インタビュー
「ROAD59 -新時代任侠特区-」砂川脩弥さん,井上正大さん,蒼井翔太さんにインタビュー。ブシロードの近未来SF×任侠のメディアミックス第1弾は“舞台”
舞台公演に先駆けて,本作の中心となるキャストの中から氷室ショウ役の砂川脩弥さん,皇 賢誠役の井上正大さん,ベネディクト・ロレンツォ・ヴァザーリ役の蒼井翔太さんに本作への意気込みを聞くインタビューを実施したので,本稿ではその模様をお届けしよう。
「ROAD59 -新時代任侠特区-」公式サイト
架空の近未来都市で,絶大な“力”をめぐる組織の抗争を描く
本作の舞台は,現実には存在しない「国道59号線」の先に続く世界有数の摩天楼を有した東京天海区。雑然とした旧市街区,洗練された新市街区に分かれた巨大人工島では,さまざまな思想を抱く任侠者たち――「ジンギ」が勢力争いをしていた。
任侠者といえば親子や兄弟として酒の盃を交わすが,本作では血を分け与える。この血の盃をかわすことで神代から受け継がれてきた常人をはるかに超える力「神祇(ジンギ)」を手に入れることができる。ジンギたちは時代によっては伝説の英雄として活躍し,時に権力者を支えて命を散らしてきたが,時を経た現代では裏社会に生きる極道者と呼ばれるようになっていた。
一度,血の盃を交わして組の一員となれば,もうただの人には戻れない。カタギの世界を捨ててでも力を求める覚悟と理由のある者だけが,この天海区に足を踏み入れるのだ。
天海区のジンギは4つの組織に分かれ,互いの勢力を拡大すべく一進一退を繰り返していた。そんな中,天海区の地下に封印されている「夜真多大蛇(ヤマタノオロチ)の首」の情報がもたらされる。その血を飲めば,かつてのジンギが誇っていた神に等しい力が手に入るという。その封印を解く鍵となる少女をめぐり,これまでにない抗争の火ぶたが切って落とされた……というのが物語のあらましだ。
続いて,組織とその中心となる4人の人物について触れていこう。舞台初演に登場する組織は「春雲組(しののめぐみ)」「狛浪組(はくろうぐみ)」「黒条組(くろじょうぐみ)」のほか,海外マフィア「PHOENIX(フェニックス)」の4つ。それぞれの組織が掲げる信条や理念をはじめ,メンバー同士の関係性も大きく異なるようだ。一部キャラクターとキャストは発表されているので,彼らがどのような背景を持つのか詳細が明かされる続報を楽しみに待とう。
時代のしがらみにとらわれない,自由な気風の組。普段はまとまりのない組員たちだが,ひとたび問題が起こればそれぞれの得意分野を活かしてことにあたる。
◆八薙バクト(演:君沢ユウキ)
●狛浪組
伝統と格式を重んじる関西系の組。悩み多き若き組長代行と彼を支える組員たちは,家族のように強い絆で結ばれている。
◆氷室ショウ(演:砂川脩弥)
●黒条組
金と権力でのし上がった天海区の最大勢力。しかし肥大化した組織の裏側では,冷酷なトップによる独裁への不満が渦巻き,内部抗争の火種を燻ぶらせている。
◆皇 賢誠(演:井上正大)
●PHOENIX
世界規模で展開する海外マフィアの連合組織。結果主義のリーダー達が,海を越えてつながる「ビジネス」の要衝として,天海に狙いをつけている。
◆ベネディクト・ロレンツォ・ヴァザーリ(演:蒼井翔太)
新時代の任侠物を描く「ROAD59」の魅力とは?
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。「ROAD59」という新たなプロジェクトへの参加が決まった際のお気持ちはいかがでしたか?
砂川脩弥さん(以下,砂川さん):
僕にとって憧れの方々がたくさん参加されていて,すごく嬉しくもあり,緊張もしました。さまざまな道をとおって来られた先輩たちから,いろいろと吸収できたらなと。そうして,観に来てくださるお客様を楽しませることができたらなと思います。
井上正大さん(以下,井上さん):
ブシロードさんが新たに挑戦的な企画をやると聞いて,今までにない新しいものになるんじゃないかとワクワクしています。
参加が決まったときは大まかな話を聞いただけで,そのあとのタイミングでキャラクタービジュアルや壮大な世界観,物語の任侠設定を知りました。ひとつひとつお話を聞きながら,次第に僕も「ROAD59」という世界に入っていけましたね。これから舞台の幕が上がるまでの積み重ねの中で,このプロジェクトの印象も徐々に変わっていく予感がしています。
蒼井翔太さん(以下,蒼井さん):
舞台出演を経験しつつも声優として活動する中で,任侠ものの作品になかなか縁がなかったものですから,この「ROAD59」でお声をかけていただけたのは自分にとって意外でした。
自分自身への挑戦にもつながりますし,いつも画面上で拝見していた方とも共演できるということで,自分の中にないものを吸収できるんじゃないかとすごく楽しみにしています。まだまだ僕たちも,プロジェクトのメディアミックスについては知らないことだらけなので,すごくワクワクとドキドキを感じている最中です。
4Gamer:
皆さんが舞台で演じられるキャラクターについてご紹介ください。
砂川さん:
僕の演じる氷室ショウは真面目な人です。極道の世界での仁義を重んじていて,とくにショウが組長代行を務める狛浪組は家族の絆を大切にしています。
僕らが思い描くような極道の姿はショウが表してくれると思うので,この「ROAD59」という作品特有の,SF要素を持った新時代の任侠者“ジンギ”と,これまでの任侠ものとの違いに注目してほしいです。
井上さん:
キャラクター設定にサイコパスと書かれているんですが……なぜか僕はサイコパスのキャラクターを演じることが多くて。髪が白いキャラクターなので地毛でチャレンジしていますが,この髪の色だと職務質問を受けやすいんですよ。本作はメディアミックスとして長きにわたって続くプロジェクトなので,途中でカツラになったら僕の頭皮を心配してください(笑)。
皇 賢誠はバクトたちとは違い,お客様が感情移入する役というよりイロモノ枠……現場をかき乱すような,「こいつは一体何なんだろう?」と思われるような役どころかと思います。このサイコパス感を舞台上でどこまで表現できるのか,賢誠として舞台に立てるのを今から楽しみにしています。
蒼井さん:
エッグ・ベネディクト……じゃなくて,ベネディクト・ロレンツォ・ヴァザーリは,極道組織ではなく,海外マフィアに所属しています。美に執着している印象で,彼のイラストを見たときは「すごく美しい」と感じると同時に,メイクなどの影響かもしれませんが闇を抱えているような表情にも見えて,それをなんとか再現できたらと思っています。
それぞれの組とは違った立場で物語に刺激を与えられる人物かと思いますので,1つのスパイスとしてベネディクトを仕上げていきたいです。
井上さん:
ほかの3人は任侠者として想像しやすいんですけど,この海外の「PHOENIX」は部下も外国人なのか,どんな組織なのか気になりますね。世界観が壮大だなと。
蒼井さん:
未知ですよね,「PHOENIX」って。
4Gamer:
キャラクターだけでなく,それぞれが属する組織についても気になるところですね。メディアミックスプロジェクトの第1弾がこの舞台となり,そこからさらに作品が広がっていくかと思いますが,とくに魅力を感じるのはどのような部分でしょうか?
砂川さん:
キャラクターの個性が溢れているところですね。皆さん絶対に好きになれるキャラクターがいるかと思います。普通の任侠ものと違うのは,少しSF要素とか独特の世界観があるところで,この作品を面白くできる部分だとも感じています。
井上さん:
いわゆる2.5次元とか,アニメ原作の舞台とか,ストレートプレイの舞台がいろいろある中で,この“舞台”という表現が正しいのかどうかすらもまだ分からないような……そんな今までの概念を捨てて挑まなきゃいけないと感じるところですね。だからこそ新しいものができるんじゃないかという高揚感でいっぱいです。
ちなみに,来てくださるお客様は,4人のうちの誰派とかに分かれると思うんですけど……賢誠派は言いやすいですが,ベネディクトだと言いにくいですよね。ベネ派になるのかロレンツォ派になるのか,ヴァザーリ派になるのか……ベネディクトはどう略すのか気になります(笑)。
蒼井さん:
公演が終わるまでに決めていただければ(笑)。
井上さん:
なんて呼ばれたいですか?
蒼井さん:
何でしょう……ベネちゃんとかですかね?
4Gamer:
ベネちゃんは可愛らしくていいですね! ではあらためて,蒼井さんが魅力に感じられているのはどのような点でしょうか。
蒼井さん:
制作発表のときに木谷さんがおっしゃっていたと思うんですが,今回は任侠ものということで,もちろん女性の出演者もいらっしゃいますけど,女性ファンがたくさんいらっしゃるような男性が多くご出演されます。なので最初は女性ファン向けなのかなと思っていたんですけど,女性ファンだけでなく男性も取り込んでいきたいと。見どころとは少し違った目線ですけど,ブシロードさんの作品には男性のお客様もすごく多くいらっしゃいますから,この「ROAD59」はどんな方々がファンになってくださるのか楽しみにしています。
4Gamer:
本作は任侠ものということで,銃撃のアクションや重厚な演技などを期待している方も多いかと思います。砂川さん,井上さんは,舞台の上で「こんな表現をしてみたい!」といったイメージは膨らんでいますか。
砂川さん:
井上さんが格闘技をやっていらっしゃるということで,撮影の合間に蹴りを見せてもらったんです。この長い足を使った蹴りを舞台上で見たいですね。何なら蹴られたいです!
井上さん:
えっ!?
砂川さん:
リーチの違いを体感したいです!
蒼井さん:
距離をちゃんと測らないと危ないですよ(笑)。
井上さん:
僕がやっているのはアクションじゃなくて,武術のテコンドーなんですよ。なので,当てないのは苦手なんですよね。当てるのは得意なので,頑張って避けていただいて……。
砂川さん:
やっぱりナシで(笑)。
一同:(笑)
井上さん:
舞台上では拳銃でのアクションも映えるでしょうから,蹴りとかボディを使ったアクションで魅せられたら差別化がはかれていいかなと。一緒では面白くありませんから,別々の色を出していけたらと思います。
4Gamer:
やはりアクションは楽しみな部分ですね。蒼井さんは映像出演ということでお2人とは少し立場が変わりますね。
蒼井さん:
収録でも舞台でも,かけ合いの相手がいない場合もありますから,演じる側としては想像しながら演技をするという点では変わらないですね。今回は映像出演をとおして,ベネディクトのキャラクター性と「PHOENIX」という組織の存在が,どう物語に関わっていくのかを見てくださる皆さんに想像してもらえるような演技ができたらなと。そんな意気込みでいます。
4Gamer:
最後に読者へメッセージをお願いします。
砂川さん:
「ROAD59」は絶対面白くなるという自信を持っています。末永く愛されるような作品にしていきたいと思っていますので,ぜひ一度舞台に足を運んでください。よろしくお願いします。
井上さん:
メディアミックスの最初が舞台なので,まずはこれを一緒に見ていただいて,その先の展開も皆さんと一緒に共有できたらと思います。舞台も面白いものにできるように,皆で頑張っていきますので,お楽しみください。
蒼井さん:
映像出演ということで,出演者の皆さんとリアルタイムで見届けることはできないかもしれませんが,気持ちは一緒のつもりで,このメディアミックスプロジェクトの最初としてワクワクドキドキできるような,見てよかったなと思ってもらえるものを作りあげていきたいですね。そこに自分も微力ながら力添えできたらと思いますので,ぜひ楽しみにしていてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
――2020年10月19日収録
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ROAD59 -新時代任侠特区-(メディアミックスプロジェクト)
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