業界動向
中国ゲーム産業の上半期売り上げは約2.1兆円。海外での売り上げにおける日本の貢献は約23%
外部サイト:2020年1-6月中国游戏产业报告
※以下はすべて,2020年8月3日のレート,1元=15.13円 1ドル=105.67円で計算している
2020年上半期の中国ゲーム産業の総売上は,1394.93億元(約2.11兆円)で,YoY+22.34%という凄まじい伸び率。一方,中国という国が持つ“人口ボーナス”によるユーザー規模の成長は,やや鈍化の傾向が見えてきている。全体のユーザー規模は,2019年上半期より約1271万人増えて約6.6億人という数字となっており,YoYで+1.97%だ(これでも十分すごいが)。
全体売り上げの内訳は大きく分けて,
市場別 | 売り上げ | 成長率 | 市場全体占有率 |
---|---|---|---|
スマホゲーム | 1046.73億元(約1.58兆円) | YoY+35.81% | 75.04% |
PCゲーム | 281.54億元(約4259.7億円) | YoYー10.13% | 20.18% |
Webゲーム | 40.02億元(約605.5億円) | YoYー21.43% | 2.87% |
コンソールなどのその他 | - | - | 1.91% |
となっている。
個別に見ていくと,2020年上半期の中国モバイルゲーム市場の売り上げは1046.73億元(約1.58兆円)で,YoY+35.81%。引き続き高い成長率を見せており,なんと2020年の上半期だけで,2019年度の全体売り上げの3分の2を達成した。
売り上げトップ100タイトルのジャンルを見てみると,RPG,デジタルカードゲーム,ストラテジーゲームが比較的多い。トップ100タイトルの売り上げで見ると,その半分以上をRPG,シミュレーション,MOBAの三つのジャンルが占めている。
モバイルゲーム市場の好調ぶりと対照的なのは,PCゲームとWebゲーム市場の規模縮小だ。2020年上半期の中国PCゲーム市場売り上げは281.54億元(約4259.7億円)でYoYはー10.13%。Webゲームの売り上げは40.02億元(約605.5億円)で,YoYー21.43%。こちらは5年連続のマイナス成長となる。
中国産ゲームの海外進出
中国国内のゲーム市場で見ると,中国産のゲームによる売り上げは,1201.4億元(約1.82兆円)で,2019年上半期より279.97億元(約4235.9億円)増で,YoY+30.38%という伸び率を記録している。YoY+30%でも十分に凄まじいが,それをさらに上回っているのが,中国産ゲームの海外での売り上げだ。
2020年上半期の中国ゲームメーカーは,国内での規制強化などさまざまな要因を考慮して積極的に海外市場に進出し,海外における売り上げは75.89億ドル(約8019.3億円)となり,前年同期の55.67億ドル(約5882.65億円)からするとYoY+36.32%という数字を記録した。
ジャンル別のタイトル統計をみれば分かるように,海外進出タイトルにはストラテジーゲームが一番多く,全体の38.98%を占めている。代表的なのは,「クラッシュ オブ キングス」(iOS / Android)「Rise of Kingdom(ライズオブキングダム)」(iOS / Android)「マフィア・シティ」(iOS / Android)などのタイトルがある。
中国タイトルの海外売り上げの中で,およそ4分の1を占めるのは日本だ。中国産ゲームの海外各地域における収益分布は,アメリカ28.23%,日本23.26%,韓国9.97%。これら3か国で61.46%を占めており,中国ゲームメーカーの海外進出のメイン市場となっている。
厳しさを増していく中国国内の規制が後押しをする形となっている海外進出の風潮はとどまる気配がなく,「モバイル レジェンド」(iOS / Android)のように,東南アジアなどこれから期待できるマーケットへ進出するタイトルや,「コード:ドラゴンブラッド」(iOS / Android)のように成功例の少ない日本のMMO市場に乗り込むものなど,いままで以上に海外進出の意欲がうかがえる。
関連記事:成長から成熟へ。それでもまだ伸びる中国ゲーム市場全体の2019年の売り上げは4.7兆円。キーワードは「スマホゲーム」と「海外売り上げ」
eスポーツとクラウドゲーム
世界でも屈指の熱量を持っている中国eスポーツに関しては,2020年上半期の中国eスポーツ市場に売り上げは719.36億元(約1.09兆円)で,YoY+54.69%となっている。eスポーツ産業はなお順調に発展しており,中国のeスポーツユーザーは増加し続けているというわけだ。2020年上半期のユーザー規模は4.8396億人で,YoY+9.94%。ユーザー数の伸びはやや鈍化しているがマーケット自体は成長しており,成熟期に入りつつあるのかもしれない。
またクラウドゲームに関しても順調な推移を見せており,2020年上半期の中国クラウドゲーム市場の売り上げは4.03億元(約60.97億円)で,YoY+79.35%という数字がでている。5G技術の普及およびネット環境のさらなる整備により,今後のクラウドゲーム産業はいっそうの発展が期待される。
外部サイト:2020年1-6月中国游戏产业报告
- この記事のURL: