2025年2月28日から3月2日までの3日間,フランス・カンヌにてアナログゲーム見本市「Festival International des Jeux」(以下,FIJ)が開催された。
会場の「Le Palais des Festivals et des Congrès de Cannes」(ル・パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ・ド・カンヌ)。国際映画祭にも使われる豪華な会場だ
会期中は街のいたるところにアナログゲームファンがあふれ,来場者数は3日間で11万人。8万人が来場した2024年から大幅に増加した。一般来場者以外にも業界関係者5000人が来場し,昨年以上に大規模なイベントとなった。
会期中は新作アナログゲームの販売・試遊はもちろん,TCGやボードゲームの腕を競うゲーム大会や,深夜に開催されるテストプレイイベント「Nuits du Off」(以下,オフナイト)などが開催された。世界的なアナログゲームアワード「As d'Or」(以下,アスドール)の表彰式も行われ,カンヌの街はお祭りムードだ。
加えて,目を引いたのは特設展示だ。今年は「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下,D&D)50周年や,今年初めてFIJの協賛企業となった「SNCF Voyageurs」(フランス国鉄の旅客鉄道子会社)などがテーマとなった。
D&D50周年にちなんだ「ロールプレイングゲーム:50年の歴史」(原題:「Jeux de rôle : 50 ans d’histoireS」)では,TRPG発祥の背景や,現代にいたるまでのTRPGの歴史を作品展示とともにたどれた。昨年開催されたアメリカのGen Conでも「D&Dミュージアム」展示が行われたが,本展ではフランスでどのようにTRPGが遊ばれ,それに影響を受けた作品がどのように作られたかという視点が盛り込まれていた。
「ロールプレイングゲーム:50年の歴史」のパネル展示。TRPGはフランス語で「Jeu de rôle」と呼ばれている
Denis Gerfaud氏の作品「Rêve de Dragon」をはじめ,フランスで生まれた作品の展示も多く見られた
SNCF Voyageursの記念展示では,旅や鉄道にちなんだ展示が満載となった。体験型スペースとして,実際に走っているフランス国鉄のシートに座ってボードゲームを遊べるコーナーが提供された。そのほか,今年でアスドール受賞から20周年を迎えた「Ticket to Ride」を取り上げ,アスドール受賞以降の歴史展示やカンヌバージョンとして制作された特大「Ticket to Ride」ゲームボードを見ることができた。
「Expert」(上級者向け)部門の受賞作は「Kutná Hora」(邦題: クトナー・ホラ:銀の街)。日本ではホビージャパンから販売されている作品だ。プレイヤーは鉱石を採掘し,精錬して銀貨を稼ぎながら,都市開発を行っていく。題名になっているクトナー・ホラとは,銀の採掘で有名なチェコの都市の名前だ。作者はOndřej Bystroň氏, Pavel Jarosch氏, Petr Caslava氏の3人。
著者紹介: Im Karton
海外アナログゲームイベントを訪ねて旅する3人組。読み方は「イム・カートン」。これまでに世界最大のアナログゲームイベントであるドイツ「SPIEL Essen」(シュピールエッセン)をはじめ,アメリカ「Gen Con」(ジェンコン),フランス「Festival International des Juex」などを訪問。「Essen Spiel Guidebook 2023」に続き,2024年はアメリカのアナログゲームイベント「Gen Con」へ行きたい人の旅行ガイド「Gen Con Guidebook」を刊行。
Omochicard
Im Kartonメンバー。海外イベント訪問時は旅行の計画や日本へボードゲームを送る宅配便の発送などを担当。海外ボードゲームが大好き。好きなボードゲームは「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」や「Kemet: Blood And Sand」。