜アクマの城と子どもたち〜」も発表された。こちらもThe Last Braveと同じく,ゲームマーケット2018秋で販売される。

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 CHAIN somniaは,ディライトワークスの2018年度新入社員が,最初のプロジェクトとして制作したもので,JELLY JELLY CAFE代表の白坂翔氏とカナイセイジ氏が監修を務めたタイトルだ。

 塩川氏は,「デジタルゲームを中心とした開発は大規模化し,長期的なプロジェクトとなっています」とし,「実践して形にして,ゲームを作るということを1日でも早く体験してほしい,という想いから始まったプロジェクトです」と,本作が制作された経緯を語ってくれた。

本作の制作に携わった2018年度の新入社員
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 その内容は,1〜4人向けの協力型脱出ゲームだ。プレイヤーは“アクマの城”に捕らわれた子供となり,協力して城からの脱出を目指すことになる。子供たちには「移動特化」や「探索特化」など,さまざまな特殊能力が設定されており,プレイヤー同士で相談しながらゲームを進める形になるようだ。

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監修役のカナイ氏は1週間ごとに更新されたゲームルールをチェックするなど,かなり密接に関わりながら制作を進めていたようだ
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 繰り返しになるが,今回発表された両タイトルは,11月24日と25日に東京ビッグサイトで行われるアナログゲームイベント「ゲームマーケット2018秋」の,同社ブース内にて販売される。The Last Braveに関しては,12月13日から一般流通が開始されるとのことなので,イベントに行けない人は一般流通を待とう。

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 また,11月14日からはボードゲームカフェJELLY JELLY CAFEの各店舗(渋谷店,池袋2号店,名古屋大須店,福岡天神店)で,両タイトルの先行試遊が可能となる。事前に本作を遊んでみたいという人は足を運んでみるのも良さそうだ。

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 これらの新作ボードゲームをはじめとして,同社の新作情報を紹介するTwitterアカウント「DW_products」が開設されたので,続報が気になる人は確認しておこう。

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 そして最後には,ディライトワークスの内部に設立された6つの制作部のひとつ“第1制作部”の名称が「DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studios(略称:DSS)」に決定し,そのスタジオヘッドを塩川洋介氏が務めることが発表。さらに,同スタジオ内で新作タイトル(デジタルゲーム)の制作を開始したことを明らかにした。

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 塩川氏は本プロジェクトに関して「発売まではかなり遠いとは思っていますが,徐々に動いていきたいと思っています」とコメント。こちらの詳細が気になる人は,先日掲載したリリースを確認してほしい。



発表された2タイトルをさっそくプレイ。ボードゲーム初心者にも十分楽しめる


 ここからは,各タイトルを実際に遊んでみてのプレイフィールを,おおまかなルールとともにお伝えしていく。ただし,実際に販売されるバージョンとはルールが異なっている可能性もあるので,その点はご了承いただきたい。

●The Last Brave
ジャンル 勇士創像バトルロイヤルカードゲーム
プレイ人数 3〜7人
プレイ時間 10分程度
販売価格 2000円(税込)
販売価格
GM先行販売
1800円(税込)

 ゲームのパッケージはカードサイズの小さな箱で,中には「キャラクターカード」「武器カード」「属性カード」「職種カード」各7枚(効果などはすべて異なる)が入っている。ゲームを構成する内容物は合計28枚だけで,それ以外は説明書が入っているのみという,実にシンプルな構成だ。
 それゆえに準備も簡単で,これら4種のカードを種類別にシャッフルして1枚ずつ各プレイヤーに配るだけ。裏向きにしたキャラクターカードを場に配置し,残り3枚を手札に持ったらゲーム開始となる。

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 ゲームの進行は「1:攻撃力の算出」「2:攻撃対象の選択」「3:攻撃の適用」「4:手番の移動」という手順を繰り返すことで行われる。攻撃の応酬の中で,最後まで生き残っていたプレイヤーの勝利だ。

 初期段階におけるキャラクターカードの能力は一律“攻撃力1”であり,ゲーム開始時点では能力差はない。ただし,手札として配布された「武器カード」「属性カード」「職種カード」の3種類は,ダメージを受けるたびに場(スキルエリア)に配置され,カードに書かれた効果がアクティブになっていく。

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 例えば,ダメージを受けたときに手札から「炎属性」カードを出したとしよう。炎属性の効果は「常時:攻撃力+1」なので,それ以降のキャラクターの攻撃力は,1増加した状態になる。
 また,キャラクターカードには「奥の手」と呼ばれるアビリティが設定されており,任意のタイミングで公開して能力をアクティブにできる。

カードの中には常時発動の効果のほかに,一時期に消耗状態にする事で発動できる「使用」や,カードを裏向きにして常時効果を消滅させなければ使えない「喪失」など,任意のタイミングと回数制限付きで発動できる効果を持つものも存在する
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攻撃対象として選べるのは“自分を除き最も多くの手札を持っているプレイヤー(同数を含む)”だけなので,攻撃対象を選択できるゲームにありがちな早期脱落は発生しにくい
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 ここまでの説明だと,「それだと3ダメージで終わりでは?」と思うだろうが,実はもう少しだけルールがある。プレイヤーが攻撃された時に手札を公開する場所がスキルエリアなのだが,実はもう1つ「ダメージエリア」というものが存在するのだ。
 プレイヤーが攻撃された時に,スキルエリアにカードがある場合は,そのカードをダメージエリアに移動させることでも,ダメージ受けたとしてカウントできる。最終的には,すべてのカードがダメージエリアに移動し,そのうえで1点以上のダメージを受けると脱落となる。
 つまり,手札公開による3点,スキルエリアからダメージエリアへの移動による3点,止めの1点の合計7点まではダメージに耐えられるのだ。

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 ゲーム毎にランダムに構成されるキャラクターと手札の組み合わせから,「切り札となるコンボ」を見つけ出し,それをどのタイミングで叩きつけるかという読み合いが,コンパクトなゲームルールの中で完成されており,実に“カナイセイジらしい”作品に仕上がりと言えるだろう。

 アナログゲームにおいて,直接的な攻撃による“脱落”という要素は否定的に捉えられがちだが,本作においては10分も経たないうちに決着がつくうえ,ダウンタイム(待ち時間)も非常に短いため,勝とうが負けようが「次のゲーム」に意識が行くのも良いポイントだ。

 なお,直接攻撃が存在する関係上,人数によってプレイ感覚はだいぶ変わってくる。今回は5人でのプレイとなったが,手番順による理不尽な敗北が発生しにくいプレイ人数は3〜4人といったところだろうか。
 先手番を入れ替えての複数回プレイなどのバリアントルールを導入すれば,ゲーマーが競技的に遊ぶ作品としても十分楽しめるだろう。

キャラクターカードには青,赤,灰の3種類で表現される“派閥”の表示も存在し,これを活用したチームバトル「陣営戦」というルールも収録されている
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「The Last Brave」公式サイト



●CHAIN somnia 〜アクマの城と子どもたち〜
ジャンル 探索×協力型脱出ゲーム
プレイ人数 1〜4人
プレイ時間 40〜60分程度
対象年齢 14歳以上
GM頒布価格 4000円(税込)

 The Last Braveとはうってかわり,「CHAIN somnia 〜アクマの城と子どもたち〜」は中箱サイズ(正確ではないが,だいたいA4用紙サイズくらい)の協力型ゲームだ。

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 今回の試遊に使われたサンプルはモック(模型)で,一部のコンポーネントが紙に直接印刷されたものになっていた。実際には型抜き厚紙タイルやカードなどはキッチリとした品質で刷り上げられるとのことで,値段以上に豪華な内容となりそうだ。

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 ゲームでは,プレイヤーが個々に異なる能力を持ったキャラクターを担当し,AP(アクションポイント)を消費しながら城の探索を進めていく。脱出目標である“アクマの城”は,部屋を表現するタイルで構成されており,最初は全員が1枚の城タイルに乗った状態からゲームを始める事となる。

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 ターンが来たら,キャラクターごとに設定されているAP(アクションポイント)を1消費して規定のアクションを実行できる。APが尽きるまで行動し終えたら次のキャラクター,といった具合にゲームを進めていく格好だ。

プレイヤーが実行できるアクション
番号 アクション 効果
1 新しい部屋の探索 手番中のプレイヤーがいる城タイルに接続する形で,新しい城タイルを配置する。配置時は城タイルに描かれた扉の位置が矛盾してはならない
2 隣の部屋へ移動する 扉で繋がっている,隣の城タイルへ移動する
3 あやしい場所を調べる 手番中のプレイヤーがいる城タイルに描かれた探索ポイントを調べる。ダイスを振って判定を行い,成功した場合は報酬を得られる
4 アイテムを使用する 所持している消費型アイテムを消費する
5 アイテムを渡す 隣接した城タイル上にいるプレイヤーにアイテムを受け渡す
6 クサリの受け渡しをする 隣接した城タイル上にいるプレイヤーに自身のクサリトークンを好きなだけ渡す
7 スキルを使用する キャラクターに書かれた効果テキストを実行する。APを消費しない場合もある

 ゲームの勝利条件は,12枚の城タイルをすべてめくった上で,脱出ポイントである「Wake up」に“1人以上が”到達する事。となればガンガン城タイルを広げたくなるが,そう簡単には行かない。

 城タイルを新たに公開すると「イベントカード」も同時に公開され,アクマが出現して行く手を阻んだり,特殊効果が発動したりするのだ。キャラクターには“クサリゲージ”が設定されており,ゲーム内で恐怖体験が発生するごとにクサリトークンがAPの上限値を蝕んでいく。

アクマが出現した城タイルは進行不能となってしまう上,アクマが存在している間はゲームをクリアできない。条件を満たして排除しよう
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 当然アクマが出現すれば,子供であるプレイヤーキャラクター達は怯えて動けなくなってしまう。全員が動けなくなると敗北なので,ピンチに陥っている仲間を助けながら探索を進めなければならない。

筆者が選択した「ティミ」は,クサリが増えるほどAP上限が増えていくという特殊なキャラクターだ。また,クサリの受け渡しにAPを使わないため,プレイヤー全員の調整役として機能する
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 さらに,イベントカードは一定枚数ごとに“イベントカードをめくるときに引く枚数を増やす”といった永続的に効果をおよぼす,強力な効果を持ったものが出現する場合もある。
 ゲームはターン経過毎に難度が増していき,イベントカードの山札が切れた場合も敗北として扱われるので,城タイルをめくるのが怖いからといって足踏みをしているワケにもいかない……。時には行動不能になることを覚悟で踏み切る決断も必要だろう。

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 今回の試遊ではなんとか脱出できたが,キャラクター能力の組み合わせや探索のタイミングを考えると「次はもっとうまくやれる!」と思わせてくれる,程よい難度設定が実現できているように感じられた。

 やや城タイルの効果が単調に感じられた部分もあるが,今回はあくまでモックでのプレイということで,製品版では多様なタイルが用意されるそうだ。プレイヤーが選べるキャラクターも全部で6人存在するので,リプレイ性は十分に担保されている。

 また,難度は同系の協力ゲームである「パンデミック」などに比べるとやや低目ながら,基本部分をしっかり抑えたゲームデザインとなっているので,協力型ゲームの入門としてピッタリの作品と言えるだろう。

キャラクターのイラストは非常に可愛らしく,その能力もフレーバーに見合ったものとなっている。子供たちが力を合わせて脱出を目指す様子が目に浮かぶようだ
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「CHAIN somnia 〜アクマの城と子どもたち〜」公式サイト

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