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IGA氏,SHUTARO氏らによる開発秘話も語られた。「アフターイメージ」&「Bloodstained」イベント“横スク2Dアクションフェス2023”レポート
このイベントは,4月27日に発売された「アフターイメージ:デラックスエディション」(PS5/PS4/Switch)と,7月13日発売予定の「Bloodstained: Curse of the Moon Chronicles」(PS4/Switch),ふたつのメトロイドヴァニア系アクションゲームをフィーチャーしたもので,会場では2作品の体験会が実施されていた。
「アフターイメージ」は,文明が崩壊したファンタジー世界を舞台に,記憶喪失の少女「ライネ」を操作し,セミオープンワールドスタイルのフィールドを探索する作品だ。さまざまな魔物や巨人の子孫との戦いに加え,ライネの強化やスキル習得といった,育成の自由度の高さが特徴となっている。
「Bloodstained: Curse of the Moon Chronicles」は,2018年に1作目,2020年に続編が発売された「Bloodstained: Curse of the Moon」シリーズを1本にまとめたタイトルだ。1980年代の8bit風サイドビューアクションをベースにしつつ,攻撃方法,移動能力の異なるキャラクターをシームレスに切り替えての探索や戦闘を楽しめる。キャラクターとの向き合い方で戦いの結末が変化するなど,80年代のアクションゲームでは実現できないようなボリュームとアイデアも盛り込まれている。なお,パッケージ版での発売はシリーズ初となる。
体験会ののちに行われた座談会では,「Bloodstained: Curse of the Moon Chronicles」プロデューサーのIGA氏と,ディレクターのSHUTARO氏,「アフターイメージ」プロデューサー,開発ディレクターの楊 梓亮(ヤン ズリャン)氏が参加した。
座談会でまず話題となったのは,「Bloodstained: Curse of the Moon Chronicles」のドット絵について。会場で流れたPVを見たSHUTARO氏は「ドット絵がいいですよね。ぼくが(IGA氏に)言ってもウチ(ArtPlay)ではなかなか作らせてもらえないんですけど(笑)」とコメントし会場を笑わせていた。楊氏は「ドットの魅力と操作(の軽快さ)がすごい。Bloodstainedみたいな操作感のゲームは自分たちにはなかなか作れない」と感嘆の声をあげた。
IGA氏からは「Bloodstained」シリーズの企画が立ち上った頃のエピソードがいくつか語られた。本当は「Bloodstained: Ritual of the Night」(2019年発売)が,「Bloodstained: Curse of the Moon」より先に発売される予定だったこと,「Curse of the Moon」シリーズの設定やストーリーの自由度が下がらないよう,舞台設定を「Ritual of the Night」の約10年前から,別次元(斬月の精神世界)の話に変えたことなどを明かした。
続いて話題は「Curse of the Moon」のプレイアブルキャラクターへと移る。IGA氏はアルフレッド,SHUTARO氏は斬月とドミニクと,それぞれお気に入りのキャラクターをあげ,ゲームに実装されるまでのエピソードを披露した。
それによると,アルフレッドは名前が決定するまでに何度か変更があったそうで,SHUTARO氏らスタッフだけでなく,IGA氏からも名前で呼ばれることはまれで,「おじいちゃん」と呼ばれるのが基本だったそうだ。また,SHUTARO氏にとってアルフレッドは「IGAさんが重要なキャラという割には,ゲーム上では地味で存在感がなかったので,おもに戦闘面でいろいろと付け足した」キャラクターだという。
一方SHUTARO氏お気に入りの斬月は,最初は悪魔や錬金術を憎むテンプルナイトという設定だったが“ノリ”で日本刀で戦う和風テイストのキャラクターになったとの告白が。ドミニクはIGA氏も思い出深いキャラクターのようで,「Ritual of the Night」で「ショップのお姉さんを裏ボスにするっていう,やったことないことができたのがよかった」と述べた。
なおSHUTARO氏によると,キャラクターデザインの夏目裕司氏に「金髪,シスター,眼鏡という設定を伝えて発注したら,幼女のキャラクターがあがってきた」とのことで,まったく想定していなかったイラストを見て,思わず固まってしまったという。「(夏目さんが)冗談ですって言って今のドミニクに近いデザインを見せてくれましたけど,目は笑っていませんでしたね(笑)」と当時を振り返った。
続いて司会から振られたトークテーマは,「Bloodstained: Curse of the Moon Chronicles」のイチオシポイントは?」だ。これにはIGA氏,SHUTARO氏ともに,「Curse of the Moonのアクションゲームとしての完成度の高さは,(開発を担当した)インティ・クリエイツさんの力」と述べ,ふたりが所属するArtPlayが手がけた,「Ritual of the Night」を含めた「Bloodstained」シリーズ全体の設定や世界観,キャラクターなどの魅力に関しての話が展開された。
しかしここでIGA氏の口から飛び出したのは「(Bloodstainedシリーズは)いきあたりばったりで作った要素がうまくかみ合った点だと思う(笑)」という,意外な発言が飛び出す。合わせてSHUTARO氏からも“いきあたりばったり”だった具体例がいくつか挙げられた。
まずふたりにとって想定外だったのが,キックスターターを募る際のスタート時点で,主人公が男性キャラクター(ジーベル)から女性(ミリアム)に変わった点だという。この主人公の変更によってシナリオやゲームデザインなどが微調整され,「Ritual of the Night」で薔薇のような結晶に蝕まれていく印象深いビジュアルの主人公,ミリアムが生まれた。
ただしミリアムのデザインにも紆余曲折あったそうで,最初にあがったクールビューティー系のイラストは,前の会社で最後に作ったキャラクターとイメージが被りすぎるため,微調整が施されたという。そこに「食いしん坊キャラ」という設定を足すことで,いままで作ってきた作品の主人公とは異なる魅力を持つ,現在のミリアムが完成したとのことだ。
座談会では,発売中の「アフターイメージ」に関するトークも展開された。初めてメトロイドヴァニア系2Dアクションを手がけるにあたって「影響を受けた作品は?」という楊氏への質問。これには「アフターイメージを遊んだらすぐにわかると思いますが,武器のシステムやスキル,アクションはIGAさんが作ってきたゲームに大きく影響を受けている」と率直に語った。
そのうえで,「スキルを放つ際の入力や多様な武器,ダッシュやキック(壁蹴り)でキャンセルできるようにアクション優先順位をつけて,我々なりの調整を加えた」と語る。そしてこのアクションに優先度をつけるという仕様は,発売後に楊氏らスタッフが想定していなかった攻略パターンをプレイヤーがが生み出す広がりを見せたそうだ。
座談会の終盤には,IGA氏,SHUTARO氏と同じく,楊氏にも「開発スタッフから見た自作のオススメポイントは?」という質問が投げかけられた。楊氏は「一番重視しているのはキャラクターの成長感」と答え,「序盤は少し難しくて,死にゲーっぽく感じるかもしれないですが,そのぶんスキルを習得すると強くなった実感は得やすいはず。中盤からはメトロイドヴァニアっぽくなります」と話し,これにはすでに「アフターイメージ」の難度ノーマルをクリアしていたSHUTARO氏も同意していた。
両作品の紹介コーナーが終了すると,相手のゲームを互いにプレイするコーナーへと移行。楊氏はSHUTARO氏とのふたり同時プレイで「Bloodstained: Curse of the Moon2」のステージ1に挑戦。SHUTARO氏がノックバックからの落下で先に脱落するアクシデントがありつつも,最後は楊氏ひとりでボスを倒し切った。
登壇者によるゲームプレイコーナーが終わると,座談会はお開きの時間に。締めのあいさつと次回作の構想などを最初に求められた楊氏は,自作のPRはそこそこに「Bloodstained: Ritual of the Night2はどうなっているんでしょう?」とIGA氏,SHUTARO氏に対して質問を投げかける。
IGA氏が「クローズドな場でも言えることと言えないことがある」と苦笑しつつも,「まずはバッカーさんと約束している,Bloodstained: Ritual of the Nightの追加コンテンツの完成に全力を注いでいます。それと並行して2の開発も進んではいます」と答えた。最後はメトロイドヴァニア系の2Dアクションゲームが増えている現状に対して「市場が活性化するのはいいこと。2DアクションがSFCやファミコン時代ぐらい,アホみたいに出てくれればユーザーとしても楽しいです」とコメントし,イベントを締めくくった。
「アフターイメージ」公式サイト
「Bloodstained: Curse of the Moon Chronicles」公式サイト
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- ライター:丸谷健太
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