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文化庁含む3者によるゲームクリエイター育成プログラムが発表。「CESAゲーム白書」リニューアル情報も公開されたステージ視聴レポ[TGS2024]
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印刷2024/09/27 15:15

イベント

文化庁含む3者によるゲームクリエイター育成プログラムが発表。「CESAゲーム白書」リニューアル情報も公開されたステージ視聴レポ[TGS2024]

 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は,日本最大のゲームイベント「東京ゲームショウ2024」で,CESAがゲーム産業のために取り組む2つのプロジェクトに関する新情報の発表や,プレゼンテーションを行うステージイベントを実施した。

画像集 No.001のサムネイル画像 / 文化庁含む3者によるゲームクリエイター育成プログラムが発表。「CESAゲーム白書」リニューアル情報も公開されたステージ視聴レポ[TGS2024]

 今回のステージには,DeNAの代表取締役社長兼CEOを務める岡村信悟氏をはじめとして,発表に関わる多数のゲスト陣が登壇。CESAの取り組みに関するクロストークが行われた。

■登壇者
DeNA代表取締役社長兼CEO
CESA理事 CSR委員長

岡村信悟氏

文化庁 次長
合田哲雄氏

KADOKAWA Game Linkage
ファミ通グループ代表

林 克彦氏

レベルファイブ代表取締役社長兼CEO
日野晃博氏

※掲載画像は配信映像をキャプチャしたものです。

「【TGS2024】CESA発表ステージ」配信ページ

一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会 公式サイト



世界のゲーム産業規模は4年で2倍。日本は6.4%のシェアを握り,海外売上は2.7兆円に


 まずは岡村信悟氏が登壇し,本ステージにおける2つのトピックを紹介した。最初のトピックは,TGS 2024の開会式で発表された「CESAゲーム白書」シリーズのリニューアルに関する内容だ。

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 CESAゲーム白書は,コンピュータエンターテインメント産業に関わる各種データの調査結果を収録した書籍で,毎年刊行されている。リニューアルによってタイトルが「CESAゲーム産業レポート」と改められ,より適切に“ゲーム業界の今”を俯瞰できる内容になるという。

 収録されるデータの一例として示されたのが,世界全体におけるゲーム産業の市場規模,および日本の市場占有率だ。グルーバル市場の規模は2019年から4年で約2倍まで伸長し,そのうち日本は6.4%のシェアを得ている。

 また,コンテンツ産業全体の海外売上は鉄鋼産業に迫る4.7兆円に達し,ゲーム産業は全体の59%を占める2.7兆円を担っているというデータも示された。さらに,関連産業の総就業人口は約20万人と数多く,平均年収も近年では高まっているという。岡村氏はこうしたデータをもって「失われた30年と呼ばれる期間の中でも,ゲーム産業は成長を続けていた」と語った。

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 旧来の「CESAゲーム白書」シリーズは家庭用ゲームに焦点をあてたデータが中心となっていたが,今回公開されたデータにはPC向けやモバイル向けも含めた,国内外のゲーム産業全体に関する情報が中心になっているようだ。そういった意味で,より実用的な内容と言えるかもしれない。

 会場ではデータの一部を記載した「パイロット版」が配布されており,その中だけでもかなり貴重なデータが収録されていることが分かる。さらに深堀りした内容が記された「CESAゲーム産業レポート」の完全版は,2024年12月20日に発売される予定だ。価格は5万5000円(税込)となる。

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ゲームクリエイター育成プログラム「トップゲームクリエイターズアカデミー」始動


 2つめのトピックとして発表されたのが,CESA,文化庁,日本芸術文化振興会の3者によるゲームクリエイター育成プログラム「トップゲームクリエイターズアカデミー」(略称,TGCA)だ。発表に合わせて,文化庁の次長を務める合田哲雄氏,KADOKAWA Game Linkageより林 克彦氏が登壇し,本プログラムの紹介が行われた。

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 TGCAは,今年度に文化庁が設置した「文化芸術活動基盤強化基金」の“クリエイター等育成プログラム”に基づいて実施されるものだ。育成プログラムは各芸術分野で行われる予定で,その中のゲーム分野を担当するのがCESAという形になる。

 文化庁の合田氏は,これまでは単年度の事業として支援事業を展開してきたが,ゲーム分野においては数年先を見通した支援が必要だと語る。そのため,TGCAではピックアップしたクリエイターを3〜5年かけて支援し,送り出していく計画であるとのこと。その際には,経済産業省とも垣根を越えた連携が行われるという。

新鋭芸術家の海外派遣事業では,バレエの森下洋子氏,映画監督の是枝裕和氏,濱口竜介氏などが選ばれたことがあるという
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 しかし,ゲームは非常に特殊な分野であり,目指す先によって異なる技術が求められる。岡村氏は「この分野の人材育成特有のハードルであると認識している」と語り,TGCAではその対策として育成対象者ごとに複数の専任メンターが用意されるとのこと。

 メンターは複数人が存在し,技術面のサポートを行うクリエイティブアドバイザー,ビジネス面のサポートをするビジネスアドバイザーなど,分野ごとに情報を引き出せるようになるようだ。各アドバイザーは,CESA会員企業を中心とした現役プロフェッショナルからアサインされる。こういった柔軟さは,ゲーム分野に密着しているCESAの強みと言えるだろう。

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 取組の内容が紹介されたのち,TGCAのプリンシパル(第一人者,主導者)に就任したクリエイターとして壇上に上がったのが,レベルファイブの代表取締役社長兼CEOである日野晃博氏だ。クリエイターとしてだけでなく,ディレクターとしてプロジェクトを主導し,クロスメディア展開に至る経験を持つ人物ということで,TGCAの旗頭として相応しい人物といえる。

 TGCAが育成目標とする「世界で活躍するクリエイター」の在り方について聞かれた日野氏は,まず“本物”は「本質的にモノを作りたい人」であると語る。対価を得るのは結果に付随するものでしかなく,その行為自体に楽しみを見出している人が,結果的に世界で活躍する人物になるという。続けて「本物のクリエイターを発見し,しっかり支援できたら良いのではないかなと思います」と,今後の展望についてコメントした。

 また,アドバイザーとして参加するクリエイターについては「本来なら学校の先生なんかやってる場合じゃない人を,なんとか引っ張り出して教えていただく」とコメント。熱意あるクリエイターであればノドから手が出るほど欲しいであろう,極めて実践的な知識を学べそうだ。

日野氏は「20代の頃,会社に行くのが楽しくて仕方がなかった」という。心底からクリエイティブを求める人物が,全力でそれに取り組める環境を提供すれば,より良い成果を発揮してくれるのかもしれない
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 最後には参加者それぞれが「求めるクリエイター像」についてのコメントを行い,ステージイベントは終了となった。

岡村氏:
 最初に紹介した通り,日本は既にゲーム産業の最先端を走っています。それを追いかけるのではなく,新しい世界を自分で作れる自負を持った人が必要だろうと思っています。挑戦を恐れず,創意工夫をする意欲がなければ,世界の先端は走れないでしょう。

日野氏:
 自分自身で考えてクリエイティブをしている人って,悲しいかな結構少なかったりするんです。自主性のある,自分の作りたいものをしっかりと持っている人たちを育てないといけません。ただ,そのためには想像を実現する技術基盤が必要なので,スキルを磨いたうえで“作りたいモノ”が生まれるといいなと思っています。

林氏:
 クリエイターさんを取材していると,一線級の方はみなゲームを作ることが大好きなんです。ゲームは完成までに何年も向き合う必要があるメディアなので,そういった熱量を持ち続けられる人物である必要がありますよね。最終的には予算やスケジュールも伴ってくるけれど,まずは「作る」ということを続けられるのが大切なのかなと思います。

合田氏:
 日野さんが楽しく仕事をされているお話を聞き,ある意味で非常に羨ましく感じてしまいました。文化庁が属する文部科学省は学校教育も担当しているのですが,大人も子供も多くの人が,勉強は“好き”を諦めて“嫌い”を強いて,総得点を上げるゲームだと考えています。このプロジェクトを通じて「そんなことはないよ」と,伝えられたら嬉しいです。そして,学校教育もそういった形に変わっていくべきなんだと,改めて思いました。

 以上のコメントの後,TGCAの応募要件とスケジュールが公開された。それによると,公募は10月末に専用サイトでスタートし,2025年3月までに育成対象者が決定されるとのこと。興味を持った人は,公式サイトなどをチェックしつつアナウンスを待とう。

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一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会 公式サイト

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