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「SPIEL Essen 2024」コアゲーマー必見のブース特集。重量級ゲームだけでもたくさんある
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印刷2024/10/17 18:31

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「SPIEL Essen 2024」コアゲーマー必見のブース特集。重量級ゲームだけでもたくさんある

 近年はドイツのアナログゲームイベント「SPIEL Essen」で発売される注目作が,ほぼタイムラグなく日本語版で発売されることも増えてきた。また,「SPIEL Essen 2024」(以下,SPIEL'24)の記事でお伝えしたような,大手の欧州資本が日本市場に進出するパターンも増えている。
 一方で,SPIEL'24の3ホールに固まっているような「エキスパートゲーム」やその出展者たちの中には,SPIELで常連かつ一定のプレゼンスがありながらも日本にはあまり進出しておらず,当然日本人にも(大手ブースの比ではなく)知名度のないブースも多い。

 こういったブースのゲームは,コアゲーマーにはむしろ主食と言えるだろう。SPIELならではの出展ブースの様子を,一部ではあるがお届けしたい。

■Mindclash Games

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 ブースもゲームもすべて紫色で特徴的なのがMindclash Gamesだ。昨年は「Voidfall」「Septima」などが販売され,特に「Voidfall」の英語版は2日目早々に完売していた評判作だった。Mindclashのゲームは過去に「アナクロニー」の日本語版が発売されているが,近年は日本語版が出ない傾向にあるようで,昨年発売の「Voidfall」「Septima」両作の日本語版も未発売だ。

 今年は会場での新作販売はなかったが,「Voidfall」の世界観を共有したスピンオフ作品「Revenant」の試遊卓を大々的に展開していた。この「Revenant」ももちろん紫色のゲームだ。本作は11月からKickstarterでのクラウドファンディングの開始が予定されているそうで,SPIEL'24がお披露目の場になっている。

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「Revenant」はボイドからの襲撃を受ける,宇宙艦隊をマネジメントするゲームだ
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■Devir

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 Devirは米州を拠点にするパブリッシャで,日本版も発売された「The White Castle(日本語版:白鷺城)」などを手がけている。一般的な北米系パブリッシャと比べて特徴的なのは,ブラジル人とアメリカ人のグループにより創業された経緯からか南米拠点も多いという点が挙げられる。本記事で紹介する他の出展者に比べて比較的広い地域で展開をしているが,地球の裏側の日本まではなかなか来られないようだ。

 先述の「The White Castle」のように日本をモチーフにした作品も多く,今年は新作「Daitoshi」が注目されていた。

「Daitoshi」は妖怪の棲む世界で,自然との調和を図りながら都市の発展を目指すゲームだ
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「The White Castle」ドイツ語版の「Die Weisse Burg」とその拡張
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「Cities」の会場特典として,SPIEL会場のあるエッセンとGen Con会場のあるインディアナポリスのプロモーションボードが頒布されていた。いずれも訪問をしたことがある人には,思わず「あれだ!」と言いたくなるランドマークが描かれている
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■Deep Print Games

 Deep Print Gamesは2020年代に登場した新興パブリッシャだ。今年は人間の処理能力の限界を試す重量級ゲーム「Civolution」がひときわ目を引いた。ほかにも「Instarsia」が新作として展開されていた。

新作の「Civolution」「Instarsia」ともに英語版は4日目までに完売していた
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「Civolution」は文明発展がモチーフのゲームで,とにかく複雑なゲームメカニクスが好きなプレイヤー向けに仕上がっているようだ
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■Inside Up Games

 Inside Up Gamesはカナダのパブリッシャだ。近年では「Earth」がヒット作となり,こちらは日本語版も発売されている。今年は新作「Terminus」を引っ提げて参戦していた。

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■Board&Dice

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 昨年のBoard&Diceは「ヤバい」見た目で,実際に複雑なゲームの愛好者を満足させた「Nucleum」と,見た目はファミリーゲームの顔をしながらアクション連鎖が激しく起こる,ギーク好みの「Barcelona」の2本立てだった。これらの複雑なギミックで要素が絡み合う重量級ゲームを立て続けに出したこともあり,エキスパートゲーム愛好者の間でにわかに注目を浴びている。

 今年も見るからに重量級エキスパートゲームの「Minos」と,これまたモチーフだけならファミリーゲームの顔をしている「Windmill Valley」の2本立てがメインの構成だった。ちなみに「Windmill Valley」もスカウトアクション(※)ではエキスパート部門でのノミネートで,プレイ時間も公称90〜150分なのでファミリーゲームではありえない。

※スカウトアクションとは:独Fairplay誌が主催するファン投票企画。SPIEL期間中に投票が進行して,会期中は随時順位が会場内に掲載される。純粋なファン投票ということもあり,筆者を含めて良いゲームを探すために活用しているSPIEL参加者も多い。

新作の「Minos」「Windmill Valley」ともに売れ行きは好調だったようだ
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■Czek Games Edition(CGE)

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 Czek Games Editionは,その名の通りチェコに本拠を置くパブリッシャだ。Gen Conにも出展しており,これまでも「Lost Ruins of Arnak(日本語版:アルナックの失われし遺跡)」など骨太のゲームを送り出してきている。

 今年のスカウトアクションでは「SETI」がエキスパート部門で上位に入っている。「SETI」の売れ行きの出だしはほどほどだったようだが,スカウトアクションでの評価もあってかじわじわ売れたようで,最終的に英語版は完売していた。「SETI」はSPIEL'24終了後も英語圏ボードゲーム情報サイトBoardGameGeekで話題ランキング上位に掲示され続けており,実際にプレイをした評価は高いゲームになっているようだ。

SETIとは地球外生命体を探る実在したプロジェクトの名前で,その名の通り宇宙人とのコンタクトを目指すモチーフとなっている。カードそれぞれに細かいフレーバーテキストが書き込まれており,作者の愛とこだわりを感じられた作品だ
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スカウトアクションで人気のゲームを展示しているFairplayブース
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 今回紹介したのは,いずれも複雑でプレイ時間も多めのエキスパート向けゲームを出展しているブースだ。こういったブースが,市場規模がより大きいファミリー向けゲームを展開している大手に引けを取らない規模で,かなりの厚みを持って出展してくるのはSPIELならではと言える。とにかく歯ごたえのあるゲームを求めるプレイヤーにとって,文字通り遊び尽くせないゲームで溢れているSPIELは天国だということが伝われば幸いだ。

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著者紹介:
Im Karton
 海外アナログゲームイベントを訪ねて旅する3人組。読み方は「イム・カートン」。これまでに世界最大のアナログゲームイベントであるドイツ「SPIEL Essen」(シュピールエッセン)をはじめ,アメリカ「Gen Con」(ジェンコン),フランス「Festival International des Juex」などを訪問。昨年はSPIEL Essenに行きたい旅行者向けのガイド「Essen Spiel Guidebook 2023」を同人誌として刊行。

tackman
 Im Kartonメンバー。訪問時は文字を書いたり写真を撮ったりする。「Civilization IV」でストラテジーゲームにハマり,「Civilization: The Board Game」(2010)でボードゲームにハメられた。好きなボードゲームは「イノベーション」「テラフォーミング・マーズ」など。
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