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[キャリアクエスト]AIの活用でゲームの開発効率を改善! スクウェア・エニックスで働くAIプログラマーにインタビュー【PR】
上記のイベントにあわせて,実際にゲームメーカーで働く若手社員の方たちに実情をうかがうインタビューをお届けします。
今回のインタビューのお相手は「株式会社スクウェア・エニックス」で働くAIプログラマーの遠藤輝人さんです。スクウェア・エニックスは『ドラゴンクエスト』,『ファイナルファンタジー』など,数多くのRPGシリーズを展開しています。
なお,本記事はGame*Sparkと4Gamer.netによって共同制作された連載記事となります。
ゲーム業界就活イベント「キャリアクエスト」公式サイト
好きなことをとことん突き詰める会社
Game*Spark:
本日はよろしくお願いします。まずは,簡単に自己紹介をお聞かせください。
遠藤さん:
2022年に入社して,AIプログラマーとして働いている遠藤です。AI&エンジン開発ディビジョンに所属しています。入社前は,大学院で修士課程まで研究をしていました。
Game*Spark:
AI&エンジン開発ディビジョンというのは,普段どのような業務をされているのでしょうか。
遠藤さん:
「社内へのAI技術の導入支援」と「内製ゲームエンジンの開発」を行っています。その中でも僕の主な業務は「ゲーム開発を支援するための生成AIの開発」です。さまざまな部署にヒアリングして需要に合わせた生成AIを開発するほか,こちら側から「この生成AIを使って,こういうふうに業務を改善できませんか?」と提案することもあります。
Game*Spark:
ゲームそのものに組み込むのではなく,効率化やシステム改善のAIを作るのですね。
遠藤さん:
はい。さまざまなプロジェクト側に企画・提案を行い,今後の新作タイトルの開発で活用してもらうのが目下の目標です。もちろん,ゲームそのものに生成AIを組み込むのも大きな目標ですが,そちらはまだ研究段階というところですね。
Game*Spark:
スクウェア・エニックスへの入社を志したきっかけはありますか?
遠藤さん:
スクウェア・エニックスに興味を持ったのは,僕が小学校高学年くらいの時に遊んだ『ファイナルファンタジーXIII』がきっかけです。「こんなにすごいグラフィックで,世界に浸れるゲームを作っているんだ!」というのが衝撃的でした。
その後,大学に進学してから『ファイナルファンタジーXV』をプレイして,主人公のノクティスたちと一緒に旅をしているような体験ができることに再び驚かされました。こんなにおもしろいゲームをどうやって作っているのだろう……と。
そう思っていた矢先に『FF XV』のAIを解説する書籍(株式会社ボーンデジタル発行「FINAL FANTASY XV の人工知能 - ゲームAIから見える未来 -」)が発売されまして,それを読んで「ここまで技術にこだわっている会社なのか!」と,会社そのものにも強い興味を持ちました。
明確に入社を志したのは,大学院に進んでからです。ゲーム業界に身を置く今となっては耳が痛い話でもあるのですが,気になるゲームの発売日が延期したのを知っては「なんでだよ」と思う日々を過ごしていました(笑)。
当時は独学でAIのことも勉強していましたので,「自分がゲーム業界に進んで,AIで開発効率を改善できないだろうか?」と思うようになりました。
Game*Spark:
AIにはいつごろから興味を持っていましたか。
遠藤さん:
高校生の時に囲碁用のAI「AlphaGo」が話題になっているのを見て,興味を持ちました。AIとゲームの関わり・可能性を感じたのは『FF XV』が初めてですね。
Game*Spark:
その当時,AIはまだ「トレンドに詳しい人が知っている」という程度だったように思います。しかし今はAIがグッと身近になりましたよね。
遠藤さん:
僕も,それにはとても驚いています(笑)。
Game*Spark:
スクウェア・エニックスに入社してからのこともお聞かせください。入社の前後で,会社への印象に変化はありましたか?
遠藤さん:
入社前は「技術力に優れた会社」,「その技術でおもしろいゲームを作る会社」という印象でした。入社してからは仕事を通じてサウンド,プランナー,エンジニア,編集(編注:スクウェア・エニックスは出版部門も擁しています)などさまざまな職種の方と関わるようになり,それぞれにこだわりがあって好きなことをとことん突き詰めているのだなと思うようになりました。
Game*Spark:
入社1年目は,どのような研修を受け,技術や知識を身につけましたか。
遠藤さん:
部署に配属される前に約1カ月間の「ゲームの開発研修」があり,同期たちとチームを組んでゲームを1本作りました。
短い期間ではありましたが,異なる得意分野を持つ人たちと一緒にゲームを作るのは初めての体験で,学ぶことがたくさんあったと感じています。
今の部署に配属されてからは「研究として有用」であることと「ゲームの開発現場で活用できるか」はイコールではないので,その違いがわかる目線を養ってほしいと指導を受けました。
Game*Spark:
具体的にはどのように違うのでしょうか。
遠藤さん:
たとえば,アカデミックな場ではAIに関する論文を書く時は指標を数値で載せます。これだけの数値が出たのだから最先端だよね,評価できるよねという判断基準になるわけです。
一方で,そうした研究でもゲーム開発にはそのまま活かせないこともあります。例えば,現在利用できる画像生成AIは一見すると非常に綺麗な画像が生成されているように見えます。しかし,社内のアーティストさん,つまりその分野を専門とするクリエイターさんに見ていただくと問題点がいくつも指摘されるといったことがあります。
企業でAIを活用するには,数値だけではなく定性的(数値化できない要素)に物事を見る目を養う必要があるのだと知りました。
言いたいことはズバズバ言える職場
Game*Spark:
職場の雰囲気や印象を教えてください。
遠藤さん:
とてもフランクな方々が働いていると感じます。先輩後輩,上司部下という関係性にとらわれず,いい意味でズバズバと言う方が多いので,自分の言いたいことも言いやすいです。
入社直後は「まだ新入社員だしな…」と気にしていましたが,トレーナーをしてくださった先輩もそういう方で「ここは必要以上に気にしなくていい会社なんだ」と気づけました(笑)。
Game*Spark:
これまでの業務で,特に印象に残っているお仕事エピソードを教えてください。
遠藤さん:
特定のゲームタイトルに関わる話ではないのですが,僕が企画・担当している開発プロジェクトのゴーサインが出るように,プレゼン用の資料作りや調査をがんばったことですね。実際にプロジェクトを動かしたらどのくらいのコストがかかるのか調べたり,時間と情熱を費やしたりしましたので,承認された時は報われるような思いでした。
Game*Spark:
印象に残っている,ゲーム業界ならではのエピソードもあれば教えてください。
遠藤さん:
昨年に,世界中からAIの研究者や技術者,AIに携わる道を目指す学生などが集まる「International Summer School on AI and Games 2023」へ参加させていただいたことです。さまざまな国の人の熱気を感じられましたし,最先端の技術にも触れられました。
Game*Spark:
ゲーム業界のAI活用は,他の業界に比べて進んでいると感じますか。
遠藤さん:
シンボリックなAI(キャラクターの行動ルールを明示的にプログラムで記述するようなAI)に関してはゲームでは古くから導入されており,現在でも当たり前のように活用されています。しかし,現在流行しているAI(例えばGPT-4)は導入しづらい課題もいくつかあると感じています。特にゲーム内だとグラフィックの処理といった部分に多くのリソースが必要になるので,現在流行しているようなAIを動かす余裕がありません。ネットワーク経由でAIを動かすことを前提としたゲームデザインのような工夫が必要になると思います。
でも,その向こうには今までにないような新たなゲーム体験が待っているはずだと思っています。
Game*Spark:
入社後に経験した困難についてもエピソードがあれば教えてください。
遠藤さん:
「AI×アニメーション」というように,生成AIと他のセクションを組み合わせて活用するという業務が最初の大きな困難でした。アニメーションに関しては素人同然でしたので,うまくいかないときも何が問題なのかすらよくわからなかったんです。
そうした分野に強い同僚に相談したり,先方の部署に教えを請うたりとさまざまな手段でキャッチアップして,少しずつ改善していきました。
困難ではありましたが,知らない分野の知識を学び,問題を一つずつ解決していくのはやりがいのある仕事でもありました。
AIを使った新しいゲーム体験を模索したい
Game*Spark:
先ほど,社会に出る前から『FF』に夢中だったお話をうかがいましたが,ゲームは昔から遊ばれていましたか。
遠藤さん:
親がゲーム機を持っていましたので,生まれた時からずっとゲーム機がそばにありました(笑)。子どものころは『ポケモン』シリーズやアクションゲーム,RPGに夢中になっていましたね。
Game*Spark:
今もプライベートでゲームはプレイされていますか。
遠藤さん:
はい。最近は,友人と一緒にFPSで遊ぶことが多いです。コロナ禍の到来やお互いに社会人になったことなどが合わさり,実際に人と会う機会が減ってしまいましたので,せめてオンラインで人と触れながら何かをするのがよい気分転換になっています。
Game*Spark:
FPSで遊びながら,AIを活用できそうなところなどを考えることはありますか。
遠藤さん:
むしろ「人間ってすごいな」と思うことの方が多いです(笑)。人と遊ぶのはおもしろいことであるのを再確認することばかりです。
Game*Spark:
ゲーム業界で働き始めてから,プライベートでゲームをする時間に変化はありましたか。
遠藤さん:
そこはあまり変わらないです。ただ,最近はFPSにハマりすぎてしまっているので,意識的に他のジャンルのゲームで遊ぶこともしています。
Game*Spark:
今後,業務でチャレンジしていきたいことを教えてください。
遠藤さん:
ゲーム開発の効率改善化に少しでも貢献するのはもちろん,「AIを使った新しいゲーム体験」の可能性も探り続けたいです。それが元々やりたかったことでもありますので。
Game*Spark:
ゲーム業界への就職を目指す学生に向けて,アドバイスをお願いします。
遠藤さん:
社内で周囲を見ていると「好きなことを突き詰めている人」がとても多いです。みなさんも,今の自分が好きなことや得意なことをとことん突き詰めてください。ただ漫然と触れるのではなく「解像度を高く」するのがポイントです。そうすれば,きっと合っている会社が見つかると思います。
Game*Spark:
AIを学びたい人に向けてのアドバイスもあればお願いします。
遠藤さん:
今日,AIをツールとして活用するのは日常的なことになりました。しかし,そのAIがどのように作られているのか,仕組みはどうなっているのかまで把握している学生の方はまだ多くはないと思います。そういった「裏側」にもきちんと目を向けられれば,企業がほしがる人材になれるのではないでしょうか。
Game*Spark:
ありがとうございました!
ゲーム開発に活用できるAIを日々模索しているという遠藤さん。AIのことを考えれば考えるほど,(少なくとも今はまだ)人にしかできないことの大切さや,人と遊ぶことの根元的な楽しさにも目が向くようになったというお話が印象的でした。「人あってこそのAI」ということなのかもしれません。
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