インタビュー
「ラグナロクオンライン」は新たなプレイスタイルを目指す――経験値テーブルの大胆な変更など,カンファレンスで発表されたアップデートの真意をガンホーに聞いてみた
充実したコンテンツをそろえ,楽しみながらレベルを上げられる環境を目指す
4Gamer:
経験値テーブルの変更やレベルキャップ開放に向け,新たなコンテンツを実装するとのことでしたが,クエスト的なものを随時投入していくということなのでしょうか。
飯野氏:
このスライドを見てください。青くなっている部分がすでに実装済みのもので,赤くなっているものが実装を予定しているものです。各レベル帯それぞれに遊べるコンテンツ,遊んでほしいコンテンツをしっかりと作り,それらを遊んでいるうちに着実にレベルが上がっていくという形を作ろうと考えています。これについては,弊社とGravityで意見が一致している部分でもあり,今後のアップデート方針の大きな柱になっています。
4Gamer:
なるほど。ですがこのスライドですと,BaseLv110から120に該当するクエストがほとんどないですね。
飯野氏:
そのあたりは,経験値テーブルの変更でガクッと必要経験値が下がるレベル帯です。3次職になりたてのBaseLv100台のコンテンツが充実しているので,ここでスキルやステータスをある程度固めたら,一般のフィールドやダンジョンで試していただけるのがこのレベル帯でもあります。サマースペシャルやディメンジョンダイバーといった経験値の獲得イベントの対象レベル帯でもありますし,下のクエストなどを繰り返すだけでもサクサク駆け抜けられそうだと思っています。
4Gamer:
この赤くなっているコンテンツは,それぞれいつぐらいに実装が予定されているのでしょうか。
飯野氏:
すべてについては,まだお話しできませんが,まず「英雄の痕跡」の「フェイスワームの巣」を12月17日に実装します。「ホラーおもちゃ工場ダンジョン」は,第1四半期ぐらいの実装予定です。「英雄の痕跡」シリーズは随時実装予定となっていますが,春までにあと二つ,タイミングが良ければもう少し増えるかもしれません。
4Gamer:
ROのメインストーリーと言えるエピソード関連ですが,Ep9.2はBaseLv120とBaseLv160といった具合に,いくつかに分かれているんですね。
飯野氏:
ストーリー的には一本ですが,コンテンツとしてはいろいろな要素があります。Gravityとしては,1回のコンテンツで何時間も遊ばせるのではなく,エンドレスタワーみたいに1週間に1回遊べるとか,1日に1回遊べるとか,また1回のコンテンツが1時間で終わるというような,ミニマムなコンテンツタイプのものをやりたいという開発構想があるらしく,Ep9.2もそういったタイプになりそうです。
アップデートサイクルが早くなる? 2014年は新コンテンツ/アップデートともにその実装スピードに期待
4Gamer:
今回のレベルキャップ開放で,逆にBaseLv99でキャップが止まっている職業の上位職はまだなのか,という要望が高まってくると思うのですが,そちらについてはいかがでしょうか。今年は影狼・朧が実装されたので,以前発表されたガンスリンガーの上位職を待っているプレイヤーも多いと思います。
今年,韓国でガンスリンガーの上位職,リベリオンが実装されましたので,日本でも順次実装を目指していくつもりです。影狼・朧もだいぶお待たせしてしまったことと関係するのですが,最近,アップデートが遅いんじゃないかという意見が届いていて,こちらとしても申し訳ないばかりです。
4Gamer:
それはエピソード関連についての話ですか。
飯野氏:
先ほど出た精霊システムなどもですね。今回のアップデートで,プレイヤーさんの成長がスピードアップすると思いますが,コンテンツを提供する我々もスピードアップしていかなければ,遊ぶものがなくなってしまいます。
今までは日本のプレイヤーさん向けになるべく多くの調整をしてきて,受け入れてもらえるものをご提供できていたとは思うのですが,それでは一つ一つの調整に時間がかかりすぎるという結論に達したんです。
4Gamer:
計算式などのシステム部分で他地域とは違うところがあるので,仕方のない部分もあるとは思いますが。
飯野氏:
ですが,その結果としてコンテンツを半年だったり,1年だったりお待たせして,なかなかお届けできないという状況になっています。これまではしっかりと日本向けに調整してからお出しする形でしたが,今後は根幹の部分の調整や変更はバグの修正程度に留めて,アイテムなどを追加実装する形でカバーしていきたいと考えています。
4Gamer:
納得いくまでずっと調整を繰り返すのではなく,アイテムでフォローしていくと。しかし,それらのアイテムの開発には,時間がかからないのでしょうか。
飯野氏:
あくまで比較の話ですが,新アイテムを開発するほうが早いです。たとえばシステムを変更した場合,そのあと別の韓国のアップデートを日本に持ち込んだときに,日本側が変更した部分とバッティングしてしまう危険性があります。ですが,この方式だと基本的なところは一緒なので,調整用のアイテムを実装するかしないかでバランスが決められます。そうすれば,サービスを行っている各地域で,コントロールしやすくなるというメリットもあります。
4Gamer:
分かりました。今後のアップデートがこれまでより早くなることに,期待しています。ちなみに,今回の発表でいうと三つの快のうち,「爽快」もそれにあたるのでしょうか。
飯野氏:
ナビゲーションシステムやモンスターのHPバーなどは,システムの改良部分なので少し違いますね。でもこういったUIの改良は,順次日本にも導入していきます。ROも長く続いているゲームなだけに,いろいろなとこが古くなっていますが,できるだけ今のプレイ感を損なわないように,かつ,これから新たにプレイされる方が遊びやすいように入れていくつもりです。
4Gamer:
それが小さなものでも,あると便利,あると嬉しいというアップデートは,プレイヤーとしては歓迎したいですね。
ROが12年も続いているのは,やはりすごいことだと自分でも思うんです。遊んでいるプレイヤーさんもすごいと思います。2014年は,長いあいだ遊んでくださっているいまのプレイヤーさんに,どうしたら気持ち良く楽しんでいただけるか,という方向で運営していきたいと思います。
4Gamer:
ほかに2014年の予定について,いま話せるものはありますか。
飯野氏:
2014年には,特設ワールドを使ったコンテンツも用意していきたいと思っています。今年実施した職業別の蜃気楼の塔や,モンスターレイド戦のようなものを予定しています。
4Gamer:
モンスターレイド戦というと,Breidablikワールドの「突撃! モンスターハウス」みたいなものでしょうか。
飯野氏:
いえ,まったくの別物です。「突撃! モンスターハウス」は,Breidablikワールドが通常ワールドになるタイミングで,既存のワールド向けのコンテンツに作り直して実装する予定で,企画を進めています。
4Gamer:
お,それは楽しみです。しかし,Breidablikワールドの通常ワールド化も春でしたよね。2012年はワールド統合,2013年はBreidablik,そして2014年はレベルキャップ開放,そのほかに諸々と,ここ数年は春がROのヤマ場になってます。
飯野氏:
春に合わせて心機一転という意味もあるんですよ。
4Gamer:
なるほど。
ところで,セカンドコスチュームの発表も行われていますが,一番の問題とされていたギロチンクロスとジェネティックがないんですが……。
飯野氏:
セカンドコスチュームに関しては,まさに今の開発状態をお見せしています。すべての職業が揃ってからお見せするほうがよいか考えたのですが,少しでも早く情報をお出ししたかったので,少し無理を言って韓国から送ってもらいました。
4Gamer:
これも順次実装ですか? それともある程度まとまってからでしょうか。
飯野氏:
ある程度まとまってからになると思います。韓国側の話では3-1次職,3-2次職,上位2-1次職といったように6体ずつ入れていき,最終的にはノービスまで実装する構想のようです。昨年のアニバーサリーでは無理矢理発表した形だったので,一年経ってようやく作っているところを見せられて少しホッとしています。
4Gamer:
では最後に,アップデートに向けて,抱負や意気込みをお願いします。
飯野氏:
今回発表したアップデート内容は,これまでとは違う方向に大きく舵を切ったように見えるかもしれません。レベルキャップの開放と,それに伴う経験値テーブルの変更を行うことで,ROの遊び方が大きく変わると思います。多くのプレイヤーと遊んでもらえる環境を作り,それぞれのレベル帯でコンテンツを楽しみながら成長するという爽快感を提供していくつもりです。また,それを実現できるようにアップデートを重ねていきますので,2014年のROもぜひご期待下さい。
今回発表されたアップデート内容は,派手さこそはないが,遊んでいるプレイヤーにとってみると,かなり大きな変化となることが予想される。
キャラクターの育成はMMORPGの楽しみの醍醐味であり,それに特化してるともいえる今回のアップデートは,プレイヤーのROの楽しみ方を広げてくれる可能性を持っているだろう。このアップデートをカンフル剤として,これまで以上にゲーム内が盛り上がることに期待したい。
「ラグナロクオンライン」公式サイト
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