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Web3のマスアダプションを目指す大手ゲームパブリッシャが,この1年での成功と失敗を赤裸々に語ったクロスセッションをレポート
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印刷2024/07/11 12:23

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Web3のマスアダプションを目指す大手ゲームパブリッシャが,この1年での成功と失敗を赤裸々に語ったクロスセッションをレポート

 京都パルスプラザで2024年7月4日から6日まで開催されたイベント「IVS2024 KYOTO」にて7月4日,「大手ゲームパブリッシャーが目指す、Web3のマスアダプション」というクロスセッションが行われた。

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 “この1年の取り組みの成功と失敗”をテーマにしたこのセッションでは,DM2Cの佐藤達也氏,KONAMIの金友 健氏,CRETAの中里英一郎氏,enishの大谷恭仁氏の4名が登壇し,1年を振り返った。

セッションのモデレータを務めたGREEの村田卓優氏
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 まず,一番の失敗を聞かれた佐藤氏は「失敗し続けているので,これとは言いづらい」としつつ,DM2Cが運営する「かんぱに☆ガールズ RE:BLOOM」の話題を挙げた。本作は「Axie Infinity」の成功や「STEPN」の流行を見て,2022年9月ごろに作ろうと立ち上がった企画だそう。しかし,立ち上げ初期と現在ではまるで別物なのだという。

DM2C 佐藤達也氏
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 この変更は市場環境などを加味しての行われたそうだが,そのときの一番の間違いが「開発体制を抜本的に変えずに,ずるっとやってしまった」ことだと佐藤氏は話す。

 もしタイムマシンがあって,1年前の自分に電話できるのなら「いまうっすら感じていることを全部やれと言いたいです」と佐藤氏は述べた。体制の変更についてはいろいろな事情を考えてしまうけれど,それよりもはるかに大事なことがいっぱいあるとする一方,それにフォーカスするのがいかに難しいかと感じたのだという。

 続いて,2019年からWeb3に取り組んでいるという金友氏は,それだけやってきたので,もはやテストフェイズではないとしながら,この1年でやって良かったこととして,「リセラ」(KONAMIが運営するNFTマーケットプレイス)をローンチし,フィードバックを受けて修繕できるような体制が回り始めたことを挙げた。

KONAMI 金友 健氏
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 リセラは,作りたいもののゴールイメージこそ変わらなかったが,途中で妥協したところもいくつかあったとし,それが失敗の1つだと金友氏は語った。妥協した部分が残り続け,これをいつ改善するのか,どう載せ替えるのかを走りながら考えなければならなかったそうだ。
 金友氏は1年前の自分に「(妥協せず)耐えろ」と言いたいと述べた。

 スタートアップでCRETAを立ち上げた中里氏は,「ゲームとは関係ないこと」としつつ,トークンファイナンスで250人のメンバーを養わないといけないなかで,リスティング(上場)が早すぎたと話す。
 サービスが遅れている中で上場が早すぎたため出すものがなく,モメンタム,つまり勢いを維持できないのだという。

 そもそも,なぜ遅れているのかという理由だが「風呂敷を広げすぎた」かららしい。というのも,社員が250人という状況で,本来は1000人くらい必要なぐらいのことを言ってしまったからなのだとか。なので,外の人たちと約束をするときは慎重にというのが反省だと話した。

CRETA 中里英一郎氏
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 大谷氏の失敗は,現在事前登録中の「De:Lithe Last Memories」のプレセールに関するもの。販売する可能性が低いNFTの在庫情報を最初に出してしまったことだとか。もともとは需要に応じて出すために確保していた分だったが,4万個の在庫があるという情報を最初に出してしまったらしい。
 その結果,7356個のNFTを売りに出したとき,それが4万個のうちの一部だと思われて買い控えにつながったそうだ。

 大谷氏はいろいろなコミュニティをAMA(Ask-me-anything。何でも聞いてくださいの意)という形で行脚して事情を説明し,手売りのような形で売っていったという。そんなこともあり,以降は表示する情報は慎重になったそうだ。

enish 大谷恭仁氏
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 一通り,失敗談を聞いたところで,村田氏は逆に成功体験はあったのか,またどういう成功があったのかと参加者に投げかけた。

 金友氏は,自身が表に出て話すようになったのが,昨年東京であったイベント(NFTokyo2023だと思われる)で1年くらいになると述べ,その中で業界や競合他社を越えて,みんなで話せるというところをWeb3の良さとして実感しているそうだ。

 普段のゲーム開発であれば社外秘の情報が多いが,Web3は何も決まっておらずノウハウもまだ少ないため,皆で仲良く未来の話ができるわけだ。社外の優秀な人と話すうちに,社内だけでは分からなかったことがクリアになっていったという。

 そんな中で金友氏は現在,Web3の業界団体で法整備についての議論に参加しているそうだ。そこでは弁護士が中心になりながら,事業会社の実際のニーズについて話しているという。

 現在はそのニーズが自民党のWeb3PTに送信され,法律が変わっていくといった流れができている。国のモメンタムを上げて,業界として世界に駆けていけるような体制を作っている中にいるそうだ。
 「たぶん,ちょっと声を出せば参加できる環境が今ならある」と話す金友氏は,Web3に参加できていること自体が成功体験の1つだと述べた。

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 中里氏は自身がスタートアップであり,この1年でよかったこと,達成したことはないとしながら,一方でマスアダプションに向けての主張はあり,それに向けて動いているのだという。中里氏の主張は,Web3ゲーム業界,Web2ゲーム業界のような線引きはなくなってほしいという思いだ。

 そもそも新しいプラットフォームを作ろうと考えたのは,ブロックチェーンという技術を使ったNFTでの新しいアイデアがあるからで,そこにWeb2やWeb3というのはなかったのだという。

 そんな中里氏は,ゲーム業界でのノウハウからF2Pのゲームを選択し,90%以上の人にはタダで遊んでもらい,その中の一部が経済活動を行う。つまり,現在のソーシャルゲームと同じアプローチで,デベロッパもプラットフォームも形を変えずに行こうと考えているそうだ。

 言い換えればその90%のプレイヤーには,ウォレットの概念がそもそも必要ないということにもなる。CRETAは投資プラットフォームではなく,ゲーム体験にお金を払ってもらうもので,プレイヤーは投資家ではなく,消費者だとも話している。中里氏は,来年になってしまうが,自身のサービスでそれを証明しないといけないと述べた。

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 また,「例えばサーバーがなくなれば――ブロックチェーンで分散型サーバーを作れば運営コストは安くなり,サービスを終了させる必要がなくなるし,何ならデベロッパが撤退してもコミュニティさえあれば勝手に動いていける」と中里氏は語り,ゲーム業界全体のゲームチェンジャーになるのではないかと述べていた。

 最後に,大谷氏は格好いい話でも,大きな話でもないと前置きしつつ,AMAについて改めて話す。
 Web3にはいろいろなコミュニティが存在し,例えばゲーミングギルドなどがDiscordに毎晩集まっているので,大谷氏はそこに出かけてはゲームを紹介し,質問が出たら答えるというのを,ここ3か月くらいずっとやっているそうだ。
 これは,リリース後,ゲームにギルドができた状態で遊びに来てもらうという狙いがあり,実際にすでに(プレイヤーを)集めているという人もいるのだとか。既存のWeb3コミュニティの中に「De:Lithe Last Memories」のマイクロコミュニティを作っていく,というのを意識して動いてきたそうで,それが何となく実を結んできたと実感していると語っていた。

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