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アナログゲームのこれからの1年の話題作が分かるかも。「SPIEL Essen」の参加者投票「スカウトアクション」入門
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印刷2024/10/22 15:17

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アナログゲームのこれからの1年の話題作が分かるかも。「SPIEL Essen」の参加者投票「スカウトアクション」入門

画像集 No.001のサムネイル画像 / アナログゲームのこれからの1年の話題作が分かるかも。「SPIEL Essen」の参加者投票「スカウトアクション」入門
 2024年10月3日から6日にドイツで開催されたアナログゲームイベント「SPIEL Essen 2024」(以下,SPIEL’24)には,世界中から注目のボードゲーム新作が集まった。
 会場には1562もの新作があり,すべて見て回るのは大変だ。では,我々のような取材陣がどうやって注目の新作を見つけているのかというと,「スカウトアクション」という目星を付けるのに役立つランキングがある。本記事では今年のノミネート作を紹介していこう。


スカウトアクションとは


 スカウトアクションとは,SPIEL Essen参加者の投票によって選ばれるボードゲームランキングだ。ランキングはドイツのアナログゲーム情報誌「Fairplay」によって運営されている。
 1年かけて評価の決まる「ドイツゲーム賞」や「ドイツ年間ゲーム大賞」などほかの賞と異なり,新作がいきなりノミネートするのも特徴だ。参加者は試遊や公開情報をもとに,会場で売っている作品を評価し投票する。ランキングは毎日1〜2回更新され,その日会場で評価が高いゲームが分かるようになっている。
 Spiel Essen公式のものではなく,参加者投票と聞くと信憑性を疑いたくなってしまう人もいるかもしれないが,過去にノミネートされた名作も多い。発売直後にも関わらず,「ガイアプロジェクト」や「グレートウエスタントレイル」「アークノヴァ 新たなる方舟」などを見つけ出したランキングと言えば,確度の高さに納得できるはずだ。

Fairplayブース。毎日スカウトアクションノミネート作の箱がランキング順に並べられるほか,最新のスカウトアクションの投票状況が張り出される
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今年のノミネート作は?


 それでは今年のノミネート作を見ていこう。2022年までは全作品が1つのランキングにまとまっていたが,昨年2023年から重量級ゲームを切り出して,ファミリーゲームと別ランキングとなっている。

 ファミリーゲーム部門では「Bomb Busters」が4.2点で1位を獲得した。ほかのプレイヤーと協力し,カードの数字を揃えて時限爆弾を解除していくゲームだ。実はこの作品,題名こそ違うが日本のOKAZU brandが制作した「ボムスカッド」の海外版だ。2022年の「Cat in the Box」に続く日本作品のスカウトアクション1位受賞となった。同じく4.2点の評点を獲得した作品には3×3マスのグリッドに人材をドラフトしてその組み合わせで点数を競う「Castle Combo」や,立体的にトークンを置いて動物の生息地を作る「Harmonies」などがノミネートした。
 そのほか,フランスのボードゲーム賞アスドールの中量級部門大賞作であった「Faraway」も4.1点で4位を受賞しており,正しく名作ぞろいのランキングだ。

順位 作品名 評点 日本語版有無
1 Bomb Busters 4.2 邦題:ボムスカッド
1 Castle Combo 4.2 ×
1 Harmonies 4.2 邦題:ハーモニーズ
4 Faraway 4.1 邦題:ファラウェイ
4 Fischen 4.1 ×
6 Medium 3.9 ×
7 3 Chapters 3.8 ×
7 Duck & Cover 3.8 ×
7 The Gang 3.8 ジーピーよりゲームマーケット2024秋で日本語説明書付き販売予定
10 Media Aetas 3.7 ×

 重量級ゲーム部門では「Endeavor: Deep Sea」が4.4点で1位に輝いた。海洋調査チームを作り,海洋を保護するゲームだ。すでに日本語版の制作も完了し,9月19日からアークライトより発売されている。続く4.2点評定は4作品が同着と接戦であった。その顔触れも自然・環境を題材とした「Black Forest」「Windmill Valley」,地球外知的生命体探査を題材とした宇宙モノ「SETI: Search for SETI: Search for Extraterrestrial Intelligence」,ファンタジーの「The Lord of the Rings: Duel for Middle-Earth」と,モチーフもさまざまだ。

順位 作品名 評点 日本語版有無
1 Endeavor: Deep Sea 4.4 邦題:エンデバー: ディープシー
2 Black Forest 4.2 ×
2 Windmill Valley(Die Blumenstrasse) 4.2 ×
2 SETI: Search for Extraterrestrial Intelligence 4.2 ×
2 The Lord of the Rings: Duel for Middle-Earth 4.2 邦題:指輪物語: デュエル 中つ国の決戦
6 Civolution 4.1 ×
7 Astrobienen 4.0 邦題:エイピアリー
7 Beyond the Horizon 4.0 ×
7 Nova Roma 4.0 ×
10 Kathmandu 3.8 ×

 スカウトアクションの最新順位は,毎日1〜2回発表されるのは先述の通りだが,4日間の会期中にノミネート作品がどんどん変わっていく。前日には名前も見られなかったゲームが突然首位に躍り出ることも多いし,前日高順位であった作品が突然ランキング外となることもある。今回はSPIEL'24でも最終的に1位にノミネートされたEndeavor: Deep Seaをはじめ,4作品が後半になってランキングに登場した。
 筆者の印象に過ぎないが,1日目時点でノミネートされているゲームも魅力あふれる作品で満載だった。人気がなくなって順位が落ちたというよりは,新しく面白い作品が発見された結果ではないだろうか。

エキスパート部門における1日目と4日目のノミネート作品。赤枠で囲まれたものは1日目にノミネートされていなかった作品だ
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 ノミネートされた作品を販売するブースの多くには長蛇の列ができ,作品の売り切れが続出する。ランキングを掲示しているFairplayブース自体はホールの端っこにある小さいブースに過ぎないが,来場者の注目をかなり集めていたようだ。出展ブース側もこうした需要に応えられるよう,かなりの量を用意してくれてはいるが,手に入れるのはかなりの情報戦となっている。今後,SPIEL Essenへ参加する人は,ぜひ会期中定期的にチェックしておこう。

最終日のEndeavor: Deep Sea販売ブース。行列が見えないと思えば「Sold Out」と書かれたふせんが貼られていた
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Black Forestを販売するFeuerland Spieleブース。早期から注目を集めていたためか,1日目の閉場時にはもはや売り切れていた
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ノミネート作は日本で遊べるようになるのか?


 会場で人気を集めるような魅力のある作品だけあって,気になるのは今後,日本で手に入るのか,日本語で遊べるのかだろう。スカウトアクションは,一般来場者はもちろん,日本のパブリッシャも当然注目している。そのため多くの作品は翻訳され,日本で遊べるようになることがほとんどだ。下記は2023年の重量級ゲーム部門のノミネート作品だが,10作品中8作品が日本語化された。

ノミネート作品 日本語版有無
Revive 邦題:リバイブ
Darwin's Journey 邦題:ダーウィンズ・ジャーニー
Forest Shuffle 邦題:フォレストシャッフル
5 Towers 邦題:ファイブタワーズ
Path of Civilization ×
The Guild of Merchant Explorers 邦題:ザ・ギルド・オブ・マーチャント・エクスプローラーズ
ArcheOlogic 邦題:アーキオロジック
The White Castle 邦題:白鷺城/ホワイトキャッスル
Tipperary ×
Earth 邦題:アース

 また,近年は日本語版制作のスピードも早まりつつある。概ねスカウトアクション発表から3か月〜半年程度で日本でも手に取ることができるようになっている印象だ。発表前に日本語版が制作され英語版と同時に遊べるものも少なくない。本記事を読んでノミネート作に興味が出てきたら,ぜひチェックしておこう。

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著者紹介:
Im Karton
 海外アナログゲームイベントを訪ねて旅する3人組。読み方は「イム・カートン」。これまでに世界最大のアナログゲームイベントであるドイツ「SPIEL Essen」(シュピールエッセン)をはじめ,アメリカ「Gen Con」(ジェンコン),フランス「Festival International des Juex」などを訪問。昨年はSPIEL Essenに行きたい旅行者向けのガイド「Essen Spiel Guidebook 2023」を同人誌として刊行。

Omochicard
 Im Kartonメンバー。SPIEL Essenの訪問は今年で5回目。訪問時は旅行の計画や日本へボードゲームを送る宅配便の発送などを担当。海外ボードゲームが大好き。好きなボードゲームは「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」や「Kemet: Blood And Sand」。
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