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「いまなぜシンガポールなのか?」,GCAのマネージャーがアジア市場を語る
GCAのManaging DirectorであるZeissig氏は「GCAの意義とはなにか?」「なぜシンガポールなのか?」といった質問について,ゲーム業界が急速に発展しつつあるアジア地域における土台としてのGCAが昨年(2007年)成功を収めたこと,またシンガポールが官民あげてGCAに協力していることなどを挙げている。
ご存じのように,LMIはドイツ,ライプツィヒで毎年8月に開催されるGames Conventionを主催しており,2002年の来場者が8万人だったGCが,今年ついに20万人を突破するなど,ヨーロッパでは成功を収めている。そのアジア版として企画されたGCAだが,日本における知名度は必ずしも高くない。
シンガポールでどのようなショウが,いかなる目的を以て開催されるのか,興味のある人はぜひ一読を。
「Games Convention Asia 2008」公式サイト
Q:ゲームズ・コンベンションをアジアでも開催しようと思い立ったきっかけはなんですか?
A:我々にはすでに、ヨーロッパで成功を収めているゲームズ・コンベンションの存在がありましたが、ビデオゲーム業界において爆発的な成長を見せているアジア地域では、業界全体にとっての土台が必要だと感じていました。
Joerg Zeissig氏
そこで、昨年、シンガポールでGCAをスタートさせました。アジア市場全体を見渡せるという点で、シンガポールはアジア地域への足がかりとして最適だと思いました。我々は、ゲーム業界、政府、代理店、クリエイティブ分野の人々と打ち合わせを重ね、ヨーロッパのコンベンションのアイデアを踏襲しながらも、単なる二番煎じにならないよう、調整をしました。
Q:昨年のGCAによってアジアのゲーム業界にもたらされた変化で、もっとも顕著なことはなんだと思いますか?
A:来場者7万人、カンファレンスの参加者600人という数字が、すでにインパクトの大きさを証明しており、GCAが今後もアジアのビデオゲーム業界における土台として機能し続けていくだろうと感じました。そこで、今年4月に、正式にここにオフィスを立ち上げ、ローカルの業界と密接に関わりあいながら、より充実した企画戦略を進めてきました。
GCAの成長は業界全体のためでもあり、同時に我々もまた、業界に大きく支えられています。
Q:シンガポールがGCAの開催場所として最適だと考える理由を教えてください。
A:まず、ビデオゲーム業界に対して政府が非常に協力的です。また、知的財産保護に積極的で、技術面でのインフラが整備されており、経済も安定しています。そして、シンガポールのゲーム業界や市場は、極めてユニバーサルだと言えます。
つまり、東西どちらのビジネスモデルも適応できる、ということになります。欧米の発想で言えば、シンガポールではゲームファンはどんな種類のゲームもプレイするし、店でソフトを購入する。
アジアの観点から言えば、オンラインゲームが非常に盛んな場所でもあります。さらに、パブリッシャーや開発会社など、シンガポールにオフィスを構えているゲーム会社がたくさんあることから、ここがアジアのゲーム業界の土壌として重要であることを物語っています。
Q:今年のGCAのテーマは「インスパイア・ユアセルフ〜自身をインスパイアする〜」ですが、このフレーズを選んだ意図はなんですか?
A:我々は、GCAがアジアのゲーム業界に有益に働くことを目指しています。日本、韓国、ヨーロッパ、アメリカのビデオゲーム商品は、すでに世界的に知られていますが、将来的に、今はまだゲーム業界が発展途上にあるシンガポールやタイ、フィリピンなどの国々から、世界中に発信されていくようなゲーム商品が生み出されれば、と願っています。
インパクトのある製品を生み出すには、“インスピレーション”が必要であり、業界の更なる成長のためにも、関係者たちにとってGCAが"インスピレーション"を得られる場になるよう、GCAを導きたいと考えています。
Q:ヨーロッパとアジアの市場の一番の違いはなんだと思いますか?
A:類似点をまず挙げるなら、ヨーロッパにもアジアにも、異なる国々、異なる言語・文化が共存しています。ただ、ヨーロッパ全体のテイストはアメリカのものに近く、ショップで買えるゲームがいまだ主流です。
それに対し、アジアにおいては、マルチプレイで楽しめるオンラインゲームが最も好まれています。というのも、簡単に安価でゲームプレイが楽しめるし、コンピュータの前だけでなく、いろんなツールでゲームを楽しみたいファンが多いからです。
Q:ゲーム市場自体も、ますます成熟してきていることを考えると、今後、デベロッパにとっての大きな課題は何だと思いますか?
A:最大の課題は、誰をも魅了するような最強のゲームを開発することでしょう。
つまり、テクノロジーや、ツール、文化の違いによって制限されてしまわないようなゲーム、ということになります。そのようなゲームが登場すれば、誰もが手に取り、すぐに他のゲーマーと一緒にプレイすると思うのです。"他のゲーマー"と申し上げたのも、成功をおさめたゲーム商品のほとんどに、マルチプレイの機能がついているからなのです。
Q:気軽に楽しめるゲームや、マスマーケットを対象にしたゲームの登場は、ビジネスの面において、デベロッパにどんな影響を与えましたか?
A:たとえば、よく言われる18歳から35歳の男性、というコアユーザーだけでなく、デベロッパは常に、万人向けのゲームを開発する視点を求められています。
ビジネスの観点から言うと、これらの市場が伸びたということは、ゲームが主要な娯楽として受け入れられたことを示しています。ノンゲーマーと言われる人々が手を伸ばした,WiiやDSがその例です。そのように、すでにライトユーザーたちの存在は、業界にインパクトをもたらしていますし、今後もこの層は増大していくと考えています。
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