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CPL日本予選を振り返って思う,国内e-Sports業界の課題とは
結果から先にいうと,CPL日本予選はプロゲーミングクラン「4dN.psymin」の圧勝に終わった。彼らは12月14日から18日にかけて,アメリカのダラスで開催される決勝大会に参加することになる。今回の記事では,大会の様子をあらためて確認しつつ,そこから見えてくる国内e-Sports業界の課題に触れてみたい。
CPLは1990年代後半にアメリカで始まったオンラインゲームの大会で,回を重ねるごとに規模が大きくなり,現在では一回の大会で総額数千万円の賞金が懸かるほど大きなイベントに成長している。ゲーム大会が行われるだけでなく,BYOC(Bring Your Own Computer)というイベントも同時に開催される。これは,自分のPCを会場に持ち込んでゲームを楽しもうというLANパーティイベントだ。
2004年のCPL冬季大会では,日本予選でもこのBYOCイベントが開催されたが,今回は見送られた。その代わりというわけではないが,純粋に観戦するための便宜がさまざまに図られていた。
■全11個のライブモニターで選手ごとの視点を追う
そこで今回採用されたのが,選手ごとに観戦用のモニターを設置するという方法だ。選手達が座っている席の前に,観客席に向けてモニターが1台ずつ置かれ,各選手のプレイ画面を常時見られるようになっていた。
これにより観戦者は,「お気に入りの選手の視点」で見続けるほかに,「攻め側,守り側の選手の状況をすぐに把握する」といったことが可能になり,自由度と楽しみ方が大幅に広がった。
もちろんこれまでと同様に,大型スクリーンと実況も行われる。このモニターでは,選手の視点では出てこない映像,例えば,敵の選手が待ちかまえている曲がり角に近づいた場合に,モニターの表示が3人称視点に変わり,鉢合わせの瞬間を映すといった,観戦者ならではの視点をカバーしていた。
海外のe-Sportsイベントではすでに行われている方法だが,国内で行われたのは今回が初めて。観戦者の評価も非常に高かったようだ。観戦者にとっての臨場感と満足度を高める点において,非常に良い試みだったといえそうだ。
■無敗の4dN.psyminが抱える問題と今後の課題
その4dNの決勝の相手は,敗者側トーナメントを勝ち進んで上がってきた「waNted COMTECH」(以下waNted)だ。waNtedのメンバーには,これまでに国内で開催された世界大会予選に,幾度となく出場している選手もおり,個々人のスキルは,決して低いクランではなかった。
だがカウンターストライクというゲームは,チーム力の差が勝負に大きく影響する。作戦,戦術,メンバー同士の連携といった点で4dNとwaNtedの差は大きく,結果的には16対2という大差で,4dNが無敗のまま,日本代表の座を勝ち取った。
CPL日本予選で,4dNが相手チームに取られたラウンド数は最大で5ラウンド。16ラウンド取れば勝利というルールにおいて,このスコアの意味は,対戦相手との圧倒的な実力差以外の何物でもない。実際,国内に4dNの存在を脅かすクランがいないのが現状なのだ。4dNが抱える問題とは,まさにここにある。
2005年の8月にアメリカのダラスで開催されたCPL夏季大会で,4dNはカウンターストライクの日本代表クランとしては過去最高位の,ベスト12に入賞するという快挙を成し遂げた。
だが,強豪ひしめく世界大会においては,ようやく存在をアピールできた程度で,4dNのメンバーが目標に掲げる世界一を達成するには,まだまだ実力的にも経験的にも足りない部分がたくさんある。
さらなる成長を遂げるために必要な,練習相手が身近にいないという問題は切実で,それを解決すべく,彼らは本戦が始まる前に渡米し,現地で練習相手を探すという計画を立てている。夏の大会よりも上の成績を残したいという思いがそうさせるのだろう。
彼らと同じように,真剣にプレイするクランが国内に登場することを,筆者は期待してやまない。なにしろCPLのキャッチフレーズは,「PLAY HARD. GO PRO.」(真剣にプレイしろ,そしてプロになれ)なのである。今後いろいろな形で,4dNのメンバーが経験したことを国内のプレイヤーにフィードバックし,それを真剣に吸収しようというプレイヤーが増加すれば,日本のレベルはまだまだ上がるだろう。
11月16日からシンガポールで開催されていた,WorldCyberGamesグランドファイナルに続けて来月のCPL本戦と,4dNの面々はハードなスケジュールをこなすことになるが,筆者を含め,日本で応援しているファンの期待に応える,素晴らしい成績を残してほしい。(Crize)
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